しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

エンダーのゲーム オースン・スコットカード著 野口幸夫訳 ハヤカワ文庫

2013-07-16 | 海外SF
3冊違うジャンルを読んでまた翻訳SFに戻りました。

本作「エンダーのゲーム」はローカス誌オールタイムベストで2位、06年SFマガジンで22位となっている作品。
1986年のヒューゴー/ネピュラ両賞受賞(いわゆるダブルクラウン)の非常に有名な作品(のようです)。

にも関わらず現在ハヤカワでは絶版。
一時はアマゾンで中古価格でプレミアが出ていて2000円弱くらいになってましたが、映画化されるようで再刊を見込んでか相場は下がってきている模様。

と、気になっていたのですが2週間前に近所のトラディショナルな古本屋で300円で売っているのを発見して購入しました。
ラッキー??

内容(裏表紙記載)
地球は恐るべきバガーの二度にわたる侵攻をかろうじて撃退した。捕らえた人間を容赦なく殺戮し、地球人の呼びかけにまるで答えようとしない昆虫型異星人バガー。その第三次攻撃にそなえ、優秀な司令官を育成すべくバトル・スクールは設立された。そこで、コンピュータ・ゲームから無重力戦闘室での模擬戦闘まで、あらゆる訓練で最優秀の成績をおさめた天才少年エンダーの成長を描く、ヒューゴー、ネピュラ両賞受賞の傑作。

ローカス誌オールタイム2位ということでかなり期待を持って読んだんですが....。
期待し過ぎがよくなかったのか、そこまで名作とは思えませんでした。
内容をひとことでいえば「スラン」と「宇宙の戦士」を足して、コンピュータゲーム的要素を加えて割った感じ。
(「宇宙の戦士」は未読ですがイメージ)
目新しい内容ではない。
(評価はいまひとつのようですが、この手のテーマの元として「スラン」は結構名作なんでしょうね)

主人公の超人的子どもにそれほどリアリティを感じられなかったし感情移入もできなかった。

ストーリー展開も連載小説的な形で序盤の設定が後半変わってきているように感じました。
(「ピーター」の性格設定やらバガーとの戦闘設定についてなど、もしかしたらきちんとした伏線なのかもしれませんが)

最後のトリックというか仕掛けについてもまぁ大人が読めば分かる展開ですので意外感はなかった。

といいながらも読みながらいろいろ感じることはありました。
「君は優秀だ」と大人に言われながらずーと成績優秀で無理やりいろいろやらされている子どもは大変だろうなーということ。
この辺は「サラリーマン」である自分の姿にも重なり妙な気分になりました。
「君しかいないよ」とか言われてけっこうひどいことをやらされて報われるわけではない...。

主人公も最後に「君のせいではなく、判断した我々の責任だ」などと言われながらも、しっかり名前が世間に広がってしまっている...。
「英雄」ではあっても幸せではなさそう...。

主人公の兄弟は軍からは選ばれずに別の人生を歩むわけですが、どう見てもこっちの方が幸せそう。
少なくとも自分で選んで好きなことをやっている。

なんだか...身につまされる。

主人公を教育している軍の上層部も政治的な権力としてはどうなのか???、強いんだかなんだかわからない。
何が「強さ」で何が「幸せ」なんだろう?

などなど。

最初厳しめに書きましたが「オールタイム2位」と思って読むと「ウ~ン?」となりますが、普通に読めば楽しめる作品です。

「2位」なのは、アメリカ人がこういうミリタリー的なものが好きだからだろうか?

また、エンダーの悲哀を自分に当てはめるサラリーマンにもお薦め(か?)
(受験生だと報われないので薦められないか?)

続編の「死者の代弁者」も同じ古本屋で買っているので読み始めています。

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