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Expressing My Inspirations

ningyo@gero-onsen

2011-05-23 | prose
 大阪から帰った翌週、日本三大名湯のひとつ下呂温泉へ行きました。目的はもちろん温泉でしたが、そこで思わぬ出会いをしました。

 宿の近くに下呂温泉合掌村という合掌造りの家々を展示したテーマパークがあったので行ってみたのですが、白川郷などから移築した合掌造りの民家10棟で集落を再現しており、想像していたよりもすごくよかったのです。その中の1棟が「竹原文楽記念館」になっていたので入ったら、これがまた凄かった。

 「文楽」とつくからには人形浄瑠璃だと思ったのですが、大阪の人形浄瑠璃文楽とは関係ないらしく、こちらは地元下呂が生んだ天才人形浄瑠璃師・洞奥一郎氏(大正7年生まれ)が自作した人形を一人で操る人形歌舞伎というものでした。多いものでは、100体以上の人形をたった一人で操ったそうです。見てみたい!しかし、洞奥氏は既に故人であり、跡継ぎもなかったため、今は過去の映像でしか見ることができないのは無念です。

 パソコンやテレビといった娯楽がない江戸時代、人形芝居は全国で人気を博していた見世物だったらしく、現代のように一つの職業として確立されていない人形座も多く、それらは時代の移り変わりと共に衰退しほとんど消滅してしまったようです。大阪ではかろうじて文楽座が残ったおかげで現在人形浄瑠璃を見ることができます。あれほど立派な芝居ではないけれども、地方にはもっと素朴な人形芝居がたくさんあって、祭りや祝い事の席で上演されていたそうです。現在だと江戸時代上方から伝わった人形芝居が佐渡に残っていて、国の重要無形文化財に指定されています。
 芥川龍之介も日暮里の知人宅で見たことがある、滑稽な芝居「のろま人形」をいっぺん見てみたいです。
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