夏バテ対策にトルコのヨーグルト・ドリンク「アイラン」はいかがですか?

2020年08月10日 | B級グルメ

 夏の飲み物にアイランはオススメである。

 「アイラン」とはトルコの定番ドリンクで、ヨーグルトを水で割って、泡立つくらいにかき混ぜ、塩をお好みの量入れるとできあがり。

 日本だとヨーグルトは甘いイメージがあるから、最初は抵抗があるかもしれないけど、なれるとサッパリした飲み心地でハマる。

 私もトルコ旅行の際に飲んでみて、意外にイケるやんと驚いたもの。

 トルコのヨーグルトはかなり濃厚で、飲むだけでなく、料理などにも使う万能調味料というあつかいだから、塩味でも違和感はないのだ。

 肉料理や野菜の揚げもの、果てやパスタやパンにまでかけて食べるというのだから、日本でいう醤油のようなものであろうか。

 私も現地の食堂で「イスケンデル・ケバブ」なる羊肉料理をいただいたが、そこには山盛りのヨーグルトが、どっせいとばかりに乗せられていた。

 これが、サワークリームのようなコッテリした酸味があって、かなり美味かったんだけど、とにかく濃くて途中から胸焼けを起こしてしまった。

 さすがにもてあました私が、

 「ヨーグルトやのに重いなあ。トルコ人どんだけヨーグルト食うねん。わけ行っても、わけ行ってもヨーグルトって、ワシャ山頭火か!」

 なんてボヤきまくっていたら、あまりにその様子がおかしかったのか、それまで無表情に立っていたギャルソンのおにいさんが笑い出したほどだった。

 そういや、日本語はわからんでも「ヨーグルト」はわかりますもんな。

 こっちのレストランかカフェでバイトしてて、異人さんがメシ食いながら、

 「ショウユ……ナントカカントカ、ショウユ……、ドウタラコウタラ、ショウユ……ショウユ……ショウユノー!!」

 とか悲しそうに言うてたら、そら笑いますわな。

 高橋由佳利先生の名作『トルコで私も考えた』(最近、新刊が出てうれしい)によると、トルコのヨーグルトに近いのは、あの羽生善治九段もCMに出ていた「明治ブルガリアヨーグルト」だそう。

 なもんで、私もそれにあやかって明治のを使っているんだけど、ゆかり先生のダンナさん(トルコ人)によると、商品名に納得がいかないとか(笑)。

 そりゃ、あんだけあらゆる料理に使ってるのに、日本ではトルコにヨーグルトのイメージなんて全然ないから、なんでやねんでしょうねえ。

 そんな「トルコ発」のヨーグルトドリンク「アイラン」は飲みやすいうえに、水分と塩分と栄養を一気に補給でき、夏バテや熱中症対策にもグッド。

 「えー? ヨーグルトがしょっぱいのー?」

 という偏見をはずせば、ヘルシーでおいしく、この季節にピッタリの飲み物なのです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界の激辛メニューを食べまくれ! タイのチェンマイ地元屋台編

2017年11月17日 | B級グルメ
 辛いものといえば、チェンマイである。
 
 辛いもの好きの私は、前回まで「トルコ唐辛子」「ラオス屋台飯」に食らった、強烈な「キック・アス」(でもおいしい)を紹介したが(→こちらから)、世界にはもっと様々なホットフードが存在する。
 
 今回紹介したいのは、タイのチェンマイで食べた激辛について。
 
 タイというのは、もともと辛い料理のイメージがあり、「カオパット」(タイ風焼飯)や、「パッタイ」(タイ風焼きそば)が主に白人旅行者人気なのは、唐辛子を使ってないものが多くて食べやすいのが理由であろう。
 
 私自身、バンコクなどで食べたタイ料理はさほど辛味を感じず、
 
 「タイ飯怖るるに足らず」
 
 なんて粋がっていたのだが、そこに刺客として飛びこんできたのがチェンマイ料理であった。
 
 チェンマイはタイ北部にある、首都バンコクに続く第2都市
 
 常夏国タイの中では比較的涼しく、また大学があるせいか文化レベルも高い。少数民族との交流も盛んなどあって、旅行者にも人気の街である。
 
 タイ旅行の際、当然のごとく私もおとずれたのだが、ここの思い出は歴史ある街並みでもツアーでもなく、
 
 「とにかく辛いチェンマイご飯」であった。
 
 タイにかぎらず、アジアの街は屋台食堂が充実していて、食うことには困らない。
 
 なので、食べ歩きしているだけでも楽しいのだが、こういうとき大事なのはやはり
 
 「地元民でにぎわっている店」
 
 観光客向けのレストランなどは、日本語メニューなどもあって便利だが、お値段も張るし、なにより味が外国人向けにマイルドになっていることが多い。
 
 それはそれで食べやすいのだけど、なんとなく物足りないところもある。やはり、せっかく外国にきたのだから、フラットな現地の味を食べたいもの。
 
 そこで、北門近くに宿を取っていた私は、おいしそうな地元向け屋台や食堂が集まる、スタジアム近辺の地域に出かけたのだが、これまさに「地雷」であったのだから、人生とは何が起こるかわからないものだ。
 
 くだんの場所では、5種類くらい店が出ていた。
 
 メンありご飯あり中華あり、デザートのフルーツも充実していて、仕事帰りのオジサンだけでなく、若い子などもキャッキャいいながら、都会の長い夜をエンジョイしていた。
 
 おお、モロに地元店だ。しかも、どのテーブルも満席である。
 
 期待値はマックスまで高まった私は、一通りいろいろ食べてみようと、タイ風うどん焼肉ぶっかけ飯、さらには手羽先の盛り合わせなども注文してみた。
 
 タイは一皿の量が少ないので(その代わりに、一日に5回くらい食事をする)、こういうときたくさん頼めて便利だ。料理が出そろったところで、さて一口とパクリと行くと……。
 
 そう、辛かったのである。
 
 それはまあ、すでに語っていることだから、別に意外でもなんでもないのだが、ビックリさせられたのが、その強度だ。
 
 辛いのはわかっていた。ここチェンマイに来る前は、ラオスビエンチャンをおとずれていて、そこでたらふく辛いものはいただいてきたのだ。
 
 だからあなどっていた。あのラオスのデッドゾーンをクリアした私が、少々のことではビビるはずもないと。激辛マスターなめんなよと。
 
 もう一度言おう。そう、私はあなどっていたのだ。チェンマイのメシがいくら強烈といっても、ひるむほどではないと。
 
 ここに告白する。チェンマイは辛かった。予想以上であった。どれくらいか。
 
 泣くくらい。とんでもなく辛い。ただ立ち尽くす辛さ。なすすべもなく辛い。
 
 体中からが噴き出す。あまりの衝撃に、脳裏に、「シカゴ大火災」「ゼットン火の玉」「地獄の業火」「核の脅威」。
 
 果ては「地球最後の日」というワードがグルグルこだまする。目にも止まらぬ辛さ。
 
 このときは、しみじみ、「嗚呼、タイって異国なんやなあ」と思いましたね。
 
 だって、絶対にないはずなんですよ、日本でこの辛さは。なのに、周囲のタイ人、みんなおいしそうにハグハグ食べてるの。
 
 おまえら、辛くないんかい!
 
 まさに異文化。私が「2回くらい死んだ」という辛さが、こちらでは「ふつう」なのだ。なんという落差。
 
 もうひとつおどろいたのは、これだけエグいのだから、きっと次の日は気持ち悪くなったり「」になったりするんではとおそれたものだが、それがまったくそんなことはなかった
 
 一晩寝たら、口の中も胃もスッキリで、むしろすこぶる快調なくらいだったのだ。
 
 「強度」はともかく、相性はよかったのか。そんな激辛を味わいたい人は、ぜひチェンマイ地元屋台へどうぞ。
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界の激辛メニューを食べまくれ! ラオスのスパイシー屋台編

2017年11月16日 | B級グルメ

 辛いものといえば、ラオスである。

 前回(→こちら)、トルコ唐辛子に食らった、強烈な「キック・アス」(でもおいしい)を紹介したが、世界にはもっと様々なホットフードが存在する。

 ラオス料理というか、そもそもラオスという国自体、日本ではマイナーだが、バックパッカー的には、


 「なにもなくて、いいところ」

 「今、どんどん開発が進んでいるから、早めに行っておいた方がいいよ」


 との評判は聞いていたので、数年前におとずれたのだが、そこで食べたものが、とにかく辛かったのだ。

 ラオス料理といえば、事前の調査ではもち米を軸に、「ラープ」というひき肉料理

 フランス植民地時代の名残であるバゲットサンド、あとはフォーのようなメン料理といったところであった。

 まあ、イメージとしてはタイベトナム中華が混ざったものかな。

 みたいな、実にアバウトなものだったのだが、そこに「激辛」が入ってくる余地があるとは、ガイドブックなどでも、さほど強調されていなかった気がする。

 そんなド素人旅行者は、首都ビエンチャンで、いきなりやられた。

 最初はよかったのだ。「カオニャオ」というもち米は、まさしくモチモチしており、おかずはもとより、プレーンでもいける。

 他にも、たこ焼きのような皮の甘いお菓子や、中華風の餃子生春巻きも、見た目通りの味で大いにイケた。

 ここまでの印象では、

 

 「ラオス飯、クセも少なくて、日本人の舌にも合うなあ」

 

 温泉気分でグルメを満喫していたのだが、

 「そろそろ肉気でも」

 と思ったところからバトルがはじまった。

 米やスイーツもいいが、アジアといえば屋台

 そして屋台といえばやはりB級グルメ。Bグルといえば、ジャンクで味が濃くて腹がふくれるもの! 

 ということで、舞台はラオス的「おかずゾーン」に突入するのだが、まず焼き鳥が辛かった。

 串に刺した鶏肉はコンビニから夜店まで買い食いの定番だが、これを一口ほおばったとき、口からが出た。

 それも、並みの火ではない。たき火かキャンプファイアーくらいの火力がある発火である。

 こ、これは……辛い……。

 事前調査が甘かったのか、思わぬ辛味攻撃にビビる私。

 そこからも、串焼きにラオス風ソーセージ

 タイでも見た「ソム・タム」というサラダに大盛の焼きそばと、これがもう全部激辛だったのだ。

 しかも、辛さというのは御多分にもれず、から効いてくる。

 最初は「これくらいは」と調子に乗っていると、しばらくあとにグンとくる。

 口はヒリヒリ、頭はカッカ、胃は悲鳴を上げ、舌はを求めてさまよう。

 しかも、困ったことに、ラオス料理がこれウマいんだ。

 だから、どんなに辛くてもやめられない。

 こうして、すっかり「激辛ラオス飯」にハマってしまった私だが、さすがに食べ続けてたら他の味も知りたくなって、



 「辛くないものはないのか」



 とたずねてみると、ラオス料理人たちは笑顔で、



 「あるけど、辛い方がおいしいよ」



 いや、それはわかってますねん。

 でも、ワテは軟弱日本人やから、ちょっと内臓とベロが疲れてまして……。

 みたいな顔をすると、

 

 「いやいや、またまたあ」

 「ナイスジョークだね!」

 

 みたいな苦笑いをされてしまう。

 他の屋台でも、こちらが旅行者とわかると、



 「スパイシー? ノースパイシー?」



 とむこうから訊いてくることもあるんだけど、ここで

 

 「ノースパイシー」

 

 というと、やはり困ったような苦笑い。

 その顔には、こう書いてあるのだ

 

 「そんなことが、ありえるのか?」



 いやいや、どう考えても辛すぎるし、現に白人旅行者などかなり食い気味



 「ノースパイシー! ノー! ノー!」



 などと全力拒否宣言をしているのだ。そこをわかってくれよ!

 ラオスの基準は、世界レベルより辛いんだよ! これを「ふつう」と思うなよ!

 なんて、こっちもフルボリュームで辛さをのけようとするのだけど、ラオス人はどうしても納得いかないらしく、温厚な彼らはニコニコしながら、



 「ホワイ? スパイシーじゃないとおいしくないよ。辛くないと、本当のラオスを味わったことにならないよ」



 そう押してきて、それはまったくもって正論なのだ。

 日本でいえば

 

 「さび抜きの寿司」

 「ポン酢をつけない湯豆腐」

 

 みたいな

 

 「それでもいいけど、ホントはそうじゃない」感

 

 があるのだろうけど、そこは私や白人旅行者の、



 「これ以上辛いと、もう乙女のように泣いてしまうんや!」



 くらいの勢いの「ノースパイシー!」宣告から、その苦渋の選択ぶりを読み取ってほしいのに、大人はわかってくれない。


 (続く→こちら


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

世界の激辛メニューを食べまくれ! トルコの唐辛子ピクルス編

2017年11月15日 | B級グルメ
 辛い食べ物が好きである。
 
 カレーキムチ鍋麻婆豆腐トムヤムクンなど、できるだけ辛めのほうがおいしく感じるクチだ。
 
 そんな私がおすすめする辛物が、トルコ唐辛子
 
 トルコ人は唐辛子が好きだ。
 
 羊肉サンドイッチピクルスにはたいてい入っているし、家庭料理でもトマトの煮こみやのスープをいただきながら、唐辛子やタマネギのままポリポリかじる。
 
 日本人の感覚では、ちょっとという気もするが、トルコは野菜がおいしいので、これでいけるのだという。
 
 かくいう私も、彼の地ではハマッたクチ。
 
 イスタンブールのケバブ屋でつけ合わせに出てきたのを、漬け物感覚でポリポリやっていたら、これが辛くてウマイ
 
 ちょっとヒリヒリするけど、ただ辛い調味料を大量に入れただけの下品な味ではなく、マイルドまろやかに、それでいて口全体に辛さが広がる。
 
 これが後を引いてクセになり、かっぱえびせん感覚で、やめられないとまらない。
 
 気がついたらスーパーで瓶詰めを買いこんで、ホテルの部屋でレストランへの持ちこみで、毎食毎食つけあわせとして大活躍したのであった。
 
 あまりにも病みつきになって、日本へのおみやげに大量に買いこんだほど美味な辛さであったが、ひとつ問題であったのが、その後のひき方
 
 さすがいい唐辛子だったせいか、が荒れたりといったことはなかったけど、「来た」のは上でなくの方。
 
 びろうな話でもうしわけないが、である。
 
 そこが四六時中を持ってカッカしているのだ。食べると、その後1週間くらいずーっと痛く、ヒリヒリして、むずがゆい
 
 油断するとヒクヒクとけいれんし、トイレに行くと、出す際には思わず「!」という声にならない声を上げてしまうことになる。
 
 なにかこう、「いけない気分」にさえなりそうなのだ。
 
 そんな、思わずめくるめく耽美な別世界につれていかれそうになったトルコの唐辛子は、それくらいワイルドな辛さで美味であった。
 
 機会があれば、ボラギノールを用意したうえで、また食べたいものだ。
 
 
 (ラオス編に続く→こちら
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

玉村豊男『回転スシ世界一周』では、アメリカの寿司「ジョン・レノンロール」がおススメ(?)です

2017年10月05日 | B級グルメ

 『回転スシ世界一周』を読む。

 エッセイストで、料理関係の著作も多い玉村豊男さんが、パリロンドンアムステルダムニューヨークLAで、今世界中で人気の

 

 「KAITEN-SUSHI」

 

 を食べまくり、そのレポートをまとめた一冊。

 今でこそ、回転寿司が世界で親しまれているのは、さまざまな媒体で語られているが、おもしろいことに、これが各国によって、それぞれ特徴がある。

 日本でも、スパイシーなインドカレー家庭料理であるカレーライスになったり、オランダのクロケットがコロッケとしてご飯のおかずになったりと、

 「アレンジがすぎる」

 ことがあるが、世界のSUSHIも、生みの親をはなれると、これがなかなかにフリーダムである。

 まず有名なのは「カリフォルニアロール」。

 発祥の地はロサンゼルスの日本人街「リトルトーキョー」。

 マグロの入荷が、とぎれがちになった時期に、たまたまアボカドがたくさんあまっていたので、それを試行錯誤の末、商品化したのだとか。

 また、欧米での巻きものは、海苔ご飯の中に巻く「内巻き」を採用しているが、これは海苔を食べる習慣がなかった欧米人が、あの黒くて薄いものを見て、



 「オー! ニポンジンハ、ペーパーヲタベルノデスカ!」


 とビビるから。

 あれが「」に見えるのだ。だから、内側にかくす。

 どうも、ガイジンさんには、あの黒くてうすい物体というのはミステリーであるらしい。

 やはり日本人のソウルフードであるおにぎりでも、白いご飯が見えなくなるよう、全体に海苔を巻くタイプがあるが、これが「爆弾」に見えるとか。

 これまた物騒な話である。

 となると、日本にくわしくない人が、うっかりコンビニのおにぎりコーナーの前に立ったりした日には



 「ノー! コンナトコロニBOMBガ、タクサンアリマース! カミカゼ、バンザイ、リメンバーパールハーバー!」



 なんて、一度は戦争放棄したはずなのに、「再軍備疑惑」なんて、持たれるかもしれない。

 なるほど、文化のちがいというのは、おもしろいもの。

 そんな誤解されがちな海苔は、なるたけ表舞台には出さないという方針か、ロンドンのスシ屋では、生春巻きサーモンゴマなどで巻いたりしている。

 さすがテロの本場(?)、ここでも爆弾と警戒されているのか。

 写真を見たかぎり、まあ普通においしそうではあるけど。

 味オンチのイギリス人のくせに、なかなかに生意気ではないか。

 また、スシではないが、小さく盛りつけた焼きそばに焼き鳥をトッピングし、ソバとトリのモンブラン風なんていう創作料理もある。

 モンブラン。なんだかオシャンティーである。

 焼きそばといえば縁日の屋台か、カップ焼きそばというイメージが濃い私としては、モンブランなんていわれると、なんだかむずかゆい。

 味も甘そうだしなあ。

 こういう「親の手」をはなれて独自に発展していく寿司の中で、もっともアメリカンにかぶれているのが、これであろう。

 ロサンゼルスのスシ屋にある「ジョン・レノンロール」。

 ジョン・レノンロール

 そう聞いただけでは、パッとは、なんのイメージもわかない。 

 ジョン・レノンロール。何を巻いているのか。まあ、創始者がビートルズファンだったことはわかる。

 このジョン・レノンロール。一体どんなものなのか、とりあえず素人ながらに予想してみたが、考えられるのは、



 ○「ジョン・レノンの好物を海苔で巻いた」

 ●「ジョン・レノンが常連の店のオーナーが開発した」

 ○「ジョン・レノンの出身地の名物を使っている」

 ●「ジョン・レノンが海苔で巻かれている」

 ○「マジ超適当につけた」



 といったところであろうか。

 正解はとレシピを見てみると、エビの天ぷらを巻いたスシに、きゅうり梅干しおしんこミントの葉を玄米酢飯で裏巻きにしたもの。

 ……って、おいおい、それのどこにジョン・レノンな要素があるねん!

 おそらくは、ベジタリアンつながりということなのであろうが、そんな安易でいいのか。

 しかも玉村さんに

 

 「ちょっと情けない味」

 

 と評されては、勝手に名前を使われたうえに酷評され、ヨーコも砂を噛む思いであろう、イマジン。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中島らも絶賛! 東海林さだお流「天ぷらそばの正しい食べ方」 その2

2017年08月21日 | B級グルメ
 立ち食いそば屋は「B級グルメの奥義」の宝庫だ。
 
 そこで前回は(→こちら)、
 
 「立ち食いそば屋における、天ぷらそばの正しい食べ方」
 
 について講義したが、その道における「秘伝」は、まだまだ数々あるようなのであった。
 
 将棋のプロ棋士である先崎学九段のエッセイ集『先崎学の実況! 番外戦』に、立ち食いそばの話が出ている。
 
 
 「数ある外食のメニューのなかで、生まれてからもっとも多く食べたのが、きっと立喰いのそばだとおもう」。
 
 
 前回の東海林さだおさんとも同じく、立ち食いそばを愛する先崎九段(愛称「先チャン」)も、食する際にはあれこれと工夫されているようだ。
 
 まず紹介されていたのが、「天ぷらのまわし食い」。
 
 修業時代、お金のなかった先崎九段は、しょっちゅう立ち食いそばのお世話になっていた。
 
 天ぷらそばを頼む。若くてエネルギーにあふれる時期のころ、あっという間に平らげる。
 
 ナウなヤングの胃袋は暴れ馬だ。こんなもんでは全然足りない。すかさず、お代わりを頼む。
 
 だがそこは修行中の身の常、いかんせん金欠である。
 
 もう一回天ぷらそばを頼みたいが、フトコロ具合を考えれば贅沢きわまりない所業だ。
 
 そこで先チャンが思いついたのが「天ぷらのまわし食い」。
 
 まず一杯目は、天ぷらそばを頼む。
 
 ただし、このときに、できるだけ天ぷらには手をつけずに食べる。
 
 で、おかわりには「かけそば」を頼み、受け取った途端に、まだ残っている天ぷらをそこに投入
 
 するとアラ不思議、2杯目も見事に天ぷらそばの完成となるわけだ。
 
 こうして若き日の先チャンは、安価に2杯の天ぷらそばに、ありつけたわけなのだ。
 
 これには感心させられた。なるほど、そんな手があったか。
 
 ただしここで
 
 「でもそれって、食べられる天ぷらは1個なんだから、意味ないじゃん」
 
 異議を唱える人は、いるかもしれない。
 
 これにはきちんとした反論があり、先崎九段のいうとおり、我々立ち食いそば愛好家は天ぷらそばを頼むとき、上にのっているカキアゲはそれほど重視していない
 
 あれは「天ぷら」「かきあげ」を名乗っているものの、内実はただ粉を揚げただけのもの。
 
 味は正直、別に期待できるものではないのだ。
 
 それよりも、カキアゲからしみ出す、アブラを求めている。
 
 それこそがの目的。
 
 メキシコ湾のアブラ流出事故は大問題だったが、カキアゲからのアブラ流出は大歓迎である。
 
 まわし食いをすることによって、ひとつには普通の天ぷらそば。
 
 もうひとつは、ただのかけそばではない、天ぷらの油のしみたそばのツータイプが食べられてオトクということだ。
 
 すばらしいアイデアではあるまいか。
 
 さすが、頭脳を商売道具にしている人は違うものではないか。どうりで、藤井聡太四段も29連勝するはずである(なんのこっちゃ)。
 
 先チャンの工夫は、これにとどまらない。
 
 もうひとつ、おにぎりを使ったワザも紹介されていた。
 
 立ち食いそば屋では、うどんやそばと一緒に、おにぎりやお稲荷さんを頼む人もいるだろうが、それをどう食すのかが問題だ。
 
 もちろんそれには、
 
 
 「あんなものは、そばをすする合間に、ハグハグっと食えばいいのだ」
 
 
 という意見はあるかもしれないが、そういう人はまだまだ、この世界の素人である。
 
 玄人の先崎九段は、あえて一緒に注文したおにぎりを食べないという。
 
 では、その残されたおにぎりを、どうするのかと問うならば、食べ終えたあとのツユにすかさず投入
 
 そのまま流れるように「月見そば」用の生玉子を注文。即座に割って入れ、仕上げに七味をかける。
 
 これで「卵かけゴハン」のできあがり。
 
 これは私もやったが、たしかにウマイ。オススメである。
 
 他にも、私は不明にも知らなかったのだが、先崎九段が東海林さだおさんの本の中で発見したものに、こんなのもあったという。
 
 
 天ぷらそばとゴハンを頼み、天ぷらをそばのツユにたっぷりとひたしてからゴハンの上にのせ、天丼とかけそばにして食べる。
 
 
 考えてみれば、たかだかそばなのに、そんなにあれこれ、食べ方を工夫して考えるというのも不思議な話である。
 
 どうも立ち食いそばというのは、そういった一種の「遊び心」的なものを喚起させる場所かもしれない。
 
 立ち食いではないが、私が一時期ハマったのがコロッケそば
 
 作り方は簡単で、おそばをゆでて、温かいツユに入れて、出来合いのコロッケをのせるだけ。
 
 ツユにモロモロとしみこむあのコロモと、中のジャガイモが、意外なほどにそばのツユマッチする。
 
 これは意外なヒットであり、一時、家でお昼ごはんを食べるときには、いつもこれをチョイスしていた。
 
 こういうのは不思議なもので、ちょっといい材料を使ったりすると、案外おいしくない。
 
 スーパーで売っている、一番安いそばやコロッケを使うと、なぜか妙においしい。
 
 私はグルメに興味はないが、こういったB級グルメの話は、なんだか楽しいなあ。
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中島らも絶賛! 東海林さだお流「天ぷらそばの正しい食べ方」

2017年08月20日 | B級グルメ
 立ち食い屋における、「天ぷらそば」の正しい食べ方をご存じだろうか。
 
 などとはじめてみると、
 
 
 高級フレンチとかならわかるけど、立ち食いそばで正しい食べ方も何もないだろ!
 
 あんなものは、作り置きのふにゃっとなったかきあげをかじりながら、適当にずるずる、すすればいいんだよ。
 
 
 なんて、お怒りになる人はあるかもしれないが、そういう人とはオトモダチになりたくない。
 
 立ち食いの天ぷらそばには、れっきとした正しい食べ方があるのだ。
 
 それは、東海林さだお著『ワニの丸かじり』収録の「天ぷらそばのツライとこ」というエッセイに書かれている。
 
 そのプロセスを説明しよう。
 
 まず、立ち食いそば屋に入って、天ぷらそばを注文する。
 
 それに入れ放題のネギを入れ、七味をかける。
 
 そして、すぐに食べるのではなく、そばの上のカキアゲを、ハシで押しつけて底に沈めるのである。
 
 ここがポイント。
 
 こうすることによって、カキアゲが温まり、やわらかくなり、ツユを吸いこみ、カキアゲからは揚げ油が、ツユに流れ出していくという効果があらわれる。
 
 そうして、しばらくはカキアゲに別れを告げ、上のそばを「かけそば」として楽しむ。
 
 その際「あとでね」と声をかけるのが、ショージ君流。
 
 ツユも、まだカキアゲから油が出てきていないので、「かけそば」のしっとりとしたダシが味わえる。
 
 ある程度ずずっと、すすったとろこで、おもむろにハシをドンブリのにつっこんで、今度はカキアゲを引き上げる
 
 するとカキアゲは、ドンブリの底でツユをたっぷりと吸って、やわらかくモロモロになっている。
 
 このモロモロがうまい。
 
 おまけに、さきほどまで、あっさりしていたそばのツユが、カキアゲの油浮上によって、今度は少しコッテリした、ラーメンでいえばトンコツ風のような濃い味になる。
 
 これが、うまい。
 
 ツユをふくんだ、モロモロのカキアゲを、そばとともにすする。ツユとともに飲む。
 
 こういうとき、というものの偉大さがよくわかる。ツユに一段も二段も、深い味わいをあたえてくれる。
 
 ただツユに沈んだ、モロモロのカキアゲのうまさだけでなく、「かけそば」と、「天ぷらそば」を2種類、味わえることになる。
 
 いや、それどころか、モロモロのフワフワの溶けたカキアゲからは
 
 「ハイカラそば」(関西では、たぬきそばのことをこう呼びます)
 
 「なべ焼きうどん
 
 のおいしささえ感じられ、一石二鳥どころか、三鳥にも四鳥にもおいしいのである。
 
 銭湯好きで知られる、ドイツ文学者の池内紀先生は、
 
 
 「銭湯に行くたびに、たった400円程度でこんなに楽しい気分にさせられていいのだろうかと思う」
 
 
 とおっしゃっていたが、私も立ち食いそば屋で、かきあげそばを食べるたびに、
 
 「たった280円で、こんなに充実した時を過ごしていいのだろうか」
 
 陶然とした気持ちになる。
 
 これが、立ち食いそば屋による、中島らもさんも感銘して何度もエッセイのネタにした、かきあげそば(天ぷらそば)の正しい食べ方である。
 
 癖になるので、ぜひ一度試していただきたい。
 
 
 (続く→こちら
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

轟け! 男のボンクラ自炊塾 その4 手軽なおつまみ編 

2017年04月10日 | B級グルメ
 前回(→こちら)の続き。

 後輩の「自炊ってどうやるんスか」との相談に、男のカンタン料理を教えることとなった私。

 「料理ができる男子はモテる」などという妄言を一顧だにしない男の中の男である私は、ボンクラ自炊三原則を元に料理を語っていきたい。

 非核三原則は「持たず」「作らず」「持ちこませず」だったが、ボンクラ自炊は

 「安くて簡単」

 「栄養たっぷり」

 「味はともかく腹はふくれる」

 この三つが原則だ。食材は近所のスーパーで買えるもの。一人暮らしの大敵である野菜不足を安価でおぎない、しかも5分でできる。

 前回はどんぶりものを紹介したが、今回は軽くオツマミ。大味な男の料理のアクセントにどうぞ。

 1.「ねばねば」

 これまた、中島らもさんの本に載っていたもの。今はなくなった近鉄小劇場近くの「川六」という店のメニュー。

 納豆、オクラ、山芋をまぜて梅肉を入れて食べる。サッパリして超ヘルシー。ハシが進む。


 2.レンジでハマグリ。

 東海林さだおさんの本に載っていた、究極に簡単なレシピ。

 ハマグリを皿に並べて、電子レンジでチン。

 口が開いたらハマグリの塩味だけでいただく。それだけ。

 でも、案外ちゃんとした料理みたいに見えるのが不思議。

 
 3.ドイツ風カレーソーセージ。

 カレーソーセージといっても日本ではあまりなじみがないかもしれないが、実はドイツ人のひそかなソウルフード。

 ベルリンなどでは、トレーラースタンドの屋台で売られている。こっちでいえばコンビニの肉まんみたいなものか。

 レシピをネットで検索すると、隠し味にまずスープを作るとかレモンがどうとか書いてあるけど、ボンクラ男子にそのような手間のかかる子とは無縁だ。

 ここは、まさにカレーソーセージのルーツをあつかった、ウーヴェ・テム『カレーソーセージをめぐるレーナの物語』を参照し、

 「フライパンにカレー粉を少しふりかけ、ケチャップをぶちこみ、かきまぜ、黒コショウを少し加えて」

 それを輪切りにしたソーセージに、豪快にぶっかけて食べる。お好みでパンをそえて。

 ベルリンっ子みたいに、紙皿に乗せ、プラスチックの楊枝で食べると雰囲気が増す。

 ブリュッカー夫人の言うように、冬の寒空にさらされて食べると、なおグッド。

 とまあ、ここまで数回、ボンクラ独身貴族による「サルでもできる男の自炊教室」について語ってきたが、長年の経験からして、コスト的にも栄養的にも最強なのが、

 「納豆卵かけゴハン」+「レバニラ炒め」

 この組み合わせではなかろうか。

 レバニラはフライパン洗うのめんどければ、レンジでチン作戦でもいいし(ただしレバに火が通ってるかはちゃんと確認しよう)。

 朝はヨーグルトとフルーツで、夜は毎日これを食べておけば、栄養的にも財布的にも、相当に間違いがない。

 あと、「一人暮らしは大量にカレーを作って、一週間くらいそれを食べ続ける」という技もあるけど、カレーは洗い物が大変だからなあ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

叫べ! 男のボンクラ自炊塾 その3 白飯&サンドイッチ編

2017年04月09日 | B級グルメ
 前回(→こちら)の続き。

 後輩の「自炊ってどうやるんスか」との相談に、男のカンタン料理を教えることとなった私。


 「料理ができる男子はモテる」


 などという妄言を一顧だにしない男の中の男である私は、ボンクラ自炊三原則を元に料理を語っていきたい。

 非核三原則は「持たず」「作らず」「持ちこませず」だったが、ボンクラ自炊は


 「安くて簡単」

 「栄養たっぷり」

 「味はともかく腹はふくれる」


 この三つが原則だ。

 前回は一人暮らしの大敵である野菜不足を安価でおぎなえる、ナベ料理を紹介したが、今回はご飯


 「白メシがないと食べた気がしない!」


 という和な人のために、主にどんぶりものを紹介したい。

 基本、メシにのっけるだけなので、今日のレシピはこれまでに増してシンプルでガテンである。

 1.コロッケ丼

 中島らもさん推奨。アツアツのご飯にバターをのせ、そこにソースでビタビタにしたコロッケを投入。

 さらにその上からご飯を足して、割り箸でつきくずしながら食べる。

 アブラたっぷりで腹持ちはバツグン。お好みでしょうゆなどを足してもグッド。

 つけあわせは、キャベツのままバリバリ。


 2.ツナトーフ丼

 アツアツご飯に、お豆腐ツナ缶をのせ、しょうゆをかけ、グリグリっとかきまぜて食べる。

 辺境作家の高野秀行さん曰く、


 

 「メシを食ったー、という気にさせられるメニュー」



 マヨネーズカツブシをまぜてもイケる。

 というか、男のガテン飯は基本、なにを入れてもいいのだ。

 そういえば、さくらももこさんの『ちびまるこちゃん』にも、



 「シーチキンのしょうゆがけは世界で一番おいしいねえ、おじいちゃん」



 というステキなセリフがあった。


 3. 白身だけかけ生卵ゴハン黄身だけかけ生卵ゴハン

 東海林さだおさん推奨のメニュー。

 卵かけごはんといえば、安価で簡単レシピの極北だが、ここではちょっと一工夫してみる。

 作り方はなんてことなく、卵を割ったあと、それをかき混ぜずに白身と黄身をの椀に盛る。

 で、それぞれにご飯を入れて、しょうゆをかけてグリグリ。

 見事「白身だけ」と「黄身だけ」の生卵ゴハンのできあがり。

 というと、


 「黄身はともかく、白身だけの卵かけごはんなんておいしいの?」


 とか、あまつさえ「キモチワルイ」という意見も出てくるかもしれないが(も最初はそう思った)、これがやってみると意外なウマさで病みつきに。

 黄身は想像通りとして、白身の方はショージ君の筆によると、



 「淡白でゆるゆるとして、お茶漬けの味わい」



 あっさりして、おいしいのです。

 黄身の方は半分普通に食べて、残りの半分にはバターを入れるとリゾット風になって美味です。


 4. チュニジア風サンドイッチ

 オレは米じゃなくパン派だという人には、サンドイッチがいい。

 料理に造詣の深いコラムニスト、玉村豊男さんの本から。

 フランスパンの太いヤツをタテにナイフで切り、その中身をむしりとる。

 二つに割って、空いたところにたっぷりとオリーブオイルをたらす。

 そこにレタストマトタマネギ、油を切ったツナオリーブを入れ、再びオリーブオイルをかけて、パンでフタをする。

 これでできあがり。

 ヘルシーでおなかもふくれる。

 パンが固いせいでアゴがつかれるし、口の中の上の部分がめくれてベロベロになるけど、うまし。


 (続く→こちら




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吠えろ! 男のボンクラ自炊塾 その2 ひとりナベ編 

2017年04月08日 | B級グルメ

 前回(→こちら)の続き。

 後輩の「自炊ってどうやるんスか」との相談に、のカンタン自炊を教えることとなった私。

 ボンクラ自炊三原則



 「安くて簡単」

 「栄養たっぷり」

 「味はともかく腹がふくれる」



 この三つが大事。

 前回は超簡単スパゲティーを紹介したが、今回はナベ。

 お鍋はいい。野菜や肉もたっぷりで栄養も満点。

 安いし、雑炊をすれば動けないくらい満腹するし、作り方もカンタン。

 「一人ナベは寂しい」という人もいるが、そこは逆に



 「一人だから、具材も選び放題の食べ放題だぜ、ひれ伏せ愚民ども!」



 といい方に解釈しよう。めんどうな鍋奉行にわずらわされることもないしね。

 最近では鍋スープがスーパーなどでいろいろ買えるため、それを開けて具材を煮こめばいいだけだが、ちょっと工夫の変わり種も楽しい。



 1.タマゴトウガラシ鍋

 中島らもさんの『明るい悩み相談室』にあったレシピ。

 土鍋にスープを張って、モツ鷹の爪を入れる。

 煮立ったらニラキャベツを大量に放りこみ、溶き卵をこれまたたっぷりと流しこむ。

 で、汗だくになりながらハフハフ食べる。栄養の面でも辛さでも、元気が出ること間違いなしのメニュー。


 2.鶏そばナベ

 鍋に市販鶏ナベスープを張る。

 具は白ネギ大根を細く切って(ピーラーを使うと便利)、鴨肉鶏肉でも可)と一緒に煮こむ。

 あとは40円くらいの安いソバを大量に買ってきて、しゃぶしゃぶみたいに入れてすぐ食べる。

 鶏のがソバに絡んで美味。用意がカンタンなのがいい。彦摩呂さんが紹介していたものとか。


 3.民族の祭典ナベ

 旅行京都関係の本で最近売れっ子の、グレゴリ青山さんのレシピ。バックパッカーにおススメ。

 スープはダシの出る乾物ならなんでも。

 コンブ干しエビ干しシイタケレモングラスショウガは皮つきのままでOK、これらを適当に。

 タレはまず白ゴマを大量にすり、そこに砂糖味噌ごま油を好みで入れる。

 そこでさらに、旅行中に買ったものの、使うアテもなくキッチンに眠るはめになっていたアジア調味料を、ここぞとばかりにどっさり投入。

 オイスターソースナンプラー五香粉ガラムマサラサンバルコチュジャンなどなど、あとはそれで水炊きをするだけ。



 「不思議とまずかったことはない」

 「アジアの味がする」

 とのことで、冷蔵庫の肥やしになってる調味料を整理するときにいいかもしれない。

 あとわが家ではよく「蒸しブタもやし」を食べるのだが、鍋を出すのがめんどくさいときは、豚肉ともやしを皿にのせチンするだけでもOK。

 塩コショウポン酢でいただきます。基本的に、温野菜系はレンジでできるから楽ですね。



 (ご飯&パン編に続く→こちら

 




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

燃えよ! 男のボンクラ自炊塾 ひとり暮らしパスタ編

2017年04月07日 | B級グルメ

 「自炊って、どうやったらいいんスかね」

 そんな相談をしてきたのは、後輩ミズハイ君であった。

 彼は一月ほど前から、一人暮らしをはじめたのだが、掃除や洗濯など、なれない家事にとまどっているという。 

 中でも食事は、毎日のことで悩みどころ。

 料理はめんどいけど、外食やコンビニ弁当ばかりはがかかるし、栄養も偏って良くないことも多い。

 そこで自炊ビギナーでも、簡単に作れるメニューはないものかと、独り暮らし歴だけはムダに長い独身貴族の私に問うてきたわけだ。合言葉は、



 「安くて簡単」

 「栄養たっぷり」

 「味はともかく、腹はふくれる」



 この3つである。

 まずはスパゲティから紹介しよう。

 パスタ類はカンタンに作れて、具材もシンプルなミートソースから納豆明太子といった和のテイストもあり、バラエティーも豊か。

 しかも、見た目もそこそこで、工夫次第では女の子にも、ごちそうできたりするから、なかなか使いでのある奴なのだ。


 ☆レシピ1 ナスのピリ辛パスタ

 フライパンにオリーブオイルを入れ、切ったナス豆板醤でいため、そこにゆでた麺を放りこんでまぜるだけ

 SF作家である、田中啓文さんのホームページで紹介されていたスパ。

 むちゃくちゃカンタンにできるが、ナスにオイルと豆板醤がしみこんで食欲をそそる。

 田中さん曰く

 

 「ベーコンやアスパラなどを入れてもうまいけど、そのままで充分」

 

 とのことだが、栄養を考えると野菜をもっといれてもよいかもだ。



 ★レシピ2.『週刊文春』流トマトパスタ

 将棋のプロ棋士である先崎学九段が、自身連載もしていた『週刊文春』の記事を参考に作ったスパゲティ。

 フライパンにオリーブオイルを大量に入れ、唐辛子ニンニクを弱火で炒め、具材をテキトー(ここポイント)に入れる。

 そこにお湯トマトジュースを放りこむ。

 煮立ったらをインして、あとはお好みで味を足してできあがり。

 ソースが麺に、しみこみやすくて、おいしい。

 先崎流では

 

 「キノコをポン酢しょうゆで味付けして、大根おろしと、カイワレを大量にそえたもの」

 

 もあるという。

 このレシピのすばらしいところは、女子ウケもねらえるかもというところ。

 なんといっても、先チャンの報告によれば奥様の穂坂繭三段もまた

 

 「くやしいけど、おいしい」

 

 と、うなったという。

 女性の、しかも負けず嫌いが基本である棋士という職業の穂坂三段(こちらは囲碁のプロ)が認めたのだから、これは本物であろう。お試しあれ。

 かようにスパゲティーは簡単安価がふくれるという意味では相当に優秀な食い物だが、唯一の弱点が

 

 「ゆで時間が長い」



 鍋に入れて10分とか、どんなスローライフなのか。待てるかい!

 食品会社は宇宙刑事ギャバンの蒸着のごとく、0,05秒でゆであがるパスタを早く開発してほしいものだ。


 (鍋編に続く→こちら




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とっても美味しい「夜食テロ」との戦い その2

2017年01月16日 | B級グルメ
 「これはテロとの戦いだ!」

 との気勢をあげ、前回(→こちら)私に襲いかかってきたのは友人ショウテンザカ君だが、彼が戦うテロはハイジャックや自爆ではなく、

 「カナダで楓のお祭ってのがあってさ。そこではメープルシロップたっぷりの壺が山ほどあって、参加者はそこに焼きたてのパンケーキを浮かして、ジュクジュクのヒッタヒタにしたやつ食べるらしいで。これってバターはつけるんかなあ」

 などと、ダイエット中の人に、嬉々として話し怒らている「夜食テロ」のことである。

 たしかにお腹がすいているときにこれをやられると、悪気はなくとも

 「てめえの血の色は何色だ!」

 となって、怒り、泣きながら、深夜に「大盛カップ焼きそばマヨネたっぷり」や、「カントリーマアムお徳用サイズ」を腹につっこみ、満腹後「カロリーが……」と落ちこむことになるのである。まさに人類のおそるべき敵といえよう。

 そこで、今回は最近私が食らったテロをご紹介したい。

 たとえば、なにげなくYouTubeでお笑い映像を見ていて出てきたロッチのコント。

 ネタ自体もすごくおもしろいんだけど、とにかく見ているとカツ丼が食べたくなる(映像は→こちらから)。

 もちろん、「ちょい」大盛。それもただの大盛ではなく、

 「普通サイズでも、他の店の大盛と同じくらいの量のお店の大盛」

 でなくてはならない。それも豚汁をつけて。みそ汁じゃダメ。当然、サラダも。ドレッシングは中華とゴマどっちもや!

 食事のあとはデザートということで、お菓子類のテロを。

 昨今、将棋ファンの間で、対局中に棋士が食べるランチやおやつを楽しみにする人が増えている。

 特にタイトル戦で出る食事は旅館やホテルの一流メニューや、土地の名産や高級弁当だったり。

 おやつも有名なパティシエが作るスイーツがずらりと並んだり、棋士の差し入れがあったり、グルメな人にはたまらないかもしれない。

 で、その「将棋のおやつ映像」というのは、もうひとつ

 「着物姿の棋士が、ちょっと食べにくそうにしながらいただいている」

 というミスマッチ感がまたおもしろく、これがけっこう見ていて楽しい。
 
 将棋おやつテロの発生地帯は、2016年度に戦われた将棋の王座戦5番勝負第3局、羽生善治王座対糸谷哲郎八段戦。

 この映像の中で、羽生王座と糸谷八段がおやつを食べるシーンがあるのだが、これが思わず目をひかされた。

 特に羽生さんがあぐらをかきながら、ややでかめのワッフルかパンケーキだかを食べるところが、なんともいえず豪快かつユーモラス。

 まあ、客観的データだけ見たら、

 「40代半ばの眼鏡のおじさんがケーキを食べている」

 絵であって、それだけ聞いたらむしろ「食欲減退映像」のようだが、これが不思議と食欲をそそる。「もりもり食べる絵」というのは、それだけで人のテンションをあげるものなのかもしれない。

 1時間25分くらいのところからですが(映像は→こちら)、もうこれを見るとビッグサイズの甘物が食べたくなること間違いなし。

 とりあえず、私はすぐさま駅前のケーキ屋に走ってワッフルを買いました。

 そこに生クリームとフルーツを山盛りそえて、あぐら姿でまりまり食べる。うまい! 

 でもカロリーが……。体重と財布事情も鑑みて、しばらく3食を水と塩だけで生きたいと思う。

 あ、今思い出した。那須正幹先生の傑作『うわさのズッコケ株式会社』を読むと、「おにぎり弁当とカップ麺」のセットが食べたくなるなあ。

 こういうのは、一度考えだすと芋づる式だ。

 かくのごとく終わりなきテロとの戦いは、すきっ腹をかかえながら今日も続き、やはり日本はどこまでも平和でなによりである。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とっても美味しい「夜食テロ」との戦い

2017年01月15日 | B級グルメ
 「これはテロとの戦いだ!」

 そんな声をあげながら私に襲いかかってきたのは、友人ショウテンザカ君であった。

 テロとの戦い。9.11、ニューヨーク同時多発テロが起こったとき、ブッシュ大統領はこう気勢をあげながらアフガン空爆を開始した。

 そこからも、世界では悲惨なニュースが盛んに報じられているが、それにしても突然の攻撃に私はうろたえた。

 いったい彼はなにをもって私をテロルと結びつけるのか。私がやったことのある破壊工作なんて、せいぜいが「ワリカンのときに端数の小銭をごまかす」程度の経済テロである。

 そんな小事で宣戦布告など、まさにアメリカが泥沼のイラク戦争に足をつっこんだときと寸分たがわぬ愚かさだ。人は歴史からは学べないのかと、チョークスリーパーで顔を紫色にしながら友に問うならば、

 「この夜食テロリストめ! ダイエット中のオレ様の前で、お好み焼きとかカレーの話をするな、この卑劣な悪魔!」。

 夜食テロ。

 と言われて、にわかにピンとこなかったのは、私がネットスラングの類にくわしくないからだが、調べてみると、

 「夜間に美味しそうな食物の画像を掲示することにより飢餓感を煽るテロリズムのこと」

 ということらしい。

 定義がわかったところで、ここに「戦い」の経緯を振り返ると、うちに遊びに来たショウテンザカ君とぼんやりテレビを見ていたところ、休日のことで、やたらと「食べ歩きロケ」的番組をやっていたのだ。

 そのとき、友がイヤそうな表情をしたところで、こちらもなにかを感じるべきだったのだろうが、根がボーっとした私はそれを見ながら、「うまそうやなあ」などといったコメントをし、そこからゆかいなトークのつもりで、

 「お好み焼きってなにが好き? オレ、シンプルなんより、そば入りのモダン焼き」

 「ココイチ行ったら、トッピングになにのせる? オレはチーズかクリームコロッケ。カツカレーって、カツの量とくらべてカレー汁が少なすぎて食べにくいよな」。

 「チョコってさあ、オレも好きで外国でもベルギーとかのんも食べたけど、結局コスパでいえば明治のミルクチョコになるねんなあ」

 なんて話を展開していったところ、友の怒りをかい、ついには「NATO空爆開始」とあいなったわけである。

 いやそんな、あんたがダイエット中とか知らんがな!

 まあ、たしかに減量のため食事を制限しているところ、能天気に

 「夜中に食う『ポテトチップス うすしお味BIGサイズ』って、不健康でうまいんやなあ。コーラかファンタオレンジでさ」

 みたいな話をされたら、「お前を殺してオレも死ぬ!」ってな気持ちになりますが、なるほどそれが「夜食テロ」か。ひとつ勉強になった。

 いわれてみれば、まさに「テロ」のごとく、たまたま手に取ったマンガや小説なんかから触発されて、矢も楯もたまらずにスーパーやコンビニに走るということは、ままあるもの。

 パッと思いついたのは、沢木耕太郎さんの『深夜特急』。

 この本でテーマになる「旅」は貧乏旅行なので、グルメなシーンは特になく、そもそも沢木さんは食自体にさほど興味もなさげなんだけど、その中でひとつ食欲を刺激されるのが、ギリシャで食べたサンドイッチ。

 ギリシャのテサロニキで朝、長かったアジアの旅から、ついに舞台がヨーロッパに突入したことに感じ入りながら、主人公である「私」は屋台でサンドイッチを買う。

 それがわれわれの想像する、食パンにハムや卵をはさんだものとちがって、羊の肉を焼き、それをレタスと一緒にクレープ風のパンで巻く、かなりボリュームあるもの。

 冬のギリシャで、寒さに震えながらビールとともにそのあたたかいサンドをいただいた沢木さんは、空腹もあって、そのうまさに感動。

 思わずその場でおかわりを注文し、屋台の世話をやいている少年にビックリされるというシーンがあるのだ。

 私はこの場面にさしかかると、特に寒い日などは無性にこのサンドイッチが食べたくなり、家でもだえることとなる。

 なにげない一場面で、特に『深夜特急』ファンに語られるようなところでもないのだが、なぜか胃袋を刺激される。

 まさに意表をつかれたという意味では「テロ」であった。しかも、羊肉サンドなんて、食べたくなってもどこで買えばええんや!

 嗚呼、これは困った。テロとの戦いには、軍隊を出撃させればいいが、夜食テロとの戦いでコンビニが頼れないとなれば、どうすればいいのか。

 まさに、ビンラディンにおとらない「見えない敵」だ。なんというおそろしさか。欲をあおってハシゴをはずす。高めるだけ高めて、やらずぶったくり。

 まさに非人道的なテロリストの所業ではないか! 

 こうして私は今日も『不思議の国のアリス』を読んでマーマレードを買いに行ったり、ウーヴェ・ティム『カレーソーセージをめぐるレーナの物語』を読んでベルリン風ケチャップ入りカレーソース作りに挑戦したり、大島弓子先生のマンガを読んで朝食を「ミルクにパンにコロッケにりんご」にしたり。

 こうして終わりなきテロとの戦いを続け、日本は平和でなによりである。


 (続く→こちら




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東海林さだお、大いに怒る! 学生食堂いまむかし その2

2016年11月02日 | B級グルメ
 前回(→こちら)の続き。

 「本食堂」「経商食堂」「法文食堂」「社学食堂」と実に4つの食堂を擁する我が千里山大学(仮名)。

 味も値段も大同小異だったこの四天王に、大きな変革がおとずれた。「経商食堂」が取り壊されることとなったのだ。

 なんとまあ、気の毒に。では経済学部と商学部の学生はどこでご飯を食べればいいのかという話だが、食堂を別途また作るのだという。

 で、数か月後に新しくできた経商食堂を見ておどろいた。

 そこにあったのは、めちゃめちゃきれいで明るい建物だったのである。名前も「経商カフェテリア」とモダンなものになっていた。

 メニューの方も充実していた。

 我が法文食堂にはないカキフライや甘辛チキン南蛮などがあり、女の子向けのヘルシーなサラダなどもある。

 ゴハンはアツアツで、なんとみそ汁には具が入っていた。

 我が法文食堂のみそ汁は、そんなよけいなものなど混入していないエコ仕様だった。ハシでお椀をつつきながら、だれかが「おい、ソナーを持ってこい!」と、さけんでいたのが聞こえたほどだ。

 そこを経商カフェテリアは、具が無いどころか、豚汁やけんちん汁なんてのも販売されている。大盛もOK。お前らは、どこの国の特権階級サマや!

 食堂を失った彼らを嗤うべく、地獄坂をわざわざくだってきた我々文学部偵察隊は、これに大いなる衝撃と嫉妬を覚えた。

 ただでさえ卒業が比較的容易なうえ雰囲気も明るい、経済・商両学部にルサンチマンをいだいている学生が多い我が学部である。

 そのうえさらに、彼らのアドバンテージが増えるところなどゆるされてはならない。

 特に商学部など「らく商学部」「あそびま商学部」などと呼ばれるほど、いつも女の子を連れて、合コンだ春はテニス冬はスキーだと楽しそうなところなのだ。

 はっきりいってチャラい。われわれが『若きウェルテルの悩み』みたいな辛気臭い本の原書を、辞書片手にコツコツ読んでいる横で、夜の飲み会の相談をしてやがる。

 まさに「仮想敵国」である。МN爆弾でも落としたろうかしらん。

 まあしかし、それも法文食堂が改装されるまでのこと。ウチらの学食も遺跡レベルの古さとボロさをほこっていたから、こちらもきっとキレイになることだろうと皮算用していたら、あにはからんや、そこにこんな情報が。

 「経商以外の食堂改築予定はなし」

 な、なんということか。我々はどうなる。無視か。

 経商の連中が、王様のような食事をしている中、ワシらは掘っ立て小屋で「終戦直後」みたいなメシ。

 これでは完全に「二等国民」あつかいではないか。このような暴挙が許されていいのか。ふざけるな。経済と商ゆるすまじ。万国の労働者よ団結せよ。やつらを高く吊るせ!

 これまで、貧しいながらもつつましく暮らしていた我々だったが、嗚呼、格差社会というのは、かくも憎しみを生み出すのである。

 「小さいながらも、楽しい我が家」。もう、あの幸福な時代には戻れないのだ。

 そこで決然と立ち上がった私は、法学部の友人ヤマダ君と、キャンパスから隔離された場所にあるうえ校舎が最もきたなく雰囲気も暗い「三等国民」社会学部のトヨツ君を招集。

 経商包囲網を布くため彼らと法文社三国同盟を結成。「四民平等」「五族共和」の旗印の下、経商カフェテリアへと進駐した。

 そこで我々は

 「ドリンクのみで長々と席を占領する」

 「食べるときに不快な音を立てる」

 「ごちそうさまをいわない」

 「女子学生の隣にすわり、大声で猥談をする」

 などといったレジスタンス活動を行った。人は衣食足りないと、礼節などへっぽこのぷーなのだ。我々にも、具の入ったみそ汁を!

 我々は「文学部ウザ!」「社学部キモ!」との、ヒンシュクの目にひるむことなく、勇猛果敢に戦ったが、残念ながらキッチンからの

 「あんたら、少し静かにしなさい!」

 の一言により、無念の撤退を余儀なくされたのであった。

 嗚呼、われら勇気ある戦士も、元気印なパートのおばちゃんにはかなわないのである。いつも、おいしいゴハンをありがとう。私はチンジャオロースーが好きです。

 それにしても、あの時は本当にねたましかったものである。

 我々は坂の上で、ぬくい墨汁のようなコーヒーを飲みながら、そうかあ、共産主義ってこういうところから生まれたんやなあと、はからずも勉強になったものであった。

 こんな思い出があるため、東海林さんの「おいしい学食ゆるすまじ」という怨念には、非常なる共感を覚える。

 今でも大学の話で、「経済学部です」「商学部です」って人に会ったら、つい「敵、発見!」って気分になるものなあ。

 お前ら、遊びまくりで、うまいメシまで食いやがって! と。

 まこと、食い物の恨みと私の人間の小ささはおそろしいのである。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東海林さだお、大いに怒る! 学生食堂いまむかし

2016年11月01日 | B級グルメ
 「学生食堂がおいしいなどというのは、けしからん!」

 そんな怒りの声をあげたのは、東海林さだおさんであった。

 私は東海林さんのファンで、特に「丸かじりシリーズ」は、トイレに風呂に銀行や歯医者の待ち時間にと、スキあらば読み返しているもの。

 そんなショージ君が、あるとき若者に「いかがなものか」な苦言を呈したことがあり、それが母校である早稲田大学の学生食堂をおとずれたときのこと。

 学食というのは「安価でお腹いっぱい」が基本にあり、味というのはさほど重視されないというのが昭和の常識だったが、ショージ君が見た近年のそれは、はるかに豪華なものへと変貌していた。

 レストランのような内装、メニューもステーキやイタリアンなどハイカラなものが並び、BGMにはピアノの生演奏まであったという。

 これには「月一度のごちそうがレバニラ炒め」という青春期を過ごした大先輩も怒り心頭となり、

 「早稲田も地に落ちた」

 そう宣言してしまうのだ。

 これにはページをくりながら爆笑してしまったのだが、ひとしきり腹をかかえながら思わず、

 「わっかるわあ」

 そう力強く同意してしまう自分もいたのである。

 学生時代、私の通っていた大学は坂の上にあった。

 駅からキャンパスまでのなだらかな傾斜になっており、それを上がれば学舎が見えてくるのだが、私の学んでいた文学部(および法学部)は、さらにもうひとつ坂の上に校舎がある。

 その坂というのが校門までのそれと違い、いきなり傾斜がきつくなり、登るのが大変だった。

 正式名称は法文坂というのだが、我々学生は「地獄坂」と呼んでいた。落差があるぶん、よけいにしんどく感じるのだ。

 この地獄坂の苦しさは、今でも鮮明におぼえており、我が千里山大学(仮名)の法文学生は、なぜ自分たちだけがこんな苦行を強いられるのか、という抗議に加えて、

 「経済学部、合コンしすぎ」

 「商学部、授業楽すぎ」

 「社会学部は、今時ヘルメットかぶって革命がどうとかいって、女子にウザがられてるからゆるす」

 などなど、他学部生への八つ当たりをぶつぶつつぶやきながら、毎朝シーシュポスのごとく山を登っていくのである。

 さてそんな山頂にあるキャンパスの、さらにその裏側という南極点のような僻地に、薄汚い掘っ立て小屋が建っていた。

 看板があり、そこには「法文食堂」と書かれてある。

 これがなになのかと問うならば、読んで字のごとく文学部と法学部の学生用の食堂なのだ。

 我が大学は人口2万7千人を誇る、いわゆるマンモス大学であった。

 必然、食堂がひとつだけでは学生たちを収容できない。というわけでキャンパスには校内中央部にある「本食堂」。

 それにくわえて、経済学部と商学部のための「経商食堂」。社会学部のための「社学食堂」。そして我が「法文食堂」と、実に4つの食堂を擁していたのである。

 そう聞くと、なんだか豪華なようだが、そんな法文食堂のご飯はどうだったのかといえば、学生食堂といったもののご多分にもれず、

 「安くてまずいが、とにかく腹だけはふくれる」

 という学食非核三原則を忠実に守ったシロモノであった。

 麺はのび、カレーには肉が入っておらず、日替わり定食のフライものやハンバーグはどんな油を使っているのか食べ終えた後、胃に天才桜木の見事なダンクを食らったのではというくらいに、ドシンともたれる。

 しかしまあ、これはどこの食堂も大同小異であったため、学生たちは別に不満など感じることなく食事をしていた。

 特に法文生は他のところに食べに行くと、また地獄坂を上がってこなければならず、味はともかく法文食堂ですますことが多かったのだ。

 ところがここにある変革が起こり、貧しくも平等であった学食四天王の一角にひびが入り、大きな紛争へと発展するのである


 (続く→こちら



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする