しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

幼年期の終わり アーサー・C・クラーク著 福島正実訳 ハヤカワ文庫

2013-11-22 | 海外SF
前にも書きましたが(「都市と星」「宇宙のランデブー」)クラークはあまり得意な作家ではありません。
本作も中学生の頃に創元の「地球幼年期の終わり」を読んで、あまり感心しなかった記憶があります。
最初の方(第一部)は面白かった記憶があるのですが、後段で当時の私はついていけなくなった...。

本作、松岡正剛氏の千夜千冊で紹介されており「先読みして読んだが完敗であった」「その他のクラークの作品はあまり感心しない」というようなことが書かれていました。
(念のため、上記「原文」のままではなく私の受け取ったイメージで書いています)
そんなのを読み、クラークに「あまり感心していない」私も本作が気になっていました。

実家に「地球幼年期の終わり」がまだあるはずで、創元の沼沢 洽治訳の方が評価は高いようなのでそのうち実家から持ってきて読み直そうと思っていたのですが、鶴見のブックオフで見かけて購入してしまいました。

‘12年ローカス社オールタイムベスト14位、’06年SFマガジンベスト2位。 1953年の発刊です。
内容(裏表紙記載)
人類が宇宙に進出したその日、巨大宇宙船団が地球の空を覆った。 やがて人々の頭の中に一つの言葉がこだまする。―――人類はもはや孤独ではない。 それから50年、人類より遥かに高度の知能と技術を有するエイリアンは、その姿を現すことなく、平和裡に地球管理を行っていた。 彼らの真の目的は?そして人類の未来は? 宇宙知性との遭遇によって新たな道を歩みだす人類の姿を、巨匠が詩情豊かに描き上げたSF史上屈指の名作

読後の感想「名作だ...」
読後しばらく呆然としてしまいました。
この1作でクラークのイメージがひっくり返りました。

本作でのクラークは、「理系」な部分が抑えられ、「文系」というか抒情的な部分が強く出ています。
最初の東西冷戦的描写は今となっては古いですが、それを除けば最後まで物語世界の中に耽溺できました。

前述の松岡氏に影響され「この先どうなるのか?」ということを考えながら読んだのですが「この伏線がこんな風に料理されるのかー」と感心することしきりでした。

もっとも最初のエイリアンの「姿」は昔読んだのを覚えていたので意外感はありませんでした...。
その後の展開は殆ど記憶になかったので当時の私には理解不能だったんんだろうなぁ。

子供に対する思いは子供を持ってみなければわかりませんし、「最後の人間」になった人の気持ち、産婆役となった立場のものの感慨などはある程度人生経験を積まないと本当にはわからないような気もします。

本は読む時期が大事ですね。

第二部以降あまりに内容を覚えていないので「第二部以降読まなかったのかな?」
と思い出したところの第三部途中で本筋とほとんど関係のない所で「プラトンはソクラテスをゆがめた」云々と書いているところをなぜか覚えていたので読んだろうな~。(人間の記憶も不思議だ)

第一部の途中から「これはすごいかもしれない」と思いだし。
第二部、第三部、最後にこれまでの伏線を全て使っての畳み込むようなラストは圧巻でした。
奇跡のような名作だと思います。

純粋かつトラディショナルな「SF」としては歴史に残る名作でしょうね。
(「1984年」などは、純然たるSFではない気がする)

他のクラーク作品は.....。

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