しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

ファウンデーションの彼方へ上、下 銀河帝国興亡史4 アイザック・アシモフ著 岡部 宏之訳 ハヤカワ文庫

2012-11-20 | 海外SF
ファウンデーションシリーズに引き続き読みました。

1~3は新品が手に入りますが、4以降は絶版になっているため、古本を入手することになります。
昔だったら探すだけで大変だったんでしょうが、今はamazonでちょちょっと探せば手に入る。
便利なような味わいがないような...。
そんな状態だから、早川書房に「復刊しろ!!」という要望があまりでないんでしょうね。
私個人としては、いまのハヤカワ文庫のアシモフ作品のラインナップの少なさは異常だと思いますので是非大規模復刊を望みたいです。

さて、「ファウンデーションの彼方へ」

あらすじ(表紙裏記載)

設立から五百年、第一ファウンデーションは今、その力の絶頂にあった。野蛮な状態に逆行した周辺惑星を併合し、死にかけた帝国や恐るべき超能力を持つミュールや謎に包まれた第二ファウンデーションをも打ち負かし・・・・・・天才科学者セルダンがうち立てた第二帝国建設プランは、順調に進行しているかに見えた。だが、それを信じない人物がただ一人いたのだ!全世界のファンから絶大な支持を受ける巨匠の傑作シリーズ第四弾

滅びたはずの第二ファウンデーションは生き残っており、銀河の歴史を蔭で操作しているのではないか? 青年議員トレヴィズの大胆な推理は、第一ファウンデーションを震撼させた。ただちのトレヴィズは第二ファウンデーション探索の任務を与えられ、考古学者ペロラットと共に外宇宙へ送りだされる。だが、そこで見つけたものは・・・・・・? 人気シリーズをさらに壮大な未来史へと発展させ、ヒューゴー賞に輝いた傑作長編!

印象ですが...。
ファウンデーションシリーズ1~3から30年経った1982年に刊行された続編だけあって、前作からの継続性という意味では違和感のある仕上がりです。(こっちは読んだばかりで読んでいるし...)

20歳代のアシモフと62歳のアシモフですから違いも当然ですね。

そこを加味して読むとストーリー的になんとか整合性をとっていて違和感をなくしている技はさすがアシモフという感じ。

ただ「1~3」を読み終えたばかりの私としては若干の物足りなさを感じました。
「若さ」の持つテンションの高さというか、恐ろしいまでの気迫というようなものがないように感じました。
そういう意味ではSFは青春の文学なのかもしれませんね。

ネット上でちらちら感想を見てみましたが、上記の私のような意味で「ファウンデーションの彼方へ」を悪くいう人、それとは逆に旧ファウンデーションシリーズ(1~3)を「ひとりよがりだ」とか「わかりにくい」とかで悪く言う人がいるようです。

私的には「1~3」の方が好きですが、この「ファウンデーションの彼方へ」は60歳代のアシモフの持つ熟練が感じられ、余裕を持って読者を飽きさせないしかけをたくさん備えた上質のエンタテインメント小説になっていると思います。
(その辺あざといと見るか、楽しいと見るかですね)

ただ主人公のトレヴィズがもう少し魅力的であったらなぁという感じは受けました。
ロボットシリーズの主役であるイライジャ・ベイリ的役回りなんでしょうが、「コンプレックス」的なものがあまりにない感じで、平板な印象を受けました。
他の主要登場人物のターミナス市長 ブラノ、第二ファウンデーション発言者 ジェンディバルが魅力的だけに目立ちました。
これも先への伏線なのだろうか?

他、作中でこの後の刊行である「夜明けのロボット」「ロボットと帝国」のほぼネタバレ的な話が出てきます。
アシモフの頭の中では「ファウンデーションの彼方へ」を書いた段階でほぼ次作以降でのロボットシリーズとファウンデーションシリーズとの統合の行方をほぼ完成させていたんでしょうねぇ「アシモフってすごい...」と改めて感じました。
本作つなぎ的要素が強い気もしましたのでその辺も「ロボットと帝国」同様若干物足りなさが残るのかもしれません。

また本作では「ガイア」を出してきて、前作までの規律であったセルダンプランをひっくり返していますが果たして本当にひっくり返しているのか?
今後どうなるのか非常に気になるラストです。

この作品刊行と同時代で読んでいて間に「夜明けのロボット」、「ロボットと帝国」を挟まれたら悶えてしまいそうなラストです...。

次はファウンデーションシリーズで一番の未来(この作品の直後)が描かれる「ファウンデーションと地球」を読む予定です。
いろいろな謎がとりあえずクリアーになりそう。
楽しみです。


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