辛い食べ物が好きである。
カレーやキムチ鍋、麻婆豆腐にトムヤムクンなど、できるだけ辛めのほうがおいしく感じるクチだ。
そんな私がおすすめする辛物が、トルコの唐辛子。
トルコ人は唐辛子が好きだ。
羊肉のサンドイッチやピクルスにはたいてい入っているし、家庭料理でもトマトの煮こみや豆のスープをいただきながら、唐辛子やタマネギを生のままポリポリかじる。
日本人の感覚では、ちょっとという気もするが、トルコは野菜がおいしいので、これでいけるのだという。
かくいう私も、彼の地ではハマッたクチ。
イスタンブールのケバブ屋でつけ合わせに出てきたのを、漬け物感覚でポリポリやっていたら、これが辛くてウマイ。
ちょっとヒリヒリするけど、ただ辛い調味料を大量に入れただけの下品な味ではなく、マイルドでまろやかに、それでいて口全体に辛さが広がる。
これが後を引いてクセになり、かっぱえびせん感覚で、やめられないとまらない。
気がついたらスーパーで瓶詰めを買いこんで、ホテルの部屋でレストランへの持ちこみで、毎食毎食つけあわせとして大活躍したのであった。
あまりにも病みつきになって、日本へのおみやげに大量に買いこんだほど美味な辛さであったが、ひとつ問題であったのが、その後のひき方。
さすがいい唐辛子だったせいか、胃が荒れたりといったことはなかったけど、「来た」のは上でなく下の方。
びろうな話でもうしわけないが、尻である。
そこが四六時中熱を持ってカッカしているのだ。食べると、その後1週間くらいずーっと痛く、ヒリヒリして、むずがゆい。
油断するとヒクヒクとけいれんし、トイレに行くと、出す際には思わず「な!」という声にならない声を上げてしまうことになる。
なにかこう、「いけない気分」にさえなりそうなのだ。
そんな、思わずめくるめく耽美な別世界につれていかれそうになったトルコの唐辛子は、それくらいワイルドな辛さで美味であった。
機会があれば、ボラギノールを用意したうえで、また食べたいものだ。
(ラオス編に続く→こちら)