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展示会場で唯一撮影できる作品
『「粉末化した鹿の精液」の匂いを嗅いでください』というタイトルのデコール
黒板にチョークで描いた鹿に本物の鹿の角、腹部に立体オブジェが取り付けてある
『「粉末化した鹿の精液」の匂いを嗅いでください』というタイトルのデコール
黒板にチョークで描いた鹿に本物の鹿の角、腹部に立体オブジェが取り付けてある
クエイ兄弟の映像作品は、『ピアノ・チューナー・オブ・アースクエイク』以降『Maska』くらいが日本で公開されたくらいだったので、この展覧会でブルーノ・シュルツの「砂時計サナトリウム」のパイロット版(2006年、8分)が見られたのは、貴重でした。
前日の夜寝る前、気分を高めるのとよく眠れるようにと『シュルツ全小説』を引っ張り出して「砂時計サナトリウム」を読み直したのです。おかげで読み切る前に眠ってしまい(短編なのに!)、朝まで熟睡できました。クエイ兄弟の『砂時計サナトリウム』は、主人公が電車を降りてサナトリウムへ行こうとする場面だけでしたが、どうせ試作するのなら、お父さんが絡む場面(シュルツの作品は“お父さん”がミソなんです)を作ってほしかったです。
ブルーノ・シュルツよりメジャーなフランツ・カフカの『変身』の映像とデコールもありました。デコールは、虫になったザムザがベッドの下に隠れている場面でした。私の読んだ『変身』の翻訳では「毒虫」だったので、ザムザは芋虫的な「虫」のイメージでしたが、クエイ兄弟のそれは、ゴキブリ(シュルツ作品に出てくるアブラムシ)でした。よりにもよって、この小旅行から帰宅した夜、私は自宅で2度もゴキブリを退治するはめになりました。
カフカの『変身』があるのなら、E.T.A.ホフマン(「くるみ割り人形」が有名)の『砂男』は・・・と思ったら、ありました。2000年にバレエ映画(実写:41分)として共同制作されていたのです。解説によると、内容は『砂男』ではないみたいですが。
そんなこんなで、楽しみながら鑑賞してきた展示品も終りに近づく頃、クエイ兄弟の即興デコールがありました。展覧会初日に、彼らがチョークアートで鹿を描くデモンストレーションがあったのです。YouTubeにあがっているニューヨークのMoMAでのデモと同じ内容だったのですが、生兄弟を見れなかったのは残念でした。 さて、この何ともコメントし難いタイトルの作品ですが、要するに香水に使われる「麝香(じゃこう)=ムスク」のことなのでしょう。腹部にあるガラスのドーム(「ドルミトリウム」というデコール)の中には「香り」が詰まっていて、それが嗅げるように小さな管が付いています。残念なことに、作品に近寄れないため、嗅ぐことはできませんでした。ただ、調べてみると麝香は鹿の精液ではないようで、麝香は鹿ではなくジャコウジカという鹿に似た動物からしか採れない、特別な分泌物だそうです。そして、ジャコウジカにはオス・メスどちらにも角は生えないのだそうで・・・ということは、中に入っているのは「麝香」ではないということですか・・・ ミュージアム・ショップでは、公式図録の他にポストカードやクリアファイルも売っていました。当然、StilleNacht人形のクリアファイルはお買い上げ。そして、数年前森美術館で開催されたウェルカムコレクションの展覧会では売っていなかった、ウェルカムコレクションのグッズが置いてありました。2種類のポストカードだけでしたが。西洋版「国芳の、みかけはこはいがとんだいいひとだ」を選びました。フィリッポ・バルビという19世紀のイタリア人画家の絵で、国芳と同時代の人ですが、この作品は国芳より後のようです。
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