いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

好きな花は、なぁに?71編

2005年09月10日 08時24分06秒 | 娘のエッセイ
 九月は私の誕生日だった。そこで私は淡い期待を抱きつつ、さりげなく事前に
好きな花の名を彼に教えておいた。

しかし、当日待ち合わせた場所に現れた彼は、「本当は花束も持ってこようと思
ったんだけど、名前を忘れちゃってさ」と言い、私の淡い期待は無残に打ち砕れ
てしまった。

「きっと、トルコ桔梗という名前が難し過ぎたんだよ」そう自分に言い聞かせ、
自分を慰めるしかなかった。

 好きな花のアンケートを見ると、必ず一位は「薔薇」である。確かに薔薇はい
い。花の女王様だ。蕾から始まり、咲き切るまでの間、どの時期をとっても、
その姿は魅力的だ。

そしてその後も、ドライフラワーやポプリにすれば、いつまでもその姿や香りを
楽しむことが出来る。これだけ一本で楽しめる花は他には無い。

 それに、『好きな花は何?』と男性に聞かれた時、薔薇と答えておけば無難だ
からという理由もあるのではないだろうか?

 薔薇は男性にとって、覚えやすいし、わかりやすい。結果としてプレゼントして
貰う確率も自然と高くなるはずである。

けれど花好きな女性なら必ず、『薔薇もすきだけれど、本当に好きな花は……』
という花があるに違いないと私は思う。

 三年程前のこと。私が通っていたフラワーデザイン学校で、ウェディングショー
なるものを催した。場所は川崎のプラザである。

数名の生徒がドレスを着て、生徒の作ったブーケを手に舞台を歩くという構成
で、私もそのモデルの中の一人であった。

 その時、私が持ったブーケは、トルコ桔梗のブーケと、デンファレと百合のブー
ケの二種類だった。そして後でその時の写真を見て、面白いことを発見した。

同じはずの私の笑顔が、トルコ桔梗のブーケの時のほうが断然にいのだ。たか
が花の種類一つで笑顔の質が変わる私も私だが、やはり花の力は凄い!と感
心する出来事であった。

 世の男性方も、女性の特上の笑顔を見たいのなら、その女性の本当に一番
好きな花を探り出し、プレゼントしてみたらいかが?


『講評』

  800字エッセイの見本のようでした。ちょぴりしゃれた、決して大げさでは
 ないが、心のメロディが鳴るようなモチーフ、書き出しから結びまで、必要にし
 十分で、ぴたりと決まった構成、そして、いつもながら申し分のない文章表現。
 よく出来ました!
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