海上撮影家が見た上海2

上海で撮影活動をしている海原修平のBlog。「海上」とは上海の逆で、新しい上海という意味。更新は不定期。

空軍機搭載の偵察用カメラ今昔

2022-04-22 | 写真日記

ネットからキャプチャー カメラの下の2本のレンズは多分動画用かな

 

前世紀の話だが、高輪にMAC CAMERAがあった。このカメラ屋はロスに仕入れ部隊があり、程度の良い海外製のカメラを仕入れ販売していた名店だった。私の自宅から事務所までの通り道このMACがあったので、仕事が暇な時は必ず寄り道してから事務所に向かっていた。このMACには、ライカやローライなど海外のカメラに関しては生き地引と言われていた本間さんと佐藤さんがいたので、私のカメラ機材などの知識のほとんどはこのカメラ屋で仕入れていたし、私が使っていたLeica製品のほとんどはこの店で買っていた時代があった。

そのMACで一度だけ見たのは、先の大戦中にアメリカ空軍の偵察機に搭載されていたKodak製のEktarが店の隅に無造作に置かれていた。焦点距離は忘れたが、バケツより一回り大きい真鍮製の鏡胴を覗き込むと黄変したガラスの塊が鈍く光っていた。持ち上げて見ると腰が抜けるほど重いのにびっくりしたが、佐藤さんにあまり近づかない方が良いと言われた。聞けばこのレンズ、解像度を上げる為に放射性物質を相当多く含んだガラス(酸化トリウム)が使われていると聞き二度びっくり。そして、このレンズで撮影するカメラのフィルムサイズは8x10でモータードライブ(一秒間に何コマか知らない)付きのカメラが搭載されていたと聞き三度びっくり。日本の都市を爆撃する為には正確な地図と建造物の識別が目的だったので、モータードライブで連続撮影という事になると、8x10ロールフィルムだろうな。

時は変わってデジタル時代になり、ロシア製のドローンにCanon製APS-Cサイズの普及機一眼レフ(EOS Kiss)とEF50mm f1.8が偵察カメラとして使われる時代になった。今は街のいたる場所にも監視カメラがありスマホにもカメラ付きが当たり前になり車にも搭載されていているが、相変わらずレンズを使わないカメラはまだ出来てない。印刷物が減りモニターで見る時代に変わり、写真から動画に変わろうとしている今、今後デジタル社会はどうなるのか興味深い。

コメント
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