しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

変化の風 アイザック・アシモフ著 冬川亘訳 創元推理文庫

2017-08-27 | 海外SF
前にも書きましたが、アシモフの邦訳されているSF作品全作読破を読書の目標のひとつとしております。

本書は1983年刊行、創元推理文庫の初版は1986年ですので当時海外SFから離れていた私は存在すらしらなかったですが、ここ数年のブックオフめぐりで発見して購入しました。

夜来たる」「サリーはわが恋人」と同様、他の作品集に収載されていないものを選んだとのことですが初出年1953年―1982年の作品が収録されていて1950年代の作品は2編だけであとは1977年以降の作品です。
1977年以降販売されているアシモフのSF短編集は1982年の「コンプリート・ロボット」と1995年の「ゴールド」1996年の「Magic(未訳)」のみのようですから(基ネタwikipedia)実質まぁ普通に1977年以降の作品を集めた短編集ともいえるのではないでしょうか。

収載の順番はタイトルのアルファベット順にしたそうですが、著者の意図で多少すらした感はありそうな配列です。

なお本書も他短編集同様各編にアシモフ自身のコメントがついておりこちらも楽しめます。

内容紹介(裏表紙記載)
「世界を根底から覆す災厄の種を、わたしは時間の流れのなかに播いておいたのだ」―恐るべき告白とともに、かつて大学を追われた物理学者の復讐劇が幕を開ける・・・・・・。悪夢のような時間操作を描いた表題作をはじめ、ときに荘重に、ときに軽妙洒脱に、巨匠アシモフが贈るバラエティに富んだ21編。各編にアシモフ自身による作品紹介エッセイを付す。


読了後の全体的感想、英文ダジャレオチネタの作品が多いのには閉口しましたが…。
1977年以降のアシモフ、まったく期待せずに読みはじめたのですが1970年代後半から80年代初旬の時代や科学の変化を確実にとらえた作品が多く感心しました。

現代的視点で読むのであれば「夜来たる」「サリーはわが恋人」などより数段楽しめると思います。

あらためてアシモフの才能を見直しました。
最近コニー・ウィリスのヒューゴー・ネピュラ賞受賞作を集めた短編集2冊を読んだのですが(感想はまだまだ先....)その2冊よりSFとしての出来が上と感じました。

ただし意味不明の英文ダジャレ ショート・ショートをどれだけ我慢できるかというのはありますが…。(笑)

以下各編紹介と感想です。(初出年はアシモフのコメントから、わからなかったものは?としています。

〇からさわぎ About Nothing 1977年
 ショート・ショート、2157年。天文学者が地球に接近するブラック・ホールを発見し人々は遺言を書き別れの言葉をつぶやきあっていたが…。

「短編葉書」用に250字の短編を書いてくれとの依頼で書いた作品とのこと。 
落ちは英文のダジャレ-シェークスピアの「からさわぎ」に掛けたらしい-(本短編集、多いです)なのでちょっと面白みがわかりませんでした…。

〇完全にぴったり A Perfect Fit 1981年
 コンピューターがなければ暮らせない世界で、主人公はコンピューターに近づけない状態になっていて…。

 前半の困り具合と少年に助けてもらって食事をする場面、さすがな手腕で読ませます。
 1980年代ならではのコンピューター社会の今後を読んだオチ(設定自体は依頼だったようですが)短めな作品でしたが楽しめました。
 強いて言えばタイトル(=オチ)がいまいち?かとは思いました。

〇信念 Belief 1953年
 主人公の物理学者はある夜、空を飛ぶ夢を見て目を覚まし、ベッドの上で本当に浮いている自分を発見し…。

 本作読み始めて「どこかで読んだことがあるような…」と感じて調べたらハヤカワ文庫の「冷たい方程式」に収載されていました。
 中学生頃読んだと思います…懐かしかったです。

 当時は、「空中浮揚の夢って見るよねー」から「そんな能力をもともと人間が持っている」というような仮設を立てての物語と理解して読んだ記憶がありますが…あらためて読むとまったく違いました、当時の私には作中の駆け引きが理解できなかったんでだと思います。

 空中浮揚能力を得た学者の戸惑いと学会で物理学の権威に主人公が空中浮揚を認めさせる手法が「アシモフ博士」ならではで楽しめましたがオチは今一つ理解できませんでした。

〇あるフォイの死 Death of a Foy 1980年
 事実上不死の異星人フォイが地球上で死を迎えつつあり、死後に献体してもらえることになったが…。

 ショート・ショート これまた英語のダジャレだと思うのですが...なんとも理解できませんでした。

〇公正な交換? Fair Exchange? 1979年
 病院のベッドにいるハーブは1871年に存在した人間の心の中へ精神だけ送り込まれギルバート&サリヴァンの失われた史劇「テスピス」を見たようなのだが…。

 「サリーはわが恋人」中の「当世風の魔法使い」でもギルバート&サリヴァンの戯曲が扱われていました。
アシモフ「ギリバート&サリヴァン教会ニューヨーク支部」の会員だそうで…。
好きなんでしょうねぇ。(笑)

ただ日本人にはあまりなじみがないので(私だけ?)ピンときませんでした。

が、軽い始まりの割に結末がとても悲劇なので「えー」でした。(アシモフは当初愉快な作品を書こうとしたようですが…)

本書最後の「変化の風」と並んでアシモフとしては珍しいタイムトラベルものです。
パラドックスの処理はそれほど珍しいものではないのですが、タイムトラベルの動機の軽さと結果のギャップぶりがまさにタイトルどおりで切ないというかなんというか…。(笑)

〇鳥たちのために For the Birds 1980年
 服飾デザイナー モダインは、宇宙ステーションの依頼で居住者の筋力が衰えないよう内部を飛び回る翼をデザインしたが…。

 なかなかうまくいかない「デザイン」を発想の転換で解決するところ、重力の低い宇宙ステーションでは「こんなこともあるのかもねー」という話として楽しめました。
 がオチはこれまた英語のダジャレでいまひとつ面白みがわからなかったのです。
無理矢理ダジャレオチにしなくてもねー。

〇見つかった! Found! 1978年
 宇宙飛行管制用の4基のコンピューター衛星にトラブルが発生し、わたし(女性)とジョー(宇宙嫌い)はコンピューターへ向かい…。

 進歩したテクノロジーで衛星のコンピューター保守担当にも関わらず宇宙へいく必要のない2人のやりとりが楽しいです。
とくに平時はやさぐれ気味のジョーの活躍楽しめました。

〇美食の哀しみ Good Taste 1977年
 宇宙ステーション ガンマではプライムという食料がつくられていた。
大旅行を終えガンマへ戻った主人公は、新しいプライム制作に取りかかり….。

 「宇宙ステーション」という非日常な生活ではあまりにも潔癖症的なタブーが生まれることもあるんだろうなーという話。
 アシモフは「鋼鉄都市」でも「屋外に出る」ことがタブーになった未来世界と、そのタブーを破る主人公の姿を描いていますがその流れですね。
アシモフ自身潔癖症な傾向があって「こんな話を思いついたのでは?」などと推察しました。(笑)

〇ある事情 How It Happened 1979年
 ショート・ショート、わたしと弟は、壮大な歴史物語を綴ろうとしていたが…。

 まぁありがちな話のような気がしましたが….。

〇亡びがたき思想 Ideas Die Hard 1957年
 人類史上初月をまわって戻ってくるプロジェクト、無人機の試験は失敗していて有人機打ち上げをしたが…。

 アシモフは月の裏側の写真も撮影されている段階で「時代遅れ」な作品の例ということで紹介していますが…。
 その表向きなことばとは裏腹に紹介では本作に対する自信はたっぷりというような気がしました。
 地球に「表面」しか見せない「月」やはりミステリアスですよね。
 月の回転が見えるものであれば、地球が自転しているというのももっと早くわかったのではないかというような説もあるようです。
 もしかしたら人間の科学技術の発展を阻害したいなにものかの意志で….。(笑)

○発火点 Ignition Point! 1981年
 見栄えが良いが、頭はからっぽな男を群集心理学を分析したコンピュータでの成果で政治家として「うける」スピーチができるようにしたら…。

AIで解析した結果を応用したら...というような現代的側面もあるような気がしました。
カリスマの誕生がAIで人工的に制御えきたら…コワイですね。

〇接近中 It Is Coming 1979年
 マルチヴァクもの。宇宙からのメッセージが地球へ届き、その解読が地球最高のコンピュータ、マルチバクとその担当にゆだねられ…。
 
 喜劇仕立てですが怖い(怖くないかも?)話です。
 マルチヴァクものの場合は三原則が適用されないのでロボットものよりブラックになります。
 (今回は陽電子頭脳ではない模様、これも現実世界が進歩していたからでしょうね)
 
 最近のAIめぐる議論など見ているとこんな世界も近いうちに実現しそうですね。
 また本作のヒロイン「ジョゼフィン」魅力的でした、アシモフの強い女性好きがよく現れていますね。(笑)

〇最後の解答The Last Answer 1980年
 物理学者である主人公は命を落としたが、まったく信じていなかった死後の世界で…。

 アウスタンディング誌 50周年用に書かれた作品とのこと。
 「公正な交換」と並んで「アシモフの三編」に収載された作品。

 結論はありがちといえばありがちですが…論理的な帰結で結びつけているところがアシモフらしいところです。

〇最後のシャトルThe Last Shuttle 1981年
 長く続いてきたスペース・シャトルの最後のフライトが行われようとしていましたが…。

 世界最初のスペースシャトルが打ち上げられた時に依頼を受けて書いた作品とのこと。
 なぜシャトルは「最後」になったのかの「?」を考えさせるミステリ仕立てです。
 
 現実のシャトルの方も「最後」になっていますが….。
 現実の方が小説よりも奇かもしれませんね。(笑)


〇記憶の隙間Lest We Remember 1982年
 ヒースは自分が平均的な人間であることを悩んでいて、ある措置を受けたのですが…。
 TVドラマ用に書いたようですがそちらの方は実現しなかぅたようです。

 「アルジャーノンに花束を」のアシモフ版といったところでしょうか?
 ただこちらは思いっきりブラックですが...。
 本作でもヒロインのスーザン女史、強くてしたたかで魅力的です。

〇奪うべからず Nothing for Nothing 1979年
 紀元前15,000年の地球を訪れた、異星の交易船。そこで彼らが見つけたものは…。

 氷河期芸術についてのアイディアを知り合いの考古学者から聞き書いた作品とのこと。
 ワンアイディアな感じはしましたが….それなりに読ませます。

〇歌の一夜 One Night of Song 1982年
 「わたし」には精霊の話をするジョージという友人がいて、あるオペラ歌手の女性に振られた男の復讐物語の話を語りだして…。

 「小悪魔アザゼルの18の物語」としてまとめられたものの発想の原点かと思います。
 SFではなくファンタジーでしょうかねぇ(ホラー?)。
 復讐の方法の意外さはミステリー仕立てでもあります。
 のちにシリーズ化したこと考えるとアシモフこの設定かなり気に入っていたんでしょうね。
 
〇失われた微笑 The Smile That Loses 1982年
*「歌の一夜」と同設定。
 ジョージは精霊の話を語りだしました。ジョージの友人の若い娘が望んだ、夫の魅力的な微笑を捉えた写真に関するエピソードでしたが…。

 これまたファンタジーとミステリの融合という感じ。
 不思議な世界と謎解きが楽しめます。

〇絶対確実 Sure Thing ?年
 ショート・ショート、退屈な星間航行中、異星のペットを競わせますが...。

 これまた英語のダジャレオチ…。
 ダジャレオチはなかなか短編集に採用されなかったのでここで収録したんでしょうかねぇ。
 アシモフ本人いわく「いままで書いたショート・ショートでいちばん気にいっているそうですが….。

〇地球人鑑別法 To Tell at a Glance 1977年
※『美食の哀しみ』と同設定。
 2076年、アメリカ建国300周年を迎える年13の宇宙ステーションからなる〈軌道世界連盟〉は地球からの独立を目指していた。
 しかしこれに反対する地球の勢力が破壊活動工作員を送り込んだらしいのだが…。

 アシモフ得意のミステリ仕立てです。
 探偵役の観光ガイド エレーヌが魅力的かつステーションならではの捜査方法が魅力的ですが….最後の鑑別法は今一つ地味な気はしました。

○変化の風 The Winds of Change 1982年?
 嫌われ者の物理学者ディンズモアは学長と次期学長候補の前で、タイム・トラベル能力を持っていたらという話を語りだしますが…。

 説明が少なめな作品なので全貌を理解しきれていませんが…。
 「自分が学長になる」という目的のためだけのためにタイム・トラベルを使いひどいことをするというのに「学者の業」を感じました、アシモフらしいとはいえる作品ですね。

 全体通してですが、私的には「完全にぴったり」の不思議な始まりと見事な展開、「公正な交換?」の喪失感「美食の哀しみ」の正統的なSF的展開(エンターテインメントとして)謎の提示の仕方「接近中」の夫婦の掛け合いとヒロインの強さとオチの楽しさ「亡びがたき思想」のよく考えるととても不気味な世界観と….かなり良作ぞろいと感じました。

英文ダジャレのショート・ショート以外は良作ぞろいと感じました。

「信念」「変化の風」は学者アシモフの怨念のようなものも感じました(笑)執念深い!

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小説 君の名は。新海誠著 角川文庫 君の名は。Another Side:Earthbound 加納新太著 角川スニーカー文庫kindle版

2017-08-20 | 日本SF
まぁ当たり前ですが…1月に見たアニメ映画「君の名は。」に刺激され読みました。
小説 言の葉の庭」の感想を書いていて新海誠氏の小説、一冊だけで評価(えらそうですが…用語として使用します)のもなにかなーということもありました。

本自体は昨年上の子供(男-当時中2、現 中3)が買って持っていたので借りました。

「Another Sid:Earthbound」の方は上記を読了した勢いでKINDLEで購入して読みました。


別建てで書くのもなんなので(意味不明ですが…)一緒に感想書きます。

まずは「小説 君の名は。」
内容紹介(裏表紙記載)
山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉(みつは)は、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。一報、東京で暮らす男子高校生・瀧(たき)も、山奥の町で自分が女子高校生になる夢を見る。やがて二人は夢の中で入れ替わっていることに気づくが――。出会うことのない二人の出逢いから、運命の歯車が動き出す。長編アニメーション『君の名は。』の、新海誠監督みずから執筆した原作小説。


一応ノべライズですが映画完成前に「小説版の方が先に世に出る」わけで「どちらが原作か問われると微妙なところ」(あとがき)らしいです。
映画と小説を一緒に作り上げていったことで映画づくりに生かされた部分はあったそうですが…。
著者自身が「君の名は。」は、アニメーション映画の形がいちばん相応しいと思っていた」と書いていますが、確かに「映画」の方が…(笑)とは感じました。

「小説 言の葉の庭」ではストーリーを追うのでなく、主人公・ヒロインの画像に出なかった部分やあまり登場しなかった人物のサイドストーリーを書いていたので、映画を見ないとわからないような構造でしたが、本作では基本映画のストーリーそのままが書かれていますので小説単体でも内容を理解できるようにはなっていますがその分映画と比較してしまうので小説の方の残年感が目立ちます。

映画=画像では想像するしかなかった主人公・ヒロインのそのときの感情が、文字化されると「へー」と感じた部分もないではないのですが、それほど「違和感」感じなかったので「画像で見ていた以上のものはなかったかなぁ」という感想でした。
とくに後半部分は映画では情景描写がメインですので映像のスケールにはとてもかないません。

アシモフでもノベライズの「ミクロの決死圏」では苦労していた感ありましたし、映画主体でつくられたストーリーを文字化するノベライズの宿命ですかねぇ。

なお映画と小説の違いで目立ったのは掌に書かれた「すきだ」を見るタイミングくらいでした。
この設定は最後変えたんですかねぇ?

掌の場面ふくめ後半のスケールの大きいアクション場面の書き込みは薄く感じました。
著者自身が映画では第三者目線の「俯瞰」で描けるのに対して、小説は主人公とヒロインの一人者目線になるので云々と書いていましたが…。

「小説」は「俯瞰」を書けないメディアではないとは思うのでそこはもう少し工夫してもとは思いました。

もう1冊「君の名は。Another Side:Earthbound」

前述のとおりKindle版を購入しました。

こちらは「小説 言の葉の庭」と同様ストーリーに沿った展開ではなく、主人公・ヒロインの画像に出なかった部分やあまり登場しなかった人物のサイドストーリーを書いています。
原案は新海誠氏のようですが、著者はライトノベル作家の加納新太氏となっています。
この加納新太氏、他新海誠作品「秒速5センチメートル」「ほしのこえ」「雲のむこう約束の場所」でも同様に「新海誠原作」の形で作品を書いているようです。
内容紹介(amazonより)
東京に暮らす男子高校生・瀧は、夢を見ることをきっかけに田舎町の女子高生・三葉と入れ替わるようになる。
慣れない女子の身体、未知の田舎暮らしに戸惑いつつ、徐々に馴染んでいく瀧。
身体の持ち主である三葉のことをもっと知りたいと瀧が思い始めたころ、普段と違う三葉を疑問に思った周りの人たちも彼女のことを考え出して――。

新海誠監督長編アニメーション『君の名は。』の世界を掘り下げる、スニーカー文庫だけの特別編。

「小説 言の葉の庭」の感想でも書きましたが、サイドストーリーである限り本体の「映画」がなければ成り立たないわけですが、映画を観ている前提に立つと「あの場面はこういうことだったんだー」とか映画であまり出てこなかった登場人物の「思い」「生活」「過去」はこんなだったんだーという観点で楽しめました。

新海誠氏がどこかで、「小説 言の葉の庭を書いたことで、映画の登場人物の周辺などを深く掘り下げることができて映画づくりに役立った」というようなことをいっていたのを見ましたが、本作もそういう意味での映画作りの副産物でもあるんでしょうね。

第一話「ブラジャーに関する一考察」第二話「スクラップ・アンド・ビルド」第三話「アースバウンド」第四話「あなたが結んだもの」の4話構成になっています。

第一話は三葉に入れ代わっている瀧の視点。
映画ではさらりと流されていて「転校生」的女の子の体に入れ替わった男の子の戸惑いを描いています。
まぁオクテの男子高校生、ブラジャーの付け方わからないよねぇ。

第二話は三葉の男友達、勅使河原の視点。
新海誠氏自身も地方のゼネコンの息子だそうですから、勅使河原君の地元愛と閉塞感の入り混じった気持ちがよくわかるんですかねぇ。
また三葉に入れ替わった瀧目線での「男」勅使河原の好男子ぶりが微笑ましかったです。

第三話は三葉の妹四葉視点
四葉の妹視線もありますが、それよりも宮水家の因縁を描いたファンタジー風な作品になっています。
第四話へのつなぎ的な位置づけもあるんでしょうか。

第四話は三葉の父宮水俊樹の視点
運命の家に取り込まれた男の姿が描かれています。
浦島太郎などもそうですが、巻き込まれるのは男ですね~。
三葉の母、一葉に取り込まれて人生狂った男の物語です。
個人的には宮水俊樹が婿入りするとき持ってきたレコードのグレン・グールドというのが興味深かったです。
グールド、ミステリアスな雰因気に合いますね。

全話それなりに面白かったですが力が入っているなぁというのは第四話「あなたが結んだもの」ですかねぇ。
映画「君の名は」見た方にはお勧めです。

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