いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

娘の遺書

2006年04月16日 18時10分04秒 | 娘のエッセイ
 『遺骨はぜったいに ○○の本家の墓などに 入れないで下さい。
  本家などは法律上もほとんど他人同様、姻族何親等になるか あるいは
  それよりも薄い関わりになるか……。
  そんな中に たった ひとり 入れないで下さい。
  いなかの淋しい墓になんか。
  横浜のおばあちゃんと一緒のお墓に 入れてください。
  ○○はまだ若いので再婚もできるから そのほうがいいでしょう。』
     11.9・26    ○○子(娘)

 以上は、現金が入ったままの娘の給与袋の裏面に記載されていた文言である。

 娘は、平成11年9月27日(月)に精密検査を受け「がん」と診断され即
入院した。既に分かっていたのか、娘は入院の前日に上記のような文言を書き
残していった。
 以来226日間にわたる入院、治療、加療の甲斐も無く平成12年5月11日
結婚生活二年目の生涯を閉じた。享年34歳であった。
 この遺書を読んで、私達は娘の願いを叶えて私達当家に埋葬した。位牌は、元
夫が一緒に居たいとの願いがありその希望に沿った。その間、元夫にも環境の
変化が生じ6月に再婚することになったとの報告を受けた。そこで、元夫は私ど
もの檀家を離れることになり、娘の位牌は当家に預かり供養することになった。
 平成18年4月16日、娘の七回忌法事を無事滞りなく執り行い、娘を我が家
へ向かい入れることが出来た。
 娘の遺言のとおりとなり、私達家族もこれで安心して供養することができる。
当日は、朝から小雨模様で墓参、会食の時まで雨が降っていた。精進落としを終
えて、娘の位牌を抱いて我が家えの帰路についた。その時には、雨も止み陽射
しに覆われてきた。わが娘が喜んでいるのだと家族共々話しながら太陽の光り
に感謝しながら、当家の仏壇に娘をむかい入れた。時の流れが、様々の思いを
遠くへ運んで行く。だが、忘れ得ない。これが心と言うものか。



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