簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

連絡船の町(JR乗り潰しの旅)

2013-10-09 | Weblog
 「リゾートしらかみ」が川部に到着した。
列車はここから奥羽本線を一旦弘前まで戻ったのち終着の青森に向かう。
このまま乗り続けていても良いのだが、ここで本線に乗換えれば30分ほど
早く青森に着くことが出来るので、乗り換えることにする。



 夕方7時少し前青森に到着した。
列車を降り、その先を見ると、人影の無いプラットホームが長く長く真っ直ぐ
に海に向かって延びていた。
広い構内には何本ものホームが有り、終着駅らしく沢山の列車が停留され
ている。そんな広大な敷地を跨ぎ横切るように、跨線橋が架かっている。

 みんなあの時見た光景と一緒だ。
いやそんな筈は無い、おそらく大きく変貌を遂げているのであろうが、何とな
く見たような、記憶の底に残っていた懐かしいものに再会したような愛おしさ
がこみ上げてくる。



 もうかれこれ半世紀も前のことである。
上野発の夜行列車が青森駅に近づくと乗客は大きな荷物を抱え、ぞろぞろ
と車内を前に前にと移動を始める。列車がホームに滑り込むと、人々は先を
争って飛び降り、連絡船の桟橋を目指して駆け出した。



 当時、函館まで4時間半を要した青函連絡船の船内で、少しでもいい席を
確保しょうと先を競っていたのだ。



 この日列車を降りた人の群れには背を向けて、誰もいない閑散としたホー
ムをその先まで歩いてみた。
そのホームの途中には柵が有り、それ以上先に進むことは出来ないが、その
先には一艘の大きな船が係留されているのが見えた。
かつて青函航路で活躍した八甲田丸である。(続)






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