北山時雨が京の紅を呼ぶという
「京都南部の午前中は、時雨雲がとれにくいでしょう」
早朝の予報がそう告げた旅の初日
京都は晴れ、時々、時雨であった
いやもう紅葉が美しい。見上げれば満点紅葉の幕である。
眼をおとせば 又 満地紅葉の褥(しとね)である。
そして今また はらはらと散りつつある。
(『紅葉の雨に濡れて』より 山口青邨)
粟生(あお)の光明寺
ゆるやかに傾斜した参道の綾錦に抱かれて歩く
大原三千院の紅葉を讃えた
青邨(せいそん)の言葉を思い出す
京都の秋は短い
時雨が紅葉をたたく
紅は枝を離れて地を染める
全山は燃ゆるくれなゐ 北時雨われもろともに染めて過ぎゆけ
眼前を飛び交う光彩陸離
冷気の満ちた天空の金襴手
永遠につながる一瞬の輝きを
深くまぶたに焼き付ける
千年のいにしえから
あまたの歌人がはかない季節をいとおしみ
その美をたたえ
現世に生きるわたしたちをもひきつけてやまない
飛花落葉の都よ‥
ゆく秋の形見なるべきもみぢ葉も 明日は時雨と降りやまがはむ
(『新古今集』 権中納言兼宗)
錦繍の旅をふりかえり
いま 思うこと─
「京都は 美しい」
それだけです
「京都南部の午前中は、時雨雲がとれにくいでしょう」
早朝の予報がそう告げた旅の初日
京都は晴れ、時々、時雨であった
いやもう紅葉が美しい。見上げれば満点紅葉の幕である。
眼をおとせば 又 満地紅葉の褥(しとね)である。
そして今また はらはらと散りつつある。
(『紅葉の雨に濡れて』より 山口青邨)
粟生(あお)の光明寺
ゆるやかに傾斜した参道の綾錦に抱かれて歩く
大原三千院の紅葉を讃えた
青邨(せいそん)の言葉を思い出す
京都の秋は短い
時雨が紅葉をたたく
紅は枝を離れて地を染める
全山は燃ゆるくれなゐ 北時雨われもろともに染めて過ぎゆけ
眼前を飛び交う光彩陸離
冷気の満ちた天空の金襴手
永遠につながる一瞬の輝きを
深くまぶたに焼き付ける
千年のいにしえから
あまたの歌人がはかない季節をいとおしみ
その美をたたえ
現世に生きるわたしたちをもひきつけてやまない
飛花落葉の都よ‥
ゆく秋の形見なるべきもみぢ葉も 明日は時雨と降りやまがはむ
(『新古今集』 権中納言兼宗)
錦繍の旅をふりかえり
いま 思うこと─
「京都は 美しい」
それだけです