しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

タイムマシンのつくりかた 広瀬 正著を読んで

2010-12-29 | 日本SF
これも昔よんだもの、多分中学生から何回となく読んだ本。
再読は17、8年ぶりくらいか?
最初に読むときには、本当にタイムマシンの作り方が書いてあると思っていました。
(子供だったんだなぁ)

さて再読しての感想。
この本の収録順で前半に収録の作品は昔から面白いと思っていましたが、今回読んでも面白かったです。
著者得意のタイムマシンものはおすすめ。
特に「ザ・タイムマシン」「化石の街」は懐かしくかつ面白かった。(よく覚えているし、今の自分に対してもなにがしかの影響を与えているような気がする。)
「ザ・タイムマシン」は物事を見るときの「視点」について、「化石の街」は日常の中に潜む非日常の怖さといったものを感じさせる。(中学生の時に何回も読んだのでしみついたような気がする)

著者の代表作「マイナス・ゼロ」よりも短編の方が短い分テンポが速く、いまどきな感じを受けました。

その他今回改めて気づいたこととしては、この本の並びでの「記憶消失薬」以降のショート・ショート的な作品のいくつは正直読むのがイタクなるようなキビシサを感じました。
「おうむ」「星の彼方の空遠く」「にくまれるやつ」などはほぼ星新一のコピーな感じです。
この本の解説で筒井康隆も書いていましたが「胸苦しくなる」感じです。
(ちなみにこの解説はお薦めです、しっかり書いているし、日本SF黎明期の雰因気がよく伝わってきます。)

星新一というとなんとなく小学生向けというイメージがありますが、解説とこの作品集のイタイ作品を読んで、日本SF黎明期においてその存在は大きかったんだなぁとの認識を持ちました。

好むと好まざるを問わず、そのスタイルをマネしないと商業ベースに乗らないというすごさ・・・。
そういう眼でみると、この作品集中ののほぼ星新一コピー3品などは、タイトルといい、もしかしたら「書く気になればこれくらい簡単なんだよ」という広瀬正の叫びのような読み方もできそうで怖いような感も受けました。

最相葉月の星新一の評伝で、のちに筒井康隆が何かの文学賞を獲ったときの祝賀会か何かのあいさつで星氏がねたみのあまり不適切な発言をし、筒井康隆が「悲しかった」というようなエピソードを書いていましたがそれと合わせて考えると複雑な人間模様だ・・・との感を受けました。

余談も入りましたが、この作品集は広瀬正の才能を知るために不可欠な本といえるのでないかと思います。

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