しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

神々自身 アイザック・アシモフ著 小尾芙佐訳 ハヤカワ文庫

2013-04-28 | 海外SF
先々週川崎のブックオフで見かけ、実家に帰ればあったような気もするのですが....、「まぁ450円ならいいか」ということで購入。
ちなみに本書もも現在ハヤカワ文庫では絶版中。

前述のように昔読んだような気もするのですが例によって全く覚えていない....。
原書は1972年刊行、アシモフ久々のSF長編ということで話題となり「ヒューゴー」「ネピュラ」ダブルクラウンに輝いた作品です。

内容(裏表紙記載)
西暦2070年、タングステンと交換に<平行宇宙>からプルトニウム186がもたらされることが判明した。われわれの宇宙に存在しないこの物質は、無公害で低コスト、しかも無尽蔵のエネルギー源として歓迎され、両宇宙をエレクトロンポンプでつないでのエネルギー交換が実施された。だがこの魅力的な取引には、恐るべき陥穽が隠されていた・・・・・・SF界の巨匠が満を持して放て、ヒューゴー、ネピュラ両賞受賞に輝いた最高傑作

読んでみての感想、第二部は「すごい」とうなりましたが全体としてはアシモフらしい破綻なく読ませる展開と感じましたが「名作」とまではいかないかなぁという感想。
本質的にはアシモフは中編作家なのかもしれませんね。
ファウンデーションシリーズも中編の連作ですし。
第一部、第三部のハードSF的展開だけみればJ.P.ホーガンの方が上かなぁという感じです。(いかにも書きそうなテーマですね)

第一部愚昧を敵としては・・・・・
-作品・各部のタイトルはシラーの文章の一節から取ったとのこと-
パラ宇宙から来たプルトニウム186を巡るドタバタをミステリ仕立てで構成。
前述のとおり「すごい」とまでは思いませんでしたが、アシモフ熟練の筆で普通に楽しく読めます。

第二部・・・・・・神々自身の・・・・・・
第一部の地球でのドタバタをパラ宇宙人側から描いています。
当時アシモフに欠けていた、「異星人」「性」を正面かえあ描いたことで話題になったとのこと。
「性」はお色気はないですが...女性キャラである「デュア」は魅力的です。
アシモフの描くちょっと知的で中性的な女性は魅力的ですね。
(お色気キャラはいまいちですが......)
「異世界」をこんな視点で書ききることができるのはアシモフくらいじゃないか?と思わせるすばらしい出来。
「うなりました」これだけでも読む価値あり。

第三部・・・・・・闘いもむなしい。
こちら側の宇宙に戻ってプルトニウム186の危険をなんとかするというもの。
第二部で終わっていた方が「闘いもむなしい」さがよく出ていて良かったようなきもするんですが....。
アメリカンなヒーローがなんとかしてハッピー・エンドというお話。
この第三部の脳天気さがこの作品の感想の「???」さになっているのかもしれませんね。

今読んでも十分面白い作品ですが....「ただ歴史を超える名作か?」といわれると考えてしまいます。
何回もいいますが第二部はすばらしい。

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宇宙をぼくの手の上に フレドリック・ブラウン著 中村 保男訳 創元推理文庫

2013-04-22 | 海外SF
これも引っ越し作業中に発見して読み始めました。
新本で購入した記憶があります、奥付見ると1981年4月(18版-初版1969年、売れてたんですねぇ)
年からみると小学校6年生くらい...懐かしい。


ありがちですが当時星新一から小説の世界に入り、氏絶賛のフレドリック・ブラウンを読み始めた記憶があります。
「発狂した宇宙」や「シカゴ・ブルース」などは当時からわかりやすく楽しく読んでいましたが、短編集は正直無理無理読んでいたような記憶もあります。
本書もそんな一冊ですが、ということで読み出しました。

内容(カバー記載)
当代きってのSF短編の名手ブラウンが描く奇想天外なお話のかずかず。月に思いをよせるハツカ鼠,いとも善意に満ちた怪物ベムたち,ゴキブリの思念投射に惚れ込んだ男,サンドウィッチの中の宇宙船等々,奇抜な着想と豊かなファンタジーにいろどられた全9編の物語の饗宴はいかなるSF嫌いの読者をもSFファンに変えてしまう不思議な魔力を持っている。前集「未来世界から来た男」「天使と宇宙船」に並ぶSF名短編集である。

上記の補足ですが、本書「宇宙をぼくの手の上に」は1951年刊行のブラウンの第一SF短編集です。(創元で出た順?)

とりあえず読了後の感想、フレドリック・ブラウンすばらしいです。
最初3編は正直いまひとつの出来かとも思いましたが、4編目の「ノック」辺りからテンポ・構成・内容といいすばらしい。
アシモフの「停滞空間」所収の短編は殆ど覚えていませんでしたが、今回はかなり内容も覚えていました。
当時わからないながらもなんだか印象に残っていたんでしょうね。
さすがは絶版になっていないだけのことはある、ということでしょうか。

ブラウンのいい作品を集めて短編集を出したら再評価されそうな気がします。
(もしかしてもうされている)

-序文
作品ではないですが、著者のSFへの思いが伝わってくる。
(SFは自由に設定できるという意味で「真」の文学)

○緑の地球
私的には安直な展開な気がしました、結末も。
古き良きSFという感じですねぇこの辺は現代で生き残るのは厳しい気がしました。

○1999年
アシモフ初期短編集辺りに出てきそうなミステリもの。
味わい深い探偵ですが、ちょっと安直かなぁ。

○狂った星座
星座の狂った理由を覚えていたためどうも楽しめませんでしたが、仕掛けというより登場人物のネジのゆるみ具合がなんだかシュール。
結末と仕掛けはやはりちょっと安直かなぁ。
(覚えていた)
○ノック
この作品辺りからブラウンらしいひねりが効いてきて楽しめます。
wikipediaによると「最初二行で完璧なショートショート」となっていることで有名とのこと。
そこから、ある設定を創って絶妙な展開でストーリーを進めて、最後の「なるほど」というオチ...うなりました。
(なんとなく覚えていた)

○すべて善きベムたち
ブラウン得意の(?)SF作家が主人公の作品。
前作同様絶妙です。
もう少しで安直な作品になりそうなギリギリのところで仕上げている。
なんだか登場人物が日常とくっついているようで離れているところが魅力的。
イソップ童話的味わいです。
(なんとなく覚えていた)

○白昼の悪夢
メイントリックは若干安直ですがミステリ仕立ての作品。
主人公や周りがパニックになっていく様子がなんだか異世界な感じでいいですね。
ブラウンは「発狂した宇宙」や「火星人ゴーホーム」でもこのような展開を描いていますが得意なんだでしょうね。
なんだかひどいことになっているのに、周りの人も主人公もなんだかおかしい??。
味わい深い作品です。

○シリウス・ゼロは真面目にあらず
まぁ安直なんですが、ここまで安直に書かれるともうなんとも言えないというか不思議な味わいを持つようになります。
テンポもいいし楽しめます。

○星ねずみ
安直なアイディアですが、ブラウンが描くとなんだかおかしい。
前にも書きましたがイソップ童話の味わいですね。
ねずみがかわいいのと、世界で一番有名なねずみのパロディになっているのもブラックな感じでなんだか笑えます。
(覚えていた)

○さぁ、気ちがいに
これもパニックものといっていいでしょうね。
昔読んだのをなんとなく覚えていますが、その時は「怖い」と思った記憶があります。
アイディアそのものは安直なのですが、ミステリ仕立てというかサスペンス仕立で主人公巻き込まれ型パニックを書くのがうまいんでしょうねぇ。
今読んでも十分楽しめますし、なんだかわさわさした感情が呼び起されます。

フレドリック・ブラウンは正直「幻滅したらやだなぁ」と思って読み出しましたのですが改めて良さを再発見した気がします。
中学生くらいでは面白さがよくわかっていなかったんでしょうねぇ。
「大人の童話」という感じで現代でも十分通用しそうです。
60年生き残る作品というのはすごいですね。

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停滞空間 アイザック・アシモフ著 伊藤典夫・他訳 ハヤカワ文庫

2013-04-16 | 海外SF
引っ越し時に物置で発見。
中学生頃古本屋で買ったと思います。(奥付は昭和54年)

amazonで確認したら余裕の絶版で若干プレミアまで出ている(?)。
早川はアシモフ作品いつ頃復刊するのだろうか??、鋼鉄都市が映画化されそうな気配もあるようなのでその時くらいか....。

ちらっとみたら「夜来たる」(短編集)などはものすごいことになっている
中古で18,500円から....とても買えない。
確か実家にあったと思うので今度取りに行こう。

さて「停滞空間」。
昔読んだはずですが、表題作の「停滞空間」以外まったく記憶にない、記憶っていい加減ですね。
原書は1958年刊行、現題は「Nine Tomorrows」
表題の「停滞空間」(The Ugly Little Boy)はローカス誌オールタイムベスト中編部門(Novelettes)で46位に上がっている名作です。

内容(裏表紙記載)
時力線と平行に動き、エネルギーの過不足のない場<停滞空間>。この別の宇宙を通りぬけて、4万年前からネアンデルタール人の子供ティモシィは連れてこられた。最初ティモシィの異様な姿に恐れをなした世話係りのミス・フェローズも、やがて限りない愛情をその猿人の少年にそそぐようになっていく・・・・・・表題作「停滞空間」をはじめ。万能コンピューター<マルチヴァク>の不可解な行動を描いた「世界のあらゆる悩み」美貌の妻ヒルダぬきで、太陽系随一の繁華街マーズポートでのエージェントの活躍を描く「ヒルダぬきでマーズポートに」など巨匠のが著した九つの未来の物語。

人間の手がまだ触れない」で「アシモフよりシェクリィの方が上か?」などとも書きましたが、本書は落穂拾いでないちゃんとした短編集。
レベルの高い作品が収録されていました。
やはりアシモフ、天才です。(全部が全部天才ではないですが...)

-見よ、いまここに成し遂げる!
 アシモフのSF詩(あまりいいと思わないなぁ・・・)
○プロフェッション
抒情的な名作と思います、イメージにあるブラッドベリ的作品と感じました。
(萩尾望都の描いた「ウは宇宙船のウ」のイメージ、原作は未読)
なんで全然覚えていなかったんだろう、と不思議になりました。
「少年」の気持ちというかもどかしさが良く書かれていて、さらにいかにもアシモフ的な解決をするラストも見事としかいいようのない作品。

○ナンバー計画
プロフェッションよりは落ちますが、なかなか味わい深い仕上がり。
ラストの乾いた感じが不気味さを醸し出しています。

○やがて明ける夜
「アシモフのミステリ世界」収載
○ヒルダ抜きでマーズポートに
これも「アシモフのミステリ世界」収載

*上二作今回は読んだことに気づきましたが、「アシモフのミステリ世界」を読んだときにはまったく既読な感じがなかった。
 まったく覚えてないんですねぇ...。

○やさしいハゲタカ
タイトルと内容がマッチしていて絶妙かつ、なんだかイメージが頭に残る作品。

○世界のあらゆる悩み
マルティバックもの。
アシモフ、このテーマ結構好きなんでしょうね。
ミステリ仕立てでドタバタは楽しめますが、途中からラストはなんとなく読める感じ。

○ZをSに
タイトルから思いついたんでしょうねぇ...、というお話。
風が吹けば桶屋が的展開で普通に楽しめました。

○最後の質問
マルティバックもの、時間軸を伸ばしていくことで作品化しています。
安直といえば安直ですが、アイディアは買いですね、一回しか使えなさそうですが。

○停滞空間
筋立てはほぼ覚えていて、ベタベタなお涙頂戴ストーリーですが....。
ラストは泣いてしまいました。
脇役であるホスキンス博士の立ち位置と展開が絶妙なんでしょうね。
アシモフっぽくない作品ですが名作だと思います。

○返送票
アシモフらしい戯言文です、「停滞空間」の照れ隠し?

ネット上では最初の「プロフェッション」と「停滞空間」の二作に評価が二分していますが、「停滞空間」は素直に推しにくい内容ですしねー。
この二作を読むだけのためにも読む価値はあると思います。


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人間の手がまだ触れない ロバート・シェクリイ著 稲葉明雄・他訳 ハヤカワ文庫

2013-04-12 | 海外SF
昨年末大森のブックオフで450円で購入。
最近ブックオフに行くとほぼ文庫海外小説のハヤカワと創元の段を覗いており、掘り出し物があるとなんだか幸せ。

本書も昔からSFの名作として名高いですが、かなりの期間絶版になっていた模様。
少なくとも私がSFを読んでいた80年代(小学生高学年-高校生)には出ていなかったはず。

昔から古本屋に行くのが趣味でよく探しましたが見つからなかった本のひとつなので入手しただけでうれしかった。

入手したのは2007年1月に復刊された新版、字は大きくなっていますが新訳というわけではない。
もしかしたら80年代からずーと絶版状態だったんだろうか.....ある意味すごい。

解説によるとシェクリィは日本での人気はすごいように書かれており、「筒井康隆氏などは和製シェクリィと呼ばれていた」(筒井氏本人の書評)とあり、たしかにそんな感じもありますがよく出す06年のSFマガジンオールタイムベスト翻訳短編でも名前が出てこない、ローカス誌の短編小説ランキングでも出てこない。
忘れられた作家なのでしょうか....。

本書はシェクリィの第一作品集で1952-1953年に雑誌に掲載された作品を集めたもの。

内容(裏表紙記載)
このままでは、ふたりとも餓死してしまう! 手違いのため食料を積み忘れた宇宙艇乗組員は、前方に現れた人席未踏の惑星に着陸し、食料を調達しようとするが!?ブラックなユーモアにあふれる表題作、時空にできた割れ目に挟まってしまった男の奇妙な冒険を描く「時間に挟まれた男」、殺人が特定のルール化で合法化された社会を舞台にしたサスペンス「七番目の犠牲」ほか、奇想天外でウィットに富んだ13編を収録する傑作集

とりあえず読んでみての感想。
最初の5編がすごい出来だと思いました。
乾いた調子で「不条理」というか常識を全然違う視点で眺めた世界が描かれた作品でうなりました。
頭がグラグラする感じ、素晴らしい。
「鋼鉄都市」を読了後読み出しましたのですが、「現時点で読んだ場合アシモフよりかなり上?」とまで思いましたが、表題作「人間の手がまだ触れない」から後の作品は乾いた感じが薄れ、若干安直かなぁという感じでレベルは正直落ちました。
この程度ならアシモフの落穂拾い作品でも十分書けそうなレベル(???)
でも全体として今読んでも十分通用する作品群です、一読の価値はあります。

ただ後半の作品も日本のSF作家やら漫画家がいかにも書きそうな内容だなぁと思いましたので、日本人向きな作家なんでしょうねぇ。
解説をみても初期の日本SF界に与えた影響は大きかったようですのでまぁ似てくるんでしょうねぇ。

以下各作品。

○怪物
度胆を抜かれました。
教訓じみたことをいわずこれを描けるというのはすごい才能です。

○幸福の代償
21世紀の日本を予言しているような作品。
ローンを抱えている中年オヤジにはキツく効くお話です。

○祭壇
ファンタジィ。
同じ場所で次元を変えていく手法は見事。
これもなんだかグラグラする。

○体形
ラストがちょっと教訓じみていて「?」ですが、これも常識をひっくりかえす発想。
うなります。

○時間に挟まれた男
着想としてはよくありそうなお話(「百億の昼と千億の夜」などもこんな設定ですね)ですが、それを終始乾いた調子で書く手腕がすごい。
SFだなぁ。

○人間の手がまだ触れない
この辺から安直な展開な気がする。
常識の世界でドタバタさせている感じです。
まぁつまらなくはない。

○王様のご用命
私は安直な気がしました。
アシモフにも似たような作品があったような。

○あたたかい
ファンタジィ。
不思議な香りですが、ヒネリがもう少し聞いていて欲しい。
嫌いではない。

○悪魔たち
星新一あたりが書きそうな作品。

○専門家
若干教訓じみたところもありますが着想が面白い。
お酒好きな専門家たちに共感を感じました。

○七番目の犠牲
これも星新一あたりもしくは藤子不二雄(AでもFでも)書きそうな展開。
スマートにまとまっていますが、グラグラまではしない。

○儀式
官僚主義を皮肉っているんでしょうが直接的すぎてどうも。

○静かなる水のほとり
ロボットもの、お涙ちょうだいものなんでしょうが...。
もう少しひねりが欲しいです。
「大きな古時計」的な展開はいかにも日本人が好みそうですが。

とにかく最初の2編、「怪物たち」と「幸福の代償」でびっくりしましたが、さすがにこのレベルでは続かないんでしょうね。
続いていたら物凄い作家として記憶されていたのではないでしょうか。

同作者では手持ちに「地球巡礼」があるのでそのうち読んでみようと思います。
(その前にいろいろたまっているのでいつになるかは???ですが)


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鋼鉄都市 アイザック・アシモフ著 福島正実訳 ハヤカワ文庫

2013-04-10 | 海外SF
家の引っ越しで本を整理していたら昔読んだ本書が出てきました。
出てきたアシモフものは本書と「停滞空間」だけだったのであとは実家、取りにいかなければいけないなぁ。

奥付見ると昭和56年5月15日4刷。
新品で買った記憶があるので小6の時読んだんですねー、懐かしい。

最初に読んだ時には、SFとミステリーの見事な融合、謎解きのスマートさに感激した記憶があります。

なお最近よく引用するローカス誌オールタイムSFベストでは56位。

後のファウンデーションとつながる展開から考えてもアシモフの代表作と言っていい作品でしょう。

内容(裏表紙)
突然、警視総監に呼び出されたニューヨーク・シティの刑事ベイリは、宇宙人惨殺という前代未聞の事件の担当となったことを知らされた。しかも指定されたパートナーはロボット、R・ダニールえあった。さっそく真相究明にのりだしたベイリだが、その前にはさまざまな障害が立ちふさがる。巨大な鋼鉄都市と化したニューヨークにはかつての地球移民の子孫であり支配者である宇宙人たちへの反感、人間から職を奪ったロボットへの憎悪が渦まいていたのだ!・・・・・・ロボット・テーマの第一人者アシモフが、未来都市を舞台に<ロボット三原則>の盲点に挑んだSFミステリの金字塔!

ブラッドベリ、「虎よ、虎よ!」と読んで戻ってきたのでアシモフらしい落ち着いた展開で非常に読みやすかったです。

この作品が1953年連載、54年刊行。
「華氏451度」も1953年執筆、オーウェルの「1984年」が1949年に書かれておりSFの描く未来像にも少なからず影響があった時代だと思うのですが、アシモフの描く未来は基本楽観的。

科学の進歩=人間のポテンシャルを信じた作品です。
これはこれでリアルな認識なんだと思いました、人間は意外としぶとい動物な気がします。

久々再読した感想ですが、

二転三転推理がひっくりかえる緊張感のある展開、ベイリ、R.オリヴァーもそれぞれ魅力的に書かれていて一気に読み終わりました。
でも最初に読んだ「すげぇ」感は残念ながら感じられませんでした....。
再読ですし、いろいろ人生経験も読書経験も積んでますしねぇ。
大体先が読める展開でしたし、ちょっと強引さも感じました。
メイントリックも今一つ納得できませんでした。
果たして第一条をクリアしているのだろうか.....。

シリーズ最初の作品だけに「夜明けのロボット」でかなり強調されているベイリ的推理方法も控えめですしオリヴァーとの心の交流もすっと納得できる感じではなかったですが、後の作品群を読んだ身としてはなかなか感慨は深かったです。
昔から私の中では「はだかの太陽」は「鋼鉄都市」より評価が低いので、ベイリシリーズの私の一押しは「夜明けのロボット」ですねぇ。
熟練のアシモフが書いただけあってツボを心得ている感じ。

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