いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

笑いそしてほほえみ

2007年05月03日 09時05分17秒 | 兎に角書きたいの!
 妻は出勤なので一人で散策に出かけた。まず六本木ヒルズの53階にある森美術館へ。5月6日まで展示の「日本美術が笑う&笑い展」。美術館の入り口には「日本美術が笑う」の大垂れ幕が吊るされている。展示は5区分されていた。
1 土の中から~笑いのアーケオロジー:土偶、埴輪
  会場を入ると眼前に大型の埴輪「盾持人」三体が飛び込んでくる。いずれも「笑い」面で埼玉県前山古墳出土ある。おおらかな縄文人を見る気がする。そのほ か埴輪「見返りの犬」は素朴で笑いを誘う肢体である。
2 意味深な笑み:寒山拾得、近世初期風俗画、麗子像
  ここでの見ものは、作者不詳の大型の「寒山捨得図」である。笑った顔その大きいこと、そして上の歯13本下の歯14本が見える笑い顔である。
3 笑うシーン
  河鍋暁斎作「放屁合戦絵巻」は、9メートル近い巻物をスライドでも見せておりその図柄、一人ひとりの肢体などが見ていて飽きさせない構図でいたるところで真剣勝負と笑い顔の対比が又見事である。
4 いきものへの視線
  動物、犬、像、牛、金魚などを正面から描写している図におかしさがこみ上げてくる。フランスの哲学者アンリ・ベルクイソンは、その著書「笑」の中で「人は動物を笑うことをするけれども、それは動物に人間の態度とか人間的な表情をふと看取したからであろう」と述べている。
5 神仏が笑う~江戸の庶民信仰
  南天棒の「達磨図」は、ピアスをつけている。達磨図は禅画の定番だそうだ。また「三福神吉原通い図巻」もスライドでその絵巻を見せてくれ描写の繊細なそして緻密な線に驚く。そして円空の陰刻線だけの簡略な仏の表現に魅せられるものがある。
 全体的に柔らかなそして穏やかな「笑い」を見せられて、ホッとする時間を頂いた。掲示板に「笑いは緊張感を緩和し、固定化した考え方や保守的な権力に揺さぶりをかけ、それは真理であるかを問いかけるものです」と記述されていた。
 六本木交差点界隈は40年前と大きな変貌を遂げていた。変わらず存在していたのは「俳優座」だけであった。オリンピックのために高速道路が建設されていく様は活気に満ちていた時代だった。六本木ヒルズ付近は、近代的で機能性に優れ空間と緑と憩いの場が確保されているなど素晴らしい街づくりである。
 六本木を後にして池袋の「古代オリエント博物館」へ向かった。7月1日まで「ほほえみの考古学展」が開催されている「笑い」のつながりである。ここでは、古代オリエント・古代地中海・インド・東南アジア・中国、朝鮮・日本と区分展示されている。ほほ笑みは世界共通であることが見て取れる。それぞれの木、青銅、石、土などで作られた人の表情は豊かでほほえましくてなんだかあたたかくなってくる。
 展示場内に「ほほえみ宣言」が掲示されていた。

      私一人では世界は変えられない
  でも、あなたにとっての世界とは何ですか?
    それは、思っているより狭いものです
  自分と家族、友人、職場の人、道ですれ違う人

      ほほえみは極めて文化的な行動です
           他者の存在と尊厳を認め
     自分も尊重して欲しいというメッセージ

  この展覧会にはほほえみがあふれています
文化創造にはさまざまな他者が関わっていたからでしょう

     世界は一人の力で変えられるのです
       ほほえみ宣言、ただそれだけ 

"どんな時でも笑顔忘れずに” そうありたいと思っている。

  

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