しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

銀河ヒッチハイクガイド ダグラス・アダムス著 安原和見訳 河出文庫

2013-07-28 | 海外SF
'12年ローカス誌オールタイムベストでは堂々6位('06SFマガジンでは選外)川崎のブックオフで春先に購入、400円

ちなみに川崎のブックオフは結構海外SF品揃え豊富で重宝します。

内容(裏表紙)
銀河バイパス建設のためある日突然、地球が消滅。どこをとっても平凡な英国人アーサー・デントは、最後の生き残りとなる。アーサーはたまたま地球に居た宇宙人フォードと、宇宙でヒッチハイクをするハメに。必要なのは、タオルと<ガイド>-。シュールでブラック、途方もなくばかばかしいSFコメディ大傑作。

期待して読みましたが....、一言でいえば上記の通り「途方もなくばかばかしいSFコメディ」ですね。
「大傑作」かどうかは???。

読んでいてロンドンオリッピック開会式での007やらビーン氏の映像を思い出しました。

英国的ユーモアを理解できる人であれば面白いのでしょうがそれ以外の人には...どうでしょう。
私はなんだか肩透かしをされた気がしてがっくりきました。

「面白くない」わけではないのですが、映画でいえば「風と共に去りぬ」とか「ベンハー」のような超大作映画を押しのけMr.ビーンがオールタイムベストの6位になっている感じ。
なんだか違和感がある。

元々はラジオドラマだったものを小説化した作品らしくそんな感じのライトな作品で、その場その場面白そうな話を創ってつなげた感じ。
「この伏線は生かし切れていない」とか「展開に無理が」ということをいう作品ではないかと思います。
状況状況は翻訳も良いためかそれなりに楽しめました。
こういう作品もありかもなーとは思いましたが、私にはどうしても「大傑作」とは思えなかった。

良くわからなかったのでネット上の評価も調べてみましたが割と好意的な評が多かったので私の読書力のなさかもしれませんが...。

全体的に初期の筒井康隆作品のようなスラップスティックな感じです。
(英国での発刊が1979年ですから、筒井氏が参考にしたわけでないんでしょうが)
この本がこれだけ評価されるのであれば、初期の筒井作品なども英訳したらかなり評価されるかもしれません。

当時の筒井作品はシェクリィの影響がある「不条理SF」などとも言われていたようなので本作もシェクリィの影響を受けているのかもしれませんね。

その他「虎よ!虎よ!」無茶な場面展開と勢いでストーリーを展開しているところに類似点を感じました。

すごい所、「人生、宇宙、すべての答え」に対する明確な答えを出している所。
グーグルで上記をインプットでして検索すると本作と同じ答えが出てきます。
明確すぎて何だかわからないんですけどね....。
英語圏では物凄く愛されている作品なんでしょうね。

あとやたら人間臭い鬱病ロボットはツボにはまりました。

オールタイムベスト10入りの大傑作と思わないで読めば結構楽しめるかもしれません。
でもこのシリーズは当分読まないかなぁ。

↓最後まで読んでいただいた方、よろしければクリックいただけるとありがたいです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村

きまぐれ星のメモ 星新一著 角川文庫

2013-07-23 | 評論エッセイ等
本書、小中学校時代に繰り返し読みました。
実家には読み過ぎでカバーが破れてぼろぼろの本がまだあるはずです。

最近復刊したのを聞いていて(日本SF作家協会50周年記念復刊らしい)、ブックオフで見かけたらどうにも欲しくなって購入、400円。
ということで本書は平成24年11月25日初版、バリバリの新刊です。
近頃第何回目かの星新一ブームだそうでその波にも乗り復刊されたようです。

当初すぐ読む気はなかったのですが、ぱらぱら読んでいたら止まらくなり読了してしまいました。

「星新一」ですが、私が小学生くらい(1970年生まれなので70年代後半-80年代初旬)に子供向けで人気のあったのは、北杜夫の「マンボウもの」やら畑正憲の「ムツゴロウ」もの、SFでは眉村卓のジュブナイル、小松左京の諸作品などがありました。

それらが今日的な意味で生き残っているか微妙な中「星新一」は新潮文庫他メジャーな文庫のラインナップでもまだかなり残っています。
まだまだ若い新しい読者を獲得してもいるようです。
考えてみればものすごく偉大な作家ですね。

私もありがちなパターンで、「星新一」よく読みました。
中1くらいまでにはそのころ文庫で出されている作品は殆ど集めていました。。
今に至るまで私のものの考え方やら読書傾向に大きな影響を与えていると思います。

これまたありがちですが星新一から日本SF(小松左京やら筒井康隆、豊田有恒)、海外SF、ミステリに行き、明治ものなどからは司馬遼太郎やらの時代物などにも行った。
私の読書傾向やらものの考え方の根本に大きな影響を与えていると思います。

でも中学も2、3年、高校・大学くらいになると大きな声で「星新一」ファンといいにくい雰因気になり、それ以来かなり離れていました。
ネットで見たらそんな人多いようですね...。
唐澤俊一氏の星新一追悼文(唐澤氏知りませんでしたがオタク文化評論家らしい)
そんなこんな離れていましたが2007年に出た、最相葉月の「星新一一00一話をつくった人」を読み改めて見直したりはしていました。
(この本は名作ですね、当時読み始めたら徹夜になってしまった)

星氏自身、晩年文学賞等いわゆる文学的評価に恵まれないで屈折していたようですね。
島田雅彦も銀座の飲み屋で星新一に「おまえは純文学だろ」と絡まれた話を語っています。
(島田氏、「星氏を尊敬」しているとセットで色々な所で語っているようです...実話なんでしょうけど、どういうものでしょうか?)
星氏の弔辞で盟友筒井康隆氏は下記のように語ったようです。

星さんの作品は多くの教科書に収録されていますが,単に子どもたちに夢をあたえたというだけではありませんでした。手塚治虫さんや藤子・F・不二雄さんに匹敵する,時にはそれ以上の,誰しもの青春時代の英雄でした。お伽噺が失われた時代,それにかわって人間の上位自我を形成する現代の民話を,日本ではたった一人,あなたが生み出し,そして書き続けたのでした。そうした作品群を,文学性の乏しいとして文壇は評価せず,文学全集にも入れませんでした。なんとなく,イソップやアンデルセンやグリムにノーベル文学賞をやらないみたいな話だなあ,と,ぼくは思ったものです。 

まぁそんなこんなあり2007年頃に「ようこそ地球さん」を再読しました。
星新一のショート・ショート、「全部素晴らしい」というわけでなく、良いものはかなりいいですが、出来不出来は割と激しいというのが冷静な評価だったりはします。
(アシモフでも出来不出来多いんだし...いわゆる駄作はないとは思いますが...。)

とにかく今も読書好き小中学生に影響を与えているだろうし、今後も影響を日本の文化に与え続けていきそう。
凄い作家だ。

と「星新一」について長くなりました。
星新一といえば「ショート・ショート」なわけですが本書のようなエッセイもなかなか面白く、よく読みました。
解説見ると本書が初エッセイ集のようです。

中身はよく読んだだけあって殆ど覚えていました。(何回読んだか思い出せないほど読んでいる)

内容は思いっきり「70年代の日本」なので、今の若者にストレートにはお勧めできませんが私くらいの年代以上には「懐かしさ」もあってお勧めです。
私が星氏の着想が基本的に好きなのもありますが...。
(最後に「○×△ですが...。」で〆る文体も星氏の影響だろうなぁ)

読んでいていろいろ懐かしかったことなど書いてみます。
当時の自分が思い出されてとても楽しい時間でした。

たびたび好きな作家として「ブラッドベリ」が挙げられています。
ここから来て「火星年代記」「華氏451度」を買ったんでしょうが読んだのは今年だ...。
しかも良さがよくわからない、う-ん。
「スレッサー」も良く出てきますがこれはいまだに読んでいない。
シェクリィの子供の分まで借金してものを買う話が何回か挙げられていますがこれは今年読んだということでニンマリ。
人間の手がまだ触れない収載
スタージョンの作品もよく例で挙げられていますがこれはなぜか読もうと思わなかったなぁ。

その他思い出深い話について

「犬山」
これを読んで犬山城・モンキーセンター・明治村に死ぬまでに一度は行きたいと思っていました。
最近やっと犬山城と、モンキーセンターには行きました。
犬山城は思いれもあったので感慨深く、文章通り景観等すばらしかったですが、モンキーセンターは...時代の波に勝てずちょっとさびれていて期待外れでした、楽しみにしていた「猿二郎コレクション」もなかったし。
あとは明治村に行っていない...死ぬまでに一回は行きたいなぁ、あと今回読んで思い出しましたが桃太郎神社。

「都市」
シマックの「都市」が挙げられていますが、これは中学生時代に読みました。
今に至るまで私の一番好きな海外SF長編の一つです。
絶版でプレミア出ているようですが実家にあると思うので是非再読したい。

「映画「審判」を見て」
カフカの「審判」ですが、これを読んで「読みたい」と思った記憶はありますがいまだに読んでいない。
カフカの長編はちょっとハードルが高い。

「クワイ」
親にここに書かれている調理法でクワイを調理してもらって食べたなぁ....。
懐かしい。

その他自分がその時感じたことが懐かしく思い出されました。
自分が成長(オヤジ化)したこともあれば、全然成長していないのもある...というのをなんとなく実感できました。

↓最後まで読んでいただいた方、よろしければクリックいただけるとありがたいです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村

死者の代弁者上・下 オースン・スコットカード 塚本淳二訳 ハヤカワ文庫

2013-07-22 | 海外SF
「エンダーのゲーム」を入手した地元のトラディショナルな古本屋で上、下450円で売っていたので入手。
(気になる絶版本は見かけたらとりあえず買うようにしている。)


本作は「エンダーのゲーム」の続編なのですが、そちらが若干期待外れだったので「どうしようかなぁ」とも思ったのですが...続けて読んだ方が入りやすいだろうということで読み始めました。
12年ローカス社オールタイム長編ベスト33位です。

余談ですが前回「エンダーのゲーム」で書き忘れたこと。
嫌々敵を殲滅してしまう天才少年ものといえば、「機動戦士ガンダム」がありましたね、アムロもかなり屈折してました。
あの映像世界をうまく小説家できたらかなりの傑作になったような気がする、実際の小説版はちょっと...ですが。
(そういえばガンダムは「宇宙の戦士」を元ネタにして創っているらしい)
ガンダムは79年くらいですが....スコットカードまさか見てないよな-。

さて本作
内容(裏表紙記載)
上:
宇宙に進出した人類が初めて遭遇した知的生命体は、昆虫型異星人のバガーだった。だがコミュニケーション不足のため戦争となり、双方の種族に不幸な事態を招いてしまった。それから三千年、銀河各地に領土を広げた人類は、ついに第二の知的生命体に遭遇した。惑星ルジタニアの森に住む動物ピギーが高度の知性を持つとわかったのだ。今度こそバガーの時のような誤ちは犯すまい・・・・・・人類はピギーと慎重に交渉しはじめたが!?
下:
ルジタニアの現住種族ピギーを研究していた異類学者ピポが研究していた異類学者ピポがピギーに殺害されてしまった。しかも残酷きわまりないやり方で。死んだピポになり代わり、その真実の生涯について語ってもらいたい。そう依頼された<死者の代弁者>エンダーは、早速ルジタニアめざして旅立った。ピギーの未来を、さらには人類の未来を変えるために・・・・・・前作『エンダーのゲーム』に続き、二年連続でヒューゴー、ネピュラ両賞に輝いた傑作長編!

上記にもあるように、「エンダーのゲーム」に続き二年連続ヒューゴー、ネピュラ両賞を受賞するという現在にいたるまで空前絶後の快挙を成し遂げた作品ですが....。
「エンダーのゲーム」が私的には????だったのであまり期待をしないで読み始めました。
読み始めたら.....。

止まらなくなりました。
物語に引き込まれてどんどん入っていくという感覚....久々でした。
あくまで「私的」にですが、かなりの傑作だと思いました。

ネット上での評価をちょいと調べたところでは、賛否両論。
スコットカードの作品で「一番好き」という人と、「なんだかわからない」「宗教臭くて入っていけない」という人に二分されています。

まぁ好き嫌いの別れる作品なんでしょうねぇ。
特に「キリスト教的」な描写に反発を感じる人には難しいかと思います。
私は極めて日本的な「無宗教人」なので、唯物論を信じているわけでもなく、アニミズムを信奉しているわけでもなく、「絶対者」なんてのも「あるかもねぇ」というきわめていい加減な宗教観念なのと、夢見る乙女的な正義感やら「愛」なんていうものを捨てきれていないおじさんなのでツボにはまったんだと思います。
高校生ではないので完璧に信じているわけでもないので作品のどこかにうさん臭さも感じているのですがとにかく読ませます。
うまく合えばすばらしい読書の時間を過ごせる作品です。

エンダーの超人性(説得力的な)とか、やたらみんな涙を流す展開などかなりご都合主義的展開もしらけだすとしらけてしまうかもしれませんが...。
基本的にはピギーとはなにか?、ルジタニアの生態系はなんでこうなのか?ピポの死の真相は?という謎を追求するミステリ形式でエンダーが名探偵役という構造。
そこにノヴィとエンダーの恋愛もの的要素が加わるかなぁという感じ(恋愛ものとしては成功していない様な気がしますが)
謎解きはハードSF風でなかなかいけますし、ちょっと屈折している名探偵エンダーの立ち位置が絶妙で非常に面白い物語に仕上がっていると思います。

その他感じたこと。
解説にも記載ありましたがル=グィンの影響を感じました。
個人的には「ゲド戦記」の構図を思い起こしました。
・エンダー=ゲド
・ノヴィーニャ=テナー
に当てはめると....、関係性がかなり似てくる。
解説では別生態系を持つ惑星ということでの「闇の左手」との類似性も挙げていましたが私はそこまで感じませんでした。
生態系の点では、「神々自身」を少し思い出しました。

あと書かれた年代はこの作品の後ですが「ハイペリオン」で出てくるコンピューター人格「AI」的な人格者(単一人格ですが) ジェーンや
超光速通信の存在、光速での旅行による相対時間差を多用している点など若干類似性を感じました。
シモンズも似たような立ち位置にいるような感を受けますのでスコットカードと仲いいんでしょうか?

いろいろ細かい点をつつくと出てくると思いますが、あまり深く考えずに物語の世界に入り込めれば、至福の時間が過ごせる作品と思います。
傑作です。

↓よろしければクリックいただけるとありがたいです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村

エンダーのゲーム オースン・スコットカード著 野口幸夫訳 ハヤカワ文庫

2013-07-16 | 海外SF
3冊違うジャンルを読んでまた翻訳SFに戻りました。

本作「エンダーのゲーム」はローカス誌オールタイムベストで2位、06年SFマガジンで22位となっている作品。
1986年のヒューゴー/ネピュラ両賞受賞(いわゆるダブルクラウン)の非常に有名な作品(のようです)。

にも関わらず現在ハヤカワでは絶版。
一時はアマゾンで中古価格でプレミアが出ていて2000円弱くらいになってましたが、映画化されるようで再刊を見込んでか相場は下がってきている模様。

と、気になっていたのですが2週間前に近所のトラディショナルな古本屋で300円で売っているのを発見して購入しました。
ラッキー??

内容(裏表紙記載)
地球は恐るべきバガーの二度にわたる侵攻をかろうじて撃退した。捕らえた人間を容赦なく殺戮し、地球人の呼びかけにまるで答えようとしない昆虫型異星人バガー。その第三次攻撃にそなえ、優秀な司令官を育成すべくバトル・スクールは設立された。そこで、コンピュータ・ゲームから無重力戦闘室での模擬戦闘まで、あらゆる訓練で最優秀の成績をおさめた天才少年エンダーの成長を描く、ヒューゴー、ネピュラ両賞受賞の傑作。

ローカス誌オールタイム2位ということでかなり期待を持って読んだんですが....。
期待し過ぎがよくなかったのか、そこまで名作とは思えませんでした。
内容をひとことでいえば「スラン」と「宇宙の戦士」を足して、コンピュータゲーム的要素を加えて割った感じ。
(「宇宙の戦士」は未読ですがイメージ)
目新しい内容ではない。
(評価はいまひとつのようですが、この手のテーマの元として「スラン」は結構名作なんでしょうね)

主人公の超人的子どもにそれほどリアリティを感じられなかったし感情移入もできなかった。

ストーリー展開も連載小説的な形で序盤の設定が後半変わってきているように感じました。
(「ピーター」の性格設定やらバガーとの戦闘設定についてなど、もしかしたらきちんとした伏線なのかもしれませんが)

最後のトリックというか仕掛けについてもまぁ大人が読めば分かる展開ですので意外感はなかった。

といいながらも読みながらいろいろ感じることはありました。
「君は優秀だ」と大人に言われながらずーと成績優秀で無理やりいろいろやらされている子どもは大変だろうなーということ。
この辺は「サラリーマン」である自分の姿にも重なり妙な気分になりました。
「君しかいないよ」とか言われてけっこうひどいことをやらされて報われるわけではない...。

主人公も最後に「君のせいではなく、判断した我々の責任だ」などと言われながらも、しっかり名前が世間に広がってしまっている...。
「英雄」ではあっても幸せではなさそう...。

主人公の兄弟は軍からは選ばれずに別の人生を歩むわけですが、どう見てもこっちの方が幸せそう。
少なくとも自分で選んで好きなことをやっている。

なんだか...身につまされる。

主人公を教育している軍の上層部も政治的な権力としてはどうなのか???、強いんだかなんだかわからない。
何が「強さ」で何が「幸せ」なんだろう?

などなど。

最初厳しめに書きましたが「オールタイム2位」と思って読むと「ウ~ン?」となりますが、普通に読めば楽しめる作品です。

「2位」なのは、アメリカ人がこういうミリタリー的なものが好きだからだろうか?

また、エンダーの悲哀を自分に当てはめるサラリーマンにもお薦め(か?)
(受験生だと報われないので薦められないか?)

続編の「死者の代弁者」も同じ古本屋で買っているので読み始めています。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村

エンデュアランス号漂流 アルフレッド・ランシング 山本光伸訳 新潮文庫

2013-07-05 | ノンフィクション
本書は10年位前に上司から貰ったもので「リーダーシップの本」としてビジネス書的に話題になっていたのは知ってたりしていました。
「読めば面白いんだろうなぁ」とは思っていたんですがなんだか手がつかず今まで読んでしませんでした。

無人島に生きる16人」を読んだら解説で椎名誠氏が本書のことを紹介していて「これも何かの縁だろうなぁ」ということで読みだしました。
力作で読み終わるのに1週間かかりました。

なおこの本は写真家の星野道夫氏が強く進めて邦訳・出版が実現したとのことです。

内容(裏表紙記載)
1914年12月、英国人探検家ジャクルトンは、アムンゼンらによる南極点到達に続いて、南極大陸横断に挑戦した。しかし、船は途中で沈没。彼らは氷の海に取り残されてしまう。寒さ、食料不足、疲労そして病気・・・・・・絶え間なく押し寄せる、さまざまな危機。救援も期待できない状況で、史上最悪の漂流は17ケ月に及んだ。そして遂に、乗組員28名は奇跡的な生還を果たす----。その旅の全貌

読みだしてすぐ「今の気分はノンィクションじゃなくフィクションだなぁ...」とちょっと後悔しましたが今年は読みだした本はとにかく最後まで読もうと決めているので読み切りました。

内容は裏表紙記載のとおりで、南極圏で遭難している話なんですがなんだかすごすぎてイメージがうまく湧かない。
全編「すげぇなぁ」という感想。
とにかく生き延びるということへの執念があれば人間って強いんだなぁということは感じました。
ペンギンやらアザラシを殺して食いまくりますが、28人でもこれだけ食いまくるんだから、人がある程度集まったら野生動物などひとたまりもなくなりそうだなぁというような感想を持ちました。

1部から5部まではわりと淡々と展開するのですが、最後、6人が助けを求めに行くあたり(第6部、第7部)からラストは一気にクライマックスが来る感じで息詰まる迫力でした。

「感動??」という感じで読んでいたのですが、人間社会との関わりがやっと出てきたところであらためて「ジーン」ときました。
やっぱり感動する作品な気がする。

「シャクルトン」はリーダーとして立派なんでしょうが、「リーダーシップ」の本的な読み方はちょっと邪道なんじゃないかと思いました。

ひたすら自然の驚異とそれに立ち向かう人間の弱さと意外な強さを味わう作品じゃないかと感じました。

にほんブログ村