ピンチを支えるコスモロジー:3つのケース

2012年08月10日 | 心の教育

 セラピスト、カウンセラー、教師などの職業には非常に厳しい「守秘義務」があることは、よく承知しています。

 なので、どの大学でも、レポートや感想について「研究所の雑誌やブログに、実践の成果の報告として使わせてもらうことがあるので、予め了承しておいてほしい。もちろん、個人を特定できるような部分は公表しません。もし使ってほしくなかったら、予めレポートに書いておいてください」と、何度もしっかり断っています。

 それでも、以下のようなかなりきついケースの報告をご紹介することには、かなりためらいがあったのですが、あえてご紹介することにしました。

 それは自主キャンペーンではありますが、コスモロジー教育=コスモス・セラピーには、実際に人生のピンチのただ中にある人をサポートする効果があることをお知らせして、同じような状況にある人に生き抜くためのヒントにしてもらったり、できるだけたくさんのサポートする立場にある方々に使っていただきたいと思うからです。

 以下の3つとも女子学生のものですが、個人を特定できるような内容のないものだけを選んであります(単純な誤字の訂正と読みやすくするための読点を加えました)。



 私は今、人に嫌われています。

 だから生きている価値なんてないし、人に嫌われる私は嫌だ。

 だから消えてしまえばいいんだ、と思っていました。

 ですが、「コスモロジーの心理学」を読んで、少しだけ自分に自信が出たような気がします。

 私は贈り物として生まれてきて、何かに生かされているほど価値のある、とほうもない偶然の上で生まれてきたのだった。

 また、すべては血がつながったしんせき同士なのだから、憎み合うこともないのだと。

 とても心が軽くなり、自然と涙があふれてきました。

 この講義を取らせて頂けて、ほんとうに光栄です。ありがとうございました。

 後期もよろしくお願いします。



 本の冒頭で述べられていた人生観が変わるという意味がすごくわかりました。

 私もニヒリズムにおちいっていました。

 幼いころからまわりと違う家庭環境に悩み、“自分が生まれてきた意味があるのかな?” とか“もう、死にたいな” と思ったことは何度もあります。

 パスカルが考えていたことにも非常に共感できました。

 人生に意味があるのかなとか、なんで自分だけこんな思いをしなければならないのかな、もう人生終わりでいいと何度も何度も思いました。

 しかし友だちと騒いでいるときだけは、こんなことを考えずにすんだから、なるべく1人の時間をつくらないでいようと、中学のときはほとんど家に帰っていませんでした。

 いまだにこのくせはなおっていないです。なるべく1人の時間をなくそうと予定をぎっしりつめてしまいます。

 しかしこの本を読んで、自分は1人ぼっちだとか思わなくなりました。

 自分は“ご先祖様達の愛情の結晶” であると思うと、すごく嬉しくて生きることに自信がつきました。

 宇宙が生まれた瞬間から自分が今ここにいることが予定されていて、何かひとつでもかけていたら今自分がここにいないかと思うと、奇跡だなと思いました。

 親に“生まなきゃよかった” と言われたことがあります。

 その日からずっと自分なんか生まれなきゃよかった、と思っていたし、神様をうらんだこともあります。

 けれどこの本に書いてあった、人の命とは“無条件、無償であたえられたおくり物” という言葉がとても心にひびきました。

 自分がここにいることはものすごい奇跡なことで、奇跡がおこってくれてよかったなと、生きていることの神秘さに感動しました。

 137億年前につくられた水素が自分の体の中にもあるという話にも、ものすごく心をうたれました。

 私は自分という人間なだけじゃなくすべての物とつながっているんだと思うと、生きることにわくわくします。

 宇宙や太陽や地球が137億年前には何もなく、その中で宇宙ができて惑星や恒星がつくられ、今の宇宙があるのですが、宇宙は神秘的で不思議だなと思いました。

 でもその宇宙と自分がつながっていると思うと嬉しいです。

 これからは自分1人ぼっちだとか考えるんじゃなくて、全ての奇跡のおかげで自分がいて、そのことじたいが奇跡で生きていることに感謝していけるようになりたいなと思います。



 大学入学して1ヶ月程経って、高校と環境がガラリと変わって人間関係や大学生活について悩み、プライベートでは心無い大人にだまされ、闇の世界を見るはめになったりして、人生に絶望していました。

 けれど、それでも生きていることってすごいんだなと、先生の本を読んで思いました。

 猫の手も借りたいほど一人で辛かった当時の私にとって、先生の講義や本は、数少ない救いだったように思いました。

 そして、自分の良心に従って生きれば何の問題も無いのだなと思いました。

 自分を信じて、自分で自分を救えるんだと、自分の足でしっかり立って生きていけるような気がします。



 「コスモロジー教育=コスモス・セラピー」と表記するとおり、これは心理療法的思想・思想的心理療法です。

 個別のカウンセリングをしなくても、たくさんの人の中で話を聞く・授業を受けるだけでも、同時に多数の受講者に対する癒し効果があることを、20年あまり確認してきています。

 上記の3人の報告も、その効果を証言してくれるものです。これはいわゆる「科学的検証」とは異なりますが、有効性の証明としては十分ではないか、と私は考えているのですが、どうでしょうか。

 もちろん、それだけではなく第三者による検証も必要ではあると思いますが。

 証言は信用できると感じた方、ぜひ読んでみてください。そして、納得できたら、修得して、使ってください(昨日のご案内のように9月からコスモス・セラピーの講座があります)。





コスモロジーの心理学 コスモス・セラピーの思想と実践
クリエーター情報なし
青土社

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第39期講座案内

2012年08月09日 | 広報

         サングラハ教育・心理研究所
      
       第39期オープンカレッジご案内



 戦後の日本人の多くが、自分を超えた大いなるもの(神仏・天地自然・祖霊)の大切さを忘れ、「神も仏もあるものか。死んだらばらばらの物に解体しては終わり(ニヒリズム)。だから、生きている間に自分がどれだけいい思いができるかだけ(エゴイズムと快楽主義)」という精神状況に陥り、それを実行するために経済的繁栄を追求してきました。

 震災と津波は天災ですが、原発事故と放射能汚染は自然の理を無視して経済的繁栄を追求してきた結果の人災です。

 さらに、国内でもタイでも記録的豪雨、冬の記録的豪雪、五月、六月とさらに記録的豪雨、竜巻等々、自然・環境の調和が大きく乱れてきています。

 しかも、経済的繁栄も先行ききわめて危うくなっている中で、エゴイズムと快楽主義ではもう当面の対処さえできなくなっており、これからどう生きていけばいいのか、先が見えなくなった人が急増しています。

 今期も、さらに引き続き、そうした状況の閉塞感を根本から打ち破る世界観を提示しているコスモス・セラピーと仏教の学びを、いっそう深めていくことにしました。
 みなさんのご参加をお待ちしております。


 火曜講座:「般若経典のエッセンスを学ぶ」
              於 サングラハ藤沢ミーティングルーム
               火曜日 18時45分~20時45分  全7回
             9月4日、18日、10月2日、16日、30日、11月13日、27日


 よく知られているとおり、大乗仏教のエッセンスは「般若」「空」「慈悲」の思想にあります。

 その深い思想は、紀元一世紀前後に書かれたごく短い「原始般若経」に始まり六百巻に及ぶ『大般若経』まで、膨大な「般若経典」群に記され残されています。

 そして、『大般若経』は奈良時代以来、多くのお寺に所蔵されており、今でも年に一度そのお経に風入れをする「大般若会」という儀式を行なっているお寺も少なくありません。

 『般若心経』はそのエッセンスが短くまとめられたもので、日本人なら誰でも知っていると言ってもいいほど有名ですが、しかし内容が広く理解―共有されているかという疑問です。まして、その他の「般若経典」はほとんど知られていないのではないでしょうか。

 それは日本文化の遺産の伝承という意味で、あまりにももったいないので、今回は、そのエッセンスだけでもみなさんと共有したいと思い、講座を設けました。

 日本の心・日本人のアイデンティティの原点を学びたいみなさん、ぜひおでかけください。深くて大きな発見があるはずです。


 テキスト:コピーを配布します。


 *火曜講座では、講義の前に三十分程度の坐禅を行ないます。坐禅のできる服装をご用意下さい。



  土曜講座:「コスモス・セラピーを学ぶ」

               於 サングラハ藤沢ミーティングルーム
               土曜日 13時30分~15時30分 全6回
               9月15日、29日、10月13日、27日、11月10、24日


 四期連続で、研究所の定番プログラム、コスモス・セラピーの講座を開講します。

 今回は、初心者にもインストラクターを目指す方にも参加していただけるプログラムを工夫しました。

 二十世紀初頭前後から一世紀余りをかけて形成された現代科学の宇宙論―ビッグバン・宇宙の誕生から私の誕生までの百三十七億年にわたる歴史の流れ―を学ぶと、近代の根本的な心の病いであるニヒリズム―エゴイズム―快楽主義は徹底的に克服されてしまう、という学びを理論的にも体験的にも共有していきたいと思っています。

 今回は、「現代科学のどういうポイントがニヒリズムを克服するのか」という重要な点について、最近新たにまとめた表などを使いながら、しっかりと学んでいきます。

 インストラクターを目指す方だけでなく初めての方でも、十分ついてきていただけるよう工夫を加えました。どうぞご参加ください。

 テキスト:『コスモロジーの心理学―コスモス・セラピーの理論と実践』(青土社)



●受講料は、一回当たり、
 ・一般3千5百円 ・会員3千円 ・専業主婦・無職・フリーター2千円 ・学生1千円 それぞれに×回数分です。

 都合で毎回出席が難しい方は、単発受講も可能です。

●いずれも、申し込み、問い合わせはサングラハ教育・心理研究所・岡野へ、
 E-mail: okano@smgrh.gr.jp または Fax: 0466-86-1824で。

 住所・氏名・年齢・性別・職業・電話番号・メールアドレス(できるだけ自宅・携帯とも)を明記してください。

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『サングラハ』第124号が出ています!

2012年08月09日 | 広報

 忙しさに取り紛れ、『サングラハ』第124号が出ていたことの広報を忘れていました。

 今回も充実した原稿が揃っています。

 ブログに分けて掲載した「現代科学のコスモロジー――ポイントの整理表と小解説」も一括掲載されています。

 ブログは手軽で便利ですが、やはり紙媒体でしかも断片的にでなく一括して全体を学ぶほうが心の底への定着率が高いという気がします。

 読者のみなさん、ぜひ紙媒体でもお読みください。



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病院に行くより先にコスモロジーを

2012年08月08日 | 心の教育

 先ほど、締切より1日だけ早く、ようやく採点を終え(まだ他の大学が少し残っていますが)、ほっとしているところで、また記事を書きます。


 H大学に教えに行くようになってから今年で満12年になろうとしています。暦の一めぐりです。

 その間、ブログのタイトルと同じく「伝えたい! いのちの意味」という気持ちで授業をやってきました。

 コスモロジー教育=コスモス・セラピーを受けてよかった学生たちが、「同世代の若者たちにももっと伝えたい」と言ってくれ、それまで考えたこともなかったブログというものを一緒に始めたことを思い出します。

 今年も伝えたい・伝えるべきだと言ってくれる学生たちがたくさんいるので、彼らの体験にもとづいた生き生きとした言葉の力を借りて(予め了承は取ってあります)、伝えるためのちょっとした自主キャンペーン――自己宣伝とも言う――をしていきたいと思っています。

 授業がいいと思った学生諸君、元学生諸君、よかったらキャンペーンに参加・協力してください(例えばコメントとか、自分のツイッターやファイスブックなどで)。


 次の学生は、たぶんコスモロジーの授業が「コスモス・セラピー」であり、トーク・セラピー(話すことによる心理療法)という意味を持っていることを必ずしも自覚していないと思われますが、自分の感じで次のように言ってくれました。



 H大社会学部1年女子

 大学で現代社会と宗教の授業に出ていなかったら、ニヒリズムなどについて考えることはまずなかったであろう。

 人間の存在する意味について考えたことなどなかった。

 自分で望んでこの世に生まれた人などいない、ということばに妙に納得し、さみしい気持にもなった。

 しかし、先生の授業に出ていて良かったと思う。

 なぜなら、ぼーっとしながら生きていたころよりも、毎日が充実させ、感謝することができているからだ。

 病院にいくよりも先に先生のところへ行ってお話を聞けば、救われる人はたくさんいるだろうな、と思った。



 実際、例年、精神科に通っていたのが行かなくてもよくなった、という報告をしてくれる学生がいます。

 患者を薬漬けにしてお金をもうけることしか考えていない、治せない・許せない精神科医ばかりだとは思いません。

 私の存じ上げている方にも優れた良心的な精神医がいらっしゃいますが、率直なところ、まずコスモロジー教育=コスモス・セラピーを先に受けてみてほしいと思うことがしばしばです。



 H大社会学部1年男子

 毎日のように意味もなく死にたいとつぶやいていた僕ですが、先生の授業をうけていき、宇宙も、ムシも、となりの人もみんな全てがつながっているとわかると、何か心の中にあったモヤみたいなものがとれるすっきりした気分に少しなることができました。

 全世界的ニヒリズムを克服するためにも全ての人、一人一人が一体だという考えを持つことができればよいと切に願う。



 上記の学生のように、特に「意味もなく死にたいとつぶやいていた」ような状態から、ふとしたきっかけで実際に死ぬ試みをやってしまうというケースがあるようです。

 実家を離れ一人暮らしをしていて孤独を感じがちな若い世代の心は、とても危ういところがあります。いや、青春の孤独感は実家にいても似たようなものです。

 しかし、すべてのものがつながっていると理解すると、それが実感=気分にも影響を与え、孤独感を癒し、死にたいという気持ちが解消または緩和されることがしばしばあります。

 さらに積極的には、下記の学生のように「生きる希望がとても湧いてきました」というところまでいくこともあります。



 H大社会学部1年女子

 今回のレポートを書いていて生きる希望がとても湧いてきました。

 今までは宇宙と自分がつながっているなんて考えたこともなかったけど、自分の命が宇宙によるものだと思うと、今までよりも命がすごくすごく尊いものに思えました。

 自殺したい、死にたいなどと思ってるみんなに読んで欲しいです。

 宇宙から生まれた私。そう思うと自分がなんだかすごく好きになりました!

 自分が星の子であるなんてとても幸せです。

 これからは宇宙の子である自分にふさわしい生き方をしなくてはいけないなと、とても考えさせられる内容でした。

 すべてのものに感謝しながら生きていきます!



 彼女も言ってくれているように、「自殺したい、死にたいなどと思ってるみんなに読んで欲しいです」。

 その人に向いていたら、多かれ少なかれ癒し・生きる勇気づけの効果があるでしょうし、向いていなくても、少なくとも害はまったくないはずです。

 ただ、落ち込み、引込み、あるいは逆にとんがり、つっぱりなどは、その人のアイデンティティ=ライフスタイルにまでなっていることがあり、そういう場合には、アイデンティティを若干ゆるがされることになって、それをある種、反発、いやだ、迷惑だと感じるケースはあるにはありますが、それは「害」とは言わないのではないでしょうか。

 よかったら、騙されたと思って、三信七疑くらいの気持ちで読んでみてください。





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このコスモロジーは伝えるべき:レポート感想より

2012年08月07日 | 心の教育

 昨日は、原爆記念日でした。記念式典のテレビ中継を見ながら、黙祷を捧げました。

 参列していた野田首相は「脱原発(依存)」の一言も言いませんでした。どういう心境-神経なのでしょうか。まあ推測はつきますが。

 近代的科学-技術-産業への過信、さらに遡れば人間の無明・分離思考が超えられないかぎり、原爆と原発を含む核技術廃絶へのきっぱりとした意思を持つことはないでしょう。

 小学生時代に見せられて見た原爆映画のショックが私の思想的な仕事の出発点であることは、何度も繰り返してきたことですが、問題の根本的解決に向けて前に進むためには、近代科学のばらばらコスモロジーから現代科学のつながり・かさなりコスモロジー―の私流解釈と言ってもかまいませんが―への転換が必須である、と改めて確信しているところです。

 そのことを学生たちに伝えると、実にさまざまなうれしい反応が返ってきます。

 H大学の膨大なレポート採点が先ほどようやくひとまず終わり(まだ最終チェック等が必要なのですが)、予め数えると嫌になってしまいそうなので数えなかった枚数を確認してみたところ、660通でした(履修数は740名で80名・約10.8%ほど減)。

 チェック作業に移る前に、また3通ほどご紹介しておきたいと思います。



 H大社会学部3年女子

 私はこの授業を受けたことで、人生観が大きく変わりました。

 今まで、宇宙と私は別々なものだと考えており、岡野先生のおっしゃる「ほんとうの自信」はありませんでした。自分で自信だと思っていたものは、ただのうぬぼれ、ナルシズムに過ぎなかったのです。

 しかし、私も宇宙の一部であり、コスモスから与えられた立派な能力が与えられていることに気づきました。

 このことに気づけたことは、今後の人生に大きな影響が出ることでしょう。今後精神因性のうつ病や心身の病みとは無縁の生活をおくることができそうです。

 最初は半信半疑でしたが、講義が進んでいくにつれ、どんどん引き込まれ、人生観そのものが変わってしまいました。

 大学生の間に、ニヒリズム-エゴイズム-快楽主義を克服する手段を知ることができて本当によかったです。

 知らぬまま社会人になっていたら、心身を病んでいたかもしれません。

 こういった講義は今の時代、国語や数学を学ぶことよりも、若者にとっては必要なのではないでしょうか。

 本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。



 彼女が言ってくれているとおり、コスモロジー教育-コスモス・セラピーには高い予防効果があるのではないかと予想しています(残念ながらいわゆる「科学的な」追跡調査をする機会や時間的余裕がないのですが)。

 そして、そういう予想からすると、「こういった講義は今の時代、国語や数学を学ぶことよりも、若者にとっては必要」だと私も強く思っていますが、教育の責任ある地位にある方の多くがまだ近代主義(近代科学+ヒューマニズム、場合によっては社会ダーウィニズム)を強く信じておられるようで、それが大きな壁になっているようです。

 最近の教育関係の事件の報道を見聞きするかぎり、もしかすると責任ある地位の人が近代主義の建前のヒューマニズムではなく、むしろその病であるエゴイズムつまり自己保身に走っているのではないかと思われて、強い怒りと嘆きを感じます。

 心ある関係者のみなさん、ぜひコスモロジーの飛躍的転換を遂げてください、ご自分のためではなく、子どもたちのために。

 受講してくれた若者は、次のように、みんなで共有しなければならない、大人を待っていないで自分たちで伝えなければならない、と言ってくれています。



 H大社会学部1年男子

 私は以前先生のリアクションペーパーに、『自分も早く、自分のコスモロジーを持ちたいです。』と書きましたが、先生の授業、そして先生の書いた本を読んでいくにつれて、その感想は間違ってるのだと私は気付きました。

 正しくは『自分たちのコスモロジー』ですよね。

 私は、この現代科学のすべては一つであり、私たちはばらばらではないという「調和」のような考えから、コスモロジーもみんなで共有しなければならないのだということに気が付きました。

 近代科学の恐ろしい考え、そして現代科学の明るい考えが知れて、また自分の考えが変わってきたように感じました。

 残りはとても少ないのがとても残念ではありますが、また先生の授業を集中してきいていきたいです。


 H大社会学部1年男子

 前回は感想が短くなってしまったため、今回の前期分まとめて書きます。

 先生の授業は全て出席しました。

 正直な所、もっと早く取るべきだったなと思う所と、今年でよかったと思う所があります。
 自分の人生観が変化しましたが、それを実感するには、それなりの後悔も必要だと感じます。失敗を感じていなければ改心することはむずかしいと感じます。

 我々は変な話し、最高クラスではないですが、エリート大学の一部であると思います。 私はないですが、変なプライドがある学生も少なからずいます。
 その人々は後悔しなければ改心することはないと思います。だからエゴイズム、快楽主義はなくならず、浸透しているのだと思います。

 背景はゆとり教育です。ゆとりにより、コスモロジーが変わり、その子はまたゆとりの親の教育なので、快楽主義も多いと思います。

 人々はまず基本的なところ、我々は星の子であり、宇宙の歴史がつまっている「事実」を認め、受け入れ、一人一人がかけがえのない宇宙の1つであり、後世のためにどうすべきか、と考え直すべきです。

 人の生命はとてもかけがえのないもので、尊いものです。

 でも、今人間は宇宙の方向性に(相互依存)に反しています。それがエゴイズム、快楽主義、ニヒリズム、ミーイズムです。

 これには、人々の意識を変える(原点回帰でも良いのではないか)必要がある。

 今年(今までを含め)先生の講義を受けた人々は、周囲の人々に広げていくべきと思います。

 大変で受け入れてもらえないかもしれないが、一人一人が行動すること、それから始めるべきであると考えています。



 最後のところ、よかったら、私としてもぜひみなさんにお願いしたいところです。それは、言うまでもなく私個人のためではありません。


 「今年(今までを含め)先生の講義を受けた人々は、周囲の人々に広げていくべきと思います。
 大変で受け入れてもらえないかもしれないが、一人一人が行動すること、それから始めるべきであると考えています。」


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いじめと自殺2:学生の報告・意見

2012年08月05日 | いのちの大切さ

 「現代科学のどういうポイントがニヒリズム、エゴイズム、快楽主義を克服するのか」というレポートの解答と感想の膨大な枚数を読み続けています。

 その中に、大津の事件にかかわって感想や意見を書いているものがいくつもありました。すでに2回紹介していますが、あえてもう1回、紹介しておきたいと思います。

 今回の感想は、1つは、いじめた側も近代科学のコスモロジーに染まっていたと思うというカミングアウト、もう1つは、自殺も辛さからの逃避という意味で「快楽主義」だと思うという意見です。



 H大政策学科1年男子

 今回のレポートをまとめてみて、現代科学のコスモロジーが近代化の問題点である「ニヒリズム」「エゴイズム」「快楽主義」を克服するために必要な要素を含んでいるということが分かった。

 最近では大津の中学校でのいじめによる自殺の事件などが大きく報道されているが、自分の小学生のときに加害者としていじめに関わってしまったことがあり、その頃の自分は近代科学主義的な世界観だったために他のものとのつながりを否定してしまっていたのだと思った。

 その当時から十年近くが立ち、多くの経験をしていく中で、多少は現代科学的な「すべてはひとつの宇宙である」というコスモロジーになってきたのではないかと思う。

 これからは、この授業で教わったことを胸に、自分の人生をよりよいものにしていきたい。



 上の学生は、「その頃の自分は近代科学主義的な世界観だったために他のものとのつながりを否定してしまっていた」と証言してくれています。

 さらに私のコメントを加えると、特に現代日本の学校に「生存闘争」「優勝劣敗」という社会ダーウィニズム的誤解が蔓延していることが問題のポイントにあると思われます。

 いじめる子どもの心の中にある「強い者が弱い者に勝つ(いじめる)のは、生物の世界の法則だからしかたないんだ、それでいいんだ」という思い込みが、自分たちがやっているいじめの正当化の理屈になっているのではないでしょうか。

 それから、子どもの心の中での「(神仏なんていないんだから)隠れてやれば、バレない。バレなきゃ、罰せられることもないから平気だ」というニヒリズム的なモラル・ハザードも大きいでしょう。

 そのどちらも、大人たちが善意で近代科学的コスモロジーの教育をしてきた「想定外の結果」なのではないか、と私は推論していますが、みなさんはどうお考えでしょう。



 H大政策学科1年男子

 この部分の先生の教科書を読んでいて、大津のいじめで自殺した中学生のことを考えていました。

 思ったことは先生の講義を申し受けていれば、先生の本を読んでいれば考えが変わり、自殺なんてとてもできないだろうな、と思っていました。

 いじめが辛いから死んで楽になりたい、という考えは私は「快楽主義だな」という風に感じました。

 この事件を耳にしたとき、まだ現代科学のコスモロジーは浸透していないんだと思いました。

 大学1年という若い時期にこのコスモロジーの存在を知れた私はとてもラッキーでした。

 これから、なにか壁にぶつかったとき、このコスモロジーを私の力にしたいです。

 また、このコスモロジーを広げたいです。



 私は、かなり前から年度の最初の授業の時に、

 「若者のかなり多くが『人生は楽しむためにある。楽しくなきゃ人生じゃない』と思っているように見えるけど、それはとても弱い人生観だよ。
 そういうのを『快楽主義』というんだけど、そう思っていると、苦しくなったら、それでも生き抜かなければならない理由がわかってないから、すぐにへこむ、傷つく、病む、死にたくなる、死ぬというふうになってしまうんだよ。
 そうならないために、これから、苦しくても生き抜く理由があるという話をしていくから、よかった聞いて、考えて、よかったら自分のものにしてほしい」

という話をしています。

 上の感想を書いてくれた学生は――そしてもっとたくさんの学生たちも――その話=コスモロジー教育をちゃんと受け止め、受け入れてくれたようです。

 こういうレポートを読んでいると、今学期も教えてよかった、苦労してレポートを読む甲斐がある、と感じます。

 これからもまた、採点の合間に、いろいろご紹介していきたいと思っています。

 読者のみなさんもコメントをお寄せください。


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いじめと自殺:学生の提言

2012年08月04日 | いのちの大切さ

 ここのところずっと膨大なレポートの採点に忙殺されています。ようやく3分の2くらいこなしたところです。

 その中で、大津のいじめと自殺の事件にふれて、学生が次のような感想―提言をしてくれたものがありましたので、ご紹介したいと思います。



 H大社会政策学科1年男子

 この本(テキスト『コスモロジーの心理学』―筆者注)を読み、授業を受けたことで「宇宙とのつながり」に気づけ、意識できたことは自分にとって大きな収穫だったと思います。

 自分はあま悩みの多いタイプではないですが、この本の力を必要としている人が日本にはたくさんいると思います。

 近ごろは若年層の自殺も増えています。

 先日の大津の話もそうですが、まだ僕より幼い子が一人悩み、死を選んだ心境を想像するとものすごく胸が痛みます。

 もし、彼が、先生、せめて『コスモロジーの心理学』に出会っていたならば、死ななくて済んだのではないかという思いもあります。

 自分は一人ではない、みんなつながっている仲間だと思えたら…。これは加害少年側にも言えると思います。

 彼らがつながりを意識し、やさしい心をもっていれば、死に追いやることはなかったと思います。

 いじめられている側の救いにもなって欲しいですが、いじめている側の救いにもなって下さい。

 また、こうしてつながっている仲間たちが亡くなったわけですから非常に悲しいです。

 震災もそうですが、「つながっている仲間」が亡くなった、いなくなったということを意識するだけで大きくかわっていくように思います。



 H大社会政策学科1年女子

 先生の講義を受けて、コスモロジーやエゴイズム、ニヒリズムなど、今までなんとなく聞いたことのあるような言葉の意味が徐々にわかるようになってきました。

 世間の人々はニヒリズムの人ばかりなのではないかと思います。

 今、ニュースになっている中学生のいじめ問題も、自分が宇宙の一部だとか人類はみな親せきだとかいった考え方をもっていたら、孤独じゃないと思えて、自殺なんて絶対にしなかったと思います。

 いじめられた方だけではありません。いじめた側も、現代科学的な考えを持っていたら、いじめることはできなかったはずだし、ニヒリズムに染まってしまっていて、本当にかわいそうだなと思います。

 中学生には難しい話かもしれないけれど、宇宙と自分の一体性を人類全員がわかっていたら、いじめはもちろん、紛争や戦争だって起こらない、平和な世の中になると思います。

 自分は宇宙の一部だと知ったときの驚きと感動と、そのときに生まれる心の余裕をもっと多くの人に知ってもらえたらいいのになと思います。



 筆者は、中学や高校で講演をしたことはありますが、日々の教育実践に関わったことはありませんので、断定はできませんが、コスモロジー教育には、いじめや自殺の防止に大きな効果を期待できると確信しています。

 現代科学のコスモロジー(宇宙論)を教えたくらいで、自殺を防止することができるのか、という疑いをもたられる読者のために、以下の学生の報告を掲載しておきます。7月23日の記事と合わせて読んで参考にしてください(掲載に関し、学生たちには、予め了承をとってあります)。



 H大社会政策学科1年男子

 私は今回かなりのワクワクと共にこのレポート課題をやっていた。

 すべての授業に出席するにつれ、自分の考えと改めて対峙することができたと感じている。

 このように宇宙というような極めてスケールの大きいものでも、元をたどれば、私たちと常に関係しているのだ。

 宇宙のどこかに地球が存在し、その中に私たちが暮らしている。考えてみれば、かなりの身近な存在であったのだ。

 私は正直驚きをかくせない。先生のこの授業を受けていることによって、ここまで私自身の考えが変わっていっているなんて。

 前のレポートにも書いたが、私は人生のドン底ではないかというくらい沈み、うつになり、死にたいと思っていた。

 が、今、人とのつながり、宇宙とのつながりを感じることにより、自分は一人ではないのだと実感できているのだ。

 先生には感謝してもしたりないくらい私を変えてくれた。

 後期もぜひ、全授業に出席をしたい。

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コスモロジー教育の成果:今学期の集計1

2012年08月02日 | コスモロジー

 昨日の前期最終授業時にアンケートを書いてもらいました。

 その最後の項目は、「授業を受けたことによって、人生観・価値観に変化があったと感じていますか。
 変化はなかったと感じていたら、0、あったと感じていたら、プラス・マイナス1から10までのスケールで表現してください。」というものです。

 今学期M大学の学生のいわゆるノリはさほどでなかったので、結果はどうなのだろうと少し気になって早速集計してみて、「そうか、そうなんだ」と意外でもありうれしくもありました(受講生44名中回答36名)。

 スケール10と書いた学生が10名、約28%で、例年の25%よりもややいいくらいでした。

 10から7までの累計が67%、10から5までで83%なので、これは例年よりやや低めですが、まずまずという率でした。

 そして、0=変化なしの回答は1名・3%でしたから、97%の学生が何らかの肯定的な変化・成長を遂げてくれたと理解していいと思います。

 採点の合間を縫って、他大学も含めた感想等をご紹介したいと思っていますが、まず、コスモロジー教育=コスモス・セラピーの有効性は、今学期も確認されたと言えると自己評価しています。

 教育関係者のみなさんにぜひ使っていただきたいと願っていますし、一般の方にもぜひご自分でやってみて効果を試していただきたいと思います。

 すでに何回もご紹介していますが、テキストは以下の『コスモロジーの心理学』(青土社)です。




コスモロジーの心理学 コスモス・セラピーの思想と実践
クリエーター情報なし
青土社


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