いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

独楽吟とクリントン元米大統領

2009年06月15日 08時08分30秒 | 兎に角書きたいの!
 オバマ米大統領は今年6月、エジプト・アラブ共和国の首都に於いて「私はキリスト教徒だ。だが私の父はケニアのイスラム教徒の家庭に生まれ、私は少年時代を数年間インドネシアで過ごし朝夕に、イスラム教の礼拝への呼びかけの声を耳にして育った。……」とイスラム教徒に向け演説を行った。

平成6年6月13日、天皇皇后陛下が訪米されその歓迎式典において米大統領は、「たのしみは 朝おきいでて 昨日まで 無かりし花の 咲ける見る時」をスピーチの中で江戸時代の和歌を引用された。

 引用された歌は、日常生活の小さな喜びを詠んだ橘曙覧(たちばなのあけみ)の歌集「独楽吟」の一首である。朝起きて昨日まで咲いていなかった花が開いているを発見した時の、浮き立つような気持ちを素朴に表現した庶民的な歌である。

 大統領は、「一日一日新たな日と共に確実に新しい花が咲き、物事が進歩し、日米両国民の間の進歩をはぐくむものです」と続けた。

 「独楽吟」には52首の歌が収められている。何首かを紹介してみる。

@ たのしみは
   昼寝せしまに 庭ぬらし ふりたる雨を
                  さめてしる時

@ たのしみは
   三人の児ども すくすくと 大きくなれる
                  姿みる時

@ たのしみは
   そぞろ読みゆく 書の中に 我とひとしき
                  人をみし時

@ たのしみは
   ふと見てほしく おもふ物 辛くはかりて
                  手にいれしとき
  「一目見た途端、気に入ってしまった。どうしてもどうしても欲しい。しかし、私のふところにお金はない。さ、どうする。何ヶ月も苦労しながらお金を工面し、やっとの思いでそれを買い求め、自分のものにすることができた。ああ、こんな時なのだよ。なんともいえずうれく楽しい気分になるのは…。」

@ たのしみは
   心をおかぬ 友どちと 笑ひかたりて
                  腹をよるとき

@ たのしみは
   空暖かに うち晴れし 春秋の日に
                  出でありく時

@ たのしみは
   蝦夷(えみし)よろこぶ 世の中に 皇国忘れぬ
                  人を見るとき
  「世の中はこの頃、異民族の精神や外国の文化をやたらともてはやす風潮ではあるが、たまに、皇国である我が日本国の精神を忘れない気骨のある人物とであうことがある。ああ、こんな時だよ。心から嬉しく有難い気分になるのは…」

 故人は勿論だが国と国との交渉に相手国の文化を尊重し褒めることは一つの外交術である。
 昭憲皇太后が十二の徳目をテーマに詠まれた歌を是非知りたいものである。橘曙覧(1812~1868)は、1200首以上の和歌を残しているがこの「独楽吟」の特徴は「たのしみは…」で始まり、「……する時」で締める和歌である。

 これに対し天皇陛下は、明治天皇の皇后である昭憲皇太后が独立宣言起草委員の一人ベンジャミン・フランクリンの十二の徳目をテーマに和歌を詠んでいる事が紹介されている。

 十二の徳目とは、節制、沈黙、規律、決断、節約、勤勉、誠実、正義、中庸、清潔、平静、純潔で後に謙譲を加えて徳目十三になった。これを織り込んでの和歌はどのようなものか今のところ確認していない。

 今日は千葉方面へダンス仲間との旅行である。私の「たのしみは……華麗にダンスを踊る時」雨は大丈夫のようだ。

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