雪月花 季節を感じて

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紅玉のアップルパイ

2008年11月04日 | 季節の膳 ‥旬をいただく
 
 りんごのおいしい季節は、母の手製のりんごジャムをこころ待ちにしていました。今年は自分でつくって母に届けようとおもい、紅玉の葉とらずりんごでフィリング用のジャムをたっぷりつくりました。
 紅玉特有の酸味と苦みが大好きです ^^ ジャムにしますと、お口にさわやかな甘みがひろがります。学生時代に夏の青森を旅しましたとき、地元の紅玉100%ジュースばかり飲んでいました。


 アップルパイに、なつかしい思い出があります。
 会社の近くに、「チェンバロ」という名のちいさなティールームがありました。住宅の一階部分を改築した喫茶室に、若奥さまが大事にされているチェンバロが一台、置いてありました。時折お邪魔して、大奥さまと若奥さまの手づくりの軽食やお菓子、ご主人がいれてくださるお茶をいただくのが楽しみでした。
 そのティールームの、紅玉を使ったアップルパイが絶品だったのです。わたしがあまりよろこぶので、紅玉の出まわる季節には、「アップルパイが焼けました。帰りにお寄りください」とお電話をくださるようになりました。ある年のクリスマス・イブの日、お電話をいただいて立ち寄りますと、「どうぞ」と手渡されたのは、ホールごとの紅玉のアップルパイ。こころのこもったクリスマス・プレゼントに大感激しました。

 ご主人も大奥さまもお茶をたしなまれ、ご一緒にきものを着てお出かけなさるようなご夫婦でした。あるとき、「お出かけですか」と声をかけますと、奥さまがはにかみながら「虫干しですのよ」とおっしゃったお姿が忘れられません。


 わが家の紅玉のアップルパイが焼けました ^^



 「チェンバロ」のみなさまは変わらずお元気でしょうか。久しぶりに訪ねたくなりました。甘酸っぱくてあたたかなアップルパイのお味も、きっと変わらないことでしょう。


 焼きたてのアップルパイには紅茶を ^^
 紅茶が好きで、20代のころはティーカップ&ソーサーのコレクションをしていました。いま手もとに残っているのは、英国のウェジウッドや大倉陶苑のような丈夫で使いやすいものばかりですが、写真はそのうちのひとつ、米国ホワイトハウス御用達・レノックス社製の「オータム」。肌があたたかなクリーム色で、秋冬にふさわしい紅茶碗です。