邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「椿三十郎」

2005年11月09日 | ★ぐっとくる時代劇
【軽いウツならこれで治るかも】

巨匠黒澤監督の
偉大な才能のひとつに「ユーモアのセンス」があると思う。

「椿三十郎」は絶妙な笑いどころが散りばめられた、
肩の凝らない娯楽作だ。
もちろん斬りあいもあります。
そして風刺もバッチリ効いている。

三船敏郎の「超」がつくカッコよさはもちろんだが
この映画のスパイスは
入江たか子と団令子親子のまったりとした風情と言動だろう。
さすがの三十郎もこのやんごとなき奥方の前では
棒を振り回す少年のようだ。

狼狽する志村喬、藤原釜足、清水将夫などのシニア侍、
加山雄三、田中邦衛をはじめとする若侍たちも愉快。
小林桂樹のおとぼけにも爆笑。
伊藤雄之助にいたっては・・・

そんな中で氷のような冷たさを放つ仲代達矢がぴかりと光る。

ラストも、
笑わせて、
驚かせて、
スカッとさせてキメる。

ビートたけしが肩をしゃくる動作は、
照れた時の椿三十郎がすでにやっていた。

1962年 黒澤明 監督作品 脚本  菊島隆三 小国英雄 黒澤明  
原作 山本周五郎 撮影 小泉福也 斎藤孝雄 音楽  佐藤勝  美術 村木与四郎

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新藤兼人の「縮図」

2005年11月08日 | ★人生色々な映画
【拷問のような泣かせどころ満載】

無駄が無いスピード感ある展開で、
芸者に売られた貧しい靴屋の娘の半生を描く。

乙羽信子は
この映画でブルーリボン賞主演女優賞を獲得。

宝塚出身である乙羽の
はじけるようなリズム感、踊りよし、歌よし、
くるくる変わる表情の見事さに舌を巻いた。

冒頭のお座敷遊びの凄まじさで、すでに気圧される。
酔っ払いの客が、よ~く見たら芦田伸介。
若い頃はいわゆるしぶ~いあの芦田伸介ではなかったことを知った。

女同士の喧嘩はびっくりするほどの迫力。

無口な父親に宇野重吉、母親に北林谷栄、
他に山内明、山村聡、細川ちか子、沢村貞子、沼田曜一 など豪華な配役。
芸者置屋の女将、山田五十鈴の上手さも堪能出来る。

人身売買が行われていた時代をテーマに据えた、
悲哀に満ちたストーリーには、
まるで拷問のように「これでもか!」という
強力な泣かせどころがあるので
いくつかの難所をティッシュ無しで通れる豪のものは少ないのではないか。
と、思えば
ひっくり返って笑ってしまう場面もあったりして翻弄される。

物のように扱われ、踏みつけられても
そんな世間で生きていかざるを得ない女の悲しさが
徹底的に描かれている。

宇野重吉は黙って座っているだけでも千両の値うちあり。

1953年 新藤兼人監督作品 原作 徳田秋声 
脚本 新藤兼人 美術 丸茂孝 音楽 伊福部昭

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「男の紋章」:竜虎無情

2005年11月07日 | ★ハードボイルドな映画

チャンネルNECOで
高橋英樹の「男の紋章」:竜虎無情をやっていた。

なんで「竜虎」かというと、
高橋が大島竜次で「竜」宍戸錠が遠州虎という役で「虎」なんです。
宍戸錠が珍しい着流し姿。
日本人の中に紛れ込んでいる国籍不明人?のよう。

だが男の友情は熱い。

東映ではマキノ雅弘監督「侠客伝シリーズ」、
石井輝男監督の「番外地シリーズ」、
そして日活ではこの「男の紋章シリーズ」が大当たりした。

この時代の仁侠映画には様式美のようなものを感じる。

高橋英樹はいちやく日活のドル箱スターとなったが
先日トーク番組で、
「世間では評判でも、近所の人には全然ウケていなかったんですよ。」
「胡散臭い仕事している息子・・みたいに見られちゃって・・」って言っていた。

テレビに出るようになったら途端に周りの人の目が変わったとか。
「『よかったわねえ、お宅の息子さん、N●Kに出られるようになって。』って
おふくろが言われたそうですよ。」と笑っていた。

現在は主にテレビで活躍中だけど、バラエティなどあまりやりすぎないで
映画にも出演して欲しいなあ。
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大奥(4)

2005年11月04日 | ★TV番組
観始めたのが10時半過ぎでした。

小池栄子の熱演、内山理名の迫真の演技。
余貴美子のミステリアスな斜め目線。

高岡早紀はすっきりと美しいし、
藤原紀香も役になりきっている中で、
低音の台詞がお腹まで響く、
江波杏子はすごいと思った。

若手の中にこんなベテランが一人いるだけで
画面がぎゅっと締まる。

先日昔の大奥ドラマを見ていたら
扇千景(元)大臣が出ておられて、
輝くような美貌とその確かな演技、鮮やかな所作に
「また戻ってきて欲しい」と思わずにいられなかった。

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「七人の侍」

2005年11月01日 | ★ぐっとくる時代劇
何度も何度も何度も、観たくなる映画というのは
そうそうあるものでは無いが
この映画はそんな一本。

貧しい百姓たちに雇われた七人の侍が
野盗と化した野武士の一群に立ち向かう。

ただそれだけのストーリーなのに
ずずずと引き込まれ、釘付けにされてしまう。

俳優たちの見事な演技、ラストの死闘の素晴らしさ。
ユーモアも交えた忘れがたい台詞の数々・・馬も!

昔々「天国と地獄」と一緒に見た。
再び観て、あっけにとられるダイナミズムと
七人の侍、ひとりひとりの魅力に充分に酔った。

で、先週からず~っと観ています。

三船が百姓、そして侍をののしるシーン、子供を救った後泣くところ、
木村功が宮口精二に
「あなたは素晴らしいひとです!」と言う場面、
その後の宮口の表情などなど、挙げていたらきりがないほど
好きなシーンがある。

昔見たとき大仰に感じたテーマ曲も
今夜これを書いている間中、頭の中でグルグル鳴り続いている。

国の宝ですね、やっぱり。

1954年 黒澤明監督作品 脚本 黒澤明 橋本忍 小国英雄
撮影 中井朝一 音楽 早坂文雄 美術  松山崇 剣術指導 杉野嘉男 

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