古いテニス動画を見てみた ビヨン・ボルグ対イワン・レンドル 1981年 フレンチ・オープン決勝ほか

2023年11月28日 | テニス

 クレーコートの試合が好きである。

 テニスにはコートサーフェスに、いろんな種類があって、ウィンブルドンに、ふだんわれわれにもなじみがあるハードコート

 今は見ないが、室内カーペットとか日本にしかないらしい入り人工芝オムニコートなどもあったけど、やはり男ならどーんと赤土のテニスを楽しむべきである。

 クレーコートのなにがいいって、まず暑苦しい

 クレーは球速が遅いため、どうしてもラリーが長くなりがちである。

 なので、スピードやパワーよりも体力精神力がより試されるわけだ。

 今でも、「クレーキングラファエルナダルがそうであるように、永遠に終わらない打ち合いを苦にしない、ど根性ガエルが活躍する、その偏りがたまらないのである。

 その意味では、本当の楽しさは今よりも、むしろの試合でこそ味わえるというもの。

 一時期、あまりに球が遅く、延々と単調なラリーが続くだけの試合が頻出したため、総本山であるローランギャロスをはじめ、クレーの大会の人気が急落したそうな。

 そのため、主催者側もボールを調整したりして、なんとかスピーディーな試合展開を作り上げようとした。

 また、1997年のローランギャロスを制覇した、ブラジルのグスタボクエルテンが、テンポのいい「サンバテニス」を披露したこともあって、赤土のテニスも多少は変わっていったようなのである。

 私のようなガチのクレーマニアは、華麗な打ち合いもいいが、やはり暑苦しい男たちが、汗だくでフンフン言いながら、ガットが切れるくらいにトップスピンを打ち上げる姿が萌えるわけで、今回はそういう動画を見てみたい。

 まず元祖クレーキングと言えばこの人のビヨンボルグ

 1981年のローラン・ギャロス決勝、イワンレンドルとの一戦(→こちら)。

 パリで6勝のレジェンドであるビヨンだが、やはりカッコイイ。

 映画『ボルグマッケンロー 氷の男と炎の男』(超オススメです!)を見ると、現役時代の彼の苦悩が伝わってきて、より思い入れも強くなる。

 一方のレンドルは、これが良い感じに地味で、そのコントラストも目を引く。負けるな、イワン。

 試合のほうは、これがもう期待通りのスローペースで笑ってしまう。

 サーブボレーでチャキチャキとポイントが決まるウィンブルドンとくらべて、同じ星の出来事とは思えない。

 ボーっとながめて、気がついたら眠っていたり、それがいい。

 

 クレーと言えば今も昔もスペインが強く、中でもインパクトを残したのが、アルベルトベラサテギ

 「エクストリームウェスタン」と呼ばれた、極端に分厚いグリップを駆使して、1994年のローラン・ギャロスで決勝まで上がってきた。

 そこで同胞であり、ディフェンディング・チャンピオンでもあったセルジブルゲラに敗れたが、その見た目の濃さも相まって、なかなかにステキである。

 ボールの軌道が高いのが、いいんだよなあ(こちら)。しかし、なんて見た目の男くさい戦いなんだ。

 

 あと、クレーのテニスの醍醐味と言えば、攻撃的な選手がその泥沼に飲みこまれるところ。

 芝やハードコートなら、弾丸サーブに強烈なストロークにネットダッシュでも見せて、ふつうに勝てそうなところが、これがコートが違うだけで、こんなにも苦しめられるとは。

 将棋でいう「後手番」のようなもので、どうしても受け身の戦いを強いられる。

 たとえば、1996年のローラン・ギャロス2回戦

 ピートサンプラスセルジブルゲラ戦(→こちら)。

 クレーを苦手とするピートが、よりにもよって2回戦で優勝2回のセルジと当たるという運のなさ。

 ピートはこの年、ベスト4まで行って「ついに優勝あるか?」と期待させたが、この試合をはじめフルセットの連続で疲弊させられ、ガス欠で敗れた。


 1995年デビスカップ準決勝。

 ロシアドイツ戦の大将戦、アンドレイチェスノコフミヒャエルシュティヒの一戦(→こちら)。

 ウィンブルドン優勝経験もあるシュティヒは、基本的には攻撃型だが、オールラウンドプレーヤーでもあるため、クレーは苦手というほどの印象はない。

 実際、翌年のローラン・ギャロスでは決勝まで行っているのだが、この試合ではチェシーの泥臭い、ねばりのテニスに手を焼きまくり。

 なんとチェシーは9本ものマッチポイントをしのぎ、ファイナルセット14-12で勝利。

 これがクレーやなあとウットリするような試合で、いつままでも観てられるなあ。

 

 

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「さわやか流」の詰み 米長邦雄vs加藤一二三 1987年 A級順位戦

2023年11月25日 | 詰将棋・実戦詰将棋

 「すごい詰み」を見ると、なんだか得したような気分になれる。

 将棋の終盤戦というのはそれだけでもエキサイティングだが、最後の場面で、

 

 「え? 本当にこれが詰むの?」

 

 といった皆が目をむくような収束を見せられると、その満足度も倍増。

 藤井聡太八冠が人気なのも単に強いだけでなく、そんな「えー!」な寄せ詰みを見せてくれる期待度があるからなのだ。

 そこで今回は、そんな「ホンマに?」な詰み筋を。

 

 1987年A級順位戦

 米長邦雄九段加藤一二三九段の一戦。

 両者らしい、がっぷり四つの矢倉戦になり、後手の加藤が仕掛けたところから米長も反撃をくり出す。

 むかえたこの局面。

 

 

 

 

 米長が駒得だが、後手の攻めもが跳ねてきて、7筋も素通しで怖い形。

 先手は飛車の位置が中途半端で、一方の後手からは△76桂とか、△77歩△97桂成△75銀など山ほど攻撃手段がある。

 

 「矢倉は先に攻めたほうが有利」

 

 という法則によれば、後手ペースということになりそうだが、ここで米長がいい手を見せてくれる。

 

 

 

 

 

 ▲58銀と引くのが、落ち着いた受け。

 遊び駒になりかけているを、ジッと引きつけておくのが「大人の手」という感じ。

 後手からは△76桂というのがきびしい攻めだが、それには▲同金と取って、△同飛▲67銀と上がるのがピッタリの好感触。

 

 

 取り残されそうな銀を、さばかせるのはおもしろくないと、加藤は△77歩から入り、▲同桂△同桂成▲同金直

 そこで△85桂と攻めを継続するが、強く▲同銀と食いちぎって、△同歩▲45飛△44歩▲85飛と豪快に転換するのが米長流の力業。

 

 

 まるで振り飛車のさばきのような大駒使いで、一気に視界が開けた印象だ。

 以下、加藤も△96歩から攻撃を続行して、勝負は最終盤へ。

 

 

 図は加藤が△76銀と打って、一手スキをかけたところ。

 これで、先手玉はほぼ受けなし。一方の後手陣はまだ囲いが健在で、一見して先手が負けのようだが、米長はすでに読み切っていた。

 後手玉には、なんと詰みがあるのだ。

 腕自慢の方はチャレンジしてみてください。ポイントはあの駒の利きが絶大で……。

 

 

 

 

 

 

 ▲14桂、△同歩、▲13銀が豪快な寄せ筋。

 △同桂▲21飛と打って、△33玉▲24銀△同歩▲同角まで。

 △同香と取るしかないが、そこで▲33銀(!)と打ちこむのがカッコイイ決め手。

 

 

 「焦点の歩」ならぬ焦点ので、後手は5通りもの応手があるが、すべて詰んでいるのだからすごいものだ。

 △同桂はやはり▲21飛

 △同玉▲25桂△22玉▲13角成と切って、△同桂に▲21飛

 加藤は△同金寄と取ったが、ここは△同金直でも△同角でも同じで、▲13角成があり、ここで投了

 以下、△同玉▲14歩と取りこんで簡単。

 ▲68角の利きがすばらしく、意外なほど後手玉は狭かった

 見事な収束で、まさに「さわやか流」と呼ばれた米長らしい勝ち方であると言えよう。

 

 


 ■おまけ

 (米長の驚異的な終盤力はこちら

 (米長のすばらしい見切り

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

 

 

 

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想像と偏見で、治安の悪いヤフーとかの知恵袋を再現してみたらこんな感じ

2023年11月22日 | 将棋・雑談

 この世界にはニ派に分裂して起る争いというのがある。
 
 源氏平氏新教旧教、邪馬台国畿内論北九州説ボルシェビキメンシェビキ
 
 セガ任天堂コロコロボンボン、ところてんは酢醤油黒蜜か、「しゅりゅうだん」か「てりゅうだん」か。
 
 といった面々が、今でも各地で血で血を洗う抗争をくり広げているのだ。

 そこで前回は、友人ハナヤシキ君とウンジャクガオカ君による、

 
 「ネットの知恵袋はやたらと質問者にキビシイ」

 「いやいや、5ちゃんねるの技術系の質問は意外とちゃんと答えてくれる」
 
 
 というバトルを紹介したが、これを読んでくれた友人イケダ君が、こんな質問をしてきた。
 
 
 「知恵袋のキビシイ回答って、どんな感じなん?」
 
 
 とのことで、そんなもん自分で検索でもせーよという話だが、

 

 「あんな、独ソ東部戦線の殺し合いみたいなところ、わざわざ見たないで」

 

 ということは、自分はイヤだがが地獄めぐりをするのは、やぶさかではないということであり、おそらく「神風特攻隊」を思いついたのは、彼のような人物なのであろう。

 友はヒドイが、たしかにちょっと見るのにカロリーを使うところはある。

 そこで、私のイメージする質問箱はこういうものというのを、だいたいの想像で書いて暗黒大陸めぐりの代わりとしたい。
 
 


 ★質問 
 
 藤井聡太くんの影響で将棋に興味を持ちました。
 
 ただ、ルールもおぼえて実際に指してみたところ、振り飛車が好きなのですが、将棋ウォーズで指しているのですが、なかなか勝てません。
 
 どうすればもっと勝てるようになりますか。
 
 
 ☆回答
 
 質問を読みましたが、どういうことを訊きたいのかわかりません。
 
 将棋は奥の深いゲームです。そこをこんないい加減なたずね方では、答える方も一苦労です。日本語も微妙に読みにくいので、もっと推敲しましょう。

 まずおかしいのが、振り飛車が好きと言ってますが、どこに振るのかが書いてません。
 
 振り飛車と言っても多様で、四間飛車、三間飛車、向かい飛車、中飛車があります。
 
 それもまたノーマル中飛車とゴキゲン中飛車、三間飛車や四間飛車も角道を止めるのか、それとも角交換型か石田流か。
 
 囲いは美濃か穴熊か、振り飛車ミレニアムか、それとも藤井システムか耀龍四間飛車なんてのもあります。
 
 それがわからないのと答えようがないのに、具体的な情報を書かず「振り飛車が好き」の一言で、すましてしまうあなたの態度に憤りを隠せません。
 
 本当に振り飛車が好きなのですか? 初心者だから、どう聞けばいいのかわからないなどは、ただの甘えですよ。
 
 もっとおかしいのが、あなたが将棋を始めたきっかけが藤井聡太竜王・名人ということです。
 
 だったら、角換わりか相掛かりのような居飛車を指すはずではないでしょうか。
 
 藤井竜王・名人は振り飛車を公式戦で指したことはないし、今後も指さないだろうと言っています。
 
 にもかかわらず、振り飛車を選ぶあなたという存在は、どこまでも信用がならないというのは、果たして言い過ぎなのでしょうか。

 藤井聡太「くん」というのも気になります。あなたは藤井竜王・名人の友達か何かなのでしょうか。

 自分があたかも藤井竜王・名人と対等な存在であるかのような書きっぷりであって、その勘違いと傲慢さにはあきれるばかりです。

 正直なところ、昨今の将棋ブームはファンの裾野が広がった反面、あなたのような質の低い競技者を生んでいるというのが現状です。
 
 そんなことも理解できない人に、将棋という神聖なものには触れてほしくさえない。おそらく大多数のファンが、そう感じていることでしょう。
 
 心から反省したうえで、もうこの世界に二度とかかわらないことを求めるとともに、ベストアンサーをお願いします。
 

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さわやかなポカ、やりきれぬウッカリ 塚田泰明vs郷田真隆 1991年 NHK杯 中川大輔vs深浦康市 2005年 B級1組順位戦

2023年11月19日 | 将棋・ポカ ウッカリ トン死

 将棋のポカやウッカリも、様々である。

 大事な駒をタダで取られたり、王手飛車を喰らうなど、やってしまったほうも笑うしかないズッコケもあれば、人生のかかった大一番でやらかしてしまい、なぐさめの言葉もかけようのない場合もある。

 最近ではやはり「藤井聡太八冠王」が誕生した王座戦

 

 

「名誉王座」と「八冠王」をかけた2023年、第71期王座戦五番勝負の第3局
先手の藤井から▲21飛の王手に、△31歩と「金底の歩、岩より固し」で受けておけば、後手の永瀬が勝ちだった。
本譜は△41飛と打ったため、▲65角でまさかの大逆転。
 

 

続いて第4局。やはり永瀬必勝の終盤戦で、ここでは▲42金からバラして▲52飛と打てば△55の銀や△37の角を手順にスイープできる「負けない将棋」で先手勝ち。
だれもがフルセットを確信したところで、時間に追われた永瀬は▲53馬と指してしまい、まさかの展開で「八冠王」が誕生。

 

 

 衝撃の結末2連チャンには言葉もなかったが、10点差9回裏ツーアウト20点差アディショナルタイムに入っても、とんでもない事件の可能性があるところが将棋のドラマなのである。

 ということで、今回はポカのお話。

 


 

 まずは「さわやか」編。

 1991年NHK杯戦

 塚田泰明八段郷田真隆四段の一戦。

 塚田先手で相掛かりから力戦調の激しい戦いになって、むかえたこの局面。

 

 

 

 強豪同士で熱戦、ここからの終盤戦が実におもしろそう。

 攻めのターンが回ってきた郷田は、まず△69と、とせまる。

 と金を活用しながらの金取りで、自然な手だ。塚田も▲49金と寄る。

 

 

 

 難解な寄せ合いで、どちらが優勢かまったくわからないが、なんとこの将棋は次の手でおしまいなのである。

 

 

 

 

 

 △89飛成が、これ以上ない「さわやか」な大悪手

 を作りながらを補充して、自然な一手に見えるが、これがとんでもない大ポカだった。

 と言われても、私など一瞬よくわからなかったが、盤上を広く見渡してほしい。

 そう、なんとこの▲23にあるで、タダ取られてしまうのだ。

 当然、次の一手は▲89同馬で、そこで郷田が投了

 大熱戦のはずが、急転直下の結末となった。

 これを見れば、最初にわざわざ△69と▲49金の交換を入れた図面を見ていただいた理由がわかっていただけるだろう。

 そう、このほんの少し前の局面では、と金が△78にいたため、△89飛成としても馬が利いていなかった

 郷田はそのイメージがあったため、大丈夫と思いこんで、桂を取ってしまったのだ。

 

 郷田がイメージしていたのが、この図。△78のと金がいて竜が守られている。

 

 

 説明されると「あー、なるほど」とわかるけど、それにしたって、すごいウッカリである。

 指された塚田もたまげたことだろう、これには郷田も笑うしかあるまい。

 

 もうひとつは、人生をかけた一番でのやらかし。

 ポカが陰惨になるというのは、これはもう順位戦と相場が決まっていて、2005年の第64期B級1組順位戦

 この期のB1は深浦康市八段が9勝2敗と独走し、早々とA級復帰を決めていた。

 残る1枠を争うのは、中川大輔七段阿部隆八段

 最終戦を残して中川は8勝3敗自力昇級の権利を持つが、もし敗れると最終戦が抜け番で、すでに8勝4敗でフィニッシュしている阿部が、順位の差で頭をハネることになってしまう。

 勝てば天国、負ければおしまいとスッキリした形の中川に、最後立ちはだかるのが、すでに昇級を決めている深浦

 消化試合ということもあって、いつもほどの熱で戦ってくることはないかもしれないが、結果を気にしなくていい気楽さが、将棋にどう影響をあたえるかも不明。

 また、将棋界には

 

 「自分にとってはどっちでもいい勝負でも、相手にとっての大一番であるなら、それは全力で勝ちにいかなければならない」

 

 という、余計なお世……「米長哲学」もあるうえに、そもそも深浦自体が大強敵とあって、中川と阿部、どちらに転ぶかは、まったくわからない状況だった。

 ところが、結果はともかく、熱戦は必至と思われたこの大一番、なんと序盤早々に将棋は終わってしまうのだ。 

 

 

 

 中川が、ちょっと趣向を凝らした形の横歩取りに誘導したが、ここで△44歩と突いたのが軽率すぎた。

 すかさず深浦が、後手陣の不備を突く一撃をおみまいする。

 

 

 

 

 

 ▲25角と打って、升田幸三風に言えば「オワ」。

 △51金と逃げてなんでもないようだが、それには▲36角引とするのが機敏なスイッチバック。

 

 

 

 金の動きのを取る見事なフェイントで、▲81角成を受ける手がない。

 むりくり受けるなら△71飛だが、こんな受け一方の飛車を打たされては、大駒2枚の働きが違いすぎ、とても指しきれないだろう。

 中川は△71金と苦渋の辛抱を選ぶが、深浦はゆうゆうと▲52角成で、早くも大きなリードを奪う。

 

 

 

 以下、馬の力を生かして上部から圧倒

 見事、「米長哲学」を完遂し、その結果阿部A級に。

 中川はその実力からしてA級棋士になっていてもおかしくなかったが、その将棋をこんな形で落としてしまうとは、なんともやりきれない気持ちになるではないか。

 


★おまけ

(A級昇級をフイにした郷田の大ポカはこちら

(C級2組の泥沼に足を取られた井上慶太先崎学の大ポカ)

(その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

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夢の世紀末ゴッサムシティ対決 ヤフー知恵袋vs5ちゃんねる

2023年11月16日 | コラム

 この世界には、ニ派に分裂して起る争いというのがある。
 
 東ドイツ西ドイツスンニ派シーア派フラマンワロン大乗仏教上座部仏教
 
 レアルバルサコークペプシ、「はし攻めはじ攻め」、から「じてんしゃ」と「じでんしゃ」。
 
 といった面々が、今でも各地で血で血を洗う抗争をくり広げているのだ。

 かくして今回、私もこの党派争いに奇しくも巻きこまれることになるのだが、事の発端はネットの質問箱だ。
 
 これからの日本は外国から人たちと付き合う機会も増えようが、そうなると文化的な「はて?」も増えることとなる。
 
 
 「ブラック企業とかブラック部活とか、なぜみんなガマンして続けるのか」
 
 「あの地獄の満員電車に耐えられるのは、サラリーマンが忍者の修行をしてるからなのだ」
 
 
 とか、ちなみに後者は80年代か90年代にアメリカで大流行した「忍者道場」の広告に実際に載っていた文言。

 ショーコスギパーフェクトパワーズでMー1準々決勝進出したケインコスギのお父さん)の影響から、彼の地で空前の「ニンジャブーム」が起こった落とし子であるという。

 そんな中、外国人から見た「神秘の国ニッポン」の謎に、こんなものがあるという。
 
 
 「ネットの質問コーナーの回答が、質問者にキビシすぎるのではないか」
 
 
 ヤフーgooなどネット上には様々なところで「質問箱」というのが存在する。
 
 そこでは
 
 
 「ネットのつなぎ方がわかりません」
 
 「先生から若いときには読書をしろと言われました。どんな本を読めばいいのでしょうか」
 
 
 みたいな正統派なものから、恋愛相談とか人間関係の悩みとか、果ては
 
 
 「なぜあのタレントが売れているのかわからない」
 
 
 みたいな「知らんがな」なものまで百花繚乱である。

 余談だが私の好きなこの手の質問に、宝島社の『VOW』に載っていた新聞の投書で、

 

 「相撲取りのことを《お相撲さん》と言いますが、テニス選手のことを《おテニスさん》と呼ばないのはなぜでしょう」

 

 そういや、なんでだろ。オレはたまに呼んでるけどなあ。

 で、そういう質問に、もちろん多くは普通に答えているのだが、ときおり
 
 
 「そんな、くだらない質問してんじゃねーよ、このぼけなす!」
 
 
 みたいな罵倒が、返っていることがあったりすることがあるのだ。
 
 異人さんはそれが謎で、
 
 
 「質問者が困って助けを求めているのに、なんでそんなヒドイことを言うのだろう」
 
 
 特に日本人はマジメでおとなしいイメージがあるため、よけいにビックリするのだそう。
 
 といったようなことを友人ウンジャクガオカ君に酒席でしたところ、
 
 
 「わかるわー。オレもコワいなーって思うもん」
 
 
 友によると、以前YouTubeをはじめようとしたとき、大手知恵袋に音響照明のことを質問しようとしてみたところ、その回答がそろいもそろって、
 
 
 「自分で調べろ」
 
 「この程度のことを人の頼るレベルなら、YouTubeなんてやめたら?」
 
 「マジでコイツみたいなのがいるから、日本はダメになったんだよなー。足引っ張んなや。生きる価値とか、ねーよ、アンタ」
 
 
 みたいなのがズラズラッと並んでおり、もうその時点で逃げ出したと。
 
 私はネット上の罵詈雑言を目にしたり、ましてやレスバを展開することほど人生のムダ遣いはないと思っているので、こういうところは「なかったこと」にして「そっ閉じ」だが、実際ウンジャクガオカ君も、
 
 
 「地獄の窯でも開けたのかと思うたで」
 
 
 苦笑いしながら話していた。
 
 そら、こんなん返ってきたら、質問者さん泣きまっせ。
 
 私の偏見でも、知恵袋系はだいたいこんな感じだと思ってたけど、これに反論するのが同席していた友人ハナヤシキ君。
 
 彼はパソコンが好きで、わからないことがあったら、やはりネットで質問するそうだが、そこでの反応はそんなに悪くはないというのだ。
 
 ちょっと違うのは、彼は知恵袋ではなく「2ちゃんねる」時代の5ちゃんねるの話だが、そこではたしかに、
 
 
 「これくらい、自分で調べられそうだけどな」
 
 
 なんて軽くイヤミを言われたりするものの、おおむね親切で、かつ情報も正確だというのだ。
 
 うーん、これはこれでわからなくもない。
 
 2ちゃん(5ちゃん)と言えば、治安の悪いところも多いが、技術系の質問に関しては結構ちゃんと答えてくれるという話は聞く。
 
 まあ、わが身に照らし合わせても、自分の得意ジャンルに興味をもって、質問してくれるのはうれしいものだから、そういうことなのだろう。
 
 そこから2人は
 
 
 「ネット民はコワい」
 
 「いやいや、案外そうでもないって」
 
 
 議論に入ったが、でもなんであの知恵袋って、あんなにキビシイ人が多いのかは、よくわからないまま。
 
 昔読んだ、植田まさしさんの4コマ漫画で、
 
 
 「アルバイト募集、恋人にフラれたばかりの人優遇」
 
 
 という謎の張り紙があり、行ってみたら「廃屋を解体するバイト」だった。
 
 捨てられた怒りとストレスで、壁や柱をガンガン壊す学生を見て親方が、
 
 
 「なにかを壊す作業は、こういう連中に頼むに限る」
 
 
 うなずいているというオチだが、もしかしたら知恵袋もそういう人を集めているのかもしれない。

 あるいは、

 

 「こちらのメンタルを鍛えようとしてくれている、とても親切な人」

 「日本語には悪口の語彙が少ないことを心配し、それを改善しようとしている人」

 「元海兵隊の教官」

 「そういうプレイ」

 

 などが考えられるが、実際のところはどうであろう、謎は深まるばかりである。

 

 

 

 

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藤井聡太八冠王なら「名人以上」に香を落とせる? 升田幸三による「高野山の決戦」と王将戦の「指し込み」制度

2023年11月13日 | 将棋・雑談

 藤井聡太八冠王が、相変わらず負け知らずである。

 「同世代対決」と話題になった伊藤匠七段との竜王戦4連勝で防衛と、ライバル候補相手に容赦なく一発カマすなど、八冠獲得後もゆるむ様子を見せない。

 今のところ、彼を倒せそうな人をまったくイメージできない強さであり、これからどこまで強大な存在になるのか、想像もつかないところだ。

 とはいえ、ここまで強いと、それはそれで危惧するところはないこともない。

 なんといっても「全冠制覇」+「全棋士参加棋戦総ナメ」なんて見せられた日には、もうこれ以上の偉業なんて、あろうはずがない。

 今後はなにか記録とかかかっても、八冠のインパクトにはかなわないだろうし、飽きられちゃうんじゃないかなあ。

 とまあ、竜王戦を見ながらそんなことを考えていたわけだけど、ふとここで、「藤井聡太八冠王」がこのままでは絶対に破れない記録が、ひとつあることに気がついた。

 おいおい、今の藤井はがかっとんねん。もう目の前に障害になるようなもんはないんやで、と言う声は聞こえそうだが、これがあるにはあるのだ。

 そう、それは升田幸三九段がやってしまった、

 

 「名人に香を引いて勝つ」 

 

 といっても今のヤング諸君にはなんのこっちゃというか、私の世代でもほとんど「歴史の授業」だが、これが戦後すぐのことというのだから、えらいのこと。

 なんと升田は時の名人であった大山康晴を相手に「を落として」戦い、しかも勝ってしまったことがあるのだ!

 もともと升田と大山は兄弟弟子であり、「打倒木村義雄名人」を競う最大のライバルでもあった。

 そんな2人の運命が分かれたのが、1948年の第7期名人戦挑戦者決定戦第3局

 世に言う「高野山の決戦」で升田は、それこそ八冠をゆるした王座戦での永瀬拓矢に匹敵する大ポカを披露してしまい、9分9厘手にしていたはずの挑戦権を逃してしまう。

 

 

 

勝った方が塚田正夫名人への挑戦が決まる、升田幸三八段と大山康晴七段の大一番。
△87飛成の王手に▲57桂と合駒すれば、むずかしいところはあっても先手玉に詰みはなく、升田が勝っていた。
ところが勝利を確信していた升田が、ヒョイと指してしまった▲46玉が大ポカで、△64角、▲55桂に△47金と打たれて世紀の大トン死。
「このとき升田さんが勝っていたら、将棋界は大きく変わっていた」と大山自身も認める、戦後の歴史をまったく違うものにしてしまった大錯覚だった。

 

 

 升田はこのショックで大酒を飲み体を壊すだけでなく、対局するたびトン死のシーンが悪夢のようにフラッシュバックし、そのトラウマに悩まされ大山にまったく勝てなくなってしまった。

 ついには心身がパンクし休場にまで追いこまれるが、人生はわからないもので、それがかえって升田には幸いすることになる。 

 体をしっかりと休め、適度に将棋と距離を取れたことが良い方に転がり、復帰後の体調こそ完璧ではないものの、大山相手に大逆襲を開始。

 1955年の第5期王将戦で、なんと大山王将(名人)相手に3連勝

 当時の王将戦は3勝0敗とか、4勝1敗のように3つ星のがつくと、その時点で勝負ありとなる(だから3連敗から4連勝してもタイトルは取れないらしい)。

 さらには「指し込み」といって、負けている方はなんと相手に

 

 「香車を落としてもらう」

 

 というハンディをつけられて戦うという、屈辱極まりない対局を指さなければらないのだ。

 以前の王将戦で、渡辺明王将が藤井聡太三冠か四冠かに4タテを喰らってたけど、あれは本来第4局は渡辺の「香落ち下手」になるはずなのだ。

 それこそ、サッカーで言うなら

 

 「あなたはもうザコなんだから、これからは11対10でやってもらいなさい」

 

 と言われているようなもので、あんまりなあつかいではないか。

 タイトルはすでに失っての消化試合。香落ち下手という勝って当然、負ければプロとして、いやさ「名人」として、ありえない恥辱にまみれなければならない戦い。

 そんな場所で力を出せる敗者などいるはずもなく、さらし者のような勝負を余儀なくされた大山は升田に完敗してしまい、あまりのみじめさに泣き崩れたという。

 

 

1955年、第5期王将戦の第4局。後手(上手)の△11に香車がないのが衝撃的な局面。
ハンディ付きの戦いで、当時の升田の見解では「プロレベルで香落ち上手は勝ち目がない」とまで差があると見られたが、大山のミスにつけこんで上手がリードを奪う。
図の△84桂が絶好打で、以下は升田がハンディ戦とは思えぬ圧勝劇を見せる。

 

 

 升田と言えば幼少期、物差しの裏に

 

 「名人に香を引いて勝つ」

  

 という途方もないことを書きつけて(正確な文面は違うが意味はそういうこと)家出したというエピソードは、有名すぎるほど有名だ。 

 しかもそれを実現してしまったのだから、まさに「ヒゲの大先生」も鼻高々であったろう。

 「名人に勝つ」「名人になる」ならわかるけど、名人に駒を落としたうえで勝つとか、スケールでかすぎである。

 ホンマにマンガのキャラみたいな人やなあ。いちいちセンス抜群だ。

 その後、升田は大山からタイトルを次々と奪い、史上初の「三冠王」(当時の全冠制覇)になり全盛期を築く。 

 現在ではこの「指し込み」はあまりにも過酷すぎるということで、なし崩し的に実施されなくなったが、制度自体は今でも残っているという。

 ならここは、いっそこれを復活させてみたらどうだろうか。

 藤井八冠がデビューして以来、割とそれに合わせるようにルールを見直してきた連盟のことだから、話題作りの改定は「あり」なのではないか。

 彼のことだから、もしかしたら升田幸三以上話題性のあるだれかに、香を落とすことになるかもしれない。 

 いや、今は無敵を誇る藤井聡太だが、これがいつまで続くかはわからない。

 もちろん最初のころは藤井王将が、挑戦者を容赦なく指し込んでいくだろう。

 でも、しかしだ、未来なんてわからない。 

 もしかしたら今回は悲劇に見舞われた永瀬をはじめ、渡辺明豊島将之といった、かつての升田のように、王者から足腰立たないくらいボコられた面々が3連勝することだって、あるかもしれない。

 そうして

 

 「藤井聡太八冠王が、香落ち下手で戦う」

 

 なんてことになったら、こりゃドラマですがな!

 もはや藤井八冠をリヴァイアサン冥王サウロンのようにしか見えていない私は、なんかもう勝手に盛り上がっているわけで、主催者の方々、どうかご検討を。

 とか言ってると、藤井聡太がそんなことになるなんて、さすがにありえへんよー、と笑われそうだけど、彼や羽生善治と並ぶ「史上最強」候補の大山相手に、そのバカげたはなれわざを実現させたのが、升田幸三なのだ。

 そもそも今や「八冠王」なんて、ありえないことが起こったわけだ。

 じゃあこれからも、どんなスゲーことが起こるかなんて、わかんないじゃんねえ。

 


(升田、またしても名人戦の挑戦者決定戦で大ポカ

(升田による自陣飛車の絶妙手はこちら

(その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

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「おっぱい ぽよん歯科」をめぐる冒険 その4 なぜ「キミのための歯医者さん」に頼まなかったのか?

2023年11月09日 | 日記

 
 前回の続き。
 
 歯医者で歯石を取ってもらってると、過去にあったある歯医者の都市伝説が思い出された。
 
 それが、漫画家の桜玉吉さんも遭遇した


 
 「おっぱい ぽよん歯科」

 

 


 


 これを体験したことがあると言うと、友人ヒゴバシ君から、
 
 
 「それって胸やなくて、お腹なんとちゃうの?」
 
 
 まさに「の宣告」ともいえるこの言葉にうろたえた私は、そのような悲劇があってはならないと真剣に検証してみることにした。
 
 というと女性読者からは『古事記』におけるイザナミのような
 
 
 「あなにやし、えをとこを」(現代語訳「ああ、なんと素晴らしい男性だろう」)
 
 
 のごとく、
 
 
 「あなにやし、えろをとこを」(現代語訳略)
 
 
 とでも驚嘆されそうだが、カン違いされては困る。 
 
 私にそんなセクハラのような意図はなく、純粋な学術的調査であり、その証拠に歯石取りのときも、
 
 
 「私はなにも期待するところはないので、当てないでくださいね、絶対におっぱいを当てないでくださいね」
 
 
 そう主張する気は満々なのだが、こうなるとなぜか『十二人の怒れる男』たちに熱くディスカッションされそうで、それも困ったものなのだ。
 
 こういうときネット社会は便利で、youTubeで検索してみると、これをあつかった歯科医歯科衛生士さんのチャンネルが見つかった。
 
 前回は衛生士さんが2人でやっている「キラピカteeth」さんの動画を観たが、今回はまた別のもの。
 
 歯科医の鹿乃さやか先生と、歯科衛生士の緒方まりこさんによる歯科ユニット。
 
 その名も「キミのための歯医者さん」。通称「キミ歯科」である。
 
 ここで言うことには、のぞきこんだときや、遠くのものを取るときに当たるのは、全然あるとのこと。
 
 やはりあるのだ。
 
 そこを、あれはお腹だなどというデマゴーグはいかがなものか。
 
 こういう間違った情報を流布させることから、悲惨な戦争虐殺が起こるということを、ヒゴバシ君は歴史から学ぶべきだろう。
 
 もっともこれはだったりとか、あるいはせいぜい「みぞおち」のことも多く、フェイク情報には気をつけなければならない。
 
 あと、緒方さんによると、奥に設置された器具などを取るとき、つい「お尻」があたってしまうことがあるとか。
 
 
 
 これは予想外であった。
 
 ここまでのチャレンジャー教授のような勇気ある探索は、あくまで目標がおっぱいのぽよんであった。
 
 ところがここに伏兵があらわれた。
 
 本来なら、おっぱいだけでも大きな財宝となるのに、そこに臀部までが参戦するとは!
 
 この開拓は私が思っていたよりも、奥が深いのかもしれない。
 
 まりこさんによると、「気づいてないことが多い」そうで、そこがまたいいといえばいい。
 
 こっちはわかっているのに、むこうは無自覚なまま。
 
 その秘密が背徳感を生んで、ますます夢は広がるばかりだ。
 
 お尻はイスに当たって気づくことが多いし、そもそも治療中ぶつかったら危ないから、そんなラブコメマンガみたいな「ムギュウ」なヒップアタックこそないものの、参考にしておきたい談話ではないだろうか。
 
 なんてこんなことばっかり言っていると、私が破廉恥な男であるような印象をあたえそうだが、そうではない。
 
 キミ歯科のまりこさんも、さやか先生も、ともに当たると
 
 
 「なんか、幸せな気持ちになる」
 
 
 とのことであって、女性にだって癒しをあたえられるのだから、われわれは堂々としていいのだ。
 
 あと、前回「キラピカteeth」さんの動画で、
 
 
 「患者さんに安心感をあたえるため、胸に詰め物をして当てながら治療する」
 
 
 という衛生士さんの話が出たが、これには
 
 
 「さすがに、それは偽物ってわかるやろ」
 
 
 なんて笑ってしまったけど、キミ歯科の検証によるとこれは、わからないらしい。
 
 タオルを詰めてフニフニやっても「おっぱいや」ということで、判別は困難なのだ。
 
 となると、結局のところ角度的に肉眼で確認できないわれわれ患者からすれば、やはりどこまでも、お腹やみぞおちなどの「影武者疑惑」がまとわりついてくる。

 とは、その手につかめたと思った瞬間に、するりと離れていくものなのか。

 まるで、こちらをあざ笑うかのような幻術師たちのイリュージョン。
 
 く、われわれの負けか!

 膝を屈しそうになったが、ここに、さやか先生がこんなことを言ってくださった。
 
 
 「おっぱいだと思えば、それがおっぱい」by鹿乃さやか
 
 

 この瞬間、暗闇から一筋のが差した。

 なんという力強い至言であろうか。
 
 これにくらべれば、世間でもてはやされているエジソンニーチェの「名言」など、子供の落書きと同じである。
 
 おっぱいだと思えば、それがおっぱい
 
 たとえ偽言に心を乱されようとも、そのときはこの言葉を思い出し、誇りをもって堂々と「ぽよん」を味わいたい。

 いくつかの美しい発見があったこの冒険は、ひとまずここで、おしまいにしたいと思う。

 途中はどうなることかと心配したが、最後はハッピーエンドで締めくくれて、今はさわやかな充実感につつまれている。

 昨今、様々なところで日本の閉塞感を味わうことも多いが、

 

 「あきらめず、不屈闘志でもって戦えば、必ずや道は開ける」

 

 この国の将来を惑う若者たちに、そう伝えたい。

 俺たちの熱い夢と戦いは、まだ始まったばかりなんだという、そんな想いで胸がおっぱ、いっぱいなのだった。

 

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「おっぱい ぽよん歯科」をめぐる冒険 その3 「ゆうひ」と「ゆき」でキラピカteeth、ただいま参上!

2023年11月08日 | 日記

 前回の続き。
 
 歯医者で歯石を取ってもらってると、過去にあったある歯医者の都市伝説が思い出された。
 
 それが、漫画家の桜玉吉さんも遭遇した
 
 「おっぱい ぽよん歯科」
 

 

 

 

 これを体験したことがあると言うと、友人ヒゴバシ君から、
 
 
 「それって胸やなくて、お腹なんとちゃうの?」
 
 
 まさに「の宣告」ともいえるこの言葉にうろたえた私は、そのような悲劇があってはならないと真剣に検証してみることにした。

 一番いいのは実際に歯医者に行って衛生士さんに、
 
 
 「あなたのおっぱいは、私の体に当たっていますよね?」
 
 
 そう尋ねることだが、これはなにやら「俺たちスーパーポリスメン」の出動がかかりそうである。

 こういうときネット社会は便利で、YouTubeで検索してみると、これをあつかった歯科医歯科衛生士さんのチャンネルが見つかった。

 ひとつは「ゆうひ」さんと「ゆき」さんという衛生士さんが2人でやっている「キラピカteeth」。
 
 お二人によれば普通は当たらないし、基本的には男子が期待するような「当てに行く」こともないが、新人さんで姿勢が悪かったりすると、これはたまにヒットすることもある、とのこと。
 
 これには光明が指す思いがした。
 
 「ある」ではないか。
 
 まだ仕事に慣れていないと、どうしても口の中をのぞきこむのに前かがみになってしまい、そこでヒットがある。
 
 なれてくると背筋を伸ばして、また奥の方もミラーをうまく使って仕事ができるから当たることはないが、それでも「姿勢悪くなってるよ」と先輩から注意が入ることもあるという。
 
 あるやん! あるのだ、ある、ある
 
 たとえそれが技術の不慣れゆえとは言え、本当に存在するのだ。

 ヒゴバシ君、ここに敗れたり

 こういうことがあるから、今の世はたとえウルサがられても「エビデンス」を求めるのだ。

 私の言うことが事実と証明されて感無量である。見たか友よ、これがオレ様の実力だ。ひれ伏せ、愚民ども! 
 
 さらに言えば、例外的なものとして患者を安心させるため、タオルを入れて当てていた人もいたという。
 
 偽物ではあるが、その心遣いはうれしい。
 
 結構、マジでやってほしいかも。オプション料金払います。

 その際は、最悪タオルでいいけど、

 

 「詰め物してるんですよね?」

 

 と聞いたときには、

 

 「さあ、どっちかしらね?」

 

 妖艶に微笑んでいただきたいものだ。
 
 あと、お気に入りの患者に当てようとした衛生士さんもいたらしく、そんなマドンナメイトみたいなこともあるんやと夢は膨らむが、


 
 「けど当たらなかった」


 
 らしく、不可抗力はあれど、いざ自分でやろうとするとムズカしいというのが、おもしろいではないか。
 
 こうして私のねばり強い調査により、おっぱいぽよん歯科は「存在する」ことが証明された。
 
 これからもわれわれの前途は、洋々と開けていると言えよう。全国の男子諸君、安心してプレイ……治療を受けてほしい。

 

 (続く

 

 

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「おっぱい ぽよん歯科」をめぐる冒険 その2 ヒット・ガールを探せ!

2023年11月07日 | 日記

 前回の続き。
 
 歯医者で歯石を取ってもらってると、過去にあったある歯医者の都市伝説が思い出された。
 
 それが、漫画家の桜玉吉さんも遭遇した


 
 「おっぱい ぽよん歯科」

 

 

 

  

 マルセルプルーストは紅茶にひたしたマドレーヌの香りで、失われた時を求めて過去を思い出すが、私はフッ素のにおいで、もう20年近く前の記憶が喚起された。
 
 現場であるモウル歯科(仮名)で、篠崎愛さんのようなグラマラスな衛生士さんに、フニフニと当てられながら歯を掃除してもらったのだが、これがなかなかオツなものだったのだ。
 
 こんな経験はなかなかできないと、私は人生勝利者として友人ヒゴバシ君にその話をすると、友は「ふーん」とつまらないように言うと、
 
 
 「でもそれって、たぶん胸とちゃうんちゃう?」
 
 
 突然のカウンター
 
 それ、ちゃうちゃうちゃうんちゃう? なにを言い出すのか、この男は。
 
 あれは断じておっぱいである。一体、なにを根拠にそんなことを言い出すのかと問うならば、
 
 
 「それって、胸やと思ってるだけで、実際はお腹とか腰が当たってるって聞いたことあるで。カン違いやないの?」
 
 
 あれはおっぱいではなく「おなか」だった。
 
 来たよ、困ったものである。
 
 昨今、有名人に対する誹謗中傷が問題となっているが、このように世の「成功者」に対する風当たりが強いのは、いつの世も同じ。
 
 「持てる者」にたいして「持たざる者」が憎しみを抱くというのは、人情としてわからなくもない。
 
 カールマルクスを代表とし、現代ではマイケルサンデル教授など、そういった「格差」をなくすべく奔走するのは、人類普遍の課題と言ってもいいだろう。
 
 だが、そういうときだからこそ、「自分はそこに加担しない」という意志の力が大事なのではないか。
 
 世界は不公平である。だからこそ我々は、その矛盾に満ちた世界で、闇に落ちないよう踏ん張るべきなのだ。
 
 「ミイラ取りがミイラ」。友がその罠に陥っているのが、私は哀しい。
 
 そんな人の栄光をうらやむヒマがあったら、もっと自分を高める努力をしたらどうなのか。
 
 「おっぱいぽよん」が妬ましいなら、グダグダ言う前に自らも広い世界に飛び出し、それを探す旅に出るべきではないのか。
 
 などと熱く諭してみると友は、
 
 
 「うーん、でもぶっちゃけ、シャロン君よりオレの方が5倍くらいモテてるし、別に歯医者でなくても、おっぱいには不自由してへんからなあ」
 
 
 おまえよりモテている。
 
 なんという言い草か。
 
 いくら敗北がみじめだと言え、このような詭弁にすがるとは友もいよいよ重症ではないか。

 友の体たらくに愕然とし、このような無礼に対して頑として反論するならば、それはまったくその通りである。
 
 おお、敗北者は私であったか。

 言われてみればヒゴバシ君は若いときから彼女が途切れないタイプで、しっかりと結婚もしており、今でも(以下、友の家庭の平安に関わるので略)という現役バリバリ男だ。

 5倍どころか、私より5万倍はモテている。おっぱいに不自由していない男が、「ぽよん」に対して嫉妬するなどありえない。

 それどころか。歯医者で「しか」それを味わえない私は、まさに負け犬一直線ではないのか。
 
 中には、
 
 
 「オレは口の中をいじられながら、女性の胸の感覚を味わうのが一番だね」
 
 
 という人もいるかもしれないが、なかなかな少数民族であろう。を探すのも大変そうだ。
 
 え? ちょっと待って、それマジ
 
 人にはそれぞれ、人生の礎にすべき成功譚がいくつかあるはずだ。
 
 部活で全国に出た、一流大学に受かった、すてきな恋人ができた、すばらしい青春時代を送った……エトセトラエトセトラ。
 
 そういう、「あの喜びがあるから、つらいことだってがんばれる」という経験が、私にとっては「おっぱいぽよん」である。
 
 それを失ったとしたら、果たして私は、これからなにを頼りに生きていけばいいというのか。
 
 
 
 (続く

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「おっぱい ぽよん歯科」をめぐる冒険 その1 恐怖の報酬

2023年11月06日 | 日記

 「 "tits" or "bazonga" ,that is the question 」
 ーーーGuillermo Chashapia
 
 
 この世界にはニ派に分裂して起る争いというのがある。
 
 トーリー党ホイッグ党ヨーク家ランカスター家ジロンドジャコバンNSDAPドイツ共産党
 
 派と派、きのこ派とたけのこ派、ドラクエFFこしあんつぶあん居飛車党振り飛車党

 といった面々が、今でも各地で血で血を洗う抗争をくり広げているのだ。

 かくして今回、私もこの党派争いに奇しくも巻きこまれることになるのだが、事の発端は歯医者であった。
 
 先日お伝えしたように、歯に違和感を感じた私は歯医者へと出向き、あれこれと治療をしてもらった。
 
 その様は、実に勇敢な戦いぶりであったというのはこちらに書いた通り。
 
 あんなものは「八紘一宇」「本土決戦」の精神で戦えばなんのことはないのであり、歯医者が怖いというキッズたちは見習うようにしてほしい(大本営発表)。
 
 でだ、そんな歯医者戦記の中で、ふと思い出したのが、もう今から20年近く前に行ったモウル歯科(仮名)。
 
 当時、モロッコを旅行中、歯痛に襲われた私は帰国後さっそく歯医者に飛び込んだ。
 
 親知らずが虫歯になっただけでなく、ボロボロになって中央部からパッキーンと割れる大惨事であり、このときばかりは手の施しようもなく抜歯することに。
 
 その際、ついでに歯のクリーニングもしていただいたのだが、その歯科衛生士さんが問題であった。
 
 いや、仕事自体は悪いところはないのだが、気になったのが、衛生士さんの体形
 
 彼女は非常にふくよかというか、グラマラスであった。
 
 具体的にはグラビアで活躍されている篠崎愛さんのようであり、その包容力のある感じがインパクト大だ。
 
 というと、もうカンの良い方はおわかりであろう。
 
 そう、「当たる」のだ。
 
 なにが、「おっぱい」がである。
 
 彼女がぐっと身を乗り出したり、奥の歯をこそげるために体をひねったりしたとき、ムギュっとくるのだ。
 
 マンガ家の桜玉吉先生言うところの「ぽよん歯科」というやつである。

 

 


 
 
 
 


 これには深い感動をおぼえた。
 
 もちろん、男子として単純に「ぽよん」が心地いいというのもあるが、それ以上に、
 
 「ホンマにあるもんやな」
 
 という発見のおどろきというか。
 
 世には様々な「聞いたことはある」というがあって、
 
 
 「イギリスのメシは毛が抜けるくらいマズイ」
 
 「東大生は学校を訊かれると《一応、東大です》と言う」
 
 
 などなどは私も実際体験して「ホンマなんやなー」と思ったものだが、これもそのひとつである。 
 
 まさに「地動説の証明」「進化論の出現」「トロイア遺跡出土」に匹敵する発見であり、私はこの
 
 
 「おっぱい【ぽよん】歯科は都市伝説ではなかった」
 
 
 という事実に感無量であった。ラピュタは本当にあったのだ。
 
 このことはぜひ後世に書き残さねばらないと、今回こうして筆を執っているところだが、ここで少々横やりが入ることとなった。
 
 それを聞きつけた友人ヒゴバシ君による、ある別の仮説が忽然と現れたからだ。
 
 (続く

 

 

 

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