簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
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食べたまま、書いてます。

軍艦・エルトゥールルの悲劇(JR乗り潰しの旅・紀勢本線)

2017-05-05 | Weblog
 潮岬半島から平成11年に架けられたループ橋とアーチ橋の二本の橋を渡り、
紀伊大島に入る。海を臨むことが殆ど無い、島の中央部を貫いている道を東に
向かうとそこが樫野埼だ。
ここには日本最古の石造り灯台である樫野埼灯台が建っている。



 この辺りは黒潮が岬にぶつかることにより、海蝕が進む崖や岩礁が入り組んだ、
複雑で厳しい海岸線となっている。
近くの海金剛は「21世紀に残したい日本の自然100選」に選ばれている。



 そんな地で、折からの台風に煽られた一艘の軍艦が岩礁に激突し座礁した。
機関部に浸水した艦は、水蒸気爆発を起こし沈没した。
明治23年9月16日の夜半、500名以上の犠牲者を出した、オスマン帝国(現在の
トルコの一部)の軍艦・エルトゥールル号の悲劇である。



 灯台下に流れ着いた僅かな生存者は、崖をよじ登り、燈台守に助けを求めた。
通報を受けた村は、住民たち総出で生存者の救出と介抱に当った。その結果69名
が救出され、無事生還した。



当時の村民は生活が貧しかったにも関わらず、衣類や食事を出し、中には非常時
の為にと飼っていたニワトリすら惜しみなく提供したと言われている。
この事実が衝撃的なニュースとして全国に報道されると、瞬く間に多くの義捐金・弔
慰金が寄せられた。



 このことが日本とトルコの友好関係の礎となり、後のイラク・イラン戦争の折のトル
コ航空による日本人脱出劇を生んだのは「親日国トルコ」を語るエピソードとして
記憶に新しい。
こんな歴史は灯台そばに立つ「殉難将士慰霊碑」や「トルコ記念館」で知ることが出
来る。(続)



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