カラオケで盛り上がる曲は、人様々である。
今なら、back numberやOfficial髭男dism、女子ならあいみょんが人気。
われわれ世代だとブルーハーツに爆風スランプの「Runner」。
私の定番だと、くるりの『ワンダーフォーゲル』、シャーベッツ『はくせいのミンク』、
洋楽ならウード・リンデンベルク『NANA M』。パンクからはINU『メシ喰うな!』。
『メシ喰うな!』は、女子高生もいたカラオケ会で歌って、すげえひかれたなあ。
そんな定番以外では、「内輪ウケ」の曲というのも、盛り上がる。
アイドルファンの集いや、アニソン特ソンなど「しばり」の入った会だと、外では受け流されても、仲間内では大盛り上がりというケースもあるのだ。
前回はこの「身内ウケ」の曲として、ゲーム会社セガの社歌「若い力」を紹介したが、今回もそういう曲を。
アニメソングというのは場所によって、すこぶるウケることのあるジャンルである。
ふつうのカラオケだと、ちょっと合わないかもしれないが、アニメや特撮好きの仲間や、子供時代のノスタルジーに浸りたいとき。
また、明るくてノリのいい男子がいたりすると、意外と合コンみたいな場でも盛り上がる。
私の友人など、女の子のいる飲み会で『ラ・セーヌの星』を熱唱し、そのまま持ち帰ってしまう手管を「パリ定跡」と呼んでいたが、使いようによってはかなりの威力を発揮するのだ。
で、そういうときの私的定番は、
『星雲仮面マシンマン』
『誰がために』
『ジャンボーグA』
などだが、たまに歌いたくなるのが、『一発!貫太くん』のオープニング「やるぞ一発!野球道」。
私が子供のころというか、今でものようだが、関西では朝、サンテレビとKBS京都で古いアニメの再放送をやっている。
今は『機界戦隊ゼンカイジャー』と『ヤッターマン』だけど、その枠で流れていた『一発!貫太くん』。
きょうだい8人で野球チームを作るという、大家族好きの人には夢の設定(ちなみに9人目の選手は犬!)ともいえるアニメ作品だ。
そのオープニングが、初めて聴いたとき感動したというか、あきれたというか、とにかく一聴忘れがたいものだった。
まずは聴いてみよう(→こちら)。
バッターがホームランを打つシーンからイントロに入って、開口一番が、
「ひとつ野球をするものは、球にいのちをかけねばならぬ」
ここまでは、まあふつうである。
「やるぞ一発!野球道」というタイトル通り、熱血感あふれるものだ。
ところが、ここからがちと違う。続けて歌詞は、
「それはわかっちゃいるけれど」
急に方向転換だ。
それはわかっちゃいるけれど。
私のようなボンクラには、実になじみ深いフレーズが入ってくる。
そして、かわいい声で、
「アラ ズッコケタ マタ スットンダ」
ここからが、すばらしい。
「球はまあるいものだから かけたいのちもすぐすべる」
「いいとこみせたいそのわりに わるいとこだけよくめだつ」
そして締めには間延びしたよう、
「ああ きょうも、いっぱつうちたいな」
これがイイ。
ふつうの野球アニメなら
「かならず打つ」
「打ってみせる」
になるところを、
「打ちたいなあ」
この脱力感がナイスすぎるではないか。
そもそもその前の、
「かけた命もすぐすべる」
「悪いとこだけ、よく目立つ」
これだって、もしまともな野球部なら「言い訳をするな!」「たるんどる!」と体罰のひとつも、いただきそう。
でも、オレはめちゃわかるよ!
ホント、命をかけても空回ることもあるし、いいとこ見せたいときにはズッコけるもんだ。
それが人生やん! 桜中学で働く坂本なんかの暑苦しい説教より、こっちのほうが全然共感できるわー!
その証拠に小学生のころ、この曲を友達と銭湯で歌ってたら、それを聴いたオジサンが、
「坊や、それええ歌やなあ」
感心したくらいだ。
子供番組やのに、大人の機微をつくとは、まさに名曲や!
あと、今見直すと、四男の四郎くんが、お笑いコンビ三四郎の小宮くんにそっくりなんだなあ。
まるで似顔絵みたい。笑っちゃったよ。