筆者がコスモス・セラピーのなかでよく使わせていただくエピソードがありますが、どこで読んでのか忘れてしまっていて、数字も少し記憶違いをしていました(過去の記事「奇跡的大成功の連続の成果としての私」の数字も訂正しておきました)。
今日、書棚の本をぱらぱらとめくっていてたまたま見つけたので、備忘録も兼ねて、引用紹介しておきたいと思います。
世界的な遺伝学者の村上和男さんが、おなじく世界的な遺伝学者の木村資生(もとお)さんの言葉を引用して、次のようにいっておられます(改行は筆者)。
ダーウィンの進化論では、何十億年という長い時間をかけて、人間も動物の植物もみんな進化してきたことになっています。そのキーワードが自然淘汰による適者生存です。
環境の変化に適応し、適応できた強者のみが生き残ってきた、その進化の実体は何かといえば、「遺伝子を通じて変わった」ということなのでしょう。
妊娠初期の人の胎児は、魚に似た形態をとります。
人間の遺伝子の中には、昔の魚や、爬虫類などの遺伝子も入っており、受精してから誕生するまでに、胎児は母親の体内で過去の進化の歴史をもう一度大急ぎで再現するのです。
これは遺伝子のなかに進化の歴史が全部インプットされているためと思われますが、それでも人間から魚や爬虫類が生まれないのは、そういう遺伝子はどこかでOFFになるからで、万が一、ONになっても生まれてこないようにセットされているようです。
木村資生という有名な遺伝学者がおります。木村さんはダーウィンの進化論に対し「中立的進化論」を唱えて世界的に名を知られた人なのですが、その木村さんによれば、
「生き物が生まれる確率というのは、一億円の宝くじに百万回連続で当たったのと同じくらいすごいことだ」
といっておられます。
ふつうの人は天才や秀才をうらやましがりますが、その立場に立てば別のつらさもあって、逆に凡庸に生まれた人間をうらやましがっているかもしれません。
いずれしろ、人間はこの世に生まれてきただけでも、この自然界で大変な偉業を成し遂げたのであり、現在、自分が生きているということはまさに奇跡中の奇跡、素晴らしいことなのだともっと自覚するべきではないかと思います。
あなたが今この世に存在して、生きているだけでもまさに大変な奇跡なのです。遺伝子からの発想では、そういうことが言えるのです。
(村上和雄『生命の暗号――あなたの遺伝子が目覚めるとき』(サンマーク文庫、一六九―一七〇頁)
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