しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

チャンピオンたちの朝食 カート・ヴォネガット・ジュニア著 浅倉久志訳 ハヤカワ文庫

2015-10-12 | 海外SF
読んだ順に記事を書いていますが、この本も5月に読んだものなので正直記憶が怪しい…。
手抜き感想となりそうですがとりあえず。(言い訳です)

非SFが続いたので、SFっぽいものも読もうと本書を手に取りました。
早川の青背ではありますが、SF色はかなり薄いです。

本自体は一昨年に「スローターハウス5」を読んだ後、amazonで古本を入手(現在絶版の模様)していました。

ただなかなか読む気にならずそのままになっておりました…。
あまりSF、SFしている本を読む気にならなかったので今回手に取りました。

「スローターハウス5」の第一章で「とにかく、わたしはこの戦争小説を書き上げた。このつぎは楽しい小説を書こう。」と書いており、本作がその「つぎの小説」にあたるため「どんな作品なんだろう」という興味で入手しました。
実際には「スローターハウス5」が1969年で本作はその4年後の1973年刊ということで書き上げるのにかなり苦労したようです。

ヴォネガット作品では度々出てきたSF作家キルゴア・トラウトが主要登場人物として出てくることで有名な作品でもあります。

内容(裏表紙記載)
次々と傑作を発表しながら、ポルノ小説と誤解される不遇のSF作家キルゴア・トラウト。三度の結婚にも失敗し、話し相手はオウムだけ―――そんな彼のもとに、ある日アート・フェスティバルの招待状がまいこんだ。開催地は中西部にあるミッドランド・シティ。その地でトラウトは人生の一大転機をむかえることに・・・・・・エンドウマメ、恐竜、トラック、国旗、商標など、著者自筆のイラストを多数収録する涙と笑いの傑作長編!


一読というか、読んでいる途中から感じていましたが…。
決して楽しい作品でもないですし、面白くもない…。
名作とも思えない(笑)

そもそも最初で架空の作者が書いた「小説」ということになっているので、たからかに読者にメタフィクションであることを宣言しています。

その上でストーリーは作中のSF作家 キルゴア・トラウトがミッドランドシティへ向かう途中のロードストーリーとミッドランドシティの中金持ちドゥェイン・フーヴァーのエピソードを軸に進んでいきます。
両者が遭遇するタイミングで大事件が起こることがこれまた冒頭で明示されているのですが…。

話が全然進まず脱線ばかりしていて読者は非常にもやもや感が募ってきます。
(後にこうなるということもいちいちネタバレするのでさらに興味が薄れていく)
途中随所に挿入される作中、作中作ともいえるキルゴア・トラウトのSF作品の内容の紹介などはそれなりに楽しめるのですが.、ドウェイン・フーヴァー側のエピソードがアメリカの悪い部分をこれでもかとばかりに(わりとべたに)描いているのですが…。
まぁ日本人が読んでもけっして楽しいものではない…。

挙句の果てのなかなか話が進まないので終盤で作者(ヴォネガットではなく、設定上の作者)が作品に乱入して無理やり話を進行させます。
作者だけに神のような存在。
メタフィクションだからなんでもありなようなものですが、ちょっと乱暴なような…。

本作発表当時かなりアメリカ国内で売れたようですが….。
いわゆる「アメリカ」的なものを痛烈に風刺しており当時のアメリカの気分としては合う部分が多かったのでしょうが…(まぁある意味アメリカは今でも変わっていないかもしれません)
日本人である私が読むとそれほど響いてこない。
主題が響かない上に、いわゆるメタフィクション的構成なのでどうにも面白さを感じられませんでした。
筒井康隆の「脱走と追跡のサンバ」と「虚人たち」を彷彿させる感じでありました。
これを書くのに上記二作の自分の感想改めて見てましたが、どちらも「つまらない」と書いています…合わないんでしょうねぇ。


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