goo blog サービス終了のお知らせ 

邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「清盛」見逃して「にごりえ」見る

2012年02月13日 | ★人生色々な映画

録画した「にごりえ」を

堪能、かまけていたら

またもや「清盛」見逃したああ。

 さらに

以前放送された

蜷川幸雄演出浅丘ルリ子などが出演した

舞台「にごり江」と

今井正監督の「にごりえ」を交互に

見比べるなどして悦に入っていたため

あっと思ったときには時すでに遅し・・・

地団太踏んでもあとの祭り~~だったのでした。

 

舞台「にごり江」では

濃厚妖艶ルリ子ちゃんと芝居の濃さでは負けない江守徹ちゃん(ちゃん?)が

ガチバトル。

江守徹は明治のやさぐれた男をやるには

福福しくてちょっと違和感あったけど・・・アクが強い

江守節を撒き散らしていて待ってました!感。

見ごたえはありました。ルリ子ちゃんは

伝法で粋で で、やっぱり原色!!なんだよねえ

 

映画版の淡島千景は儚げで虚無的でなぞめいていて

一葉が描いた「お力」そのもので

白昼さらされたその哀しい死に顔は

宮口精二の痩せた胸板と共に目に焼きつきました。

 

糟糠の妻、杉村春子も何度見ても上手いわ~~

すごく嫌味たらしいかと思うと女らしかったり・・

 

「おおつごもり」の

おおみそかの大店の風情も

たまりません!

それと、どうにもならない階級の差というものを

これでもか!と強調している作品であることをいまさらながら感じた次第。

 

堪能堪能・・・・・・・

甘露甘露・・・

 

*以前書いた感想文

舞台 にごり江

映画 にごりえ

 

 

 

 

 


祇園の姉妹

2012年02月01日 | ★人生色々な映画

溝口健二の1936年の作品。

依田義賢脚本

勝気な妹山田五十鈴と

古風な姉、梅村蓉子の対比が

面白いが

ただそこに

山田五十鈴がいるだけですごい存在感。

 

その身のこなしと絶妙な間、

流暢な台詞についついひきこまれてしまった。

 

白黒で描かれる

戦前の祇園の風情が素晴らしく

当時の香りが画面から

匂いたつような貴重なフィルム。

 

うっとり・・・

 

溝口監督って

田中絹代に言わせると「ユーモアが無い」だそうだけど

私はそうは思わない。

「赤線地帯」もそうだったけど

ここでも全編にわたって

なんともいえぬグッドセンスの

ユーモアが漂っており

そこがとても好きだ!

 

山田五十鈴のプロフェッショナルな

男扱いに

新藤英太郎が

見事ころっとだまされて

ミイラ取りがミイラになってしまうシーンなど

大笑いだった!

さらに、家に帰って古女房にとっちめられる場面も!!

 

祇園で生き抜く姉妹の

対照的な生き様を描いて

とても味わいが深い。

通行人の服装やら

鼻歌などから当時の風俗がくっきり浮かび上がってきて・・・

 

日本って独自の文化を持った美しい国だったのね~と

溝口作品を見るといつもそう思う。

 

もうこんな映画は二度と作れない、

こんな日本や日本人は

二度と帰ってこないと思うと寂しくなる。

せめてこのような素敵な映画の中で偲びましょう!!

 


「安城家の舞踏会」

2011年12月15日 | ★人生色々な映画

 やはりすごかった「安城家の舞踏会」!!

見せ場満載で

ツボ満載。

全部の台詞を暗記したいし

仕草もまねしたくなって

もう10回くらい見てしまいました!(爆)

何度も見て噛みしめたい玉のような映画。

木下忠司の音楽も優雅に

映画を盛り上げています。

脚本は新藤兼人。

 

没落寸前の華族「安城家」で開かれた

舞踏会の一夜を描く。

登場人物すべてのキャラが立っている群像劇であります。

 

吉村公三郎の演出は

予定調和を許さない驚きに満ちており

役者も生き生きと各々のパートを演じきっている。

 

筆者のツボ

 

その1

絶望して

自殺を図ろうとするお父様(滝沢修)に体当たりをくらわして阻止する原節子。

父親を猛烈タックルで弾き飛ばしながらも

「ごめんあそばせ」

とつぶやく

 原節子の品がすごすぎ!

 「ご辛抱あそばせお父様!」もノックアウト級な台詞。

その2

いきなり札束をかかえて出てくる原節子

 

その3

女の呼びかけにも答えず

ピアノを弾く若様、森雅之

ごうを煮やした女中の行動が・・・びっくり!!

●●● 壊れなかったかしら~~~

 

その4

滝沢修のお殿様ぶりと激高・狼狽シーン 

 

その5

元安城家運転手神田隆のひとり芝居のすばらしさ:

悪役で有名な神田さんしか知らなかったので

若々しくてしかも抜群に上手い演技に惚れ惚れしちゃいました!

 

 その6

華族としての高いプライドを持った

長女を演じた逢初夢子:

レースのハンカチを噛みながらの

「だけど昭子の心は華族!」にしびれました~!

 

その7

森雅之に翻弄され

辱めを受けて逆切れする津島恵子

メリハリ抜群の芝居と

ぴちぴちの色っぽさ!

「酔いどれ酒場」

「七人の侍」もすばらしかったけど

この小娘役最高! 

 

その8

森雅之の端正でいかがわしい魅力が堪能できて

大満足!!

「ごきげんよう」

 という挨拶がこれほど似合う男優もいない。

 

などなど書ききれない

お宝シーンが次々に・・・ 

 

重厚でありながらもきっちりエンターテイメントしている

絶妙のバランスは

さすが吉村公三郎です。

 

古い体制から新しい価値観へ・・・・

安城家の一夜が象徴しています。

感動がひたひたと胸に迫ってくる

クリスマスにぴったりの映画を

 

あなたもぜひご覧あそばせ!

 

 

 

 


「泥の河」再見

2011年09月20日 | ★人生色々な映画

NHKBSプレミアム

「山田洋二が選んだ日本映画の名作100本」という

企画番組で

「泥の河」 が放送されていたので再見。

やはりず~~んと心に染入る作品だった。

宮本輝の原作を

白黒画面で情感豊かに再現する

小栗康平監督の目線に感嘆した。

 

台詞に頼らず

俳優の絶妙な演技と映像にゆだねる演出が素晴らしかった。

過剰な音楽も無い。

「蟹」のシーンの後、きいちゃんが泣いたのは

混乱した信雄の心が読めたせいなのだろうか。別れの予感だろうか。

一番悲しい場面だった。

その後の信雄の放心、

夜店のシーン、田村高広の表情、藤田朋子、

加賀まりこ!、銀子ちゃんの笑い声、すべての映像が忘れられない。

 

ラスト、信雄が

船を追っかけるシーンでは

年のせいか?涙がこみ上げてきて困った。

最初は無言で・・・

そして遂に叫ぶ。

 

「きいちゃ~ん!」

ニクい。ニクすぎる。

 

「きいちゃ~ん!

きいちゃ~ん!」

 

やめてくれ~~~!!!!(爆)

 

ああいう別れのシーンはズルい。

 

木下恵介監督の「陸軍」での、息子の出征をどこまでも追っかけ手を振る田中絹代。

母親(いしだあゆみ)が乗った列車を

走って追う中島朋子(「北の国から」)・・・・

 

演技ってわかっちゃいるけど涙が止まらなくなるではないか!

 

 

 

 

 


有馬稲子の「胸より胸に」

2010年05月20日 | ★人生色々な映画
生活のためストリップ劇場で働く娘(有馬稲子)の変遷を
彼女を囲む男たちを絡めて描く。
戦後の浅草界隈、仲見世、隅田川の映像がふんだんに盛り込まれ、
今となっては貴重な記録になっている。

戦争で家と家族を失ったにもかかわらず
イネコチャンは明るさを失わず生まれ育った下町で
踊り子をめざし働いていた。

工場で働いている
親友の久我美子は「歌おう会」なる、青年団に所属していて
(音楽担当は木下忠司。忠司的世界が爆発している)
イネコを誘うも「立派なストリッパー」になる夢を持っている彼女は耳をかさない。

この頃まだイネコはぼってりしたスカートに花柄ブラウスで垢抜けない。
うぶな少女丸出しである。

偶然知り合った大学教授(冨田浩太郎)は
純真な彼女にひと目惚れ!

イネコちゃんはあまりに無邪気で無垢で可愛いので、
彼女を見ると誰でも好きにならずにはいられなくなるのだ!

さらにナイスバディとくれば誰がほっとくであろうか!!
(勝手に興奮しております)

女癖の悪いインテリわけあり妻帯者(下元勉)も
同様にひきつけられる。
下元勉が暮らすのは海が見える鎌倉の家。
少女波とたわむれるの図は活き活き溌剌。キャワイイ~~

一旦はプリティ・ウーマンのような幸せを夢見たイネコだったが
彼らとは住む世界が違うことを自覚し、カタギの生活をあきらめる。

そうこうしているうち
バンドマンのチンピラ(大木実)にころっと騙されてしまい、
ヒモつきストリッパーとして一生懸命働き始める。

この時点で化粧もファッションもど派手になり、
見た目にも立派なクロウトさんに成長。

有馬さんは原作に惚れ込んで自ら願い出たそうだけど、
ストリッパー役なんて誰でも出来る芸当ではない!
さすがあっぱれイネコさまだ。
際どいポーズは取らないまでも
美しいおみ足と宝塚仕込のダンスを
惜しげもなく披露する場面は口あんぐりものです。

生活に疲れたイネコは
働く青年たちの「歌おう会」の世界に触れ、
新しく出直そうと決心するのだが・・・

イネコちゃんの熱演と戦後の風景が忘れがたい。佳作。
岸惠子・久我美子・有馬稲子の3人を中心に1954年設立された
にんじんくらぶ記念すべき第一作目の作品。

永井荷風もあの浅草の雑踏にいたのだろうか?

監督 家城巳代治
脚本  椎名利夫 家城巳代治
原作  高見順
撮影   木塚誠一
音楽  木下忠司
美術 平川透徹

1955年 にんじんくらぶ
ブログランキングへ応援オネガイシマス