いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

辞書にない文字 74編

2005年09月20日 08時54分54秒 | 娘のエッセイ
 ボーナスシーズンを前にして、私は『メデタク』元職場である○○を退職した。
むろん『寿退職』ではなく、自己都合退職であるが、それはまさしくメデタイ退
職なのだ。

 私が社長の弟から紹介され、入社したのが今から二年半前。その二年半の
間に退職した正社員、その数なんと十七名。バイトも合わせれば二十名を超
える。

それだけでも、どんな会社か想像がつく。しかしこの会社の本当の異常さは、
あまりにも世間の常識とかけ離れすぎていることだった。

 以前、会社の目標は「国内のトップお目指す」ことだった。(「お」は会社
概要そのまま表記)ところが自社ビルを所有した途端、目標は「世界進出」
へと飛躍する。

まぁ、なんてお気楽なこと! 身の程知らずとはまさにこの会社の為にある
ような言葉である。

 この目標を達するべく、お気楽社長は皆が深夜にまで及ぶ仕事量をこなし
ている。だから社員のタイムカードのアウト欄には、午前二時とか一時という
数字が平然と並ぶ。女子社員でも配慮はない。自転車通勤する二十歳そこ
そこの女の子を、深夜ひとりきりで帰らせる。

 社長曰く、「『こんな遅い時間にひとりで帰るのは怖い。だから早く仕事を
お終わらせよう』と思わせる為にひとりで帰らせるのだ」だと!アホとちゃう
か。

アホ社長は○○会のバッシングにも怯まず、自分は最高の社長だと信じ
ている。

 水面下ではひそかにこれからの退職する予定者の順番が、春までびっし
りと決まっているというのに。予定者は五名。残るは会社役員ばかりである。
それでも辞めていく奴が悪いと思い込んでいる社長。

 社長の辞書には「反省」の文字がない。このままゆけば彼は社員に見捨
てられるだけでなく、ようやく建てた砂の上の城と共に自滅してしまうに違い
ない。

 不景気のなか、会社の倒産を社員が願う会社、その会社の辞書に未来と
いう文字はない。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« お洒落の秋なのに 73編 | トップ | 驕るなNHK »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

娘のエッセイ」カテゴリの最新記事