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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(168); 四間飛車に棒銀

2016-05-28 | 大山将棋研究
昭和49年7月、内藤先生と第24期棋聖戦第1局です。


大山先生の四間飛車に内藤先生は棒銀です。内藤先生が定跡どおりの急戦をやるのか?と思ったら

大山先生のほうが外しました。これは得意の袖飛車です。63銀ではなく45歩といくほうがアマチュアにはわかりやすいです。

袖飛車に66銀と受けるのも定番で、ここから先は振り飛車の指し方が難しすぎて、大山先生くらいしか指しません。

角を転回して歩で受ける。これで右辺が安定すれば内藤先生のほうがよくなっていきます。

ですから大山先生は強くいきます。

銀交換で46歩と取り込めれば振り飛車もまあまあです。

44銀から34歩と控えて打って飛車をいじめます。本当は34歩36飛35銀と打ちたい(1手得)ですが、65歩を取られて面白くないということでしょう。ということは少し内藤先生のほうが指しやすいわかれかも知れません。

飛車はどうにか殺されずに済みました。

角筋が通って右桂が使え、内藤先生が好調です。

歩切れも解消して駒得、玉の堅さも劣らず、あとは飛角を使うことを考えればよくなりました。

84桂には85銀と打つ方が手堅いのですが、53角なるとできるならそのほうが良いです。ここでは大山先生は43金と我慢すべきでした。

19角成も大きいのですが、53角成も急所です。61銀がまわれば寄せになります。

金を活用しましたが、71銀が手筋。73玉は62銀打、92玉で耐えるというのはぱっとわかりませんが無理なんですかね。

とはいえ馬を引き付ければまだまだに見えます。

飛車は死んでも左桂を使えれば。

金銀を引き付けていくのは大山流ですが、飛車に当てられて忙しくなりました。

飛車交換で馬を切り金を張り付く。うるさそうですが、後手陣に馬が無くなると薄さが目立ちます。

この角が好打。内藤先生が有利になりました。

さらにしっかり固めて先手玉に寄りがみえません。

あとは反動を利用して寄せるだけです。

大山先生の形つくり。

74の銀を抜いたのが攻防で、内藤先生の勝ちです。

棒銀に袖飛車で対抗するのは大山先生だけです。振り飛車穴熊ならよく見かけますが、美濃囲いよりさらに薄いし金銀が連結しませんから、誰も指しこなせません。
やや悪いところを53角成を許してしまったので、そこからは逆転の要素は小さく、内藤先生がしっかりまとめて勝ちました。途中、57金左から68銀というのが4筋も厚く守ったよい形です。袖飛車から守るために角筋を止めたとしても、どこかで角を使わなくてはいけないものだ、とよくわかりました。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤国雄棋聖
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5六歩(57)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 3六歩(37)
18 4三銀(32)
19 9六歩(97)
20 9四歩(93)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 3七銀(48)
24 3二金(41)
25 5七銀(68)
26 6四歩(63)
27 6八金(69)
28 7四歩(73)
29 2六銀(37)
30 6三銀(72)
31 3五歩(36)
32 7二飛(42)
33 3四歩(35)
34 同 銀(43)
35 3八飛(28)
36 4三銀(34)
37 6六銀(57)
38 6五歩(64)
39 7七銀(66)
40 5一角(33)
41 3五銀(26)
42 7三角(51)
43 4六歩(47)
44 4五歩(44)
45 3六飛(38)
46 3四歩打
47 同 銀(35)
48 同 銀(43)
49 同 飛(36)
50 4六歩(45)
51 3七桂(29)
52 3三金(32)
53 3五飛(34)
54 4四銀打
55 3六飛(35)
56 3四歩打
57 1六飛(36)
58 4二飛(72)
59 5七金(68)
60 1四歩(13)
61 3六歩打
62 3五歩(34)
63 6八銀(77)
64 7二金(61)
65 4五歩打
66 同 銀(44)
67 同 桂(37)
68 同 飛(42)
69 3五歩(36)
70 8四桂打
71 9七角(88)
72 4七歩成(46)
73 同 金(58)
74 1九角成(73)
75 5三角成(97)
76 4三金(33)
77 7一銀打
78 同 金(72)
79 6三馬(53)
80 5四銀打
81 5二馬(63)
82 7三馬(19)
83 4六金(47)
84 3三桂(21)
85 8五銀打
86 6三銀(54)
87 4一馬(52)
88 4二金(43)
89 2三馬(41)
90 4六飛(45)
91 同 飛(16)
92 同 馬(73)
93 同 金(57)
94 5八金打
95 7九銀(68)
96 4九飛打
97 3六角打
98 7二金(71)
99 6一飛打
100 6九飛成(49)
101 8八玉(78)
102 5四歩打
103 4三歩打
104 7五歩(74)
105 7八銀打
106 4九龍(69)
107 4二歩成(43)
108 7六桂(84)
109 同 銀(85)
110 同 歩(75)
111 7五桂打
112 7四銀(63)
113 5四角(36)
114 7七香打
115 7二角成(54)
116 同 玉(82)
117 6三金打
118 8二玉(72)
119 7一飛成(61)
120 9三玉(82)
121 7四龍(71)
122 7九龍(49)
123 9七玉(88)
124 投了
まで123手で先手の勝ち


20160528今日の一手<その332>; 勝負になる形

2016-05-28 | 今日の一手

20160528今日の一手

4月30日の名南将棋大会から、私とAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は65桂73角で2枚。62飛も桂が消えれば先手陣に直通するので3枚に近いです。

総合すればやや後手もちです。

大局観として

実際は先後は逆です。私が先手でも1手損して角換わりにしたので、通常とは形が違うところがあります。25歩と33銀を入れてあれば少しは見たことがある局面に近いかもしれません。先手が(実際は後手で)1手余計に指しているのが98香であると理解していただければよいでしょう。

穴熊を目指されたので、65歩同歩同桂66銀を強要して、73角で46の歩を狙い、48飛と受けて、45歩とそこをこじ開けに行った局面です。

25歩33銀の形なら45歩とやりやすいのですが、44桂や44角などの傷があり、この歩をついてい良いのかは微妙です。でもこれくらいしかないのです。先手の98香もマイナスだからこれくらいでいい勝負です。
先手としては18飛として46歩を取らせるのもよく見ますね。

後手のねらいは46角です。その時には香取りになるのでどうするか。飛車を切るつもりか(これは早そう)18飛か、あるいは?
はたまた46角を許さない指し方がよいのか、という選択です。おとなしく指すか、反撃含みで指すか、すぐに動くか、その3通りから方針を選ぶのですが、できれば48飛を生かすほうが良いでしょう。将棋はよくできたゲームなので、前に指した手を生かせなければ(少しかもしれませんが)悪くなるものなのです。


× 実戦は64歩でした。46角の前に動こうという手です。

これもよく出てくる手筋です。ただし先手玉が88の時はうまくいかないことが多いです。
64同飛は角筋が止まるので83角62金65銀右同銀同銀同飛74角成とかになるのでしょう。ほとんどの場合角で取ります。64同角65銀右同銀同銀

これで瞬間は桂得なのですが、55角が王手銀取り。77桂打65飛56銀

これで両取りなので悪くないと判断したのでしょう。確かに両方は受からないのですが、この瞬間は銀桂交換で駒損ですし、後手の攻め駒は4枚。59銀という痛打がありますね。48飛がたたりました。
65銀に48銀不成で

これで後手有利です。18飛と逃げるほうが難しかったのですが、68飛成から強攻して後手のペースです。
実戦は56銀46角66角33銀17桂

ここで桂馬を跳ねるくらいしかないのでは寄せ合い負けです。65歩同桂64歩25桂65歩33桂成同桂84角66桂

これくらいまで進めばはっきりしますね。48の銀も働くので簡単です。


× 83角もよく見る手筋です。

46角18飛63金

65銀右同銀同銀73金

馬は作れず、角は消えてしまいます。うまくいきません。


× 41角というのもたまに見ます。

4手角(84角)の時に金を取って83金みたいな筋をみかけます。この場合は65銀右から清算したときに52金が取れるという寸法です。
43銀45歩42金左

これで少し無理なようです。


△ 46角の前に動くのはうまくいかなかったので、おとなしい手を考えます。67金直。

59銀や75歩の筋を避けているので受けとしては働いた手です。46角18飛43銀上

形勢はやや後手がいいとは思いますが、まだまだこれからです。48飛の1手が意味がなかったことになるのでしゃくな感じはしますが、落ち着いてみれば後手も難しいですね。


○ 反撃含みで指すなら37桂です。

46歩なら83角

今度は73角が邪魔なので、先手が指しやすいと思います。

ということで37桂には46角47飛43銀上99玉

最後の99玉では67金直かもしれませんが、98香を生かしてみました。前に指した48飛も意味がある手になっていますね。形勢は互角ですが、18飛とまわるよりも反撃が強くなっているのがわかるでしょう。怖いのは35歩同歩36歩の筋。でも45桂が角当たりなのでどうにかなりそうです。後手は44銀か33桂から35歩を狙い、戦いが右辺から始まるのでしょう。先手も十分指せるはずです。


48飛を生かす、というのがわかってもらえたでしょうか。37桂46角47飛は頑張った指し方ですが、後手も42銀の形なのでいい勝負です。ついでに99玉とできるなら前に指した手が生かせますね。

46角18飛はできれば避けたい(そう指すつもりなら48飛の必要がない)ですが、じっとしていても角が手持ちなので悪くはないです。

実戦の手順、64歩は手筋として知っていたほうが良いですが、59銀は痛かったですね。逆に桂馬をもって44桂で攻めたいので、そう指したくなるのはよくわかりますが。