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「魔界転生」(深作版)

2006年07月02日 | ★妖しい映画
”エロイムエッサイム”・・我は求め訴えたり!!

公開当時大ヒットを記録し、流行語にもなり、
もはや語りつくされている感がある1981年版ではあるが、
あえてもう一度しつこく観てみたい。
今秋は舞台化されるみたいだし。

無念の死を遂げた天草四郎時貞は
もはや神をも呪う魔性のものとなっていた。
徳川幕府転覆を図るため
これぞと思う魔界衆の「ヘッドハンティング」の旅に出る。
ひとりひとりの登場の仕方も抜群に魅力的だ。

天草四郎時貞:沢田研二(リーダー)
宮本武蔵:緒方拳
細川ガラシャ:佳那晃子
宝蔵院胤舜:室田日出男
柳生但馬守:若山富三郎
霧丸・半分魔界衆:真田広之

迎え撃つのは、待ってました!の柳生ソニーチバ十兵衛である。

構成に無駄が無く、
けれん味たっぷりながらも行き過ぎず、
いくつもの山場を作りながら、
息もつかせず一気に煉獄のクライマックスにもっていく演出はさすがだ。

などと言うような賞賛を浴びた作品ではあるが、
まだ言い足りていないものに役者の
「メーキャップの素晴らしさ」がある。

日本映画におけるメイク担当の方々の
偉業はもっと讃えられてもいいと思う。
クレジットに個人名は無い。

人形のように青白く美しい天草四郎(生首含む)、
柳生但馬守(若山富三郎)は不気味。
宝蔵院胤舜(室田日出男)
はメイク無しでもいけると思うが、
浅ましい化け物ぶりが際立った(御免!)

ひとりだけ浮くか?と思われていた緒方拳も、
作りこんだ般若面キンキラ目玉で、見事キワモノ・・
御免!・・
異形の魔界衆のひとりに成り果てていた。

だが、しかし、
最も素晴らしかったのは将軍家綱(松橋登)をたぶらかし、
一ヶ月間寝所に封じ込めせしめた
細川ガラシャ(佳那晃子)の退廃的な妖艶魔女メイクだ。
この方は素晴らしかった。
江戸城炎の中の狂乱は山場だらけのこの映画の
大きなハイライトシーンであろう!
「どきゃ~~!!」(=”どけ”の意)と叫ぶその声には震えました。

ちなみに黄泉の国のガラシャには
白石加代子のおどろおどろしい声がぴたりとはまった。

二役を務めている松橋登は
セクシーかつノーブルな持ち味を十二分に発揮している。

ちらりと出る成田三樹夫(かっこよすぎ)、
丹波先生もバッチリスパイスを利かせて、
さすが一人残らずキャラを立たせる、深作監督の仕事である。

紅蓮の炎につつまれた江戸城での
クライマックスは観るものを恍惚とさせずにはおかぬであろう。

やはり20年たった今でも
満腹感が味わえる、不朽の娯楽大作であった。

1981年深作欣二 監督作品
原作:山田風太郎
脚本:野上龍雄 石川孝人 深作欣二
衣装アドバイス:辻村ジュサブロー
美粧・結髪:東和美粧
撮影:長谷川清  
音楽:山本邦山 菅野光亮 
美術:井川徳道 佐野義和

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