簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
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食べたまま、書いてます。

万人講常夜燈(東海道歩き旅・近江の国)

2023-11-03 | Weblog


 鈴鹿の「峠の茶屋」では、甘酒を啜りながら、東下り旅人は、この先
の厳しい下り坂に思いを馳せ、一方京に上る人々は、早難所を越えた安
堵の心持ちで寛いでいた。
そんな茶店も、今に残る痕跡は何も無く、わずかに石垣の様な遺構を見
るのみである。 



 杉林を抜けた未舗装の街道は開放的で明るく、両側に土山茶の茶畑が
広がる中を下りながら250m程進む。
すると丁度国道の鈴鹿トンネル出口付近真上辺りに、大きな石灯籠が立
っていて、その横には休憩所があった。 



 これは「万人講の常夜燈」と言われるもので、金毘羅参りの講中が、
道中の安全を祈願して、今から300年近くも前の江戸時代に建立したも
のである。
説明板によると灯籠は、重さ38トン、高さ5m44㎝あると言う。 



 地元山中村の高幡山(773m)天ケ谷より、霊験によって見いだされ
た「神石」と呼ばれる自然石が用いられている。
山中村をはじめ、坂下宿や甲賀谷等、三千に及ぶ人々の奉仕によって出
来上がったから万人講と呼ばれている。 



 往時は東海道の道沿いに有って、難所の峠に立つ常夜灯として毎夜火
が灯され、旅人達の目印と成っていた。
山深い上り道を近江側から詰めて来て、ようやく目にした仄かな灯りは、
峠への到達を告げ、ホッと安堵の心を慰めていた。
そんな灯籠も、大正13(1924)年7月開通した鈴鹿トンネル工事の為に
現在の位置に移された。



 この先東海道は、ダラダラとした下り道となるが、次の宿・土山まで
はまだ一里半程の道程を残している。
右手眼下に国道1号線を望みながら200m程下り、突当りのT字を右折す
ると、先で国道1号線に合流する。(続)

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