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名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(146); 四間飛車に中央位取り

2016-05-06 | 大山将棋研究
昭和49年4月、勝浦修先生と第24期棋聖戦です。

大山先生の四間飛車に勝浦先生は中央位取りです。

素直にこの歩を交換できたので勝浦先生がポイントを上げました。

左を盛り上げていくのかと思ったら右から動くものですか。

左銀が前に出てくるので少し損をしたのではないかという気はしますがどうなのでしょう。

居飛車のほうが堅いので飛車交換はできず、大山先生としては飛車を封じつつ戦果をあげなければいけません。

勝浦先生はカミソリと呼ばれた鋭い将棋です。歩を垂らして後手陣を乱します。

2筋突破を防いで

36の歩を突きだします。37桂と使いたい気もするし、どちらがいいか悩みます。

37桂を防ぐ36歩に65歩は同歩に55銀とぶつけるということでしょう。

大山先生は手抜いて位を取らせることを許し、飛車をさばきます。

桂馬を取り合って

後手陣はかなり乱されます。でも16飛が侵入するまでには時間がかかります。

47と から55桂を防ぐ受けに

と金を捨てて工作して控えの桂の手筋。

その桂が跳ねられるかどうかの攻防

やっと54桂が実現しました。これで66香は無力化。形勢は互角です。

この端攻めは急所です。

勝浦先生は端を緩和するために桂馬を打ち込んで、飛車を使うために と金を引きます。

これで飛車交換。勝浦先生が上手く指したようですが

これが先受けの好手で、3筋5筋に底歩が利くので飛車打ちに抵抗できます。

これが確実な攻めですが、歩切れになりました。

端を破られてここで61と が敗着です。88飛が厳しい(前の66香と打たせた手順が生きています)ので57金から67玉をみて形勢不明でした。

ここからは大山先生の寄せです。飛車を打って下段に落とせたので桂馬で挟撃。

反面66香を取れなくなったので突き出しが厳しいのですが

放置して桂馬を跳ねれば77桂打ちで詰みます。

角筋を通し53角の利きを止める、勝浦先生苦心の受けですが

角を活用して

上部を安全にして

底歩で香を守り

これで投了です。

勝浦先生が終盤中ごろまで少しリードできていたと思うのですが、玉の安全度を優先すべきでした。中段玉で頑張れたはずです。逆に大山先生は薄い玉でも金銀を繰り替えつつ丁寧に守り、端攻めから逆転にこぎつけました。好局なのですが、もう少し勝浦先生が頑張っていれば完璧でした。互いに力のこもった戦いを楽しめます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:勝浦修7段
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 5八金(49)
10 4二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5七銀(48)
18 8二玉(72)
19 5五歩(56)
20 7二銀(71)
21 5六銀(57)
22 3五歩(34)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 6八銀(79)
26 5二金(41)
27 5七銀(68)
28 3二飛(42)
29 1六歩(17)
30 6四歩(63)
31 6六歩(67)
32 6三金(52)
33 6五歩(66)
34 同 歩(64)
35 同 銀(56)
36 6四歩打
37 5六銀(65)
38 7四歩(73)
39 6七金(58)
40 8四歩(83)
41 6八金(69)
42 5一角(33)
43 2六飛(28)
44 3四飛(32)
45 4六歩(47)
46 1二香(11)
47 4五歩(46)
48 3三桂(21)
49 4四歩(45)
50 同 銀(43)
51 4六銀(57)
52 4五歩打
53 5七銀(46)
54 6二角(51)
55 1五歩(16)
56 3六歩(35)
57 同 飛(26)
58 3五銀(44)
59 1六飛(36)
60 2四歩(23)
61 4三歩打
62 5二金(61)
63 2四歩(25)
64 同 飛(34)
65 5四歩(55)
66 4三金(52)
67 3六歩(37)
68 4四銀(35)
69 2五歩打
70 同 飛(24)
71 2六歩打
72 2四飛(25)
73 5三歩成(54)
74 同 金(43)
75 3五歩(36)
76 3六歩打
77 6五歩打
78 1四歩(13)
79 6四歩(65)
80 同 金(53)
81 6五歩打
82 5四金(64)
83 5五歩打
84 5三金(54)
85 1四歩(15)
86 1五歩打
87 同 飛(16)
88 2六飛(24)
89 3四歩(35)
90 2九飛成(26)
91 3三歩成(34)
92 同 銀(44)
93 5四歩(55)
94 4四金(53)
95 1三歩成(14)
96 3七歩成(36)
97 4八歩打
98 同 と(37)
99 同 銀(57)
100 6六歩打
101 同 角(88)
102 4二桂打
103 5三歩成(54)
104 同 角(62)
105 5五歩打
106 5四歩打
107 4三歩打
108 同 金(44)
109 1二と(13)
110 5五歩(54)
111 同 角(66)
112 7三桂(81)
113 6六香打
114 5四桂(42)
115 3九歩打
116 2四銀(33)
117 1四飛(15)
118 9五歩(94)
119 6四桂打
120 6一銀(72)
121 1三と(12)
122 3三銀(24)
123 2三と(13)
124 同 龍(29)
125 1二飛成(14)
126 同 龍(23)
127 同 香成(19)
128 4二銀(33)
129 4一飛打
130 5一歩打
131 5二歩打
132 9六歩(95)
133 5一歩成(52)
134 9七歩成(96)
135 6一と(51)
136 8八飛打
137 6九玉(78)
138 4六桂(54)
139 7二桂成(64)
140 同 玉(82)
141 6四歩(65)
142 8九飛成(88)
143 7九銀打
144 8五桂(73)
145 6三歩成(64)
146 8三玉(72)
147 7三と(63)
148 9四玉(83)
149 6四香(66)
150 8六桂打
151 同 歩(87)
152 8七桂打
153 7八金打
154 2六角(53)
155 3七桂打
156 9八歩打
157 8五歩(86)
158 9九歩成(98)
159 6二と(61)
160 5一歩打
161 2一飛成(41)
162 4四角(26)
163 9五歩打
164 8五玉(94)
165 4四角(55)
166 同 金(43)
167 投了
まで166手で後手の勝ち





20160506今日の一手<その321>; 位の生かし方

2016-05-06 | 今日の一手
20160506今日の一手

3月26日の名南将棋大会から、IさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒はありません。
後手の攻め駒は33角1枚。

総合すれば互角です。

大局観として
玉の堅さは同程度としましたが、先手玉は横からの攻めに強く、後手玉は上部に厚いです。でも先手玉を上から攻める体制ではないので、先手玉のほうがやや堅いとは言えそうです。さらに見れば、7筋に位を取っているので後手玉の厚みも大したことはなく、6筋は金銀2枚、8筋は83銀だけです。つまり先手が作戦勝ちではないかと思います。
先手玉のほうがやや堅いならば攻めたいです。6筋から攻めますか?


○ 実戦は65歩でした。一番自然な手のように見えます。

ここから変化が多いです。65同歩33角成同桂65銀

これで角銀の交換です。65同銀同飛64歩68飛46歩

46同歩は79角ということでしょう。55角から後手の飛をけん制していい勝負でしたが、後手は24角から先手の飛車を攻め、手厚く指して勝ちました。

先手としては46歩に55角ではなく51角です。32飛に43銀

という調子で33桂を狙って飛車をいじめれば有利でした。

この51角の筋が嫌なので、後手は24角69飛46歩同歩同飛

とするべきでしょう。これは互角です。

自分から角を換えるほうが隙を作らないのです。77角成としてみます。

77同桂に33角は64歩と取り込んで

77角成63歩成同銀64歩54銀63金

というのは先手がよいです。

後手は77角成としても同桂に65歩と手を戻すしかないでしょう。

これが先手の一番期待していた手順で、6同銀同銀同桂64歩31角

43飛52銀33飛63銀成同金42角成

72銀打33馬同桂31飛77角

これくらいは進みそうです。やや先手よしでしょう。


○ 私の第一感は88飛でした。

84の地点が薄いとみます。93玉と受けるわけにもいかないでしょうし、93桂は97桂で桂馬も交換できます。24角なら65歩12飛85歩79角成86飛85歩同銀

馬を作られたとしても8筋を制圧すればよいです。

74歩が一番強い対応です。

歩を交換して73金引とできれば8筋をカバーできます。85歩と合わせて75歩同銀76歩

これは少し厄介なのですが、68角85歩同飛73玉86飛

84歩76飛82玉74歩

ここまで進めれば先手有利です。


○ 85歩と合わせてから88飛を狙うと

85同歩88飛74歩

85銀75歩84歩

92銀67金73桂94銀85歩97桂

こんな調子です。33角の利きがあるので7筋から反撃されるのは少し厄介ですが、場合によっては67金と使って8筋を制圧すれば有利になります。

後手は74歩ではなく93桂というのもあるのですが

97桂65歩85桂84歩93桂成同玉

これは95歩同歩55桂64金65歩

これで先手が好調です。


△ 他の指し方としては57金24角67飛

というおとなしい対応はあります。後は68角~77桂と待つ感じです。銀冠に組むのもいいでしょう。位を取っているので持久戦でも構わないという指し方です。


△ 後は67金と上がって24角78飛33桂68角とか

67金に46歩同歩同飛47歩42飛なら88飛

とじっくり攻めようとするのもあります。
まあ玉が薄くなるので普通の指し方ではないのですが。


大さばきが好きな方なら65歩と行きたくなるでしょう。後手から77角としてもらえば桂が使えるので歓迎です。先手から角を換えるのは少しつまらないというのが普通なのですが、この場合は51角があります。後手だけ銀冠なので角打ちの隙ができやすいのですね。ですから問題図は先手の作戦勝ちです。

私は作戦勝ちになればもっと意地悪するというか、積極的によくしたいと考えるので、88飛です。85歩と合わせてからまわるかどうかを比較するわけですが、どちらでもよいようですね。ただし74歩と対応されるのはなかなかに難しく、74同歩と取らないで8筋を押し込めないかと検討します。88飛~85歩同歩同銀となれば、後手の84歩~83銀が全くの無駄ですね。

相振りの銀冠は堅いと森安秀光先生が言っていました(これは相居飛車になった時に銀冠に組む話で)が、7筋に位があれば話は別です。相居飛車や相振り飛車で位に対してまともに対抗してはいけません。自玉が危険になるのです。
相矢倉では左右逆ですが7筋の歩を交換して左銀を73にもっていく形がありました。それくらい固めればまだよいのですが、後手としては銀冠にしないで、高美濃にもしないで低く構え、攻撃の形を作るべきでした。