邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「日本誕生」

2006年07月12日 | ★人生色々な映画

「日本沈没」公開を記念して
日本映画専門ちゃんねるで
「特撮映画特集」をやってくれている。

高圧線を見ると、即座にゴジラを想像するほど
私の幼少時代は東宝の怪獣映画と共にあった。
と自負していたのだが、

これは
はじめて見ました。

撮られたのは50年前。
当時の特撮の粋を集めた、
円谷英二特技監督渾身の仕事がみられる。
豪華キャスト総出演で、
歌舞伎で言うなら俳優祭、野球で言うなら
オールスターゲームのようだ。

出てくるわ出てくるわ、
小林桂樹がぽちゃぽちゃしたおなかを丸出しで神様を演じると思えば
隣の可愛い神様は加東大介だったりする。

上田吉二郎の神様も・・

脚本は八住利雄 菊島隆三。監督稲垣浩。
超一流スタッフが作った日本版「天地創造」なのだ。ぎゃふ~~ん!
話ははるか昔、神々の住む高天原から始まる。

やや、柳家金語楼やエノケンが高天原でドンちゃん騒ぎ!
天の岩戸で技ありの踊りを踊るのは元宝塚の乙羽信子だ。

その踊りに誘われて岩戸から出てくるのは
後光で包まれた原節子天照大神

夢を見ているようだったがすべて現実だった。

この映画のハイライトシーンのひとつ
やまたのおろちも、のたうちながら登場!
作り物であることは一目瞭然だが、その姿は妙に生臭い。
これがキングギドラの前身だと思うとつい
見入ってしまった。

おろちに狙われる姫に司葉子、
姫を守るヤマトタケルにはなんと「三船敏郎」!
巨大な敵に向かって刀をふりまわし一人で飛び回り戦う。
どんな役にも全力投球する三船のひたむきさに感動した!

しかし太古から人間の世界には争いがつきもの。
やまとたけるは陥れられ、醜い戦いを
戒めるように天誅が下るのだった!

大天災シーンはすごい。
溶岩があっという間に木々をなぎ倒し、人々を飲み込んでいく。
美術監督はあの伊藤熹朔である。

これがあって
後のゴジラ、ウルトラQがあるのだなあと感慨にふけった。
う~んなんでまた・・というくらいの大きな構想、スケールのはみ出し方であった。

1959年 監督: 稲垣浩
脚本: 八住利雄 菊島隆三 
撮影: 山田一夫
美術: 植田寛
美術監督: 伊藤熹朔
音楽: 伊福部昭
特技・美術: 渡辺明
特技監督: 円谷英二 

*映画の中のイイおんな*
原節子:なんと!天照大神であらせられます。
常人を超えた美貌にこれほどマッチした配役はないでしょう。
ありがたくなって拝みたくなること請け合いです。

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「好色一代男」

2006年07月10日 | ★ぐっとくる時代劇
大店のどら息子、与之介(市川雷蔵)は
放蕩が過ぎて親(中村鴈治郎)にも勘当されるが
いっこうにへこたれない。

生きがいは「女、女、女」であった。
女を幸せにするためなら
どんなことも厭わず、体を張って愛しぬく。

なぜそこまでやるかなどは一切説明されていないところが
よい。

ただただ、女が好きなのである。

市川雷蔵が流暢な関西弁をあやつり、
ユーモラスに一代の色男を演じる。

からりと大胆な演出は増村保造監督の真骨頂だ。
この物語が江戸の昔に書かれたものとは信じられない。
たいへん開放的でアナーキーな井原西鶴。

どこか日本人離れした思想を持つ与之介である。

ラストにも唖然とさせられるが、
大人のお伽話と言ってしまうにはあまりに洒落ている。

雷蔵は踊りもうまいし、
コメディ良し、時代劇現代劇となんでも来いですわ。

若尾文子 中村玉緒
船越英二 水谷良重 大辻伺郎 他

1961年増村保造 監督作品
原作井原西鶴 脚色 白坂依志夫
撮影 村井博 音楽 塚原晢夫
美術 西岡善信

*映画の中のイイおんな*
水谷良重:新派の大女優水谷八重子の娘さん。ちょっと野太い声(ハスキーともいう)が特徴でしょうか。
この頃はまだオボコ娘(なんちゅうふるい言葉だろうか)
で、信じられないくらい純情そうです。
美人というんじゃないんですけど、唇がぽってり厚く個性的。

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「怪猫お玉が池」

2006年07月08日 | ★恐怖!な映画
現代のお話から始まって
江戸時代の昔にさかのぼるという構成は
どこかで見たことあったな・・
中川信夫監督の傑作「亡霊怪猫屋敷」だ!

もしやと思い調べてみたら、石川監督は
「東海道四谷怪談」「怪談塁が淵」など一連の怪談物で助監をやっていた。
そのためか、
全体のトーンといい、グッドタイミングな亡霊の出方といい、
中川監督の影響が色濃い。

俳優は沼田曜一 を除いてはほとんど知らない俳優さんばかりだったが、面白かった。
遊園地のお化け屋敷を髣髴とさせる
毒々しいセットや照明もナイスである。
英国のハマーホラーにも通じる、怪奇な雰囲気がたまらない。
筋は、
悪玉一味に無残に殺害された善良な一家の無念を
可愛がっていた黒猫が晴らす・・「猫の恩返し」ものである。

驚いたのは、亡霊シーンより
何度か入る殺陣の素晴らしさ、ねちっこさ、迫力であった。
カットを変え、アングルを変えた念入りな撮影は
はあはあと息が切れる音まで入れる念の入れ方で、
なにやらとても臨場感があった。

それと、
沼田曜一が亡霊に脅かされたときの顔は芸術的だ。
お化けといい勝負だと思う。

私は、化け物などに遭遇したときの「驚愕の表情」と、「死に顔」は
今まで西村晃が一番うまいのでないかと思っていたのだけど、
勝るとも劣らないおぞましさで、
化け猫と沼田の狂気のコマ落とし百面相フラッシュバックは、
まるで漫画の「ぱらぱら」を見るようで面白い効果だった。

終盤のたたみ込みもスピードがあり、
じっとり湿気がある、にっぽんの怪談の醍醐味を堪能しました。

「怪談もセンスが重要」ですね。

この後石川監督は
68年に内田良平、橘ますみ、里見浩太郎などで
「怪猫呪いの沼」を撮る。もちろん沼田曜一も出ています。

1960年監督 石川義寛
脚本 :石川義寛 藤島二郎
原作:橘外男 「私は呪われている」
撮影: 河崎喜久三
音楽:渡辺宙明
美術:黒沢治安

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「次郎長背負い富士」

2006年07月07日 | ★TV番組
清水といえば、「次郎長」だったのは遠い昔。
今は「エスパルス」なのだそうだ。

中村雅俊が時代劇っていうのも
珍しい上、次郎長やるのも意外だった。
それにNHKがゴールデンタイムに
任侠モノをやるというのも珍しい。
草刈正雄が渡世人?・・・・と、
珍しいづくしなので見てみた。

山本一力の原作。

ちょっと見栄っ張りで、女房に頭があがらない
次郎長を中村が違和感無く演じていた。

母親の台詞:「博打うちになるなんて私の育て方が悪かったんだね」
「おっかさん!」
渡世人として名をはせていく次郎長ですが、
失ったものも大きいってことを主張した内容だった。

脚本はジェームス三木。

大政役の草刈正雄も巻き舌で攻めていて、
山本太郎はそのまんまの森の石松。

スケールが大きくて男気がある親分ですが
その単純思考が
前面に出すぎている気がしましたねえ。
中村雅俊だから、何をやっても善人にしか見えませんけど。

演出はかなりオーバー気味で、
これは最近のドラマの傾向なのだろうか。

■公式HP

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「女は二度生まれる」

2006年07月06日 | ★人生色々な映画
屈託が無く、あっけらかんと生きる芸者のこえんの
毎日を、ハイテンポで描く。
可笑しさの中にも寂しさがにじむ。

情念の塊のような若尾文子も好きだけど、
これは可愛いなあ~~

35種類の衣装を着わけ、くるくるくるくるよく動く。
仕草のひとつひとつが女っぽい。
なんでしょうね、この演出の細かさは。

靖国神社の側の娼家という設定も
ひねりがきいていて面白い。客と寝ていると
ど~んど~~んと神社の太鼓が鳴り響くのだ。

こえんを取り巻く男たちも
バラエティに富んでいる。

朴念仁の学生、藤巻潤
こえんに惚れている板前のフランキー堺
ドライで調子のいい山茶花究
こえんにいれあげる「お父さん」山村聡など。
山村聡といえば、重役とか偉い人、父親イメージなどが浮かびがちだけど、
こんな、「ちょっとエッチなパパ役」もとてもうまい人だ。

お風呂での鼻歌も聞けて、若尾ファンにはたまらない映画。
小唄を歌うシーンもあるが、あれは吹き替えだろう。
川島監督は小唄・長唄に造詣が深いのか、
三橋達也が上手とはいえない小唄をうなる映画もあったなぁ・・・

こえんは生きた生身の女である。
華やかな喧騒に我を忘れ
はっと気づいたときにはもう中盤。

前半の明るさが
後半のがらんとした寂寥感を際立たせる。

さてこの映画のタイトルの意味をもう一度考えてみようっと。

1961年 川島雄三
脚本   井手俊郎 川島雄三
原作 「小えん日記」 富田常雄
撮影 村井博
音楽 池野成
美術   井上章

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