しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

2014SFマガジンオールタイムベスト-海外長編考

2014-07-05 | 本リスト
SFマガジン創刊700号記念ということで「オールタイムベスト」の企画をやっていました。
普段SFマガジンを買う程コアなSFファンではないため、気づいておらず、結果が掲載されている700号記念特大号である7月号は買い損ねてしまいました。

6月中旬に気づいたのですがすでに書店の店頭にはなくAmazonでも品切れ状態で中古に
プレミアがついている状態。

6/25に発売された8月号を買ったのですが、

7月号でベストは各50作挙げられていたようなのですが、8月号では30作までしか載っていない…。

「どうしようかなぁ」と思ったのですが、なにやらどうしても欲しくなりプレミアのついた700号記念号をAmazonで大人買してしまいました。

購入価格4,300円と定価2,900円プラス1,400円...。

高いといえば高いのですが、オールタイムベスト以外にも創刊号から現在までのSFマガジンからトピック的記事が抜粋されて載っており、これがまたなんとも面白かったので損した気はまったくしませんでした。
(584ページと8月号の280ページの倍のボリュームでしたし)

さてオールタイムベストですが、国内=長・短編・作家、海外=長・短編・作家とランキングされています。
投票がプロ116名、一般読者158名の計274名。(8月号の情報)
ネットでも投票できるように広く募集したようですがなんとも少ない...。
どこぞやのAK○の総選挙とは大違いです。(笑)

まぁ最近そこそこSFに興味があった私でも知らなかった投票ですし、知っていても(私もそうですが)投票するほど自信のあるSFファンは少ないんでしょうね。

ということで、あまり詳しくない私が書くのも「どうかなー?」という話題ですが(笑)、とりあえず海外長編を見てみます。
↓14-7-28 41位「楽園の泉」が抜けていたため追加。

*参考まで発刊年、’06年SFマガジンベストでの順位、’12年ローカス誌の順位も入れました、ローカス社順位「赤字」は21世紀ベストの順位です。

既読を青で塗りましたが50作中21作(42%)と最近精力的に海外SFを読んでいるためそこそこの成績。

中身を見てみると'06年から結構顔ぶれ変わっています。

作家別にみると、アシモフは’06年も「ファウンデーション」(
以外ランクインしていない状況で人気退潮傾向にあったようですが、ついにベスト50から名前が消えました...。

確かに今時のSFファン受けはしないのでしょうが、アシモフファンの私としてはとてもさびしい。
「ファウンデーション」は名作だと思いますが、長いし今読むとちょっと古い感じもありとっつきにくいかもしれないですね。
ただ「永遠の終わり」辺りは今読んでも名作だと思うのですが….。
(絶版で入手しにくいというのもある?)

大家でいうとハインラインも’06年は3作ランクインしていましたが、今回は「夏への扉」のみになってしまいました。
確かに「月は無慈悲な夜の女王」宇宙の戦士」等他の作品はアメリカンかつマッチョ感あるので戦後世代にはハインライン厳しいかもしれません...。
今はハヤカワ文庫でもハイラインの著作結構残っているようですが、アシモフ同様今後絶版が増えていくかもしれませんね。(「夏への扉」は別格でしょうが。)

SF御三家でいうと、クラークは'06年ランク入り2作から43作と増えている。
幼年期の終わり」は相変わらず上位にいて「2001年宇宙の旅」が消えましたが、「都市と星」「宇宙のランデブー」「楽園の泉」がランク入り。
私的にはクラーク、「幼年期の終わり」以外はそれほど好きではないのですが、ハードSF的傾向がはっきりしていて理解されやすいのかもしれませんね。

作家別では今回ディックが最多の5作品ランクインと大人気です。
ディック人気は強いんですねぇ。

他3作品ランクインしているのが先ほど挙げたクラークとグレッグ・イーガン、クリストファー・ブリースト、ダン・シモンズ(シモンズは「ハイペリオン」シリーズだけという見方もありますが….)
イーガンは読んだことがないですし、ブリーストは名前すら知りませんでした。
アシモフ・ハインラインとこの辺の若い世代が入れ替わっているんでしょうねぇ。

ローカス誌のように、オールタイムベストと21世紀ベストを別に選んだ方が万遍なく網羅されるような気もしますね。

上位を見ると1位は「ソラリス/惑星ソラリス」で不動、ベスト5にイーガンの「ディアスポラ」とギブソンの「ニュー・ロマンサー」が入り、「夏への扉」と「火星年代記」がベスト5からはじき出されています。
「夏への扉」は今回も9位とベスト10に入っていますが、「火星年代記」は16位と順位を大きく下げています。
「古き良き火星」が素直に受け入れにくい時代になっているのかもしれませんね。

他「宇宙船ビーグル号」も大きく順位を落としています。ヴァンヴォクトも厳しいのかなぁ。(なんだかさびしい)

‘12年ローカス誌オールタイムベストとの比較では、ローカス誌のベスト3「デューン」「エンダーのゲーム」「ファウンデーション」がランクインしていない….。
「エンダーのゲーム」は最近映画化もされたのにねぇ、日米で好みが違うんでしょうか?

ローカス誌5位の「闇の左手」も22位と日米でのル・グィンの評価の違いがうかがえますね。
ローカス誌6位の「銀河ヒッチハイクガイド」もランクインしていませんがまぁこれはわかる気がする。(笑)(日本で一般受けしなそうな...)

反対に日本の方が評価の高いのは「ディアスポラ」が2位に入っているイーガンでしょうか。
「結晶世界」のバラード、「地球の長い午後」のオールディスのような「ニュー・ウェーブ」の作家も日本の方が評価が高い気がしますね。
あとローカス誌で選外の「星を継ぐもの」の評価が11位と非常に高いのも特徴でしょうか。

最後に私が投票したとしたらで投票様式に合わせ5作選んでみました。
(現代SF殆ど読んでいないのでいい加減です)

「永遠の終わり」アイザック・アシモフ
 「ファウンデーション」でもいいですがこっちにしてみました。
 10年位前に読み返して、「えらいうまいなー」と感心した記憶があります。
 良くも悪くもアシモフ的なテンションの作品だと思います。

「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク1955年
 去年読んで陶然としました、いかにも20世紀中盤的作品なんでしょうが私にはちょうどいいです。

「夏への扉」ロバート・A・ハインライン1957年
 アシモフ、クラークとくればハインラインでしょう。(笑)
 たとえ日本人が少女と猫とおセンチさに弱いといわれても、私は本作大好きです。

「発狂した宇宙」フレドリック・ブラウン1949年
 発想のぶっとび方では、ディックよりブラウンの方が上だと思うのですが...なかなか評価されていないようですね。
 ディックの方が「かっこいい」かつ「文学的」ですが、私はブラウンの「ぶっちゃけ」かつ「職人感」の方が好きです。

「都市」クリフォード・D・シマック1952年
 この壮大な世界観は「幼年期の終わり」同様20世紀中盤的感覚なんでしょうがこれまたいい 犬好きにもお薦めです。
 
最後の「都市」はスタージョンの「人間以上」と悩みましたが...思い入れは昔から読んでいた分「都市」かなぁというところ。

思いっきり保守的かつ古臭い(一番新しいのが「夏への扉」の1957年)選び方な気がしますが....まぁ私が「わかるなー」という作品は正直この辺です...。

↓よろしければ下のバナークリックいただけるとありがたいです!!!コメントも歓迎です。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
未読が多い (T岡)
2014-07-25 18:14:03
こんにちは!お久しぶりです。
私も未読が多くて(笑)。
「ハイぺリオン」なんか家に本があるのに読んでない。

私の5作は、
「宇宙船ビーグル号」・・・ガキの頃ジュブナイルで読んだ時の衝撃が・・・・
「重力が衰えるとき」・・・サイバーパンクではこの1冊。
「ユービック」・・・迷ったけど・・・。
「スローターハウス5」・・・何でノーベル賞とらんかったんやあ。
「バベル17」・・・頭がパンク。
うーん、ディックはいっぱいありすぎて困ってます。

クラーク・ハインライン・アシモフは中坊の時に読んだ感覚と大きくずれてきたので、今読み返すとなるとあまり興味が・・・。
難しいですね。
RE:未読が多い (しろくま)
2014-07-25 22:58:32
T岡様 こんばんは。
こちらこそご無沙汰です。

中学生でもないですし、そうは読めないもんですよねー。
T岡さんの5作は私よりモダンですね、さすが若い!(^_^.)
「スローターハウス5」などは私ごときでは理解しきれません。

ビーグル号は私も中学生の時読んだ記憶が鮮烈で怖くて読み返せていません...。
私の好みではヴァン・ヴォクトは「スラン」も好きです。
(これまた古臭い趣味ですが)

ディックは何やら気になる作家なのですが、どうも作品にのめりこめるまではいけません...。
(ヴォネガットに近い)

「重力が衰えるとき」「バベルー17」は未読ですが頭に入れておきますね。
ディレイニーの方は現時点で「アインシュタイン交点」を読了し感想作成中ですが難しい作家ですねぇ。

「ハイペリオン」はディックというよりもアシモフの流れに近いのでお好みではないかもしれませんよ。

クラーク、ハインラインは私もあげた作品以外は正直ちょっときついのですがアシモフは作品によっては再読しても「すげぇ」と思わせます。

まぁ本は「読む時期」もあるので確かに難しいですね。


コメントを投稿