名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(170); 四間飛車に棒銀

2016-05-30 | 大山将棋研究
昭和49年7月、中原先生と第1回名将戦決勝第2局です。


大山先生の四間飛車に中原先生は棒銀です。2日前に内藤先生の将棋を並べましたが、棒銀が流行していたんでしょうか。

大山先生は今度は先手番ですが、対応策は同じようです。

袖飛車になりました。

ここから少し違ってきます。中原先生は後手番ですから74飛の形で37角を受けるのは間に合わない、角を応援に持ってきます。

角がぶつかって、どちらから交換するかはわかりませんが、角交換にはなります。それを見こして離れ駒をなくします。

大山先生は83角から馬を作るチャンスはあったのですが、最初のチャンスは見送る、というやつでしょうか、銀を引きます。

中原先生から角を換えて

この歩は突かないでさらに駒組みが普通なのですが、大山先生は手詰まりを嫌がっているのでしょう、ちょっかいを出します。玉が安定していないので早い気がするのですけど。とりあえずこの歩は取れません。

中原先生の自陣角。44歩と突くつもりか、24銀から35歩のつもりか、でもたいしたことはないようにも見えます。

大山先生は軽く歩を突き捨てて飛車を回ります。振り飛車らしい手です。

でも角を出た手がなかなかの手ですね。角を切って飛車を出れば指せそうです。でも76の地点を受ける気にもならないですね。

78飛とまわりましたが角を切って飛車をさばかれました。

大山先生は82角から香を拾うのですが、これでは間に合っていないように見えます。

中原先生は89飛成とせずに と金つくりを目指しました。

そのために先手玉の形が少し堅くなりました。

これで と金を払えば逆転した感じです。

中原先生の22金と打たされた形もひどく、桂馬を取るくらいでは割に合わないと思うのですが、ここで次の手は難しいです。ということは形勢互角でしょう。

大山先生の銀を呼びこむ26歩は危険です。代わりには何がよいかは難しいのですが。まずは55歩で中原先生の駒損は回復。

端を攻められて危険です。

桂馬を放り込まれて27同馬とする気にはなれません。

香車のほうを取るのですね。19同玉は15歩で端が破られそうです。

大山先生の17香の受けにも少し驚きますが、端を工作されて

金がないので馬を引きます。

この角が攻防で、どうやら中原先生の有利がはっきりしてきました。

大山先生も必死で守ります。

銀は死んだのですが、桂馬を捨てれば助かります。

中原先生は銀のほうを取り

角も切って手を戻します。中原先生の攻め駒(持ち駒)は余るほどあります。

この桂跳ねが攻防。やっと私にもわかってきました。

継桂で詰みがあります。

投了図。


大山先生の袖飛車、難しくてまねをしにくいのですが、角交換になるあたりでは作戦成功です。先手番ですし、1手早いのは大きいです。やはり棒銀を繰り出すのが早すぎるのでしょう。
大山先生は玉を固めないうちにちょっかいを出したのが変で、中原先生の95角(その前の73角がいい手だとも思わないのですが)を誘発しました。
中原先生がと金を作りに行ったのに、それを取られることになり混戦です。大山先生が強気で銀を取りに行ったのがやりすぎで、端を攻められて不利になったようです。あとは中原先生の長くなってもかまわないという攻めが、大山先生の受けを上回りました。
大山先生の袖飛車はまねをしにくいので、中原先生の終盤を勉強するために後手のほうから見て並べるべきでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十段
後手:中原名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 4二銀(31)
17 3八銀(39)
18 7四歩(73)
19 4六歩(47)
20 8五歩(84)
21 7七角(88)
22 7三銀(62)
23 6七銀(78)
24 5二金(61)
25 3六歩(37)
26 8四銀(73)
27 7八金(69)
28 5三銀(42)
29 4七銀(38)
30 7五歩(74)
31 3八飛(68)
32 7六歩(75)
33 同 銀(67)
34 4四銀(53)
35 4五歩(46)
36 3三銀(44)
37 5九角(77)
38 3一角(22)
39 3七角(59)
40 6四角(31)
41 7七金(78)
42 7二飛(82)
43 6七銀(76)
44 7五銀(84)
45 7六歩打
46 3七角成(64)
47 同 桂(29)
48 6四銀(75)
49 6五歩(66)
50 5三銀(64)
51 5六銀(67)
52 7三角打
53 6四歩(65)
54 同 銀(53)
55 6八飛(38)
56 9五角(73)
57 7八飛(68)
58 7七角成(95)
59 同 桂(89)
60 8六歩(85)
61 同 歩(87)
62 7六飛(72)
63 8二角打
64 8六飛(76)
65 9一角成(82)
66 7六歩打
67 6五桂(77)
68 8七飛成(86)
69 3八飛(78)
70 8九龍(87)
71 3九金(49)
72 7七歩成(76)
73 2五桂(37)
74 2四銀(33)
75 6六角打
76 2二金打
77 7七角(66)
78 2五銀(24)
79 2六歩(27)
80 5五歩(54)
81 同 角(77)
82 同 銀(64)
83 同 馬(91)
84 5四歩打
85 3七馬(55)
86 1六銀(25)
87 1七歩打
88 2七桂打
89 1六歩(17)
90 1九桂成(27)
91 1七香打
92 1五歩(14)
93 同 歩(16)
94 1六歩打
95 同 香(17)
96 1七歩打
97 同 玉(28)
98 2九成桂(19)
99 同 金(39)
100 同 龍(89)
101 2八馬(37)
102 同 龍(29)
103 同 玉(17)
104 6四角打
105 4六桂打
106 4九角打
107 2七銀打
108 5五歩(54)
109 5三桂成(65)
110 3八角成(49)
111 同 銀(47)
112 5六歩(55)
113 5二成桂(53)
114 4六角(64)
115 3七銀打
116 同 角成(46)
117 同 銀(38)
118 5二金(41)
119 8二飛打
120 5一香打
121 5三金打
122 6八飛打
123 3八角打
124 3三桂(21)
125 5二金(53)
126 1七銀打
127 同 玉(28)
128 2五桂打
129 同 歩(26)
130 同 桂(33)
131 2八玉(17)
132 3七桂成(25)
133 同 玉(28)
134 2五桂打
135 4七玉(37)
136 5八銀打
137 投了
まで136手で後手の勝ち

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20160530今日の一手<その333>; 悪手を指さない

2016-05-30 | 今日の一手

20160530今日の一手

4月30日の名南将棋大会から、私とSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛と角銀の交換で先手の駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は55銀と持ち駒角角銀桂で5枚。
後手の攻め駒は49飛と持ち駒桂で2枚。

総合すれば先手が優勢です。

大局観として
攻め駒は十分ですから寄せを考えればよいです。矢倉も堅く、後手の攻め筋は86桂ですが、現状はそんなに怖くありません。ただし駒得は消えてしまいそうなので、ここが考えどころです。
55の銀は助からないのですが、捨てるか、取らせている間に攻めるか。形勢がよいのでどれもありそうです。形勢が良ければ自然な手がよいのですが、銀が取られるでしょうから駒損は自然な手ではなくなるので悩みます。ですが、悪い手を指さなければよいでしょう。


○ 実戦で私は75歩と指しました。

55歩74歩同銀に38角が両取り。これで簡単かと思ったら79銀が飛んできました。

あ、しまった、と79同金48飛成68金引38竜

王手をどう防ぐかばかり考えていたのですが、この局面は飛銀交換の駒損ですから長期戦は不向き、持ち駒を使ってはいけません。そういう意味で最善だったとは思いますが、形勢は怪しくなっています。この後は良くなることはなく負けました。
悪手はどこかといえば、79銀を取ったことです。97玉で頑張れました。

98玉ではだめなので取るしかないと思ったのですが、97はあります。48飛成74角78竜52角成

後手玉は詰めろ。先手玉は詰みません。検討して見つかってがっかりですが、最初の75歩が疑問手かもしれないけれど(そうでもなかった)、もう一つは79同銀だと気が付いて納得です。疑問手は2つ重ねなければ何とかなるものです。


△ 54同銀も同じような意味ですが

54同銀75歩に86桂があります。

先に銀を捨てると後手の攻め駒が増えるのです。75歩の瞬間がややぬるいです。86同歩同歩同銀同飛87歩に79銀

これは取ると危険で(先が長いので読み飛ばしてもいいです)79同金同飛成同玉87飛成

金がないので78金と打てず、68飛でも88歩があって、部分的に受け無しですが、84桂と捨てて同竜41銀

そっぽのようですが、金を手に入れると受けが利きます。55桂52銀不成67桂不成78玉62金

これは先手が足りません。

戻って、79銀に98玉で

これは悪くはありませんが難しい形勢です。


○ 64銀なら

64同銀に56桂があります。

後手は63歩と打ちたくても歩切れ。53銀64銀62銀75歩

ここでも63歩と打てないので手ごたえありです。84飛なら74歩同飛83角同玉61角

これは寄りそうです。

後手は56桂に63銀打なら

64桂同銀38角

48飛成74角(この時に桂しかない)62金83銀(26角は44竜でわからない)同飛同角成同玉81飛

ちょっと強引ですが、駒損は回復するので勝ちやすいでしょう。


△ 後はかなり強引なのですが、93桂というのもあります。

右玉は案外端に隙があります。93同香92角84飛83銀

83同飛同角成同玉64銀同銀61角

これで寄りです。途中の手順が必然でもないので、変化もありそうです。


○ 95歩はもう少し自然な手で

95同歩93歩同香92角

となれば、前の変化よりも桂馬を損しないので得ですね。

95歩に55歩94歩

これでも歩得で、93歩成は防ぎにくいです。86桂が飛んでくるので簡単ではないですが、反撃も利くでしょう。


どの手を選択するかはぜいたくな悩みのほうですが、難しいですね。読んでみないとわからないのですが、

実戦の74歩は38角が成立するかどうかにかかっています。これを読み負けました。

54同銀は75歩の瞬間が甘いのでやや危険です。

64銀のあと56桂があるのなら一番よく見えますね。

93桂は強引ですが、こういう筋もあるのだと覚えておいてください。

端を突くのも良い手に見えます。

形勢がよいのですから、悪い手を指さなければ何とかなります。

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