6月16日のしんぶん赤旗と東京新聞の1面トップニュースは「陸上イージスの計画停止」である。しんぶん赤旗は、竹下岳氏が、解説記事を書いている。少し長くなるが、全文を紹介したい。
陸上イージス計画「停止」
官邸主導の「武器爆買い」破綻の始まり
陸上配備ミサイル迎撃システム「イージス・ショア」の配置「停止」が唐突に発表されました。河野太郎防衛相は15日の会見で、迎撃ミサイルのブースターが演習場内や海に確実に落下する保証がないことをあげました。しかし、この問題は以前から繰り返し指摘されていたことであり、防衛相側も当然、分っていたはずです。
安倍政権は就任以来、米国の要求に応じて、F35ステルス戦闘機やV22オスプレイなど、防衛省、自衛隊さえ必要としない高額兵器の購入を次々に決定し、軍事費の高騰を招いてきました。イージス・ショアの配備計画「停止」は、そうした官邸主導の「米国製武器爆買い・おしつけ」路線の始まりで、「ブースター」問題は、それを覆い隠すための口実にすぎません。
もともと、防衛省は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対して、イージス艦の増勢などで対処する方針を掲げており、同省の「中期防衛力を整備計画」にも、イージス・ショアの導入は盛り込まれていませんでした。
ところで、2017年、米側から、「米本土防衛」のためにイージス・ショア導入を要求されると、安倍晋三首相は同年秋の日米首脳会談で、トランプ政権の「バイアメリカン」(米国製の武器を買え)路線に迎合し、12月に「2基導入」を閣議決定しました。
しかし、その導入費用は当初「2基1,600億円」から公表された部分だけでも4,504億円に。さらにレーダーや迎撃ミサイル、施設建設費を含まれば1兆円規模に膨れ上がります。単価でみれば、自衛隊史上最も高価な兵器です。
しかも、その迎撃能力は限られており、現在、主流となっている多弾頭や超高高度の弾道ミサイルや、ロシアが開発している極超音速ミサイルなどには全く対応できません。まさに壮大なムダです。
河野防衛大臣は会見で、あくまで配備計画「停止」であることを強調し、イージス・ショアで使用が予定されている迎撃ミサイルや、防衛省が米軍需企業から直接購入を計画している最新レーダーなどはそのままイージス艦で使用する考え示しています。
しかし、いま求められているのは配備計画の「撤回」であり、イージス・ショアにかかる予算措置はすべて解消し、その費用を新型コロナウイルスで苦しむ国民のために回すことです。
(竹下岳)
陸上イージス計画「停止」
官邸主導の「武器爆買い」破綻の始まり
陸上配備ミサイル迎撃システム「イージス・ショア」の配置「停止」が唐突に発表されました。河野太郎防衛相は15日の会見で、迎撃ミサイルのブースターが演習場内や海に確実に落下する保証がないことをあげました。しかし、この問題は以前から繰り返し指摘されていたことであり、防衛相側も当然、分っていたはずです。
安倍政権は就任以来、米国の要求に応じて、F35ステルス戦闘機やV22オスプレイなど、防衛省、自衛隊さえ必要としない高額兵器の購入を次々に決定し、軍事費の高騰を招いてきました。イージス・ショアの配備計画「停止」は、そうした官邸主導の「米国製武器爆買い・おしつけ」路線の始まりで、「ブースター」問題は、それを覆い隠すための口実にすぎません。
もともと、防衛省は北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に対して、イージス艦の増勢などで対処する方針を掲げており、同省の「中期防衛力を整備計画」にも、イージス・ショアの導入は盛り込まれていませんでした。
ところで、2017年、米側から、「米本土防衛」のためにイージス・ショア導入を要求されると、安倍晋三首相は同年秋の日米首脳会談で、トランプ政権の「バイアメリカン」(米国製の武器を買え)路線に迎合し、12月に「2基導入」を閣議決定しました。
しかし、その導入費用は当初「2基1,600億円」から公表された部分だけでも4,504億円に。さらにレーダーや迎撃ミサイル、施設建設費を含まれば1兆円規模に膨れ上がります。単価でみれば、自衛隊史上最も高価な兵器です。
しかも、その迎撃能力は限られており、現在、主流となっている多弾頭や超高高度の弾道ミサイルや、ロシアが開発している極超音速ミサイルなどには全く対応できません。まさに壮大なムダです。
河野防衛大臣は会見で、あくまで配備計画「停止」であることを強調し、イージス・ショアで使用が予定されている迎撃ミサイルや、防衛省が米軍需企業から直接購入を計画している最新レーダーなどはそのままイージス艦で使用する考え示しています。
しかし、いま求められているのは配備計画の「撤回」であり、イージス・ショアにかかる予算措置はすべて解消し、その費用を新型コロナウイルスで苦しむ国民のために回すことです。
(竹下岳)