簾 満月「バスの助手席」

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大原美術館(水島臨海鉄道に乗る)

2022-08-05 | Weblog
 「エヲカッテヨシ カネオクル」
本場欧州での絵画勉強に励む画家・児島虎次郎から、再三に渡る「絵画
を買いたい」との申し出の熱意に押され、彼を支援する倉敷紡績二代目
社長・大原孫三郎はこう電報を打った。



 第一次大戦後、孫三郎の依嘱を受けた虎次郎は、二回に渡り欧州に赴
き西洋絵画、彫刻、古代エジプト美術品、中近東の古陶器等を蒐集した。
それが今日の「大原美術館」の所蔵品の基礎を成す品々である。



 倉敷美観地区を象徴する「大原美術館」は、昭和5(1930)に日本で
最初の西洋近代美術館として開館した。
 その前年に死亡した虎次郎を記念するため、孫三郎が設立したもので、
建物を設計したのは、大原奨学生であった建築家の薬師寺主計である。



 『この蒐集は我が国に西洋美術の本格的な根を植え付け、日本画壇の
向上発展に寄与しょうとする児島虎次郎の念願と、彼の画業をその生涯
を通じて少しも変わることなく支援し続けてきた大原孫三郎の深い友愛
との結晶』と言われている。
(「大原美術館 OHARA MUSEUM OF ART Ⅰ」)



 蒐集は先代の死後も遺志を継いだ嗣子・総一郎により第二次大戦後も
行われ、新たにセザンヌ、ドガ、シスレー、ルオー、ピカソ、ユトリロ
等20世紀を代表する画家の作品が加えられた。

 同時に、近代日本洋画の代表作品の他、陶器(バーナード・リーチ、
富本憲吉、河井寛次郎、浜田庄司)、版画(棟方志功)、染色品(芹沢
銈介)等、民芸作品も多数集められた。
これらは新たに建設された新館、工芸館や東洋館などで展示されている。



 誰もが一度は、教科書等で目にした、実物・本物のアートと出会える
大原美術館の立上げは、大原孫三郎の執念とも言えるものであった。
本業が悪化するさ中、これが最後の社会事業となった。(続)





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