雪月花 季節を感じて

2005年~2019年
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錦繍

2005年11月13日 | 京都 ‥こころのふるさと
北山時雨が京の紅を呼ぶという
「京都南部の午前中は、時雨雲がとれにくいでしょう」
早朝の予報がそう告げた旅の初日
京都は晴れ、時々、時雨であった


 いやもう紅葉が美しい。見上げれば満点紅葉の幕である。
 眼をおとせば 又 満地紅葉の褥(しとね)である。
 そして今また はらはらと散りつつある。
 (『紅葉の雨に濡れて』より 山口青邨)

粟生(あお)の光明寺
ゆるやかに傾斜した参道の綾錦に抱かれて歩く
大原三千院の紅葉を讃えた
青邨(せいそん)の言葉を思い出す

京都の秋は短い
時雨が紅葉をたたく
紅は枝を離れて地を染める

 全山は燃ゆるくれなゐ 北時雨われもろともに染めて過ぎゆけ


眼前を飛び交う光彩陸離
冷気の満ちた天空の金襴手
永遠につながる一瞬の輝きを
深くまぶたに焼き付ける


千年のいにしえから
あまたの歌人がはかない季節をいとおしみ
その美をたたえ
現世に生きるわたしたちをもひきつけてやまない
飛花落葉の都よ‥

 ゆく秋の形見なるべきもみぢ葉も 明日は時雨と降りやまがはむ
 (『新古今集』 権中納言兼宗)


錦繍の旅をふりかえり
いま 思うこと─

「京都は 美しい」

それだけです
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