「覚醒剤やなくて、マリファナにしといたらよかったのに」。
有名人のドラッグ事件のニュースに接すると、いつもそんなことを思うのである。
マリファナはいろんな意見があるにしろ、
「副作用がどうとかより、労働力が低下するからやってほしくない」
という「支配者側の都合」だが、覚醒剤は別である。
ドラッグの世界は俗に「ケミカルはダメ」「白いモノには手を出さない」が原則と言われる。
マリファナだとせいぜいが、ヘラヘラ笑ってだらしなくなるくらいだが、覚醒剤やヘロインやコカインはがっちり中毒になるし、禁断症状はキツイし、人間としてこわれてしまう。
「ラリッて殺人」とかは、たいていがこれら「白い」ドラッグである。こっちはシャレにならないので、法とか以前に人としてやってはいけない。
ソフトドラッグは
「ハッピーになって働かなくなるから、やってほしくない」
だから禁止。ハードドラッグは
「マジで終わるし、人にも大迷惑」
だから禁止。その思想が、根本的に違うのだ。
なもんでこの手のニュースを見るたびに、衝撃とかよりも、
「マリファナなら逮捕だけですむのに」
などと、的外れな感想をいだいてしまうのだ。いやいや、つっこむとこそこやない、と我ながら思いますけど。
この手の話は、昔ヨーロッパを旅行したときに、アムステルダムのユースホステルでいろいろ聞いたものだ。
「ここで吸うために1年がんばって働いている」
というガンジャ大好き日本人旅行者から、
「マリファナの自宅栽培法」
「EU圏内を陸路で密輸するには」
「ニオイをごまかすには、このデオドラントが一番!」
といったイリーガルなお話から、
「大麻栽培って光を当てなあかんから、おまわりはまず電気メーターをチェックするんや」
「ヨーロッパはパスポートコントロールがなくなって、楽になったわあ」
「某空港では、尻の穴自分で広げさせられて、中調べられたわ」
などといった愉快な(?)「あるある」ネタまで、今ではネットがあるからさほどでもないだろうけど、当時は「おお、そんな世界もあるんや」と興味深く聞かせてもらったもの。
もっとも、他の日本人旅行者がさざ波のようにひいていくのには、まいりましたけど。
なんてことを呑気に話していると、「おまえはマリファナをすすめているのか」と怒りの声が届きそうだが、別にそういうことを主張するつもりはないし、私自身もやったことはないし、やる気もない。
大麻自体は、イメージほど悪いものとは思わないけど、法で禁じられている以上それは遵守すべきとは考えている。
やりたければ、めんどくさいけどオランダなりインドなりに出向きましょう。
あと、マリファナに興味を持っている人がいれば、それを止める決定的な一言というのが存在します。
それは副作用であって、ハッパを吸っても基本的に『バスケットボール・ダイヤリーズ』のデカプーみたいに、地獄の禁断症状に苦しめられることはないけど、もれなくこれがついてくるという。
「吸うと、食欲が増す」
たぶん、心身がゆるくなって満腹中枢がサボるんだろうと思うんだけど、とにかくお腹が減って、ばくばく食べてしまうそうです。
だからガンジャを決めると大デブになる可能性が。医療大麻では食欲不振の治療に使うくらいだから、本当に食べたくなるのだろう。
「実はね、ちょっと大麻が手に入りそうなんだけど、やってみない?」
好奇心からそんなことをつぶやく女の子には、ニッコリ笑って、
「でも、太るらしいよ」。
他のどんなデメリットを語るより、これで結構な数の女性を踏みとどまらせることはできるんではなかろうか。ホンマかいな。