邦画ブラボー

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「用心棒」

2005年11月16日 | ★ぐっとくる時代劇
三船敏郎のはまり役「三十郎キャラ」の記念すべき誕生作。

この映画の事実上の続編として作られたのが「椿三十郎」。

どっちも最高。

西部劇を思わせる木枯らし舞う宿場町が舞台。

ふらりとやってきた三十郎は、
悪の二大勢力が巣食うことを知り、
用心棒になるふりをしながら両方の壊滅を狙う。

この映画でもひとりひとりの個性が見事に立っている。
隅から隅まで行き届いた脚本にも惚れる。

「桶屋、棺桶二つ!いや三つだ!」

兎のような優男のくせに冷酷な卯之助(仲代達矢)、
顔がクールで凄い。

構成、カメラ、どれをとっても完璧だが、
映像や演出意図とぴったりとあっている音楽の功績も大きいと思う。

俳優の動きや印象的なシーンに絶妙にかぶり、
相乗効果をあげている。
たとえば冒頭の、犬が手首をくわえてくる有名なシーン・・・
あそこで暗く重い音楽を流したら、
まったく別の印象の映画になってしまう。
ユーモラスな曲を使うことで
この映画のトーンが表現されているのだ。

黒澤監督と佐藤勝は相性がいいのか、
音楽の使い方のセンスがいいのか。
たぶん後者ではないかと想像。
以前五社監督作品の中で感じた違和感はないので。

三船敏郎の魅力は炸裂している。

東野英次郎との会話にもほろりときたが、
「やめろ!哀れなヤツは大嫌いだ!めそめそするとたたき斬るぞ!」
と言う三十郎の言葉を思い出して、涙を拭くとする。

今後、メソメソしそうになった時、この言葉をまた思い出そう。

いい映画を見た後の満足感ったら何ものにも代えがたい。
もういっぺん観ようっと。

1961年 黒澤明  脚本 黒澤明 菊島隆三 撮影 宮川一夫  音楽 佐藤勝  
美術 村木与四郎

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