「伊藤匠 11連敗からの逆襲」は「ノバク・ジョコビッチ覚醒2011」になれるか

2024年05月09日 | テニス

 「11連敗したとて、まあこれからよな」
 
 
 「伊藤匠はタイトルを取れるのか」という議題で将棋ファンが話し合うとき、侃侃諤諤やり合った末、だいたいがこういう結論になった。
 
 今期の叡王戦第3局を終えたところで、挑戦者の伊藤匠七段が、藤井聡太叡王(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖)相手に2勝1敗とリード。
 
 のタイトル獲得に、王手をかけているところである。
 
 第1局を終えた時点で、藤井が伊藤に負けなしの11連勝をしていたことを考えると、ずいぶんと景色が変わったようだが、まあこういうのは勝負の世界にままあることではある。
 
 長い目で見れば「今」の成績はあくまで今のことにすぎず、数年もたてばどう変動するかなんてわからない、なんてことは、さんざん見てきているのだ。
 
 なのでまあ、
 
 
 「こんなん、1勝したら、そこからわけわからんことに、なったりするもんな」
 
 
 なんて、伊藤ファンのヤキモキをよそに、いたって呑気にかまえていたわけである。
 
 でもって実際、今伊藤が逆襲に転じているわけだが、こういうは上げていけば枚挙にいとまがない。
 
 たとえば、テニスノバクジョコビッチ
 
 ノバクはその圧倒的ポテンシャルにもかかわらず、デビュー当時はロジャーフェデラーラファエルナダルという2強に、頭を押さえられていた。
 
 また、大事な試合で原因不明の疲労感に襲われ、リタイアを余儀なくされるなど、
 
 


 「あいつは万年2位だ」
 
 「すぐにガス欠を起こす。練習をサボってるんだろ」



 
 
 などと、ファンのみならず、選手仲間からもキビシイあつかいを受けていた時期もあったそうな。
 
 ノバクの本によると、
 
 
 「テニス界で最もジェントル
 
 
 と言われていた、ジョーウィルフリードツォンガにすら、「なまけもの」と酷評されたというのだから、読んでいてが痛くなったくらいだ。
 
 そんな彼だったが、体調不良が
 
 
 「グルテン・アレルギー」
 
 
 という持病せいだったことがわかったり、また積極的に食餌療法に取り入れたことなどがいい方に転がると、形勢は一気に逆転
 
 2011年はシーズン開幕から、41連勝(!)と大爆走。
 
 このときの衝撃は今でも忘れられないほどで、とにかく当たるを幸いなぎ倒すというか、まさに、
 
 
 「負ける気せんね」
 
 
 という、安定感エグすぎな強さ。
 
 相性のいいオーストラリアンオープンをはじめ、マイアミモンテカルロマドリードローマと、ビッグトーナメントを次々と制覇
 
 ローランギャロスこそベスト4でフェデラーに止められたが、続くウィンブルドン初制覇
 
 そのままナンバーワンになると、ハードコート・シーズンに入っても勢いはおとろえず、トロント優勝
 
 さすがにオーバーワークというか勝ちすぎで、このあたりではケガにも悩まされたようだが、USオープンもしっかり優勝し、年間最終ランキングも堂々1位でフィニッシュ。
 
 すさまじい勝ちっぷりであって、
 
 
 「今までのくすぶりは、なんやったん?」
 
 
 不思議な気分になったのをおぼえている。
 
 テニスの内容も素晴らしく、とにかくアンフォーストエラーがほとんどない。
 
 そのため、ラリーがきれいに続いて、見ていて本当に気持ちのいい進撃だったのだ。
 
 その後のノバクは、クレーコートで無類の強さを発揮するナダルや、「王の帰還」を果たしたフェデラーなどと競い合いながらも、トップの位置をキープ。
 
 グランドスラム全冠制覇、ゴールデンマスターズ(マスターズ9大会全冠)達成、グランドスラム通算24勝(史上最多)など、
 
 
 「テニス史上最強の選手」
 
 
 と呼ばれるに充分なほどの実績を残した。
 
 正直、2010年までの時点では、ノバクがここまでのことをやれるとは思っていなかった。
 
 いや下手すると1位にもなれず、グランドスラムタイトルが、2008年オーストラリアンオープン1個で終わっても、そんなに不思議に感じなかったかもしれない。
 
 
 「ノバク・ジョコビッチは、フェデラーやナダルには勝てない」
 
 
 皆がそう思いこんでおり、数字的にはそれは決して、おかしな結論でもなかったからだ。
 
 それが、今では押しも押されぬ大レジェンドだ。
 
 未来のことなんて、だれにもわからない。
 
 叡王戦の結果次第では、数年後には
 
 
 「藤井聡太が投了した瞬間、伊藤匠八冠が誕生」
 
 
 みたいなことが起こるかもしれず、もしそうなっても私は、
 
 
 「あー、よくあるやつね」
 
 
 きっと、たいして驚きもしないことだろう。

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古いテニス動画を見てみた ビヨン・ボルグ対イワン・レンドル 1981年 フレンチ・オープン決勝ほか

2023年11月28日 | テニス

 クレーコートの試合が好きである。

 テニスにはコートサーフェスに、いろんな種類があって、ウィンブルドンに、ふだんわれわれにもなじみがあるハードコート

 今は見ないが、室内カーペットとか日本にしかないらしい入り人工芝オムニコートなどもあったけど、やはり男ならどーんと赤土のテニスを楽しむべきである。

 クレーコートのなにがいいって、まず暑苦しい

 クレーは球速が遅いため、どうしてもラリーが長くなりがちである。

 なので、スピードやパワーよりも体力精神力がより試されるわけだ。

 今でも、「クレーキングラファエルナダルがそうであるように、永遠に終わらない打ち合いを苦にしない、ど根性ガエルが活躍する、その偏りがたまらないのである。

 その意味では、本当の楽しさは今よりも、むしろの試合でこそ味わえるというもの。

 一時期、あまりに球が遅く、延々と単調なラリーが続くだけの試合が頻出したため、総本山であるローランギャロスをはじめ、クレーの大会の人気が急落したそうな。

 そのため、主催者側もボールを調整したりして、なんとかスピーディーな試合展開を作り上げようとした。

 また、1997年のローランギャロスを制覇した、ブラジルのグスタボクエルテンが、テンポのいい「サンバテニス」を披露したこともあって、赤土のテニスも多少は変わっていったようなのである。

 私のようなガチのクレーマニアは、華麗な打ち合いもいいが、やはり暑苦しい男たちが、汗だくでフンフン言いながら、ガットが切れるくらいにトップスピンを打ち上げる姿が萌えるわけで、今回はそういう動画を見てみたい。

 まず元祖クレーキングと言えばこの人のビヨンボルグ

 1981年のローラン・ギャロス決勝、イワンレンドルとの一戦(→こちら)。

 パリで6勝のレジェンドであるビヨンだが、やはりカッコイイ。

 映画『ボルグマッケンロー 氷の男と炎の男』(超オススメです!)を見ると、現役時代の彼の苦悩が伝わってきて、より思い入れも強くなる。

 一方のレンドルは、これが良い感じに地味で、そのコントラストも目を引く。負けるな、イワン。

 試合のほうは、これがもう期待通りのスローペースで笑ってしまう。

 サーブボレーでチャキチャキとポイントが決まるウィンブルドンとくらべて、同じ星の出来事とは思えない。

 ボーっとながめて、気がついたら眠っていたり、それがいい。

 

 クレーと言えば今も昔もスペインが強く、中でもインパクトを残したのが、アルベルトベラサテギ

 「エクストリームウェスタン」と呼ばれた、極端に分厚いグリップを駆使して、1994年のローラン・ギャロスで決勝まで上がってきた。

 そこで同胞であり、ディフェンディング・チャンピオンでもあったセルジブルゲラに敗れたが、その見た目の濃さも相まって、なかなかにステキである。

 ボールの軌道が高いのが、いいんだよなあ(こちら)。しかし、なんて見た目の男くさい戦いなんだ。

 

 あと、クレーのテニスの醍醐味と言えば、攻撃的な選手がその泥沼に飲みこまれるところ。

 芝やハードコートなら、弾丸サーブに強烈なストロークにネットダッシュでも見せて、ふつうに勝てそうなところが、これがコートが違うだけで、こんなにも苦しめられるとは。

 将棋でいう「後手番」のようなもので、どうしても受け身の戦いを強いられる。

 たとえば、1996年のローラン・ギャロス2回戦

 ピートサンプラスセルジブルゲラ戦(→こちら)。

 クレーを苦手とするピートが、よりにもよって2回戦で優勝2回のセルジと当たるという運のなさ。

 ピートはこの年、ベスト4まで行って「ついに優勝あるか?」と期待させたが、この試合をはじめフルセットの連続で疲弊させられ、ガス欠で敗れた。


 1995年デビスカップ準決勝。

 ロシアドイツ戦の大将戦、アンドレイチェスノコフミヒャエルシュティヒの一戦(→こちら)。

 ウィンブルドン優勝経験もあるシュティヒは、基本的には攻撃型だが、オールラウンドプレーヤーでもあるため、クレーは苦手というほどの印象はない。

 実際、翌年のローラン・ギャロスでは決勝まで行っているのだが、この試合ではチェシーの泥臭い、ねばりのテニスに手を焼きまくり。

 なんとチェシーは9本ものマッチポイントをしのぎ、ファイナルセット14-12で勝利。

 これがクレーやなあとウットリするような試合で、いつままでも観てられるなあ。

 

 

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古いテニス動画を見てみた マルチナ・ヒンギスvsアマンダ・コッツァー&アランチャ・サンチェス=ビカリオ

2023年10月01日 | テニス

 マルチナヒンギスのテニスはクレバーで美しい。

 私はテニスファンだが、最近ただでさえ観戦時間が減っているのに、YouTubeのテニス動画やジュニアの試合などを観戦していて、ますます進行中のツアーが観られなくなっているのが悩みのタネ。

 とはいえ、気楽にあれこれツマミ食いできるネットの魅力と、また我ながらけしからんことに、5セットマッチが長く感じられてダルイとかもあって、気がつけばスマホパソコンに向かってしまうのだ。

 このところハマっているのは、マルチナ・ヒンギスの若いころの試合。 

 ヒンギスといえば、ちょうど私がテニスに興味を持ったころにデビューした選手だったが、12歳のときにフレンチオープンジュニアの部で優勝し、「天才少女現る」と、その名をとどろかせていた。

 はじめて、しっかりと試合を見たのは1996年オーストラリアンオープン準々決勝。

 グランドスラム大会でベスト8入りを果たした彼女の相手は、南アフリカアマンダコッツァー

 コッツァーは身長158センチと小柄だが、安定感は当時の女子テニス界では随一といわれていた。

 フットワークねばり強さで戦う玄人好みのスタイルは、一発の怖さこそないものの、なんとも負かしにくいタイプのプレーヤー。

 女王シュテフィグラフを何度も苦しめたところから、ついたあだ名が「小さな暗殺者」というのが、なんともシブい選手であった。

 試合の方も、天才少女の大ブレイクが期待される空気の中、アマンダもブレない大人のテニスで対抗し、フルセットまでもつれたが、ここは先輩が貫録を見せる形となった。

 観戦後に感じたのは、正直

 

 「こんなもんか」

 

 というもので、噂のワンダーガールはショットのコントロールこそいいものがあったが、それ以上のインパクトにとぼしく、

 

 「これからに期待か」

 

 くらいのもので、14歳(!)ということを考慮に入れれば、そりゃそうだろと今では思うけど、そのころのマルチナはいかにも体もテニスも、細かったのだ(試合の方は→こちら)。

 そんな彼女が大爆発したのは、翌年のUSオープン

 4回戦まで勝ち上がると、そこで第3シードで大会優勝経験もあるアランチャサンチェスビカリオと対戦し、目を見張るような成長ぶりを見せつけるのだ。

 それまでは、でイメージする戦略に、まだの方が追いついていないような印象だったが、このときの彼女はすでに完成形に近かった。

 ラケットとボールをまさに自在に操り、優勝候補であるアランチャを上下左右に振り回していく。

 なにも知らずに見たら、どっちがシード選手かわからないくらいのものだったが、途中アランチャのねばりに手を焼き、ミスジャッジにプレーが乱れたりもしつつ(これはマルチナの大きな弱点だった)、内容的には快勝と言っていいもので、ベスト4に進出。

 彼女はその明晰なプレースタイルからチェスプレーヤーに例えられることがあったが、それも納得のラケットさばきであった。

 中でも、得意とするバックハンドダウンラインは、まるで定規で測ったかのようキレイにライン際を飛んで行く。

 当時、ジョンマッケンローが言うには、

 

 「あのショットを完璧に打てるのは、世界でアンドレアガシとマルチナ・ヒンギスだけ」

 

 とのことだが、その通りヒンギスはこのショットをあざやかに、鼻歌でも歌いながら軽々と決めてしまうのである。

 この試合にハートをわしづかみされた私は、録画していたビデオテープを、すり切れるほどにくり返して見まくった(試合の方は→こちら)。

 昔の私は、一度気に入ったものを偏執的にくり返し鑑賞するというクセがあったが、このころのマルチナ・ヒンギスこそがそれだった。

 たぶん、30回以上観返している。同じ試合なのに、自分でもあきれるほど、私はマルチナのテニスに魅せられたのだ。

 その動画はDVDにダビングして、今でも実家の押し入れに入ってるけど、ネットの動画サイトの充実で、いちいち取りに行かなくてもよくなったのはありがたい。

 一時期、ウィリアムズ姉妹や、マリアシャラポワリンゼイダベンポートジェニファーカプリアティアメリーモレスモ-など女子ツアーをパワーテニスが席巻したことがあったけど、私は今でもマルチナの技巧的なテニスがあこがれだ。

 今でも、男子だけどダニールメドベージェフとか、ジルシモンとか好きだものな。三つ子の魂百まで。

 あと、ダブルスもメチャクチャにうまいから、そっちに興味のある方も、ぜひ彼女の頭脳派プレーを見て、そのクレバーさに胸躍らせてほしいものだ。

 

 

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YouTubeでテニス ダブルスの動画を見てみた

2023年01月10日 | テニス

 YouTubeでテニスの動画を見るのは楽しい。

 特にテレビなどではなかなか放送されない、早いラウンドの試合や、選手の練習風景などが見られるのがうれしいのだ。

 ネット動画でテニスが見られるようになって、まず飛びついたのが、なんといってもダブルス

 私はダブルスが好きで、生観戦のときは積極的に見に行くようにしているが、これがテレビなどだとなかなかやってくれないのが残念。

 普段のシングルスでは見られない、ネット際の攻防や、ダブルスアレーを広く使った立体的な戦い方など、見ていて本当に楽しい。

 実際に以前、靭公園テニスセンターでやっている世界スーパージュニアテニスを友人と見に行ったとき、生観戦がはじめてという彼が、

 

 「ダブルスっておもろいなあ。オレ、シングルスよりもハマるかもしれへん」

 

 と言ってくれたもの。

 スピーディーなボレー&ボレー突き球のリズム感に、ロブドロップショットを織り交ぜたテクニカルな戦い方など、自分のプレーにも取り入れたくなるところ多々だ。

 というわけで、今日もせっせとダブルスの好試合を探すのだが、まず見たいのがトップクラスのワザで、となれば、まずはずせないのがブライアン兄弟

 双子のダブルスで、右利き左利きのコンビという、マンガのキャラみたいなチームだが、これがメタクソに強い。

 いや強いどころか、世界1位、グランドスラム16勝、ツアー通算119勝という、あらゆるダブルス記録のナンバーワン保持者たちなのだ。

 ちなみに、対戦相手のレアンダーパエスマヘシュブパシインドが誇る最強ペア。

 ちなみに、こちらはブライアンズと違って、も最強に悪いらしい。さや香とタメはれるくらい。

 女子のダブルスで名手といえば、色々いるけど、マルチナヒンギスが強い。

 もともと技巧派だから、ダブルスにも合ってるんだろうけど、いろんな選手とペアを組んで勝っているところも、なにげにすごい。

 ここではベテランのヘレナスコバと組んだウィンブルドン決勝の模様を。

 相手が、やはりダブルスの名手ラリサネーランドメレディスマグラスということもあって、実に見ごたえのある打ち合いに。

 女子の選手はネットプレーよりストロークに自信があるせいか、雁行陣(2人が前衛と後衛に分かれてプレーするスタイル)で戦うことが多いのだが、この4人はどんどんネットに出て行って、その小気味よさも良い。

 日本だと、やはり岩渕聡鈴木貴男の黄金コンビ

 なんといっても、ジャパンオープンで地元優勝の実績が光る。

 この2人がいたから、デ杯でもダブルスはかなり安心していられたものだ。

 ブライアン兄弟もそうだけど、利き手が左右のコンビっていいよなあ。

 われらが錦織圭のダブルスもいい。

 ふだんはシングルスに専念しているけど、実はダブルスもできる。

 日本がデビスカップでベスト8に入るなど活躍していたとき、

 

 「錦織をシングルスに専念させるべきか、それとも単複3連戦で力ずくの勝利をねらうのか」

 

 というのは、よく議論されたテーマ。

 当時の日本に頼れるダブルスプレーヤーがいなかったという背景はあるが、錦織のオールラウンドな技術が光っていたのもたしかだろう。

 

 

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大坂なおみ選手が、何かを乗り越えるとき

2022年09月15日 | テニス

 「ホッとする瞬間」というのがステキだと思う。

 「女性のどんなところに、《いいな》となるか」

 というのは男同士での酔談に、よく出るテーマである。

 ベタにお尻がいいという人もいれば、うなじにときめくという人もいる。

 中には友人トヤマ君が言うような、

 

 「ポッチャリ女子が好きだけど、それはただふっくらしているだけではなく、一度ダイエットをして、その後失敗してリバウンドをした肉のついたポッチャリがいい」 

 

 なんてマニアックな要望もあったりするが(それ、どう違うんだ?)、これが私の場合

 

 「女の子が、安堵の表情を浮かべる瞬間」

 

 2019年東レ・パン・パシフィックオープンで、日本の大坂なおみ選手が見事初優勝を果たした。

 大坂選手といえば、前年でUSオープンを制し、続いて年明けすぐのオーストラリアン・オープン優勝するなど大活躍で、日本人選手として初の世界ナンバーワンにも輝いたが、その後スランプに見まわれる。

 コーチとの契約解消や、ガラの悪いメディアへの対応、また女王となったことを意識しすぎるなどで本来の力を発揮できず、早期敗退をくり返しファンをヤキモキさせたが、ここへきて地元での栄冠を獲得し、続くチャイナ・オープンも制して一気の復活劇を遂げるのだった。

 このとき印象的だったのが、東レの決勝戦でのこと。

 マッチポイントを取って優勝を決めたなおみちゃん(本人公認の呼び名)は、感慨深げにをあおいだのだ。

 これまでのイメージだと、優勝を決めれば彼女は「やった! やった!」と無邪気に飛び跳ねていたようだが、ここではじっと、噛みしめるように味わっていた。

 そこにマンガのごとく、フキダシをつけるなら、そこに書かれるセリフはこうだったろう。

 

 「よかったぁ……」

 

 全豪優勝から半年以上、なおみちゃんにとって、この時期は非常に苦しいものだった。

 そのトンネルを抜けたとき、彼女は喜びよりも、むしろ安堵を感じたのではあるまいか。

 そのことが、これでもかと表情に出ていたものだった。

 勝ててよかった、ホッとした

 そして、様々な重圧から解放されるきっかけをひとつつかんだとき、ようやっと彼女のいつもの笑顔が花開いたのだ。

 ふだんのイノセントな彼女もいいが、この「なにかを乗り越えた」ときのホッとした姿も、またすこぶる魅力的だった。

 その後も大坂なおみ選手はテニスのプレーのみならず、様々なしがらみや軋轢にさらされ、今年のUSオープンでも初戦敗退を喫してしまうなど、苦戦を強いられることも多いよう。

 「ふつうの女の子」であることが、彼女の大きな魅力であり売りだったが、ビッグマネーや、世界中の魑魅魍魎がからむスポーツ界で戦っていくにおいては、それが通じないケースも増えてきて、いろいろとかみ合っていない印象を受けることもある。

 見ているこちらは、コートで戦う彼女を見守ることしかできないが、願わくば多くの笑顔に恵まれてほしいと、ファンとして心から思うのである。

 

 ■おまけ

 英会話学習のYouTubeをやっているサマー・レイン先生が、大坂なおみ選手のツイートを例文に英語を教えている動画。とても興味深いです。

 

 

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テニス フォア、バックともに両手打ちの選手の動画を見てみた

2022年07月29日 | テニス

 YouTubeでテニスの動画を見るのは楽しい。

 特にテレビなどではなかなか放送されない、ダブルス練習風景などが見られるのがうれしいのだ。

 最近ハマってみているのが、

 「フォアバックともに両手打ち」動画。

 テニスのフォアハンドといえば、ふつうは利き手で打つものだが、ごくまれに、フォアハンドも両手で打つというレアなケースもある。

 子供のころ、ラケットが重くて両サイド両手打ちでやってたら、それがなじみになって、大人になってもそのまま、というケースが多いよう。

 たいていが、スクールや部活などで指導者から片手に移行させられるものだが、変えないほうがいいと判断されたか、こだわりがあったか、そのまま貫いて行く人も少数ながらいるのだ。

 比較的多いのが女子の選手でモニカ・セレスは元ナンバーワンで、多くのグランドスラムのタイトルを獲得し、マリオン・バルトリウィンブルドンで優勝している。

 日本だと森上亜希子選手や森田あゆみ選手、中村藍子選手。

 ダブルスの名手である青山修子選手(ウィンブルドンベスト4)など、けっこういるもので、テニス番組でおなじみの季葉さんもとか、このあたりはアジア人の小柄な体格の問題もあるのかもしれない。

 ごくまれにだが、男子にもいるもので、たとえば私がテニスに興味を持ち始めた1995年USオープンベスト8に入り、ジャパンオープンでファイナリストにもなったバイロン・ブラック

 ジンバブエのエースであるバイロンは、初めて見た両サイド両手打ち選手で、試合を見ておどろいたもの。

 4回戦で、前年のファイナリストであるミヒャエルシュティヒを破っての快挙だから、この結果は決してまぐれではないのだ。

 この手のタイプではずせないのは、やはりファブリス・サントロで、

 「フレンチ・マジシャン

 と呼ばれるそのテクニカルなテニスは、マラト・サフィンなど多くの強豪を苦しめた

 日本人選手ではずせないのとなると金子英樹選手で、1995年全日本チャンピオン

 決勝戦ではパワーに頼らないクレバーなテニスで、大学テニスのスターだった宮地弘太郎選手を翻弄した

 ネット動画では、まさにその金子選手がユーチューバーとして人気で、その飄々とした語り口が楽しいうえに、プレーの参考にもなる。

 やはりおもしろいのは両手打ち講座で、「順手逆手」問題とか、「両手打ちボレー」「両手打ちスライス」ってどうなのとか、興味津々である。

 くらべてみると、同じ両手打ちでも、女子はそのダブルハンドのパワーで強打を売りにする選手が多いのに、男子の方はむしろ技巧派になっているのがおもしろい。

 あとはジャン=マイケル・ギャンビルとかもいたけど、最近のテニス界では、あんまり聞かないなあ。

 やっぱ両手打ちは可動域制限されるから、繊細なショットとか打ちにくいし、プレーに幅が出ないのかも。

 金子選手自身も、

 

 「スライスは片手にしたほうがいい」

 

 って言ってたし(→こちらとか→こちらとか)、でもファブやバイロンはいろんなショットを打ち分けてダブルスもうまいから、一概にそうも言い切れないかな。

 

 

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マックス・ミルヌイとアンナ・クルニコワで、美女と野獣と○○人間

2022年05月17日 | テニス

 「あのテニス選手が【特撮ファン】でなくて、よかったよな」

 ある日、唐突にそんなことを言いだしたのは、テニスファンの友人ナカノシマ君であった。

 テニスに特撮が、こんなところでどう結びつくのかと問うならば、

 「それがさあ、ちょっと前に、マックス・ミルヌイ錦織圭のコーチをするってニュースあったやん」

 あったねえ。

 昔は「ミルニー」表記だったけど、マックス・ミルヌイとは、今なにかと話題なロシア元テニス選手

 

 

 

 ダブルスの腕に定評があり、世界ランキングは1位

 グランドスラム複6勝、ミックスで4勝、ロンドン五輪ミックス

 それだけでなく、シングルスでも最高18位で、2002年にはUSオープンベスト8にも入った、すばらしいプレーヤーだけど、それがどした?

 再び問うならば、友は、

 「じゃあさあ、マックスの現役時代のニックネームっておぼえてる?」

 おいおい、玄人のテニスファンをなめてもらっては困る。

 そんなもん「野獣」。英語やと「ザ・ビースト」って呼ばれとったなんて、常識やないか。

 バシッと答えてやると友は、「さすがやな」ニヤリとすると、

 「でもさ、じゃあなんで【野獣】って呼ばれてるかの、理由はわかるか? 実は俺も、こないだたまたま知ったんや」

 え? そう言われたら、なんやったっけ?

 まあ、ふつうに考えたら気が強いとか、荒々しいんだけど、そこまでだったかなあ。

 たしかに、アスリートなんだから、気は強いんだろうけど、獣だったらもっとラケットを破壊しまくるとか、審判に暴言をはくとか、記者会見で差別発言を連発とか、そういうキャラの方が似合うのではないか。

 そういうのは、どちらかといえば、同胞のマラト・サフィンの方が合ってるよね。今なら、ダニール・メドベージェフかな。

 ということで、今回あらためて調べてみると、このニックネームの由来が2000年USオープンにあるのでは、という説を発見した。

 この大会で、レイトン・ヒューイットと組んでダブルスを優勝したマックスは、ミックス・ダブルスでも準優勝と大活躍。

 で、このときのパートナーがアンナ・クルニコワ

 

 

 

 

 当時大人気だった彼女が「美女」なら、そのパートナーは当然「野獣」しかなかろう、ということだそうな。

 だから「ザ・ビースト」。

 なるほどねえ。彼のキャラとか以前に、こうの史代先生の名作『夕凪の街 桜の国』で、「石川」さんが、とりあえず「五右衛門」と呼ばれていたように、

 「それしか連想しようのない」

 というのが理由ということだ。

 そういえば、私の知り合いの「健一」君は例外なく「けんいちうじ」と呼ばれていたものだ。

 その流れで「服部」君は文字通り「ハットリ君」もしくは「忍者」。

 そういや、将棋の近藤誠也七段は「聖闘士星矢」ってアダ名を提案されて、嫌がってましたっけ。同世代くらいが、ゴメイワクをおかけしました。

 なんか、ほとんどダジャレというか、「じゃないほう芸人」あつかいというか、いわば「もらい事故」のようなもんだったか。

 なるほど、それを聞いてナカノシマ君が、

 「特撮ファンじゃなくてよかった」

 と言った意味を理解した。

 なんたって、それだったらニックネームは野獣じゃなくて、間違いなく「液体人間」になっちゃうもんねえ。

 

 

 

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テニスの練習動画 錦織圭&フアン・マルティン・デルポトロ&リシャール・ガスケ 

2022年02月11日 | テニス

 YouTubeで、テニスの動画を見るのは楽しい。

 特にテレビなどではなかなか放送されない、ダブルス練習風景などが見られるのが、うれしいのだ。

 スポーツにはテレビ観戦派と、スタジアムで生観戦派でどっちが楽しいかわかれるもので、私は基本的に寝転んでみられるテレビ(最近はスマホかパソコンも多いけど)がいいんだけど、生で観るのももちろん楽しい。

 特にテニスは、スタジアムの大きい野球やサッカーと違って、グランドスタンドコートに出れば、手を伸ばせばさわれるくらい、選手を間近で見られたりもするのがいいものだ。

 リラックスした練習風景もいいし、ダブルスだと、思わぬスター選手が目の前で見られることも。

 また、サインなどをもらうにも、こちらのほうが近さといい選手の気楽さといい、デカ目のコートよりもゲットしやすい。

 フラッとその辺を選手が歩いていたりして、写真握手をお願いできるチャンスも多いなど、そのフランクさが魅力なのだ。

 なので、私はテニスを生で観るなら、センターコートよりもむしろそっちをオススメするのだが、YouTubeであがっている動画などは、まさにそのグランドスタンド目線。

 たとえば練習動画だと、こんなのが。

 

 フアン・マルティン・デルポトロリシャール・ガスケの打ち合い(→こちら)。

 これくらい近いと、トッププロの打つストロークの威力が、ビンビンに伝わってきて迫力。

 デルポトロのショットはやっぱりすごいなあ、この両手打ちバックが機能しなくなるんだから、ケガってホントにつらい。

 「天才」ガスケの片手打ちバックは、やっぱり芸術だとか、そのすごさがダイレクトに味わえるのが病みつきになる。

 他にも、ノバク・ジョコビッチ(→こちら)やラファエル・ナダル(→こちら)といったトップの練習風景とか、クレーや芝といった、日本ではなじみのないコートのプレーの動画もうれしい。

 芝は跳ねないうえに、すべるという特性がよくわかるし、クレーの固めなボール音も気持ちいい。

 あと、トッププロのジュニア時代の練習や試合が見られるのも、昔とくらべて本当に、ありがたくなったもの。

 そのころから輝いていたといえば、錦織圭選手。

 16歳以下の大会で戦う13歳の錦織圭(→こちら)。撮影しているのは、たぶん米澤徹さん。

 スピードのあるサービスにも臆せずリターンし、ムーンボール、ドロップショットからのロビングなど、このころから多彩な「ショットメイカー」だったのがわかる。

 フットワークもいいし、これが13歳なんだから、今さらながらスゴイですわな。

 もうひとつ、今度は16歳の錦織選手(→こちら)。

 フォアハンドを見ると、「あ、錦織や」と、すぐにわかる。

 スピーディーで躍動感にあふれ、見ているだけで楽しい動画だ。

 果敢にネットを取るが、守りのスライスも打てて、やはりここでもショットは多彩

 タッチショットのキレも相変わらずで、コメント欄に絶賛が並ぶのも納得。

 この人がデビュー後すぐトップ100に入っただけでなく、18歳でツアー初優勝を飾り、日本男子テニス界が、何十年も超えられなかった壁を一瞬でクリアしたときには、

 「才能というものの残酷さ」

 これをヒシヒシと、感じさせられたものだった。

 皆が死にものぐるいになって努力し、戦って、どうしても届かないものを、ヒョイと乗り越えてしまう。

 まさに、ピーター・シェーファー『アマデウス』の世界。

 かつて、21歳で名人を獲得した谷川浩司九段について、芹沢博文九段がこんなことを言った。

 

 谷川はスッスッと歩いて来て、目の前にあった、食べたいと思った蜜柑を食べたら、それが名人位であった。

 他の劣れし者は、必死に蜜柑を食べたいと思っていても側にも行けない。

 

 谷川からすれば、そんな簡単なもんじゃない、と反論したくなるかもしれないが、それでもやはり、きっとそういうことなんだろう。

 

 

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善き人のためのソナタ グザビエ・マリスvsロジャー・フェデラー 2012年ウィンブルドン4回戦 その3

2021年11月08日 | テニス

 前回(→こちら)の続き。

 2012年ウィンブルドン4回戦。

 ロジャーフェデラーケガに同情し、そのせいでプレーがどうにもおかしくなっている、ベルギーのグザビエマリス。

 フォアハンドを打てなくなったフェデラーに、

 

 「かわいそうに……」

 「いやいや、同情は禁物!」

 「でも……」

 「バカ野郎、なに考えてるんだ、試合中だぞ!」

 

 葛藤しているのが、ありありとわかるのだ。

 これまで通りプレーすれば、圧倒的有利なのはわかっているのに、それができない。

 その一方で、フェデラーは静かに静かにゲームを進めていた。

 腰を痛め、フォアは封じられたが、幸いなことにサービスには影響がなかった。

 使えないものは、しかたがないと割り切るしかなく、そっちは最低限つなぐだけにして、バックハンドネットプレーに活路を見出した。

 できるだけサービスポイントを取れるようにし、長いラリー戦を避ける。だましだまし、なんとか試合は続けられている。

 だが、それはあくまで「続けられている」というだけで、事態が好転しそうな気配はなかった。

 当てるだけの力のないフォアハンドでは、棄権を回避するので精一杯といった様子で、なんとも痛々しい光景だ。

 よほど、

 「もういいよ、ロジャー。これ以上は無理だ」

 そう言ってあげたくなったが、あにはからんや、ここで私は驚愕の光景を目にすることになる。

 気がつけば、いつの間にかフェデラーが、2セットアップしていたのだ。

 おいおい、これは、どういうマジックか。フェデラーはこの試合、最大の武器をうばわれていたはずなのだ。

 もちろん、マリスがそれを見て、調子をくずしたのも事実である。

 けど、それにしたって、絶好調のはずのマリスからハンディ付で、2セットリードなど、どうやれば可能なのか。

 言葉は悪いが、まやかしにかかったような気分だったが、そうやって、主導権を取ってしまったころには、彼の腰の状態はいつのまにか元に戻っていた。

 無理なショットを打たずに、じっと回復を待つ戦い方がついに報われて、ようやっと体が持ち直したのだ。

 フォアハンドも復活した。試合は開始時同様の、五分に戻っていた。

 さあ、仕切り直しである。

 と感じたのは、マリスも同じであったろう。

 皮肉なことに、フェデラーが回復してホッとしたのか、マリスのプレーのキレも、また元に戻っていた

 こうなっては、元々上がり調子だったマリスも強い。

 第3セットを奪い返して、これでセットカウントはフェデラーの2-1

 これには、私のみならず、世界中の観戦者が、

 「最初から、そうやっとけよ!

 つっこみを入れた思うが、彼からしたら

 

 「治ってくれてよかったよ、これで、こっちも全力でプレーできるぞ! さあ、ここから試合開始だ!」

 

 てなもんだったろう。

 まあ、彼が間違いなく「いいヤツ」であることは、よくわかる展開ではあったし、

 「ベストの状態である相手と、思いっ切り戦いたい」

 というフェアプレー精神には、正直ちょっと感動した。

 きっと彼にとってのそれは、獲得できる賞金や、ウィンブルドンの準々決勝進出という栄誉より、ほんの少しばかり大事なことだったのだろう。

 だが、時はすでに遅かった。

 互角の打ち合いで戦うなら、フェデラー相手に2セットダウンというのは重すぎる負債である。

 4セット目はフェデラーが見事に取りきって、6-46-12-66-2で、ベスト8進出。

 この試合を見て思ったのは、フェデラーの精神力もさることながら、マリスの心持ちだ。

 彼の敗因は、ハッキリしている。

 「あまりに、人が良すぎた

 自分はいいテニスをして、しかも相手がケガとなれば、変なことは考えず

 「今日のボクちゃん、マジでツイてるぜ、超ラッキーボーイ!」

 とか素直に受けとって、弱点となったフォアを、バンバン攻めてしまえばよかったのである。

 そうすれば、勝てた可能性は相当に高いが、それができなかったどころか、ケガに同情し、プレーに乱れが出た。

 彼は戦いのさなかに、敵の心配をすることができる、やさしい男だった。

 それは一人の人間としては、すばらしいことかもしれないが、勝負師としては甘かった。はっきり言って、甘すぎた

 ことこの試合にかぎっては、彼の自分の心の中にあるやさしさに、ツバを吐きかけるべきだったのだ。

 一方、おそるべきはロジャーフェデラーである。

 王者フェデラーは、この絶体絶命のピンチに、まったく、あきらめることがなかった。

 ひとつのグチも口にせず、不運をののしらず、ラケットや審判に、やつあたりすることもなかった。

 考えていたことは、ただただ試合を壊さないこと。気持ちを切らさないこと。

 相手の乱れに乗じて、じっと我慢し、体の回復を待つ。最後まで、棄権は考えない。

 フェデラーはコートの向こうの男や、スタンドのファンの同情の視線など、ものともせず、目の前の相手に、どうすれば逆転勝ちできるか、きっと、それしか頭の中になかったであろう。

 まったくもって、すごい男ではないか。

 どんな逆境になっても、なんという落ち着き、そして、なんという執念

 フェデラーはその後、決勝戦アンディー・マレーを破って優勝することとなる。

 もう一度言うが、勝てた試合を、むざむざ逃したマリスは甘すぎた。

 勝負の世界で「いい人」がほめ言葉にならないのは、こういうことをいうのだろう。

 だけど人間、なかなかフェデラーみたいな勝ち方も、できんよな。

 マリスの心にスキがあったのは、たしかだろうけど、それでもなにか、すごいものを見せられた気分になったよ。

 

 

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王者の死んだふり グザビエ・マリスvsロジャー・フェデラー 2012年ウィンブルドン4回戦 その2

2021年11月07日 | テニス

 前回(→こちら)の続き。

 2012年ウィンブルドン4回戦。

 ロジャーフェデラーと、ベルギーのグザビエマリスとの戦いは、思わぬアクシデントの発生で観戦者は騒然となった。

 フェデラーが、試合中にフォアハンドを、まったく打てなくなってしまったのだ。

 の違和感のせいだが、最大の武器であるフォアを、ただ当てて返すしかできないとは、明らかな異常事態である。

 これを見て、私は思わずため息をついた。
 
 こりゃロジャーは負けるな。

 それどころか、あんな手打ちしかできないんじゃあ、途中棄権という、最悪のシナリオも考えられる。

 逆にマリスからすれば、こりゃあもう、願ってもないような大チャンスである。

 あとは、相手の弱点をついていけば、楽勝のプップクプーで栄光のウィンブルドンベスト8進出だ。

 と思いきや、ここから試合はおかしなことになりだす。

 マリスが、なぜか突然に乱れ出したからだ。

 それまで、気持ちいいほど躍動していたはずの彼のテニスが、敵の不備を見て、それに合わせるようにおかしくなるのだ。

 相手のスローボールのような、打ちごろのフォアハンドに、おつきあいするかのような、ゆるい球を返す。

 サービスが入らなくなる。ネットに出るタイミングが、いかにもおかしい。

 チャンスボールも叩いていかない。なんだか、こわごわとプレーしているように見える。

 それを振り払おうとするように「えいや!」っと強打をおみまいすると、それをネットにかけてしまう。プレーが、どうにもちぐはぐになってしまったのだ。

 これは、だれがどう見ても、フェデラーのケガが原因である。

 ふつうに考えれば、こうなってしまえばフェデラーのフォアをねらえば、ポイントは好きなだけ取れる。

 そらそうだ。当てることしかできないのだから。

 野球でいえば、上位打線が全員バントしかできないようなもの。

 将棋なら飛車落ちで戦うとか、ともかくもそんな大ピンチを超えた、崖っぷちに追いこまれたわけだ。

 だが、マリスは、そこで足を止めてしまった。

 それどころか、フェデラーを助けるような自滅を開始したのだ。

 ここでのマリスの心境というのは、なんとなく想像できる。

 フェデラーのフォアがおかしくなった瞬間、すぐに感づいたはずだ、

 「おいおい、ロジャーはケガしてるぞ」と。

 次におそらく、「なんと気の毒に」と考えたのではあるまいか。

 フェデラーといえば、無敵の王者として君臨する時代が長かったが、このころはといえば、ライバルのラファエルナダルノバクジョコビッチの突き上げにあい、世界1位から陥落

 グランドスラム大会でも2年間優勝がなく、

 

 「フェデラーの時代は終わった」

 

 このところ、ずっといわれ続けてきたのだ。

 松岡修造さんなど、ハッキリと、


 「もう引退の時期かもしれない」

 
 それだけに、得意であり、もっとも愛着のあるウィンブルドンでは、再起をかけてきたであろう。

 それを、4回戦なんかでケガで負けてしまうとは、あまりにも、あまりである。

 あくまで推測に過ぎないが、プレーを見るかぎりは、同情がわき上がるのを押さえられなかったのは、たしかだろう。

 この間の彼の葛藤は、いかばかりか。

 

 「勝てる、チャンスだ!」

 

 という想いと、

 

 「でも、相手はケガしてるのに、そんなことでいいの?」

 

 おそらくは「勝負師」と「ひとりの人間」として、その天秤は揺れに揺れたはずなのだ。

 勝負は不思議な闇試合に突入した。

 お互いにふらつき、行く先が見えなくなったこの試合だが、その後なんと、予想もしえなかった結末をむかえるのである。

 

 (続く→こちら

 

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「勝負の世界は、いい人だと思われたら終わり」 グザビエ・マリスvsロジャー・フェデラー 2012年 ウィンブルドン4回戦

2021年11月06日 | テニス

 前回(→こちら)に続いて、ベルギーのレジェンド選手である、グザビエマリスについて。

 今年のアントワープ大会で、教え子であるロイド・ハリスと組んでダブルスに出場しているのだが、現役時代のマリスでおぼえているのが、2012年ウィンブルドン4回戦。

 対戦するのは、なにを隠そうロジャーフェデラー

 言わずと知れた、テニス界の王者であり、世界ナンバーワンの座に長く君臨。

 グランドスラムのタイトルも、数えきれないほど獲得するのみならず、このウィンブルドンでも、ほとんど負けたところを見たことがないという、まさに

 「ウィンブルドンの主」

 ともいえる存在でもあるのだ。

 トップシードと、力のあるベテランという、4回戦くらいらしい、実に通好みなカードであった。

 とはいえ、勝敗予想はと言えば、これはもう圧倒的にフェデラー有利

 このころのフェデラーは全盛期こそ、いったん過ぎた印象こそあるが(まあ、その後何度もよみがえるんですけど)、それでもことには変わりない。

 ましてやのコートとなれば、これはもうフェデラーの庭のようなもので、その意味でも格が違うわけだ。

 ところがこの試合、マリスが実にいいテニスを見せる。

 この一番に照準を合わせてきたのであろう、体がよく動き、またチャレンジャーという気楽な立場もあったせいか、のびのびとしたプレーを披露。

 これにはフェデラーも予想外だったのか、ファーストセットは明らかに、マリスのペースで進む。

 試合自体は競っているものの、勢い流れは、マリスにある感じなのだ。

 これにはちょっと、こちらもすわり直すことになる。

 おいおい、マリス、やるやん

 このテニスが最後まで続けば、これはかなり、いいゲームになりそうな。

 フェデラー順当勝ちと思いきや、こいつはおもしろくなってきたぞ、とこちらもエリを正すと、ここで予想外のアクシデントが起きて、さらに風はマリスに吹きはじめることとなる。

 フェデラーのフォアハンドが、いきなり、おかしくなったのだ。

 あらゆるショットを完璧にこなし、史上最強のオールラウンドプレーヤーと呼ばれるロジャー・フェデラー。

 中でも、その強力な武器は、フォアハンドの強打である。

 特に、甘いボールを回りこんでねらいを定めたときには、逆クロスにもダウンラインにも、またアングルにも打てる自在さ。

 この年の決勝で敗れた、アンディーマレーも、これに大きなプレッシャーをかけられたものだ。

 それが突然に、まったく機能しなくなったのである。

 具体的にいえば、振り切れなくなった。

 どこか故障があったのであろう、大きなバックスイングが取れなくなった彼のフォアは、腕を固定して、来た球にその面を当てて軽く返すだけしかできない。

 よく初心者の方がやる、「羽子板打ち」になっていたのだ。

 のちに、それがの違和感であったことをフェデラーは記者会見で明かしたが、最大の武器が、まったく封じられてしまうことになった。

 これで状況は、ますますマリスに有利になった。

 ただでさえ、あつらえたように絶好調なのに、相手が故障ときたもので、それもフォアハンドという、テニスでサービスの次に重要なショットが打てないのだ。

 こりゃ、大番狂わせあるぞ。

 ますます、目がはなせなくなったが、どっこい、この試合はここから、実に意外な展開を見せはじめることになるのだった。

 

 (続く→こちら

 

 

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ベルギーのX‐Man グザビエ・マリスvsロジャー・フェデラー 2012年ウィンブルドン4回戦

2021年11月05日 | テニス

 グザビエマリスがツアーに復帰していた。

 このところ、テニス観戦の時間がグッと減ってしまったのが悩みである。

 おそらくは、ここ数年、将棋番組を観る機会が増えたせいで、先日も白瀧あゆみ杯決勝の終盤戦がメチャクチャおもしろく、パソコンの前に釘付けになった。

 小高佐季子女流初段が、詰むや詰まざるやの場面を見事に逃げ切り(渡辺明名人がちょっとウッカリした筋を見逃さなかったのがスゴイ!)、九州研修生の松下舞琳さんに勝利して優勝。

 最近、こうして女流棋士の将棋を観られる機会が増えて、これがまあうれしいわけだが、そんなノリで将棋のはなしが増えて、いかんいかん、今日はテニスだとヒザを正すわけである。

 テニスはグランドスラム大会だと試合時間も長いし、将棋や自転車ロードレースと違って、「ながら観戦」がむずかしいのもネックだが、それではいかんと、遅ればせながらインディアンウェルズ大会をチェック。

 キャスパールードの活躍とか、マッテオベレッティーニテイラーフリッツの打ち合いはいいなあとか決勝ニコロズバシラシビリキャメロンノリーで、「地味な選手萌え」の私にはたまらんとか。

 それと同時に、最近のツアーのニュースも集めているのだが、そこで目を引いたのが、

 

 「グザビエ・マリス、ツアーに復帰」

 

 グザビエマリス

 私の世代だと、「ザビエルマリッセ」表記の方がなじみがあるが、10月のアントワープ大会でダブルスだがエントリーしているようなのだ。

 私のようなオジ……壮年の紳士にはなつかしい名前で、また「地味選手萌え」な身としても、これは確認せねばなるまい。

 最高ランキングが、シングルスで世界19位、ダブルスでも25位。 

 2002年ウィンブルドンでは、ベスト4(準優勝したダビドナルバンディアンに敗れた)。

 また、2004年ローランギャロスでは同胞のオリビエロクスと組んでダブルス優勝という、ベルギーのレジェンド選手なのだ。

 ベルギーのテニスといえば、このころは女子のジュスティーヌエナンや、キムクライスターズが活躍しており、男子はさほど目立たない印象だった。

 それでも、今見れば実績はなかなかのもので、マリスに加えて、


 フィリップデブルフ(最高ランキング39位1997年ローランギャロスベスト4

 オリビエロクス(最高ランキング24位2004年ローランギャロスダブルス優勝


 などなど、いいプレーヤーは多いのだった。

 そんなマリスは、コーチを務める南アフリカのロイドハリス24歳・世界31位)と組んでダブルスに出場。

 弟子とのコンビと言うことで、真剣勝負というよりも「指導モード」に近いのかもしれないが、それでも昔取った杵柄でベスト4進出を果たしたのは、さすがである。

 そんなマリスと言えば、今でも忘れられない試合がある。

 それが2012年ウィンブルドン4回戦ロジャーフェデラーとの一戦。

 理由のひとつは、この試合でマリスが非常にいいプレーを見せてくれたこと。

 もうひとつは、アスリートのインタビューなどでよく聞く、

 

 「勝負の世界は、いい人と思われたらお終い」

 

 という言葉の意味を、少しばかり理解することができたからだ。 


 (続く→こちら

 

 

 

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テニス選手のニックネームについて クリス・エバート ピート・サンプラス ミロスラフ・メシール カロル・クチェラ

2021年03月10日 | テニス

 スポーツ選手の異名は様々である。

 野球なら川上哲治の「打撃の神様」。

 サッカーなら、ヨーロッパ最強と恐れられたオーストリア代表の「ヴンダーチーム」。

 水泳なら古橋廣之進の「フジヤマのトビウオ」。将棋なら木村義雄名人の「常勝将軍」。

 などなど、例が古いというか、おまえは戦前生まれかとつっこまれそうだが、とにかく色々あっておもしろい。

 私はテニスが好きなので、今回はそこを色々と取り上げてはと考えたが、最近は妙に小忙しく、なかなかスポーツ観戦まで手が回っていないのが現状。

 なので、今の選手の試合は見ても、雑誌などを読んでないせいで、こまかい情報にとぼしいのだ。

 といって、こういうのはネット検索して拾っても、ウィキペディアか他人の書いたものの引き写しになり、つまらないので、とりあえず自分の知ってる範囲で思いつくまま出してみたい。

 ということで、例は若干古めです。では、ドン。 


 ☆クリス・エバート=「アイスドール

 これは有名。

 美人なうえ、どんな状況でも、まったく表情が変わらないところからついたもの。

 たしかに昔の映像とか見てると、ホントにクール。ブレずに正確なストロークを続けられるプレースタイルともマッチしている。

 まさに氷の人形

 ちなみに、ライバルのマルチナナブラチロワは「鉄の女」。

 ナブラッチからすれば、「だれがやねん!」とつっこみたくなるかもしれないが、その対照性こそが、見ているほうは燃えるんですけどネ。

 

 

 

 

 ★ピート・サンプラス=「ピストルピート

 元世界ナンバーワンで、グランドスラム14勝のレジェンドであるピートの、破壊力抜群なサービス力からついたもの。

 彼のサーブは、スピードやコントロールもさることながら、「ここ一番」で入る率が異様に高い。

 1540みたいなスコアから、エース4連発であっと言う間にキープとか、何度見たことか。

 まさにピストルの連射。こんなん、レシーバーはをへし折られます。

 サービスが強いとニックネームもつけやすいようで、ボリスベッカーの「ブンブンサーブ」(「Boom Boom」は大砲などの爆撃音のイメージ)。

 ゴーランイバニセビッチの「サンダーサーブ」や、マークフィリポーシスの「スカッドサーブ」などなど。

 カッコいいですなあ。

 

 ★ミロスラフ・メチージュ=「ビッグキャット

 魔法の妖精ペルシャの飼い猫ではなく、スロバキアのレジェンドのこと。日本では「メシール」のほうがなじみかも。
 
 私はメシールの現役時代は知らず、スロバキアのプレーヤーといえばカロルクチェラのほうが思い出される。

 もっとも、そのクチェラは単に「キャット」と呼ばれていて、その由来がメシールからのもの。

 同じ、俊敏なプレースタイルゆえの命名だが、

 

 「カロルもすばやいが、ミロスラフほどではないから、《ただのキャット》」

 

 みたいな言い方されて、クチェラかわいそうとやん、と笑いそうになったもの。

 まあ、メシールはグランドスラムで2度ファイナリストになってるからなあ(クチェラは全豪ベスト4が最高)。偉大な人です。

 これはまったくの余談だが、子供のころ遊んだファミコンゲーム『ファミリーテニス』の「めしいらず」というネーミングセンスには舌を巻いたものだ。

 当時はよくわからなかったが、たぶん「メシ要る」→「メシ要らず」ってことなんだろう。

 天才の仕事か。ナムコはすごいメーカーだなあ。

 

 ★おまけ

 ◇1971年のUSオープン。エバートとビリー・ジーン・キングの一戦(→こちら)。

 ダブルスアレーがないとか、会場の様子が今と違いすぎる!

 

 ◇1981年のオーストリアン・オープン。エバートとナブラチロワの戦い(→こちら)。まだ芝のコートの時代。

 

 ◇1995年のUSオープン決勝(→こちら)。ピート・サンプラスとアンドレ・アガシの名勝負のひとつ。

 

 ◇1988年ウィンブルドン準決勝(→こちら)。優勝したステファン・エドバーグ相手に2セットアップで勝利目前だった。

 

 

 

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アメリカの大学テニスと、旬の選手のジュニア時代の動画を観てみた

2021年01月15日 | テニス

 YouTubeでテニスを見ているとキリがない。

 私はテニスファンだが、最近の悩みはなかなか観る時間が取れないこと。

 昨今、錦織圭選手のおかげで、テレビでオーストラリアンオープンマスターズ1000にくわえて、ATP500の大会まで見られるようになった。

 これはこれでありがたいが、は読みたいし、映画は観たいし、将棋も観たいし、自転車ロードレースも観たいし、ラジオは聴きたいしで、なかなかそちらまで手が回らない。

 対策として、これまで散々見た「ビッグ3」や、スタンワウリンカミロシュラオニッチといった有名どころなどを泣く泣くカット

 その代わりに、女子選手や、伸び盛りの若手、なかなか見られない渋い中堅どころの試合(クライノビッチカレーニョブスタとか)を優先しているわけだが、ときには

 ノバクジョコビッチキャスパールード

 みたいなカードがあって、観るべきかスルーすべきか悩むことになるのだ(ノバクはいいとしてもキャスパーのテニスが見たい)。

 しかも、今ではそこにYouTubeにアップされているテニス動画がおもしろく、ますますレコーダーにはテニスの試合がたまっていくのだ。

 とりあえず、ローマハンブルクサンクトペテルブルグウィーンルブレフ3連チャンローランギャロス決勝までは消化したけど、あとは知らん。

 オーストラリアン・オープンもはじまるのに、去年の全日本パリインドアに、ATPファイナルも未見だ。どうしたものか。

 でも、つい見てしまうYouTubeのテニス動画。

 特に、なかなか見られない昔のヴィンテージマッチや、練習風景なんかがいいんだよなあ。

 10分くらいにまとめてるから、電車の中とか、サボ……ちょっとした空き時間で見られるのもいいし。

 で、今回見たのが、まずアメリカのカレッジテニス(→こちら)。

 かつてはジョンマッケンロー、最近ではジョンイズナーを輩出した大学テニスは、かなりのレベルと聞いていたけど、たしかにすごい。

 以前、『スマッシュ』誌で「海外にテニス留学するには」みたいな連載があって、そこで紹介されていたアメリカのカレッジテニスのシステムはすこぶる興味深く、もし自分に子供がいたら、行かせてもいいなあとか思ったもの(お金はないけどネ)。

 日本だと、そもそも中学軟式しかなかったり、「高校テニス」「大学テニス」が独特進化を遂げていることもあって、世界に出ていくのに、うまく機能していないという話も聞く。

 一時期あった

 

 「海外経験のあるやつはインターハイとかに出たらダメ」

 

 とかいう、気持ちはわからんくもないけど、なんだか偏狭なルールとか、大学に進学すると、ほとんどプロへの道を断念しなければならない現実とか、いろいろと改善点はあるそう。

 簡単ではないんでしょうけど、少しでも才能熱意のある若者のため、いい方に転がってほしいものだ。

 ということで、他にもジュニアの映像をいろいろ。

 ステファノスチチパスのジュニア時代の試合とか(→こちら)。

 ニックキリオス大阪スーパージュニアで優勝したときの試合とか(→こちら

 テイラーフリッツアンドレイルブレフの試合とか(→こちら

 チェコで行われたジュニアの大会とか(→こちら

 大阪は靭公園で開催される、世界スーパージュニアテニス選手権になじみがあるので、ジュニアの試合を見るのは好きなんだけど、おとなしい子、気の強い子、生意気な子といろいろだ。

 ニックはずいぶんと、ゆるーくプレイしているように見えるね。テイラーはこのころから大人っぽいけど、アンドレイはかわいいなあ。

 このころの彼ら彼女らは、どんな未来像を描いていたんだろう。

 みんなそれぞれに活躍してるけど、ニックはちょっと心配だ。

 根はいいヤツっぽいから、なんとかうまく折り合いをつけて、テニスもがんばってほしいけど……。

 

 

 

 

 

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古いテニス雑誌を読んでみた 一藤木良平&ティムラズ・ガバシュビリ

2020年07月07日 | テニス

 古いテニス雑誌を読んでみた。

 私はテニスファンなので、よくテニスの雑誌を買うのだが、最近古いバックナンバーを購入して読むのにハマっている。

 今回読んでみたのは『スマッシュ』の2010年8月号

 フレンチオープンの特集で、表紙はわれらが錦織圭

 内容も優勝者のラファエルナダルの記事など、盛りだくさんとなっている。そこで気になるトピックスを拾っていくと。

 


 ■一藤木良平選手にインタビュー。

 人気マンガ『テニスの王子様』の主人公のモデルになったともいわれる、一藤木貴大選手のさんに話を聞いている。

 一藤木兄弟といえば、お父様スペインを中心に、2人の息子たちをプロとして育てて行く過程を『スマッシュ』で連載されていた。

 私はよく知らないんだけど、その独自路線なやり方や兄弟のふだんの言動などにどうも賛否があるらしく、ファンなどから、ちょっときびしい意見も聞くこともあった。

 実際、このインタビューでも

 

 「意地悪な質問だけど聞いてみました」

 「愚問だけど得意なショットは?」

 

 などなど、聞き手の大森豊さんも、なんだか含むところがあるような口調で質問していた。

 その答え自体は普通だったんだけど、

 

 「言うよね~。まだまだだとは思うけど、本人がそういうんじゃなぁ」

 「(目標は「世界一」の答えに)大会期間中の過ごし方や立ち振る舞いを見ていると世界1位なんて全然無理でしょ」

 

 かなり辛口な意見。

 まあ、なんか色々と言いたいことあったんでしょうねえ。なにがあったんやろか。

 


 ■ティムラズガバシュビリローランギャロス4回戦進出。


 世界にはフランスアルゼンチンスウェーデンのような数々のトップ選手を輩出する「テニス王国」と呼ばれる国がある反面、なかなかそうもいかない「不毛の地」というのも存在する。

 ちょっと前のイギリスとか、わが大日本帝国もそうだったけど、そういう悲しい土地にポッとスターが出てきて孤軍奮闘したりしているのを見ると、応援したくなるのが人情だろう。

 ギリシャステファノスチチパスとか、ブルガリアグレゴールディミトロフとか、ポーランドフベルトフルカチとか。

 ノルウェーキャスパールードクリスチャンルード息子さんですね)とか、リトアニアリカルドベランキスなどいるけど、ジョージア(旧名グルジア、ただし国籍ロシア)の孤軍選手といえば、これがガバシュビリになる。

 今ではニコロズバシラシビリがいて、ツアー3勝、最高ランキング16位USオープンベスト16など活躍しているが、少し前まではジョージアといえばガバシュビリ一択であった。

 ハマるとすごいが、いったん崩れれると、とめどないところから「クレイジー」と称されるこの男は、スペインでの修行期間を生かしてパリで爆発。

 予選を勝ち上がり、3回戦では元ナンバーワンであるアンディーロディック相手に58本のウィナーを決めてストレートで完勝。その存在感を示した。

 ただ「クレイジー」病はそう簡単に抜け出せるようでもなく、4回戦では職人ユルゲンメルツァーに打ち取られた。

 たしか当時、すごいやつが出たと注目したんだけど、今はどうかと調べてみたら、最高43位とまずまずの選手に。ニックネームが「Tsunami(津波)」。

 ウィキペディアによると、

 

 「そのエネルギッシュなプレースタイルとノーマークの予選勝ち上がりからツアー上位進出を果たすことが度々あった事から」

 

 ということで、とにかく勢いがあるということか。

 そういえば、昔マークフィリポーシスがそのビッグサーブ湾岸戦争で活躍したミサイルをかけて「スカッド」って呼ばれてたけど、それを思い出すなあ。

 今度、「テニス選手のニックネーム」特集でもしてみようかしらん。

 

 

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