しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

駅伝がマラソンをダメにした 生島 淳著 光文社新書

2012-11-27 | ノンフィクション
ファウンデーションシリーズでぐっと疲れたので箸休め的に読みました。

2~3年前にブックオフで105円で売っていたものを購入。
一応走る人なので...。



内容(表紙おりこみ記載)
駅伝がマラソンをダメにしている。
これは陸上界では長く考えられてきた問題である。しかしあまり一般の人に触れられることはない。それはなぜか?答えは簡単である。新聞テレビといった報道機関が駅伝、マラソンを主催しているからだ。(略)
それでも私は駅伝を否定する気は毛頭ない。駅伝は極めて魅力的な競技だ。
なかでも箱根駅伝に関してはこの機会に自分なりにその魅力を徹底的に考えてみるつもりだ。加えて、テレビが駅伝をいかに変化させたかを、各大学の特色を通して考えてみたいと思う。
(「はじめに」より)

タイトルでとりあえずつかむという新書で一時はやった手法で作られている本です。
(2005年発行)

要は箱根駅伝を1987年から日テレで完全中継を初めて、大学間の競争が熾烈になり選手がけがしたり、燃え尽きたりして問題では?というお話。

なんとなく陸上の専門家が書いているのかなぁと思って読み出したのですが、一ファンというスタンスで書かれています。

箱根のデータやらコーチの履歴やらは調べていますが、コーチや選手に直接取材しているわけではないので食い足りなさはありますし、正直「安直だなぁ」という印象。

各大学の特徴等書かれていますが2005年からずいぶん事情も変わっているので今日的価値はないですね~。
(早稲田はだいぶ強くなっていたりする)

コーチの人物像についてはさわりだけですが魅力的なので機会があればなにか関連するものを読んでみたいです。

駒沢大 大八木 弘明氏、神奈川大 大後 栄治氏とか(「夢は箱根を駆けめぐる」という本があるとのこと)、山梨大 上田 誠仁氏とか。

まぁ軽く読むにはいいですが取ってはおかないだろう本ですね~

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ファウンデーションと地球上、下 銀河帝国興亡史5 アイザック・アシモフ著 岡部 宏之訳 ハヤカワ文庫

2012-11-21 | 海外SF
銀河帝国興亡史シリーズとりあえずのラストです。(一番遠い未来を描いているという意味で)


あらすじ(表紙裏記載)

第二ファウンデーション捜索の任務を帯びたトレヴィズは、その途上で、惑星全体がひとつの精神を共有する超有機体ガイアを見出した。トレヴィズは人類の代表として、銀河の未来をガイアに委ねる決断を下す。だが、その選択は果たして正しかったのだろうか? 彼の〈直観力〉は告げていた。すべての答えは人類発祥の星、地球に隠されていると……かくてトレヴィズは自分の決断を裏付けるために、地球探索の旅を開始した!

盟友ペロラット、ガイア人の女性ブリスとともに地球を探す旅に出たトレヴィズは、まず最初に惑星コンポレロンに向かった。地球に関する記録がことごとく抹消されている中で、その星にだけは地球の伝説が残っているというのだ。わずかな手がかりをもとに、コンポレロンからオーロラ、ついでソラリアへと探索を続けていくトレヴィズ一行が、やがて見つけた地球の姿とは……? 圧倒的な人気を誇る巨匠の傑作シリーズ第五弾

これも絶版のためamazonで古本を購入。

前作「ファンデーションの彼方へ」終了直後から始まっており、わざわざ作者が前書きで「一応独立した物語ですよ」とは言っていますがこの作品を完璧に理解するには前作と本作の間に書かれた「夜明けのロボット」「ロボットと帝国」を読んでおく必要があると思います。

解説にも書いていましたがこの作品でアシモフ(主人公 トレヴィズ?)はひたすら迷います。(心理的にも空間的にも)
前作よりは理屈っぽいですが、上巻は一応エンターテイメント的体裁を整えていますが(私はアシモフ的理屈っぽいのは割と好きなので前作よりいいなぁという感じであった)下巻は読み進めていくと頭がぐらぐらしてきました....。

いたるところで旅に同行しているガイア人ブリズとトレヴィズはガイアや旅の進路やらなにやらについて論争しています。
これは男の視点、女の視点の違いでしょうか....。

夫・突然接待でお酒が入ったので今日の夕ご飯は食べられない..。
妻・食事用意したのにどうして帰ってこないのよ?おかしいんじゃない?

というレベルの会話を際限なく繰り広げています。(どちらが正しいのか答えは出ない...)

その他旧スペーサー(旧 地球人)の世界では変わり果てた様々な情景が繰り広げられており、ウェルズのタイムマシンを思い起こさせました、これまたなにが正しいんだかわからず頭がグラグラしてくる...。

何が正しいんだか、どうすればいいんだかわからない状況下で唐突にラストになります。

ラストは意外(ロボットと帝国を読んだ人は想像がつくと思いますが)な人物がでてきて、トレヴィズが「判断」するわけですが....。
ここまでひたすら理由を探してきたトレヴィズがいともあっさり「判断」します。
「本当にいいのか???」という感じ。

ラストは何とも不気味。

読み終わった後なにやら寒気が止まりませんでした....。

シリーズ最後の大団円やら爽快感を期待すると裏切られる気はしますが、「怪書」です...。
アシモフはどんな気持ちでこの作品を書いたんだろうか??

この先の未来は書かれていないのでわからないわけですが...、う~ん。


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ファウンデーションの彼方へ上、下 銀河帝国興亡史4 アイザック・アシモフ著 岡部 宏之訳 ハヤカワ文庫

2012-11-20 | 海外SF
ファウンデーションシリーズに引き続き読みました。

1~3は新品が手に入りますが、4以降は絶版になっているため、古本を入手することになります。
昔だったら探すだけで大変だったんでしょうが、今はamazonでちょちょっと探せば手に入る。
便利なような味わいがないような...。
そんな状態だから、早川書房に「復刊しろ!!」という要望があまりでないんでしょうね。
私個人としては、いまのハヤカワ文庫のアシモフ作品のラインナップの少なさは異常だと思いますので是非大規模復刊を望みたいです。

さて、「ファウンデーションの彼方へ」

あらすじ(表紙裏記載)

設立から五百年、第一ファウンデーションは今、その力の絶頂にあった。野蛮な状態に逆行した周辺惑星を併合し、死にかけた帝国や恐るべき超能力を持つミュールや謎に包まれた第二ファウンデーションをも打ち負かし・・・・・・天才科学者セルダンがうち立てた第二帝国建設プランは、順調に進行しているかに見えた。だが、それを信じない人物がただ一人いたのだ!全世界のファンから絶大な支持を受ける巨匠の傑作シリーズ第四弾

滅びたはずの第二ファウンデーションは生き残っており、銀河の歴史を蔭で操作しているのではないか? 青年議員トレヴィズの大胆な推理は、第一ファウンデーションを震撼させた。ただちのトレヴィズは第二ファウンデーション探索の任務を与えられ、考古学者ペロラットと共に外宇宙へ送りだされる。だが、そこで見つけたものは・・・・・・? 人気シリーズをさらに壮大な未来史へと発展させ、ヒューゴー賞に輝いた傑作長編!

印象ですが...。
ファウンデーションシリーズ1~3から30年経った1982年に刊行された続編だけあって、前作からの継続性という意味では違和感のある仕上がりです。(こっちは読んだばかりで読んでいるし...)

20歳代のアシモフと62歳のアシモフですから違いも当然ですね。

そこを加味して読むとストーリー的になんとか整合性をとっていて違和感をなくしている技はさすがアシモフという感じ。

ただ「1~3」を読み終えたばかりの私としては若干の物足りなさを感じました。
「若さ」の持つテンションの高さというか、恐ろしいまでの気迫というようなものがないように感じました。
そういう意味ではSFは青春の文学なのかもしれませんね。

ネット上でちらちら感想を見てみましたが、上記の私のような意味で「ファウンデーションの彼方へ」を悪くいう人、それとは逆に旧ファウンデーションシリーズ(1~3)を「ひとりよがりだ」とか「わかりにくい」とかで悪く言う人がいるようです。

私的には「1~3」の方が好きですが、この「ファウンデーションの彼方へ」は60歳代のアシモフの持つ熟練が感じられ、余裕を持って読者を飽きさせないしかけをたくさん備えた上質のエンタテインメント小説になっていると思います。
(その辺あざといと見るか、楽しいと見るかですね)

ただ主人公のトレヴィズがもう少し魅力的であったらなぁという感じは受けました。
ロボットシリーズの主役であるイライジャ・ベイリ的役回りなんでしょうが、「コンプレックス」的なものがあまりにない感じで、平板な印象を受けました。
他の主要登場人物のターミナス市長 ブラノ、第二ファウンデーション発言者 ジェンディバルが魅力的だけに目立ちました。
これも先への伏線なのだろうか?

他、作中でこの後の刊行である「夜明けのロボット」「ロボットと帝国」のほぼネタバレ的な話が出てきます。
アシモフの頭の中では「ファウンデーションの彼方へ」を書いた段階でほぼ次作以降でのロボットシリーズとファウンデーションシリーズとの統合の行方をほぼ完成させていたんでしょうねぇ「アシモフってすごい...」と改めて感じました。
本作つなぎ的要素が強い気もしましたのでその辺も「ロボットと帝国」同様若干物足りなさが残るのかもしれません。

また本作では「ガイア」を出してきて、前作までの規律であったセルダンプランをひっくり返していますが果たして本当にひっくり返しているのか?
今後どうなるのか非常に気になるラストです。

この作品刊行と同時代で読んでいて間に「夜明けのロボット」、「ロボットと帝国」を挟まれたら悶えてしまいそうなラストです...。

次はファウンデーションシリーズで一番の未来(この作品の直後)が描かれる「ファウンデーションと地球」を読む予定です。
いろいろな謎がとりあえずクリアーになりそう。
楽しみです。


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第二ファウンデーション 銀河帝国興亡史3 アイザック・アシモフ著 岡部 宏之訳 ハヤカワ文庫

2012-11-15 | 海外SF
「ファウンデーション対帝国」でアシモフのすごさに圧倒され、その勢いで一気に読んでしまいました。
読み終わるとなにやらもったいないような気がしています....。


あらすじ(裏表紙)
設立後300年で、第一ファウンデーションは瓦解してしまった。ハリ・セルダンが予見できなかった人間、超能力を持つミュールに撃破されてしまったのだ。だが、もうひとつのファウンデーション、謎に包まれた第二ファウンデーションが残されていた。銀河系征服をもくろむミュールとそれを阻止しようとするファウンデーションの生き残り、両者による第二ファウンデーション探索が開始されたが・・・・・・傑作宇宙叙事詩、第三弾

第一部 ミュールによる探索
第二部 ファウンデーションによる探索

「ザ・ミュール」が論理だけでなく感性的なものも加えて迫ってきたのに対し、この巻では一、二部とも「論理」を中心としたミステリ仕立て。
アシモフのミステリ的才能が遺憾なく発揮されています。

とはいっても、第一部は前作に続いてミュール、そして名わき役として渋い味を出しているハン・ブリッチャーも引き続いて出演していますので前作の余韻は引きずっている感じです。
敵役の「ミュール」なんとも憎めないキャラです。
アシモフ自身もかなり気に入ったキャラだったんじゃないかなぁという気がしました。

第二部はより「論理」に特化した展開です。
相当注意深く読まないと頭がくらくら来る感じの書き方ですが、すべての文章に論理の破たんはなく、伏線になっているというのがアシモフのアシモフたるところ。
(並みの作家だったらどこかで破たんしそうな気がする。その方が読んでいて楽だったりもするんでしょうが...)

1948~49年頃 28~29歳のアシモフ、キレに切れてますね。
第二部で狂言回し的に出演しているアーカディ・ダレルもなかなか魅力的なキャラなので、彼女を軸に情感を出して書いてもよかったのでは?という気もするのですが....。

最後まで容赦なくミステリ仕立てで、ラストは息つく暇もなく二転、三転させ結末に持っていきます。

この辺夢中になって読みました。(止まらなくなった!)

この巻も中学生の頃読んでいるはずなのですがほとんど記憶なし...。
当時の私では微妙な心理戦を繰り広げる展開が理解できなかったんだろうなぁ~。

読了後しばらく呆然としました。

ここまでテンションを上げて書き上げてしまうと、80年代まで続編に行けなかったのもわかる気がします。

すごい作品、名作です。


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ファウンデーション対帝国 銀河帝国興亡史2 アイザック・アシモフ著 岡部 宏之訳 ハヤカワ文庫

2012-11-14 | 海外SF
ファウンデーションシリーズ読破ということで、「ファウンデーション」に続き読みました。

1の「ファウンデーション」3の「第二ファウンデーション」は丁度あったのでブックオフで買いましたが、この「ファウンデーション対帝国」はamazonで新品を購入。

ハヤカワ文庫SFシリーズ、できるだけ絶版になってもらいたくないので絶版でないものは新品買いたいところです。
(じゃぁ他も買えよ!とういう話もありますが....)

ちなみに新品は新装版なのかサイズが普通の文庫よりも大きい(縦に5mmほど長い)。
どうでもいいんですが普段使用しているブックカバーに入らなくて困りました。



あらすじ(裏表紙記載)
天才科学者ハリ・セルダンによって辺境の惑星ターミナスに”ファウンデーション”が設置されてから二百年が経過した。はじめは百科事典編纂者の小さな共同体として発足したファウンデーションもやがて諸惑星を併合し、着々とその版図を拡大していった。だが、衰退の途にあるとはいえ、いまだ宇宙の人口と富の四分の三を支配している帝国が、最後の凶暴な攻撃をしかけてきた!巨匠が壮大な構想で描く傑作シリーズ第二弾

章立て
第一部 将軍
第二部 ザ・ミュール

第一部の将軍は「ファウンデーション」に続く、第一ファウンデーション建設までの神話的な感じです。
一応帝国との力関係が変わったことを示すエピソードかつ「神話」の時代の終了を告げる位置づけという展開になっていますけれども。

ということで若干の食い足りなさと、「こんなもんなのか?」という感がありました。

しかし、
前回「ファウンデーション」でも書きましたが、第二部 ザ.ミュールに入ってから、それまでの話が伏線だったのだなぁということが理解できました。
「このような神話を持つ世界でこのようなことが起こればこうなるんだろうなぁ」という展開。
そういう前提を持って読者が読むと非常に臨揚感がわくようにストーリーが展開されます。

この「ミュール」の話は、昔(中学生くらいか?)読んだ時の記憶が残っていたようで、ミュールの正体とある程度の展開は読みながらわかってしまいましたがそれでも十分楽しめました。
若きアシモフの作品(初出が1945年、アシモフ25歳...天才ですね)というこもあり話としては若干アラもあるような気もしましたが、その分パワーがありぐいぐい押されて一気に読んでしまいました。

敵役としてのミュールの造形素晴らしいです。
強烈に記憶に残りました。
ヒロインとしてのベイダ・ダレルも抑え気味に魅力的に書かれています。

とにかく、ここまでの神話をすべて下敷きにしてこんな話を作る....スゴイのひとこと。
堪能しました。

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