しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

都市 クリフォード・D・シマック 著 林克己・他訳 ハヤカワ文庫

2014-01-22 | 海外SF
今年二作目として「発狂した宇宙」と同様実家から年末に持って帰ってきた「都市」を読みました、これまた小中学生の頃とても好きな作品でした。

シマックの作品は本作しか読んでいないのですが、この1作だけで「俺はシマックファンだ!」などと中学生らしい思い込みをした記憶があります。
(恥ずかしい記憶だ)
他のシマック作品、当時売っていなかったような記憶があります。
(今は本作すら売っていませんが…。)

繰り返し読んでいたのでカバーもボロボロ…。
本作も30年ぶりくらいの読み返しなので、これまた読み返すのが楽しみなような怖いような…。

12年ローカス誌オールタイムベスト40位、1952年の発刊。
分解された男」「幼年期の終わり」「人間以上」の第一回ヒューゴー賞争い作品の前年の発刊です、まさにSF黄金時代だったんですねぇ。

内容(裏表紙記載)
機械文明の超高度な発達の結果は、皮肉にも人類に広場恐怖症を蔓延させた。 やがて人々は都市を離れ、次第に郊外へと、宇宙へと、そして異世界へと旅立っていった。 都市はいつしか廃墟となり、幾所世紀を重ねる間に人類の存在さえ一つの神話化して膨大な時の流れのなかに見失われてしまった。 いまや地球の支配は、かつて人間によって開発され、優秀な頭脳を持つに到った犬族へと移っていた。 かれらはわずかに残る古代の文献の整理、校訂することで、幻の人類伝説の再構成を試みたもだが・・・・・・。 1953年度国際幻想文学賞の受賞に輝く、シマックの古典的名作ついに登場!

国際幻想文学賞は1951年-57年の間イギリスのSF大会で選考されていた賞。
1954年には「人間以上」、1957年には「指輪物語」が受賞しています。
選ばれている作品はすごい(?)のですが、継続性を考えると権威があるようなないような....。

8編の中短編をつないだ形式の作品ですが、つなぎ方も絶妙で各編毎の出来もすばらしく
それぞれに様々なSF的仕掛けが入り破綻なく情感たっぷりに仕上げています。
同じような形式で構成されている「火星年代記」や「わたしはロボット」よりもつなぎが良く、一つの作品としてまとまっていますように感じました。

さて本作を読んだとりあえずの感想ですが…。
「なんとも名作らしい名作」
感想ともいえない感想ですが、とにかく最初に出てくる感想はそうなりました。
欠点は「欠点がないこと」という位で、難をいえば「とがったところ」がないとも言えるかもしれませんが、素直に読めば誰が読んでも「名作だ」となるんじゃないかなぁという作品です。
しかも小中学生が読んでも40親父が読んでも楽しめる、スゴイ。

内容については「人間以上」+「幼年期の終わり」+「バイセンテニアル・マン」×0.9+αというようにも感じました。
「人間以上」の小説としての巧みさ、人類の変容の描写×0・9
「幼年期の終わり」の人類の終末観とスケールの大きさ×0.9
「バイセンテニアル・マン」の長寿命ロボットと人間との関係性の情感×0.9
それぞれの要素かなりスゴイのですが、ちょっと足りない(笑)

それを補って余りまではない気がしますが…+αがあります、名作ですね。

第一話 都市と第二話 密集地、第三話 人口調査、第四話 逃亡者の一部、長年の間存在し続ける執事ロボット、犬が出てきたのは覚えていましたがほぼ忘れていました。
第五話 パラダイスでの木星の出来事辺りから先は全然覚えておらず、豊かな発想に今回読んでいて終始圧倒されました。
小中学生の私にはよくわからなかった良さだったんだろうと思います。

また本作犬好きにはお勧めです。(笑)

絶版ではありますが、amazonで見たら700円から売られていました、もしお読みでなければ読んで絶対損はない作品かと思います。

私もまた他のシマック作品が読みたくなりました。
(30年ぶりの気持ちだ!)

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