「自炊って、どうやったらいいんスかね」
そんな相談をしてきたのは、後輩ミズハイ君であった。
彼は一月ほど前から、一人暮らしをはじめたのだが、掃除や洗濯など、なれない家事にとまどっているという。
中でも食事は、毎日のことで悩みどころ。
料理はめんどいけど、外食やコンビニ弁当ばかりは金がかかるし、栄養も偏って良くないことも多い。
そこで自炊ビギナーでも、簡単に作れるメニューはないものかと、独り暮らし歴だけはムダに長い独身貴族の私に問うてきたわけだ。合言葉は、
「安くて簡単」
「栄養たっぷり」
「味はともかく、腹はふくれる」
この3つである。
まずはスパゲティから紹介しよう。
パスタ類はカンタンに作れて、具材もシンプルなミートソースから納豆に明太子といった和のテイストもあり、バラエティーも豊か。
しかも、見た目もそこそこで、工夫次第では女の子にも、ごちそうできたりするから、なかなか使いでのある奴なのだ。
☆レシピ1 ナスのピリ辛パスタ。
フライパンにオリーブオイルを入れ、切ったナスを豆板醤でいため、そこにゆでた麺を放りこんでまぜるだけ。
SF作家である、田中啓文さんのホームページで紹介されていたスパ。
むちゃくちゃカンタンにできるが、ナスにオイルと豆板醤がしみこんで食欲をそそる。
田中さん曰く
「ベーコンやアスパラなどを入れてもうまいけど、そのままで充分」
とのことだが、栄養を考えると野菜をもっといれてもよいかもだ。
★レシピ2.『週刊文春』流トマトパスタ。
将棋のプロ棋士である先崎学九段が、自身連載もしていた『週刊文春』の記事を参考に作ったスパゲティ。
フライパンにオリーブオイルを大量に入れ、唐辛子とニンニクを弱火で炒め、具材をテキトー(ここポイント)に入れる。
そこにお湯とトマトジュースを放りこむ。
煮立ったら麺をインして、あとはお好みで味を足してできあがり。
ソースが麺に、しみこみやすくて、おいしい。
先崎流では
「キノコをポン酢しょうゆで味付けして、大根おろしと、カイワレを大量にそえたもの」
もあるという。
このレシピのすばらしいところは、女子ウケもねらえるかもというところ。
なんといっても、先チャンの報告によれば奥様の穂坂繭三段もまた
「くやしいけど、おいしい」
と、うなったという。
女性の、しかも負けず嫌いが基本である棋士という職業の穂坂三段(こちらは囲碁のプロ)が認めたのだから、これは本物であろう。お試しあれ。
かようにスパゲティーは簡単、安価、腹がふくれるという意味では相当に優秀な食い物だが、唯一の弱点が
「ゆで時間が長い」
鍋に入れて10分とか、どんなスローライフなのか。待てるかい!
食品会社は宇宙刑事ギャバンの蒸着のごとく、0,05秒でゆであがるパスタを早く開発してほしいものだ。
(鍋編に続く→こちら)