しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

タイム・マシン H.G.ウェルズ著 宇野利泰訳を読んで

2011-01-22 | 海外SF
タイムマシンものの元祖?ということで、広瀬正全集を読んだ後ということもあり読んでみました。
本そのものは昨年ブックオフで105円で購入した早川文庫のH.G.ウェルズ傑作選2です。(昭和52年初版、入手したものは昭和53年第2版)この本そのものはもう絶版のようですが荒俣宏氏のうんちく解説がついています。

さて中身ですがこの本のなかには標題作含め6編が収載されています。
標題作を子供向けの本で読んだだけでこの作者の他の作品は未読でしたがなかなかいいなぁという感想です。
最初に収載されている「塀にある扉」は直前に読んでいたのが「KAGEROU」なだけあって(笑)短いなかでいろいろ読者に考えさせるうまさにしびれました。(玄人です。)
この本収載の作品のなかでは私はこれが一番好きです。
この作品と「魔法の店」が幻想小説的な作品といえるかとおもうのですが両作品とも、なにやら懐かしい感じと情感に訴える何かを感じました。

他はSF的道具仕立てを出して書かれています。
今からみると道具立て自体は手垢がついた感じですが、百年前には新鮮だったんだろうなぁという感じ。
SF小説は道具だてやアイディアに作品の面白さを頼ると時間経過に堪えられなくなるねだなぁという印象を受けました。
(そんなことを考えさせるのがタイムマシンというのも皮肉ですが)

SF仕立ての作品は大なり小なり作品を通して文明論を展開したかったのだろうなぁと思います。
特に「タイムマシン」はその傾向が顕著な作品です、当時は文明論やらユートピア論やらがはやったのでしょうねぇ。
文明が進めば共産社会が実現するというような議論がまじめに行われていた時代のようですから。
ウェルズとしてはアンチ共産社会論的な寓話として当時としては最新のであろう進化論的な話等の科学的な知識をちりばめて書いたのでしょうが科学小説としてみても、文明論として今となっては中途半端感は否めず厳しいものがあります。

それでもしっかり読ませるというのは大したものという考え方もありますが。

他のウェルズの本も機会があれば読んでみたいです。

よろしければクリック下さい↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へにほんブログ村


最新の画像もっと見る

コメントを投稿