邦画ブラボー

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「千羽鶴」

2009年07月26日 | ★愛!の映画
森雅之  菊冶
木暮実千代 (太田夫人)
乙羽信子 (太田文子)
木村三津子 (稲村ゆき子)
杉村春子 (栗本ちか子)
清水将夫 (三谷浩造)

亡き愛人の息子にしなだれかかる未亡人。
木暮実千代が終始濡れた瞳で
これでもかこれでもかと女っぽさを振りまいております。

受ける森雅之もいやみなほどに
水もしたたる
若ダンナぶりで、
このツーショットは発禁ものの色っぽさ。
困っちゃうな~~であった。

大・川端康成原作。

二人の間に割って入る杉村春子は、
嫉妬の感情をぶちまける生々しい「女」の演技をして
いつもながら上手いのだけど、
原作のイメージとはちょっと違った。
お茶の先生というよりは粋すぎて小唄の師匠に見えてしまう。

教科書どおりの木村三津子 、
しなやかな木暮、
しゃきっとした杉村春子の
各自個性が出たお点前シーンも興味深く見た。

全体に漂う背徳のムードに圧倒される。
驚きの演出が続出。

濃厚なエロティシズムが漂う茶室を
千利休が見たら口をあんぐり開けるだろう。

少しお茶を習っているので、茶室の場面が多いのも楽しかったが
好きな男を前にして
お茶を点てている
木暮実千代が
段々感情が高ぶってきて
遂に「ああっ!」「抱いてください」といいながら
高価なお道具をほうり出して
森雅之の前に
どさっと身を投げ出す!
見ているこちらのほうが
ああっ!と声が出そうになってしまった。

茶室を大きく斜めに区切る、木暮実千代の肢体!

ありえない演出!ありえない構図!

でもそのありえなさが映画的面白さを産んでいるのだと納得。
原作とは違った展開もまた映画的であった。

母が死んでからいきなり女っぽくなる乙羽信子もさすがの上手さ。
森雅之が女を見る目というのはいやらしいくらい
色っぽいのでこれにはほとほと困った。

陰影が美しい画面だと思ったら
カメラは宮川一夫だった!

増村保造版で若尾文子が木暮の役だそうなので
(そして菊治は平幹二朗!)
こちらもまた違う意味で
とんでもない演出になってはしないかと
見るのを楽しみにしている!

1953年 監督 吉村公三郎
原作 川端康成
脚本 新藤兼人

撮影 宮川一夫
音楽  伊福部昭
美術丸茂孝
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