しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

自転車冒険記~12歳の助走 竹内 真著 河出書房新社

2012-10-28 | 日本小説
現在進行形で活躍している小説家として竹内 真氏のファンです。

もっと名前売れてもいい作家だと思うのですが今一つ知名度が低い。
そこがいいところでもあるんですが....。

この「自転車冒険記~12歳の助走」は、氏の「自転車少年記」と時系列的にはそのもう少し後まで書かれている新潮文庫の「自転車少年記~あの風の中へ」に続く作品です。

前二作は新潮社からの発刊でしたが今回河出書房新社からの発刊。

図書館で自転車雑誌を借りて読んでいたらこの本が紹介されていたので、10月頭にamazonで購入しました。
2011年2月の発刊でしたが全然知りませんでした、本当にファンなのか..う~ん。

本屋になかなか並んでいるとは思えない本なのでこういう時ネットは便利ですね。

内容は、自転車少年記の主人公である昇太の子供北斗の自転車で東京から大阪への向かおうという冒険に関して書かれています。

全体的な印象は、軽すぎるかなーという感じ。
2時間くらいで読み終わってしまいました。

私も小学校4年生の男の子がいますが、親の気持ちとしてなかなか身につまされる描写などありましたし、この作者独特のなんだか垢抜けしきれないなんだかもやもや感あありながらも懸命に生きているという感じの人物群に好感は持てましたが、もう少しひねりが欲しかったような気がします。

竹内氏、作品次第で当りはずれが大きい印象があるのですが、この作品は私の中では残念ながらはずれかなぁ....。
思い切って子供をターゲットにして振り仮名つきにしてくれれば子供に読ませられるのになーという気がしました。

「もっとできるだろう!!」と思うと点が辛くなります。

でも竹内真氏「いいですよー」

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北極点グリーンランド単独行 植村 直己 文春文庫

2012-10-25 | ノンフィクション
前作「北極圏1万2千キロ」に続き文春文庫の植村直己氏の作品
「北極点グリーンランド単独行」

この本もamazonで2006年8月に古本を買っています。
(記録が残っていた)

ここのところ続けて読んでいた文春文庫の植村直己氏の著作の最後の一冊です。

北極圏1万2千キロの旅の2年後、犬橇での単独行、北極点挑戦後グリーンランド縦断の記録です。

前回の「北極圏1万2千キロ」の旅との違いは、電通やら何やら大資本がバックについて厚いサポート体制の元でのチャレンジということ。

食糧やら何やら必要なものは飛行機で補給を受け、犬も途中交代あり、NASAのサポートで位置情報も確認してもらえるという体制での挑戦。
なんだか「非現実的な」旅であった前回の旅に比べぐっと20世紀チックかつ21世紀も見えてくるような体制です。

そのおかげもあり、前回数えきれないほどのアザラシやらカリブーやらが食糧、犬の餌、として狩られ、犬もたくさん死んでいきましたが、今回死んだのは白熊2頭と犬1匹とずいぶん進歩(?)しています。

相当楽になっていると思うのですが、読んでいるとサポートが厚くなっていろんな人を巻き込んでいる分、植村氏がかなりのプレッシャーを感じているのが伝わってきます。
特に北極点チャレンジでは、ほとんど同時期にチャレンジしている日大隊との競争になっていて読んでいて痛々しいほどです。
「何が何でも」というようなかなり危ない言葉も出ており、そのプレッシャーからかなり危ないことをしていたりしています。

グリーンランド縦断の方ではかなりリラックスしている感じが見受けられる文章になっていますが、最初の氷河を登っていくところ以外の氷床縦断以外はそれほど難所もなく、本人もちょっと拍子抜けだったのかも??というような感じも受けました。

そうはいっても北極点近くで、氷がダイナミックに動く場面やら、グリーンランド内陸部の氷が標高3000m以上の高さにまでなっているということなどはなんだか想像を絶する情景で面白く読めました。

植村氏の冒険はこのグリーンランド縦断後、南極にもなかなかチャレンジできず、冬季エベレスト登頂失敗等暗転していくわけですがその分岐点にある記録かと思うとそれもまた感慨深く感じました。

でも、私的には「極北に駆ける」「北極圏1万2千キロ」の方が生々しい感じで好きですね~。

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いいひと。21 高橋 しん著 小学館

2012-10-21 | 漫画
いいひと。21 Home sweet home

19、20に続きリストラ編ですが、「リストラプロジェクト」は少し脇にハズレこの巻では、副題の「Home sweet home」にも表れているように「家族」についてが描かれています。

この「いいひと。」17、8巻くらいからセリフが多くなり読みにくくなり、ギャグマンガ的要素が減っていくのですがこの巻は久々に笑えました、電車で読んでいて笑いを抑えるのが大変でした。
場面は主人公 北野が料理を作るところですが、私くらいの年代じゃないと面白みはわからないと思いますが...。

そんな笑いを交えながら「家族」について、会社について「社長と社員」=「家族」といって論旨で話が展開されます。

「きれいごと」だったりマンガに人生語られたくないというのはあるかと思いますが、私は割と素直にジーンときました。
最初に読んだ時と違って子持ちですし....。

マンガはきれいごとで正論語っていて欲しいなぁ。

この巻よかった。

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北極圏一万二千キロ 植村 直己 著 文春文庫

2012-10-19 | ノンフィクション
「エベレストを越えて」「極北に駆ける」を読んで、に続きでこの本を読みました。
これもネットで2006年8月に古本を入手し読まずにそのままになっていたもの。
(amazonで見たら注文履歴が残っていたので正確な年月わかりました。ネット社会すごい)


「北極圏一万二千キロ」は、前作「極北に駆ける」でグリーンランドでエスキモモー文化の吸収と、犬橇技術を習得した著者が、その2年後に挑戦したグリーンランド→カナダ→アラスカ 12,000kmの犬橇での単独行1年半(1974年12月~76年5月)の記録です。

章立ては
 ・第一章 氷の王国グリーンランドに挑む
 ・第二章 カナダ北部の無人地帯を往く
 ・第三章 厳冬のツンドラに闘う
 ・第四章 最後の旅-アラスカへ
となっており、日記調で日を追って書かれています。

読みながらまず思ったことは、「すごい危ない...」書中でもグリーンランドエスキモーの老人が「エスキモーは絶対単独での犬橇長距離行はしない」と言っていましたが命がいくつあっても足りない感じで旅が進んで行きます。

30度を越える斜面を犬橇で越え、下っていく最中に犬ぞりが横転して下敷きになったり、無人の氷の上で海氷が割れ橇が落ちそうになったり白熊に襲われそうになったりと危ないことこの上ない...。

食糧やら資材も資金不足でいつも不足してぎりぎり.

エスキモーならこんなことはやらないし、欧米人ならもっと資金やら準備やらちゃんとしていくんだろうなぁと思います。
そういう意味では日本人ならではの冒険かつ、こんなことをやるのは植村氏くらいだろうなぁ。
すごい人だと思いました。
現在では北極海の氷も少なくなっているし、エスキモーももっと近代化して犬橇用の犬を調達するのも無理だろうしもう二度と同じことはできないという冒険行でしょう。

前作「極北に駆ける」でも感じましたが、なにやら地球上の出来事という感じがせずファンタジーでも読んでいる感じがしました。

この本では最初から最後まで、そんな危ない旅を誰のためでも何のためでもなく「やりたい」というだけの思いで、延々続けられていきます。
その中で橇を曳く犬は過酷なまでに酷使され、時には病死、過労死、殺されたり、(死体を共食いしたり...)氷原におきざりにされたりします。
その犬のエサとしてアザラシやらクジラやら白熊やらカリブーやら現在では「殺すのちょっとまずいんじゃない?」という動物がどんどん刈られていき毛皮が取られていきます。
犬好きや動物愛護推進論者、自然保護論者が読んだら卒倒しそうな内容です。
なんだかこの本が絶版となったままなのも分かるような気がします。

やたらエサを食べる犬橇よりガソリンで動くスノーモービルの方が環境負荷低いんだろうなぁというのが理屈でなく入ってきます。
世界中エスキモーだったら動物全部絶滅するだろうなぁ、西洋文明ってすごいです。
(西洋文明を入れたライフルでエスキモーの刈りの能率が飛躍的に上がっているというのもありますが....)

そんな冒険をあくまで日本人的メンタルで続ける植村氏....なんだか物凄いものを感じます。

日本人的メンタルについてですが、犬の扱いに端的に感じました。

犬はあくまで道具であり、食糧であり使えなくなったら迷わず殺して食べるエスキモー。
愛玩動物、犬橇というスポーツの道具として考えており、惜しみなくエサを与えるが、ケガや病気で苦しんでいたら置き去りにするよりも自ら殺してしまう欧米人。(犬はあくまで犬でしかない)

犬を擬人化してパートナーと考えていながらも、物凄く酷使し、お金がないからエサも十分に与えず、弱ったら自らトドメをさせず置き去りにして、状況次第ではいやいやながらも殺してしまったりもする植村氏。

う~ん日本人的にはよくわかるメンタルです。

この物凄い旅の終わりをどうまとめて終わるのかなぁと思っていましたが。

ラストの展開・文章よかった....。
陳腐といえば陳腐ですがこの冒険行を結ぶにはふさわしい文章だと思いました。
このラストで私の中での評価は5割増しでした。

「極北に駆ける」とこの「北極圏一万二千キロ」2冊はセットで読まれるべきものですね。
長編物語として読んでも、ぐっと来るのではないかと思います。

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極北に駆ける 植村 直己著 文春文庫

2012-10-14 | ノンフィクション
「エベレストを越えて」に続き、文春文庫の植村氏の著作です。

入手は200?年頃ネットで古本を購入しました。

この「極北に駆ける」はエベレスト国際隊の後1972年9月~73年6月までのグリーンランドのエスキモーでの暮らし及び犬橇での3000km単独行くを綴ったものです。

時系列的には70年のエベレスト日本隊、71年の国際隊の方が古いわけですが、この「極北に駆ける」の方が書かれたのは早いためか、文章は「エベレストを越えて」より若々しく、「エベレストを越えて」ではどこか達観した感じを受けましたが、この作品では野心にあふれた「青春」真っ盛りな印象を受けました。

植村氏関係の本はいろいろ読んでいたので、グリーンランドでの話も断片的には読んでおりダイジェスト的に知っている気になっていましたが、まとめて本人の書いたものを読むとやはり迫ってくるものが違います。

シオラバルクのエスキモーの人たちの生活描写は生々しく感じられましたし、交流の話もなんだか心にしみいりました。

犬橇3000kmの旅はこの人らしいどこか自分を突き放したところから書いていますが、その分大変さが伝わりました。
淡々と書いていますが、一つ間違えば命が危ない...、「冒険」ですね。

グリーンランドの自然環境も温暖化の影響などで変わっているでしょうし、エスキモーの暮らしもこの本に書かれたような昔ながらのエスキモーの暮らしをしている人は果たしてまだいるのだろうか?
犬を食べてしまう話や、白熊を撃つ話なども今の世の中では通らないだろうな...。

そんなことを考えたらなんだか別の世界のおとぎ話を読んだ気にもなりました。

「人間の暮らしって...」などということを考えさせられる本です。

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