邦画ブラボー

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「まあだだよ」

2008年03月15日 | ★人生色々な映画
松村達雄が歌うのを見ていて、ふと
この魅力的な先生が
森繁久彌だったらどうだろうか?と
思った。

そう思うと、
もう森繁の「先生」にしか見えなくなってしまった。
森繁→内田百・・はイメージ違うけれど。

「大黒様は誰だろう~~♪」
歌のシーンが沢山あるが
森繁が歌う・それだけで大きな芸、見せ場になる。

と思ってしまったのだ。

もちろん松村達雄は素晴らしい役者ですが、
森繁だったらもっとつかみどころがない、人間臭い、
先生になったのではないだろうか?

な~んて天下の黒澤に。

森繁×香川京子とのコンビ
豊田四郎監督の傑作「猫と庄三と二人のおんな」を
思い出したせいかもしれない。

稲垣浩監督のヒューマニズム溢れる、
ふんどし医者」の
型破りながら上品でユーモラスな医者役、
原節子とのお似合い夫婦に感動したからかもしれない。

愛猫のノラがいなくなって
がっくり来た森繁が
つんつるてんの
撫子柄の浴衣を着て庭を眺めながら涙ぐんでいる様子など・・
想像するだけで、
「いいだろうなあ」と思う。

もっとも
黒澤明との組み合わせは
相性悪そう、
やっぱり考えにくいですね!

山田洋次はこの映画の根底に
小津安二郎的な世界への憧れがあったのではないだろうかと
言っているがそうだろうか?
小津的では無いですよね。

香川京子は貫禄があり
猫を抱く仕草、おかずを盛って勧める仕草、
ひとつひとつがうっとりするほど日本の妻である。

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「バーバー吉野」

2008年03月06日 | ★人生色々な映画
どこかにいそうで何処にもいない床屋のおばちゃんを演じる
もたいまさこの存在が強烈だ!

「子供は子供らしく」
「子供を守るため」

崇高な使命感を持って
男の子を有無を言わせず前髪を切りそろえた
「吉野ガリ」にしていくおばちゃんは
まるでモンスターのようだが
実は心はあったかい。

広々と広がる花畑や田んぼや川。
カメラが映し出す自然が美しい。
この世の理想境のようなのどかな街が舞台だけど
子供たちが喋る言葉は標準語。
バーバー吉野が店を開けているのは
架空の街なのである。

東京から来た転校生によって喚起された
性の目覚め、大人への反発、自由への憧れ・・
少年達の成長が暖かくユーモラスに語られていく。

荻上監督の作品では「舞台」が重要な鍵を握っていると思う。
それはどこだかわからないけど、
どこかにある
誰もが憧れる魅力がいっぱいにつまった場所だ。

登場人物に悪人はいない。
ことさらに大きな事件が起きるわけではないが、
観終わって
ひたひたと湧き上がる幸福感に包まれる。

何度も言うようだが
もたいまさこが強力だ。

「ハレルヤ」や
プッチーニのオペラが挿入された空間で
無邪気に遊ぶ子供達を見ていたら
人生とは幸福とはなんぞや?などと柄にも無く考えてしまった。

こけしのようでもあり
修道士のようでもあるユニークな
ヘアスタイル、
吉野ガリは「坊主刈り」のパロディなのだろうか?
いずれにしても男の子は割りを食ってるね!
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日本映画専門チャンネルでは
荻上直子監督作「バーバー吉野」と監督インタビューを放送。

「映画は自分の意思とは関係なく一生残ってしまうものだから、
何十年後とかに自分で妥協したことが残ってしまう。
だからこそ・・・
あなたはなぜ映画をつくるのか?続きは公式サイト
2003年
監督・脚本=荻上直子
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日本映画専門チャンネル 
時代劇専門チャンネル 
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「檸檬のころ」

2008年03月02日 | ★人生色々な映画
酸っぱさの中にほんのりと爽やかな甘みがある檸檬。

とある地方の高校を舞台に
卒業前のそれぞれの日々を綴る。

緑に囲まれた実際の校舎を使い
高校生と同じ目線から物語は極めてオーソドックスに展開する。

失恋、漠然とした将来への夢、挫折感、自負、才能ある友への複雑な思いが
今時の言葉のニュアンスを借りて丁寧に語られる。
誇張せず、自然に描かれているから
「あの頃」を、誰しもが懐かしく追体験出来るのかもしれない。

今が旬の新進気鋭の俳優さんが等身大の高校生を演じている中で、
音楽ライターを目指す恵を演じた谷村美月には
感情移入せずにはいられないリアリティと深みがあった。

また、
思いを寄せる女の子が残した檸檬味のリップクリームを握り締め泣く
石田法嗣君には、不肖ブラボーも思わずもらい泣き。
優等生の加代子役の榮倉奈々ちゃんはちょい美人過ぎるかな。

音楽界からの出演もある。

二人組の異色少年バンド「平川地一丁目」の弟の方、 
林直次郎が出ているではないか。

人の子供が大きくなるのは早いと言うけど(爆)、
「あの子がこんなに大きくなって・・・
しかもイケメンになって!」とびっくりした。
訥々とした台詞がリアルで
ひとたびギターを持って
ステージに立てば独壇場の輝きを放ち、爆発!炎上!
この映画のステキなハイライトシーンになっている。

ひと言発してもクセがあるなと思わせる先生役は、
「フライング・キッズ」のボーカル、浜崎貴司が演じている。
アクが一杯の歌同様、俳優としても個性がある。

まだ青味が残った檸檬の匂いを嗅いでみたくなる、
いとおしさが詰まった映画。

余談:タイトルがいい。
誰にもあった「檸檬のころ」。
今の自分は・・・一体、「何の頃」だろうか??と
考えるのも楽しい(爆爆爆

2007年 
原作豊田ミホ
脚本岩田ユキ
監督岩田ユキ
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日本映画専門チャンネルでは
岩田ユキ監督作「檸檬のころ」と監督インタビューを放送。
あなたはなぜ映画をつくるのか?
岩田ユキ「映画を見た時にその主人公を好きかと思えることが一番大事!
話の面白さ以上にその人物に恋できるか・・・」
続きは公式サイト
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