行っている大学は3つとも、何事もなかったかのように例年どおりの新学期が始まっています。
少なくとも表面的にはみんな危機感などまったくないように見え、元どおりの日常が戻ってきているような雰囲気に若干違和感を感じています。
ただ、3・11以降、大学生たちがかなり真面目になってきたという感じがあるのは、今年も同じです。
どの大学でも、最初の時間、10分以内くらいで静かに話を聞き始め、かつてのようなおしゃべり防止のためのオリエンテーションにあまり時間を使う必要がなく、すぐに内容に入ることができました。
今年は思うところがあって、最初の時間から、「私はどこにいるか?」という気づきのワークをやりました。
問いと答えを続けながら、「○○教室」「○○大学」「○○市」「東京都または神奈川県」「関東地方」「日本」「アジア」「地球」と気づきを拡げ、さらに「太陽系」「天の川銀河」「宇宙」にまで拡げると、学生たちの顔が「なるほど、そうかあ」といった感じになります。驚きを伴った笑顔になる学生もいます。
そして、「宇宙はいつ始まったか知っていますか?」と問い、教えているのがすべて文科系で知らない学生も多いので、「宇宙は137プラスマイナス2億年前に始まったと言われています」と現代科学の宇宙論の標準仮説を紹介して、「さて、137億年前に宇宙が誕生したから、137億年経ったら、きみが誕生した、ということになると思いますが、どう思いますか?」と問いかけます。
「短く言うと、宇宙が誕生したから私が誕生した、ということになるよね」「では、これが正しいと思う人は、『宇宙が誕生したから私が誕生した』と心の中で自分に言ってみよう。どんな感じがするだろう?」と続けます。
そして、「私が誕生するのに、宇宙は137億年もかけてくれた。それは、それだけでもすごいことだよね?」と。
もちろん反応の個人差はいろいろですが、授業の後、教壇のところまで来て、「先生、今日は感激しました」などの感想を言ってくれる学生も何人もいました。
今年度も、やりがいのある授業ができそうで、楽しみにしているところです。