「銀河系マイクロ・ブラックホール将棋で遊ぼう!」とChatGPTは言った

2023年03月31日 | 将棋・雑談

 ChatGPTの話題で、世間は持ちきりである。

 AIと会話するだけで、仕事生活趣味のサポートやアドバイスをいただけるというスーパーアイテム。

 前回は古いゲームである平安京エイリアン』を作ろうと思ったら、その正体がやたらとおもしろげなアニメだったりして、こちらが望んでいたものとは違うが、妙にクリエイティブなところがおもしろい。

 こんな知らなかったアニメなんか教えてくれるんなら、もっと色々と質問してみたら、そのストーリーとかルールとか作って「シナリオライター」「ゲームクリエイター」的な仕事とかもしれくれるのではとか、妄想がふくらんだ。

 なにかアイデアはないかと考えてみると、かつて京都を旅行をしたときのことが思い浮かんできた。

 「平安京」つながりだろうけど、そのとき同行してくれた友人が細かいチェック柄のシャツを着ており、

 

 

 

 

 

 「お、オレに合わせてくれたんか。将棋盤がプリントされたシャツなんか着て」

 「ただの細かいチェック柄だよ。将棋盤にしてはマス目が多すぎるじゃん」

 「で、その【銀河系マイクロ・ブラックホール将棋】柄の服って、どこで売ってるの?」

 「そんなゲームはないよ! そんな無駄に壮大だと、たしかにこれくらいたくさんマス目が要りそうだけどさ!」

 

 みたいなやり取りで、キャッキャ言ってたのを思い出したわけだが、これもなんか、質問してみたら作ってくれんじゃね?

 ということで、さっそく訊いてみると、その答えというのが、

 

 

 

 

 あ、あったんだ。

 オリジナルゲームを作ってもらおうと思ったら、すでに存在していたとは。

 危ない、危ない。うかつに発表していたら、危うく「パクリ疑惑」をかけられるところであった。

 ちなみに、そのルールというのが、

 

 

 

 

 「飛び跳ね」「放出されたエネルギー」「周囲に展開」「プラズマ

 天文学や天体物理学にはくわしくないが、なにかとんでもないことが起こりそうな香りが芬々である。

 ソーラーブラックホールってなんじゃらほい。「プラズマ」が「」なところが妙におかしい。

 こんなもんを駒にして「」はなにを使用してるのか。やはり山形天童あたりで作ってるのだろう。か!

 うーん、なんだか、やたらとスケールはデカイ。これを題材にSFが書けそうだ。フレドリックブラウンとか、クリストファープリーストとか。

 ちなみに、棋戦やタイトル戦にはこんなのがあるそうです。

 

 

 

 一度はプレイしてみたいものなので、どこか大阪近辺で「銀河系マイクロブラックホール将棋教室」があれば、教えていただきたいものだ。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シュレディンガーのチョコパフェ 伊藤沙恵vs石本さくら 2020年 第2期ヒューリック杯清麗戦

2023年03月28日 | 女流棋士

 アベマの「女流ABEMAトーナメント2023」は大変おもしろかった。

 個人戦では負けるイメージがない里見香奈西山朋佳の現在「2強」が1回戦で敗れるなど、一筋縄ではいかない大会。

 テニスデビスカップや、学生将棋のレポートを読むのが大好きな「団体戦萌え」としては、将棋の内容だけでなく、ドラフト会議のやりとりや山根ことみ女流二段をして初戦負けの後、

 

 「西山さんに、3局目を指してもらえなかったのが悔しい」

 

 と言わしめたような、「オーダー組」の妙や駆け引きもまた、個人戦にはない楽しみなのである。

 だいぶ前から「将棋でも団体戦やってよ!」と思っていたとしては、もうルンルンというか「ワシが育てた」という感じで、コメントやSNSなどが盛り上がっているのを見ると、

 

 「民どもよ、余の大会を大いに楽しむがよいぞ」

 

 という気分で、鼻高々なのである(←オマエだれだよ)

 というわけで、今回は熱戦を見せてくれた女流棋士特集。

 まずは私もその独特の玉さばきのファンである、優勝チームのリーダーから。


 
 2020年第2期ヒューリック杯清麗戦

 伊藤沙恵女流三段石本さくら女流初段の一戦。
 
 先手になった石本の石田流対伊藤の銀冠から、激しくねじり合って最終盤。

 

 

 

 図は石本が▲32金を取ったところで、ここではすでに振り飛車が勝勢

 なら、あとはどう決めるかだが、先手の美濃も食いつかれているうえに端歩が突いてないためせまくて、プレッシャーをかけられている。

 このあたり、アベマトーナメントでも見せた伊藤流の逆転術が発揮されているが、次の手もまたしぶといのだ。

 

 

 △41桂と打つのが、手筋の犠打

 これが恐ろしいで、ウッカリ▲同金などと取ると攻め駒のが遠ざかるため、その瞬間に△39銀打とされてしまう。

 そこから決めるだけ決めて、最後△49との流れでを取り、必至をかけられて先手が負けてしまうのだ!

 こういうところが評価値では測れない終盤戦のむずかしさで、竜取りもかかっていたり、特に秒読みだと「先手勝ち」と言われても、なかなかうまくもいかないもの。

 伊藤もそれはわかっているから、あれこれとねばるわけで、石本は試されているところでもある。

 ここは迷う。冷静に▲22角成詰めろだが、もし読み抜けがあれば、取り返しがつかないおそれがある。

 ならばと一回▲58竜自陣を楽にする手も見え、なんにしても、駒がゴチャゴチャしていて、どこにが空いてるかを読みつぶすのは困難極まりない。

 地雷原の真っただ中、石本は▲23銀から寄せに入り、△同玉に▲22角成

 △14玉▲33馬。一番シンプルなせまり方で、いわゆる「これで勝てれば話は早い」という手順。

 伊藤は一回△39銀打と王手して、▲18玉

 


 さあ、ここである。
 
 先手玉に詰みはなく、後手玉は▲26桂△25玉▲34馬までの詰めろ。
 
 △33桂をはずしても、やはり▲26桂△25玉▲33竜として、△34の地点を受けても、▲42馬の応援があって、後手に受けはない。
 
 守備駒を足す場所もなく、絶体絶命に見えたが、ここで伊藤がギリギリの返し技を見せる。

 


 
 

 

 
 △26桂と打つのが、まさに、


 
 「敵の打ちたいところに打て」


 
 というアクロバティックなしのぎ。
 
 ▲同歩しかないが▲26桂の筋が消えたので、そこで△33桂と取って、きわどく耐えている。

 土壇場でを連打する伊藤に、石本も懸命にしがみつく。▲46馬と質駒のを補充して、△同飛▲16歩が接近戦特有の突き上げ。

 

 俗に詰められた方の端歩を突いて逆襲するのを「地獄突き」なんていうが、玉頭からのそれなど、ふつうはありえない。

 とは言え「取ってみろ!」とやられると、△同歩▲15歩△同玉▲27桂▲55竜の筋が怖すぎて、とても指せないだろう。

 とっ散らかりすぎた局面を前に、もうなにが正義かわからないが、ここで落ち着いて△26飛と活用したあたりで、どうやら逆転していたようだ。

 以下、▲15歩△同玉▲16歩△同飛▲17歩

 

 

 石本も懸命にふんばってきたが、ここでは後手が勝ちになっている。

 先手玉に詰みがあるからだ

 

 

 

 

 △28銀成▲同玉、△39角▲18玉△17角成▲同桂△同飛成▲同玉

 飛車角も全部ぶった切って、局面を整理していく。

 おたがいの玉がツノを突き合わせているが、ここでは手番を握っている後手が勝ち。

 △25玉の空き王手に、▲28玉△39角まで、石本が投了

 「中段玉のスペシャリスト」である伊藤の腕力が発揮された、実におもしろい終盤戦であった。お強い。

 

 (伊藤沙恵のさらなる強靭なねばりはこちら

 (大逆転を生んだ伊藤沙恵の勝負手はこちら

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「岡野玲子 原作の『平安京エイリアン』を京都アニメーションが制作します」とChatGPTは言った

2023年03月25日 | 時事ネタ

 ChatGPTの話題で、世間は持ちきりである。

 AIと会話するだけで、仕事生活趣味のサポートやアドバイスをいただけるというスーパーアイテム。

 私はここまで将棋関係のことをあれこれ調べて、その間違い……闇の組織に隠蔽された「真の将棋界」の情報を得たりしたが、やはり今の段階では使い方をあれこれ模索している人も多いよう。

 たとえばプログラマーをやっている後輩によると、日本語で命令するだけで結構なレベルのプログラムを書いたりできるらしい。

 調べてみると、テトリスとか数字パズルのようなゲームを作らせる動画もあったりして、その能力にはおどろくばかりだ。

 そこで私も簡単な昔のゲームくらいなら作れるのではと、かつて東大生が作ったことで有名だった、いにしえの「平安京エイリアン」について「ナンシードルー」(私が命名)に尋ねてみると、その答えというのが、

 

 

 

 なにやら、おもしろげな作品が出てきた。

 


 物語は、平安時代の京都を舞台に、異世界からやってきたエイリアンと、彼らと戦う人間たちとの戦いを描いています。

 主人公の女性神官・柿原神楽が、エイリアンとの戦いに巻き込まれながら、自分自身と向き合いながら成長していく様子が描かれています。


 

 アニメにくわしくないけど、こんなものがあったのか。小川一水時砂の王』みたいな話?

 

 

 これを作ってもらおうとしたら、

 

 

 

 

 こんなんが出てきた感じ。

 

 まさか、『ゲームセンターあらし』でしか知らなかったゲームが、こんなところでアニメ化されていたのか。虫歯エイリアンが出ているのかが気になるところだ。

 ちなみに、もう一回聞いてみると岡野玲子先生が原作だそうです。そーなんやー。

 「そんなアニメ、京アニにあったっけ」

 「岡野先生はこんなもん描いてないぞ」

 という意見はあるかもしれないが、もちろんAIが間違いなど犯すはずがないのである。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

将棋「棋士のニックネームは『悪魔の詰め将棋』と『チェス倶楽部の破壊王』です」とChatGPTは言った

2023年03月20日 | 将棋・雑談
 ChatGPTの話題で、世間は持ちきりである。

 AIと会話するだけで、仕事生活趣味のサポートやアドバイスをいただけるというスーパーアイテム。

 ただし、私の場合はこのブログの将棋ネタ探しに使いたかったが、そこではあまりにも私の知っている将棋界と、違う情報が提示されて困惑している。

 おそらく、われわれの知る将棋界は「組織」によって脳に組みこまれた「偽記憶」であり、そこでは

 

 「藤井猛九段は史上最年少で四冠王に輝いている」

 

 という「真実」が隠蔽されている。

 そこで「組織」の作り出す仮想空間から脱出するため、私は「の将棋界」のゆかい……新たな情報を集めている。

 今回のお題は、前回に続いて棋士の「愛称」。

 エース」「谷川ヒール」「タンス」「きりっしーという、私の聞いたことのないボキャブラリーが飛び出すにあたっては、もっと掘る価値はあろうということで、

 


とても興味深いので、もっとどんどん将棋棋士のニックネームを教えてください


 
 
 
 
 

 

 なにやら前回よりもさらに、きらびやかになった気がする。

 さすが「了解です!」とテンションアゲアゲで言うだけあって、開口一番から「千日手マン」とはパンチが効いている。

 別のだれかとごっちゃになってるのでは? じゃあ、次の「将棋の天使」はだれと混ざっているかと言えば、それは不明だ。

 佐藤天彦九段と言えば「貴族」だろうとか、いちいちツッコんでいたら話が進まないわけだが、次の「チェス倶楽部の破壊王」にはシビれた

 村山慈明七段と言えば、明るい好青年として知られるが、そんなバイオレンスなイメージだったとは。なんでチェス倶楽部なのか。

 このインパクトの前には、次の山ちゃん「銀河系の戦士」もかすむというものだ。

 そういえば昔『月刊ムー』の読者投稿欄には、

 

 わたしはエリザベス。第4銀河系帝国の王女。この地球に派遣されたゴルゴダの4騎士を探しています。

 ヴァンダーベルト、ディアスティル、デ・ラ・ヴェガ、フォン・ローゼンクランツ、これらの名前に「覚醒」した人たちの連絡を待っています。

 

 なんていうイタ……若さあふれる投稿がよくあったものだが、やはり「チェス倶楽部の破壊王」にはかなわない。

 さらには「たじちゃん」「かき氷女王」という、つっこみのフックがまったく見つからないところからの「泰明さん」でコケそうになった。

 それはただの名前だ。高群のさっちゃんが、ふつうに呼んでいるのではないか?

 

千日手マン

 

 

 

将棋の天使

 

 

チェス倶楽部の破壊王

 

 もうこうなれば騎虎の勢いと、さらに

 


 ★まだまだお願いします。


 

 天才か、おまえは!

 藤井猛九段のニックネームが「悪魔の詰め将棋」。

 意味は分からんが、爆裂的なセンスは感じる。真空ジェシカの漫才みたい。

 杉本師匠の「鬼丸」などマシな方で、「ヒロイン佐々木」はBL的なニュアンスを感じて現代的である。「相手」にはだれなんだろう。

 木村一基九段の「キリン」もパンチ力がある。

 あの濃いキャラクターを捕まえて、メチャクチャに散文的でそっけない。

 そのシンプルで投げやりなところが、かえって「文学」すら感じさせるほどだ。「デビル大石」もまったくのキャラだろ!

 西山朋佳女流三冠の「パフェ職人」はアベマトーナメントのあれか。そういえば、囲碁将棋チャンネルでやってた食べ歩き番組(?)は良かった。5回見た。

 清水さんの「かき氷女王」もそうだけど、女子にはスイーツと、このあたりはえらくベタな発想ではある。案外、保守的なのかもしれない。

 あと「藤井総士郎さん」がだれかもわかんないけど、その愛称が「総太郎」とか、なんでやねん。

 なにやらさっきから「ボケ足」が早すぎて「岡田将生」や「萩原聖人」に手が回らないくらいだ。

 私は大阪人だけど、ツッコミ体質ではないので、処理が大変。あ、「坂井秀至」さんは医者囲碁棋士ですね。

 

 

悪魔の詰め将棋

 

鬼丸

 

 

キリン 

 

 なにやら、このあたりの不思議なワードセンスもよく、どうやら私の知るより「真の将棋界」はゆかいで楽しいところらしい。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

将棋「棋士のニックネームを教えてください」「『タンス』です」とChatGPTは言った

2023年03月19日 | 将棋・雑談
 ChatGPTの話題で、世間は持ちきりである。

 AIと会話するだけで、仕事生活趣味のサポートやアドバイスをいただけるというスーパーアイテム。

 ただし、私の場合はこのブログの将棋ネタ探しに使いたかったが、そこでは陣屋事件」の真相などあまりにも私の知っている将棋界と、違う情報が提示されて困惑している。

 そこは「灰色の脳細胞」の持ち主である私のこと、見事なロジカルシンキングで、その謎や矛盾をムリヤリこじつ……あざやかに解きほぐしていったが、まだまだわれわれが思いこんでいる「偽りの将棋界」では、

 

 「羽生善治のタイトル数は99期である」

 

 などという捏造がまかり通っている。

 そこで私は「の将棋界」を知るため、さらなる大喜利……じゃなかった調査を続けることにした。

 今回のお題がコレ。

 

 将棋のプロ棋士のニックネームにはどんなものがありますか。

 
 人気棋士にはたいてい愛称のようなものがあるもので、仲間内の呼び名からファンが敬意(ときにイジり)をこめて呼ぶものまで様々。
 
 メジャーどころでは、豊島将之九段なら「とよぴー」「きゅん」。糸谷哲郎八段なら「ダニー」。増田康宏七段なら「まっすー」などなど。
 
 佐藤康光会長も、先崎学九段に「モテ光くん」。奥様からは「みっくん」。米長邦雄永世棋聖からは「グロンサン」(会長のお父様が製薬会社勤務だったことにかけている)なんて、いろいろ呼ばれているわけだが、これもまた私の脳に「組織」から埋め込まれたニセ記憶の可能性もある。
 
 そこで真実をたしかめるべく質問してみると、その答えというのが、
 
 
 
 

 

 ちょっと待て、おもしろすぎるぞ。
 
 「聡太くん」はまあいい。「竜王」と「銀河」はタイトルとか棋戦名だけど、棋聖3期の実績のある屋敷伸之九段は若手時代に、仲間から「キセイ」と呼ばれていたそうだから、これもいいとしよう。
 
 ただ渡辺明名人が「エース」とは、どこで呼ばれているのか。
 
 渡辺明といえば昔はそれこそ「竜王」とか(「渡辺竜王」だった時期が長かったから)、有名な漫画のキャラにそっくりなことから「魔太郎」あたりが定番だったが、ここにずいぶんとカッコイイのが来た。
 
 こういってはなんだが、あんまし「エース」感はない気がするが、野球好きというキャラだからかもしれない。
 
 「谷川ヒール」というのが、またすごい。
 
 ちょっと思いつかないボキャブラリーなうえに、そもそも谷川浩司にヒール感はないだろう。むしろ、典型的な「ベビーフェイス」側だと思うが。
 
 キャラ的には、失礼ながら渡辺名人との方がしっくりくるかなあ。ただ、そのギャップのインパクトがあるのはたしかだ。
 
 阿久津主税八段の「タンス」には目を疑った。なにが語源なのかとかも、サッパリわからない。
 
 あっくんは棋風も容貌も、もっとシャープなイメージだがどうか。
 
 これ、クイズにして「【タンス】ってだれの愛称?」って聞いたら、正答率はゼロをたたき出すのではないか。
 
 阿久津主税のニックネームは「タンス」。
 
 そりゃ「組織」も我々にニセ記憶を植えつけたくもなろう。
 
 
 
 
 
 
エース
 
 
 
谷川ヒール
 
 
 
タンス
 
 
 
 
 あと桐山清澄九段の「きりっしー」が、大変かわいらしい。
 
 「いぶし銀」と呼ばれた桐山先生はやさしいので、案外こんな呼び方でもニコニコと応対してくれそうではある。
 
 あと『スーパーマリオ』とか案外ゲーム好きだったりするらしいので、もしいま若手だったら、結構人気が出てたかもしれない、きりっしー先生であった。
 
 
 
 
 

 

きりっしー

 

続く

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

将棋「【陣屋事件】の真相について、すべてをお話しします」とChatGPT&陣屋洋一は言った

2023年03月16日 | 将棋・雑談

 ChatGPTの話題で、世間は持ちきりである。

 AIと会話するだけで、仕事生活趣味のサポートやアドバイスをいただけるというスーパーアイテム。

 ただし、私の場合はこのブログの将棋ネタ探しに使いたかったが、藤井猛九段が「史上最年少四冠王」を達成していたり、加藤一二三九段の本名が「いちぞう」だったりと、私の知っている将棋界かなり違う情報が提示されて困惑している。

 佐藤康光九段は「2006年引退」し、森内俊之九段2005年には《将棋におけるデジタル技術の研究》により、文部科学大臣賞を受賞。

 永瀬拓矢王座の棋風は「攻めに特化」し、豊島将之九段は最多優勝記録でギネスに載って、中村太地七段1997年、インターネット将棋サイト「81Dojo」を創設。
 
 中原誠十六世名人のデビュー年は1993年だし、木村義雄十四世名人2020年まで現役で「梅見山流(うめみやまりゅう)」と自称していたり。
 
 升田幸三九段は「現在は竜王戦・王位戦の審判員を務め」ているらしく、どうやら、現在の将棋界は藤井聡太羽生善治大山康晴中原誠木村義雄らが混じって戦う『パワプロ』のような世界らしい。

 またどこかでネタにしようとして、調べ物がめんどくさくて挫折した「陣屋事件」については、

 


 


 この事件は、将棋界における林裕光九段の師匠であった陣屋洋一九段が、自身の弟子たちに対して暴力を振るっていたことが原因となっています。


 

 だれの話?

 ちなみに陣屋洋一とは、

 

 

 

 

 元弁護士で、欅坂46の楽曲まで手がける才人だった!

 しかもデビューして5年とは、まだまだ若手ではないか。それが弟子たちに暴力とは、波乱万丈すぎる人生である。
 
 おもしろすぎるが、ではなぜ私の知っている将棋界と、AIのはじき出す「本当将棋界」にこれほどの乖離があるというのか。
 
 まさに「胡蝶の夢」というか量子論的世界であり、わけがわからない。
 
 この世界はすべて、作られたバーチャル世界なのかもしれない。『マトリックス』か『レディプレイヤー1』。
 
 ……なんて遊んでいると、いくらでもおもしろそうな話が出てくるわけで、スーパーAIもまだ将棋界については苦手だったというお話でした、チャンチャン。

 

 (ChatGPTに棋士のニックネームを訊いてみた編に続く)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

将棋「天下の一局」をChatGPTが教えてくれた 藤井猛棋聖vs加藤一二三八段 1984年 棋聖戦 第4局

2023年03月12日 | 将棋・雑談

 ChatGPTの話題で世間は持ちきりである。

 その衝撃度に、今さら説明するまでもないだろうが、これが会話形式で質疑応答ができるというAI

 
 外国語の翻訳やら、プログラムを書いてくれたりとか、なんでもできる万能ぶり。
 
 果ては大学のレポートやら、講演の原稿やら、小説まで書くとなっては、すごいヤツが出てきたもんである。
 
 さっそく私も、着衣の少ない女性が出てくるステキな動画のおススメをたずねて、

 


 申し訳ありませんが、私は倫理的な理由から、そのような動画の紹介はできません。

 代わりに、健全で価値ある趣味や興味に関するアドバイスをお探しの場合は、お手伝いできます。 



 などというナイス助言をいただいたりして、優雅な人工知能ライフを送っている。
 
 まさに、『2001年宇宙の旅』のHALが実現したわけだが、こうなると様々な使い方を模索したくなる。
 
 まずやはり、私としては当ブログのネタ探しだ。
 
 特に将棋ネタは、一局ごとに過去の観戦記を読み直したり、詰みの部分をソフトで精査したり。
 
 ときには手元に資料がないから古本屋で雑誌のバックナンバーなど買いなおしたりと、わりと手間お金もかかっている。
 
 そこをこのChatGPT様を使えば、
 
 
 「過去の将棋の名局をピックアップして、手の解説や雑談も充実させたうえで、そこからガッパガッパ金が入り、アイドルと結婚できるような記事に仕上げてください」
 
 
 と入力するだけで一丁上がりなのだ。
 
 これで、いちいち棋譜を並べなおしたりする手間が省けるわけで、なんとラクチンなのかと鼻歌交じりにさっそく、
 
 
 「将棋の世界で過去一番の名局とはなんですか」
 
 
 という質問をしてみたところ、その答えというのが、

 


 


 将棋の世界で過去一番の名局と言われるのは、1984年棋聖戦第4局藤井猛九段加藤一二三八段の対局です。

 (中略)
  
 その後、この名局は「天下の一局」と呼ばれ、将棋の歴史に残る名局として知られています。



 
 ……
 
 なんだか、おかしいように見えるのは気のせいだろうか。
 
 私の記憶では、このころの棋聖戦は年に2回開催で、1984年度前期の第44期棋聖戦は、米長邦雄棋聖(王将・棋王)と谷川浩司名人が戦っていた記憶が。
 
 また後期の45期棋聖戦では、新鋭の中村修六段2勝1敗と、米長棋聖をカド番に追いこんで話題となったはずだが(結果は米長がかろうじて防衛)。
 
 だが、まさか人工知能が間違いを犯すわけがないので、これらの知識が間違っているのであろう。
 
 実際は藤井猛九段加藤一二三八段が戦ったのだ。
 
 どっちが棋聖か不明だが、実績的には加藤先生か。
 
 といっても、ひふみんは棋聖取ったことないはずだけど、もちろんAIが間違いを犯すことなどありえないから、きっと私の知らぬところで取っていたのだ。
 
 人の記憶など、本当にあてにならない。
 
 そこで、今度こそしっかりと調べてみようと、まず藤井猛九段について質問してみたところ、

 


 


 


 
 2009年史上最年少で、四冠(棋聖、王位、王座、棋王)を獲得するなど、将棋界の中でもトッププレイヤーとして知られています。


 


 藤井猛九段といえば、やはり竜王3期の実績から「藤井竜王」のイメージがあるが、四冠王になっていたとは知らなかった。
 
 また、2009年に「史上最年少」とは37、8歳くらいか。
 
 ずいぶんと歳をとった「最年少」だが、それだけ四冠を取る道が険しいことが分かる。
 
 つまりは藤井聡太五冠はそれを20年近く更新したわけで、彼の才能のすさまじさが伝わってくるではないか。
 
 また加藤先生については、

 

 
 
 どうということない内容だが、注目なのが名前である。


 加藤一二三(かとう・いちぞう)は、日本将棋連盟所属のプロ棋士で、1948年生まれの現役棋士です。



 
 「ひふみん」とか「ピンさん」でおなじみの加藤九段だが、本名が「いちぞう」だったとは衝撃の事実である。

 なるほど「ひふみ」とは鈴木一朗が「イチロー」のような登録名だったのかもしれない。
 
 加藤リスペクトあまねきのため御子息に「一二三(ひふみ)」と名付けた小林健二九段は、今ごろどう感じているのだろうか。
  
 そんなわけあるかい、という意見もあろうが、もちろんAIが間違いなど犯すはずもないので、これが事実なのだ。

 什麼生とえば説破のように「いちぞう」といえば「ゾルゲ」しか思い浮かばない私としても、この将棋はぜひ並べてみたいが、今のところ棋譜が見つかっておらず、ならば聞けばいいということで、

 


 


 
 申し訳ありませんが、1984年の棋聖戦において藤井猛九段と加藤一二三八段の間で行われた対局は存在しません


 

 まさかの裏切り

 

 


 藤井猛九段は1984年度に棋聖位獲得していますが、その挑戦者が加藤一二三八段ではありませんでした。



 しかも、棋聖を獲得していたのは藤井猛九段のほうだったとは!。

 挑戦者は「いちぞう」ではない。なら、このときの挑戦者はだれだったのかと問うならば、

 


  
 1984年度の棋聖戦の挑戦者は、羽生善治九段です。



 羽生さんだったとは!
 
 なるほどこれは、謎が解けてきた。
 
 つまりは、藤井猛棋聖に前期は加藤一二三八段が、後期に羽生さんが挑戦したと考えればしっくりくる。
 
 この両者をしりぞけたことからして、藤井猛九段もまた並の棋士でないことが伝わってくる。
 
 こうして、過去の歴史についてAIと会話するというのは、非常に有意義な時間であった。
 
 1984年と言えば藤井猛九段はまだ奨励会にも入ってないけどなあとか疑問は残るわけだが、これも要するに、
 

 「研修会時代からすでにタイトルを取れる実力があった」
 
 
 ということであろう。

 首をかしげる方もおられるかもしれないが、言うまでもなくAIが間違いなど犯すはずがないのである。

 

 (「陣屋事件の真相」編に続く)

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「フリードリヒ」と思いきや「フェデリーコ」 藤沢道郎『物語 イタリアの歴史』

2023年03月09日 | 
 藤沢道郎『物語 イタリアの歴史』を再読する。

 中公新書の『物語 ○○の歴史』シリーズはよくお世話になっていて、学生時代とか気になる地域があると手に取ったもの。

 ざっと思い出してみると、猿谷要先生の『アメリカ』。阿部謹也先生の『ドイツ』。
 
 あと『北欧』『アイルランド』『ラテンアメリカ』『スペイン(「人物編」も)』『ウクライナ』『近現代ギリシャ』といったところ。

 思い入れとしては、ドイツ文学科出身で『ハーメルンの笛吹き男』などでもお世話になった自分なら、阿部先生の『ドイツ』を推したいところだが、ちょっと記述が教科書チックで単調な気もしないでもない。

 『アメリカ』のリーダビリティはさすがだし、『近現代ギリシャ』もわかりやすくて勉強になりオススメだが、やはりタイトル通りの『物語』での出来では、藤沢道郎先生の『イタリア』がダントツではなかろうか。

 藤沢先生の『イタリア』はとにかく文章がメチャクチャにうまい。

 「文章がうまい」の定義というのは難しいけど、


 「リズムテンポに優れて読みやすく、それでいてライトに堕さず格調高い
 

 くらいに取るなら、これはもう『イタリア』の独壇場と言っていいくらいにお上手なのだ。

 「聖者フランチェスコ」「ボッカチオ」「ミケランジェロ」「ベルディ」など、人物別に分かれていて、一遍が程よい長さで読み進めやすいのもポイント。

 流麗な文章に導かれてサクサク読んでいるうちに、いつのまにかイタリアの文化や歴史に親しんでいる。もう、とんでもないスグレ本なのである。

 なんといっても素晴らしいのが、これがちゃんとタイトル通り「物語」になっていること。

 この「物語」シリーズはどこかのレビューで「当たりハズレ」があると書いてあったけど、それはおそらく中身がというよりも「物語」としての出来が問題なのではあるまいか。

 阿部先生の『ドイツ』がそうなんだけど、やはりちょっと教科書みたいな感じになってしまうことがあるというか、特に専門外の時代になると(たとえば阿部先生の場合は「中世ヨーロッパ」以外)、ますますそういう感じになって、バランスを欠いてしまいがち。

 その点、『イタリア』は取り上げる時代や一編の長さから、あつかう文体まですべてが実にうまくまとまっている。

 ホント小説のようというか、シュテファンツヴァイクみたいなノリで、なんというのか「物語の完成度」が高いのだ。

 だから、このレベルとくらべると、どうしても「当たりハズレ」といいたくなる人も出てくるだろう。

 似たような件に、『○○ 旅の雑学ノート』シリーズというのがあって、探せば色んな地域が出てるんだけど、本屋では「香港」「パリ」「ロンドン」しか見かけない。

 これには旅行ライターの前川健一さんが、


 「このシリーズは最初の【香港】を書いた山口文憲と、【パリ】【ロンドン】を受け持った玉村豊男の2人がいい仕事をしすぎて、それ以降は書き手がこの水準についていけなかった」


 と、おっしゃっていたが、「当たりハズレ」レビューの人も、やはり『イタリア』あたりを基準点としていたのかもしれない。
 
 じゃあ、少々のものでは「ハズレ」になっちゃいますわな。

 とにかく、イタリアの歴史や「物語シリーズ」に興味がわけば、まずはこれを手に取るのが一番。

 あとは、塩野七生さん、須賀敦子さんや、藤沢先生が翻訳を担当されているモンタネッリの『ローマの歴史』『ルネサンスの歴史 黄金期のイタリア』(ロベルトジェルヴァーゾとの共著)とか、ガリガリ読んでいけばいいと思います。激オススメ。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奇蹟は一度しか起こらない 藤井聡太vs渡辺明 第48期棋王戦コナミグループ杯 第3局

2023年03月06日 | 将棋・ポカ ウッカリ トン死

 先日の棋王戦第3局は衝撃の結末だった。

 先手番28連勝(!)と無敵状態の藤井聡太五冠に対して、渡辺明棋王名人が後手番ながらリードを奪うと、そのまま勝勢を築き上げる。

 だが、明快な決め手をひとつ逃しただけで、おかしくなるのが将棋の終盤戦のおそろしいところで、まだ渡辺がリードを保つも混戦に突入。

 その後も、後手勝率が95%を超える時間も長かったが、勝ちを逃した精神状態に藤井の巧妙なねばりに勝負手もあって、いつしか泥仕合に。

 いくら客観的には「勝ってます」と言われても、そんなもん当人たちは知る由もないし(それにしても△37桂とか森内俊之九段は手が見えていたね)、1分将棋にくわえて、局面もゴチャゴチャした状態が延々と続いて、わけがわからない。

 評価値を参照しながら観ている初心者の方や、あまり実戦経験のない人からすれば、

 

 「おかしいなあ。なんで、こんな簡単な手が指せないの?」

 「悪手だらけで、二人とも超よえーじゃんw」

 

  みたいに見えるかもしれないけど、こんなんもん、やってる方は「そんなん言われても」という話なのだ。

 いわゆる「評価値がアテにならない」という、将棋のおもしろさのエッセンスが一番詰まった戦いだが、最後に抜け出したのは、やはり藤井だった。

 必敗の局面を根性腕力でひっくり返し、ついに勝ちをその手にたぐり寄せた。

 

 

 

 正直、この局面を前にして私はあきれ返っていた。

 これを勝つんかい! あの渡辺明がこの将棋を勝てないのなら、もうこれからは100戦やって100連勝やん。

 マジか、えげつないな。見ている方は「六冠王おめでとう」ですむけど、こんなん他の棋士からしたら絶望しかないよなー。朝日杯もすごかったしなー。

 なんて「ぼんち揚げ」をボリボリ食べながら考えていたら、なんとここで藤井が指したのが▲26飛

 世に「噴飯」という言葉があり、要するに「お茶吹いた」ってことなんだけど、私の場合はぼんち揚げの粉が、桜島の噴火のごとく部屋に舞い散った。

 ちょ、ちょっと待てーい

 尾崎放哉のしょうもな……自由律俳句のごとく、ひとりで咳に苦しむ私を尻目に、一瞬にして評価値は99から99へ。

 ここでは▲25歩と打てば、藤井が詰め将棋の名手であることを持ち出すまでもないほどの、それほど難解でもない詰みのはずだった。

 まさかこの流れで再逆転があると思えず、また詰まないのも打ち歩詰がからんでピッタリ逃れていたりとか、まさに「勝ち将棋鬼のごとし」。

 なんだか渡辺がかつて、羽生善治九段の「永世七冠」を阻止したときのようなドラマではないか。

 そうえいば、あのときは3連敗から4連勝で逆転したっけ。

 こちらがお茶を飲んで落ち着くにつれ、すでに先手に勝ちがない状態がハッキリとしてきた。

 その後は投げきれない藤井が、めずらしく落胆をモロに表していたりしながら、勝ち目のない局面を指し続けたけど、気持ちはわかる。

 勝ってれば「史上最年少六冠王」だし、これで名人戦プレーオフ王将防衛戦とはずみがつくのに。

 また、ここでシリーズが終われば、タイトなスケジュールも多少マシになるとか、別にそんな邪念が入ったわけでもないだろうけど、まさに茫然。

 こんなこともあるんだねえ。まあ疲れもあるんだろうなあ。大勝負に出ずっぱりだものなあ。

 以前、藤井猛九段が、

 

 「どんな大差の将棋でも不思議なことに、かならず一回はチャンスが来るんですよ」

 

 と言ったあと、

 

 「でも、苦しい局面を延々と考えて疲れちゃうし、時間も使わされてるから、いざという時に逆転の手を指せないんだよね」

 

 なんてことをおっしゃってましたが、まさにその通りの幕切れ。

 将棋はこういうこともあるから「貴重な経験」と思うしかないし、むしろそうできるかが試されるところ。

 そうえいば、羽生善治九段が昔、竜王戦挑戦者決定戦で丸勝ちの局面で「一手トン死」を食らった有名な将棋があるけど、そのときの羽生は、おそらく「全力で勝ちにいって」その後2連勝し、大ポカを無理くり「なかったこと」にしてしまった。

 藤井もまた、番勝負だったことが幸運だったわけで、ここで踏ん張ってこれを「なかったこと」にできるのかどうか。

 いや、藤井は棋王戦だけではなく、広瀬章人八段とのプレーオフに、世紀の決戦となった王将戦もある。

 移動日や取材もふくめれば、気持ちを切り替えるインターバルは絶望的に少ないが、果たしてどうなるのか。

 無敵の王者にブレは生じるのか。

 「どうせ藤井が勝つ」という予定調和に穴が空き、他の棋士たちの逆襲のキッカケになるのか。

 いやいやもう3月の将棋界は、超おもしろくなってきたんですけど!

 

 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神狩り 丸山忠久vs天野高志 1990年 第2期竜王戦

2023年03月03日 | 将棋・名局

 前回の続き。
 
 「小山怜央四段」誕生を記念して、かつてのアマチュア棋士の活躍を取り上げている。

 そこで前回は、アマチュア棋士である天野高志さん(当時アマ名人)が、1990年の第2期竜王戦6組予選の1回戦で、佐藤秀司四段を破るという快挙を達成したことを紹介したが、実を言うと天野さんの活躍はここで終わらなかった。

 なんとその後、2回戦で木下浩一四段、準々決勝で沼春雄五段に勝利し、準決勝進出。
 
 次を勝てば5組昇級のみならず、決勝トーナメント進出の可能性も出てくる(もし勝てば決勝の相手は藤原直哉四段郷田真隆四段)という大一番となった。
 
 対するのは、これも佐藤秀司と同じく新四段になったばかりの丸山忠久
 
 のちに名人にまで上り詰めるマルちゃんだが、このころからすでに「強い」と評判で、郷田と並んでこの期の6組最強の刺客と言えた。
 
 だが、ここでも天野さんは、すばらしい将棋を披露する。
 
 おたがいガッチリ組み合う本格派の相矢倉から、先手の天野さんが4筋から戦端を開いて行く。


 
 
 
 
 
 
 中盤戦、▲52歩とタラしたのが、いかにも筋のよい手で、自陣は堅陣で攻めのもさばけて先手ペース。
 
 丸山も金銀の厚みで押さえこもうとするが、天野さんはを巧みに駆使して手をつないでいく。
 
 
 


 
 図は▲45銀と打ったところだが、ここでは見事に攻めが決まって先手が優勢、いや勝勢と言っていいほどの局面かもしれない。
 
 すわ! 天野さん、またも大金星か!
 
 しかも、ここで若手バリバリで、将来のタイトル候補である丸山まで吹っ飛ばしたとなると、これは決勝トーナメント進出も夢ではない。
 
 いやそれどころか、本戦でも活躍が見込めるし、まさかの「アマ竜王」もあるんでねーの?
 
 なんて、まさしく「竜王戦ドリーム」の未来が広がったが、ここから丸山の、そうはさせじのねばりがすさまじかった。
 
 必敗の局面から、じっと△27歩と受ける。
 
 ▲54銀△37馬▲63角成と窮屈だったにまで活躍されるが、△28歩成▲64馬△73歩▲59飛△47歩成と、懸命に上部を開拓。
 
 
 
 
 
 
 
 ねらいはもちろん、このころ丸山が得意としていた入玉だ。
 
 それでも、▲24に上部を押さえられ、先手の飛車も生きている中、入れるかは微妙だが、ここからなりふりかまわず、もがいていくのはまさにプロの意地。
 
 ▲31銀△12玉▲55馬からの攻めにも必死の防戦で、とにかく上に昇ろうとする。


 
 


 
 
 
 なんとかそれが実って△34玉と、ついに包囲網を突破する道が見えてきた。
 
 それでも▲71角が痛打で、相変わらず後手が苦しいが、とにかくはいずってトライを目指す。
 
 そうして喰いついているうちに、天野さんに悪手が出たわけでもないのに、少しずつ局面がアヤシクなってくる。
 
 流れ的に、寄せに行くか、それとも相入玉を目指すかも判断がむずかしかったのかもしれない。
 
 そうしてついには、双方の玉に寄せがなくなり持将棋に。
 
 天野さんからすれば、勝てた将棋をドローに逃げられた形だが、ここはマルちゃんの執念をほめるべきだろう。
 
 あらためて、指し直し局
 
 こうなると、さすがに勢いはマルちゃんにあるということで、得意の角換わり腰掛銀から仕掛けの斥候でリードを奪う。 
 
 だが、天野さんもここで引き下がるわけにはいかない。
 
 プロにはプロの意地があろうが、アマチュアにはアマチュアの矜持があるのだ。


 
 
 
 
 
 △49角と好位置に放って、なんとか喰らいつく天野さんだが、次の手が「ザッツ丸山忠久」という手だった。

 

 


 
 
 
 
 
 
 
 
 ▲77金打が、当然とはいえしっかりとした受け。
 
 今では「負けない将棋永瀬拓矢王座が指しそうだが、その元祖である「激辛流」といえば丸山忠久である。
 
 その後も、なんとか手をつなげようとする後手の駒を、と金で責めていき先手陣に寄りはない。
 
 


 
 
 最後はまたも入玉模様に持ちこんで、天野さんを「完切れ」に持ちこみ勝利。

 後手が放った4枚金銀を完全に空振らせた、見事な脱出劇だった。

 ここにアマチュアによる5組昇級という快挙は阻止されたが、天野さんの強さは疑いようがなく、ただただ拍手。

 もともと私はプロがアマに負けても、さほど「情けない」とか思わないタイプだけど、これ以降ますます、その考えは強いものとなった。

 むしろ「アマなんかに」みたいな考え方って、失礼なんでねーのとか。

 仕事勉強に追われながら、ここまでやれるって逆にスゴくね?
 
 一方の丸山も、いつもの「ニコニコ流」だけでなく、陰に秘めた「根性」も、また大きな武器であることを示した。
 
 とても熱い戦いで、このころはまさかアマチュアからプロになる人が出るなんて想像もつかなかったが、長くファンをやっていると、色々と楽しいものが見られるもんだなあ。

 

 (丸山が見せた「根性」の一局はこちら) 
 
 (その他の将棋記事はこちらからどうぞ)

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする