崋山が「牛の塔」のいわれについて知っていたかどうかは、記述がないのでわからない。しかし崋山のことだから、案内人である義兵衛に尋ねたり、土地の人に聞いたりして、そのあらましについては知った可能性はある。彼は興味関心を持ったものについては、まるでそれが習性であるかのように記録したりスケッチしたりするからです。「生品の森」もそうだし、この「牛の塔」もそう。風景もそうだし人物もそう。農民の使う農機具もそうだし、収集家から見せてもらった絵画などについてもそう。崋山が見た「生品の森」は、それはかなり規模は小さくなっているものの現在も「鎮守の森」として大切にされて在り、「牛の塔」も「町指定文化財」として大切に保存されて、現在もそれを見ることができます。崋山がスケッチしたものを今も見ることができるというのは、私にとって、とてもうれしいことです。 . . . 本文を読む